オウケイウェイヴ――Q&Aサービス、他社にASP、内容充実

2007年09月26日 | システム/アプリケーション/ソフト
 ウェブサイトへ利用者が寄せた質問に別の利用者が回答し問題解決につなげる「Q&Aサービス」。オウケイウェイヴは自社サイトでサービスを運営するほか、他社のポータル(玄関)サイトなどにソフトの期間貸し(ASP)で機能を提供し、露出度を高める戦略をとる。先行参入の強みも生かし、業績を着実に伸ばしている。
 オウケイウェイヴが運営する「OKWave」は二〇〇〇年に開設した日本のQ&Aサイトの草分け的存在。兼元謙任社長は「二年ほど前はQ&Aサイトとは何かわかってもらうのにも苦労した」と振り返る。今年一月にサイトの質問・回答を基にした書籍がテレビドラマ化されたことなどで知名度が高まった。
 サイトへ質問や回答を寄せるには無料の会員登録が必要で、会員数は八月時点で八十五万人を超えた。検索エンジンなどを経由してサイトを訪れ、質問や回答を閲覧するだけの利用者数は月間約八百万人。サイトに登録された質問・回答の件数は、〇七年六月期に一日平均一万件のペースで伸び、六月末で前年比三九%増。現在千三百万件を突破している。
 利用者自身がコンテンツを更新・増殖させていくのがQ&Aサイトの特徴。オウケイウェイヴの役割はコンテンツの自己成長、すなわち良質の質問や回答が投稿されやすい環境を整えることにある。
 そのため自社サイトを運営するだけでなく、質問・回答のデータベースをオウケイウェイヴと共有する他社サイトのネットワークをソフトの期間貸し(ASP)方式により構築。利用者と接する窓口を増やすことでコンテンツの成長を加速する。提携先は「goo」や「MSN」などのポータルのほかKDDI(au)、JTB、デルといった企業サイトまで含め四十以上になる。
 質問・回答の質を維持するため、違法行為やプライバシー侵害、中傷、著作権侵害、営業宣伝などを内容とする投稿を禁じる基準も設けた。禁止基準に触れる投稿はスタッフのサイト巡回と、システムでの投稿内容の自動チェックや会員によるチェックを組み合わせて見つけだし削除する。
 〇七年六月期はQ&Aサービスの収益が貢献し、売上高は三億一千万円とグループ全体の三割を上回った。提携先サイトからの月額固定料金や閲覧件数に応じた従量課金が増え、自社運営サイトへの広告掲載による収入も伸びた。
 Q&Aサービスはポータル最大手のヤフーが運営する「ヤフー!知恵袋」やはてな(東京・渋谷)の「人力検索はてな」など競合サービスが増加。これに対し兼元社長は「全体の底上げにつながり市場が拡大する」とむしろ歓迎する。
 年内にも月間の閲覧利用者数を一千万人、会員数を百万人まで増やし、広告収入の増加に弾みを付ける考え。NTTドコモの公式サイト化など携帯電話からの集客強化や、動画共有サイトなど周辺分野の開拓、質問・回答と連動した多様な広告商品の展開などで目標達成を目指す。
 兼元社長はQ&Aサービスを「検索エンジンと交流サイトの中間に位置する第三勢力」と位置づける。問題解決を目指して質問と回答を交わすQ&Aサービスの利用者は目的意識も高く、工夫次第で商品の販促・購買に結びつけられる可能性もある。兼元社長のアイデア次第で、新しいビジネスの方向性が見えてきそうだ。