携帯メール販促のコツ――店への平日の誘客は昼前に送信。

2006年05月26日 | アフィリエイト/広告/販促
 普及台数が九千万台を超えた携帯電話。来店や商品購入を促すために携帯メールを使う企業は増えているが、誤った使い方で顧客の反感を買ったり、期待する効果を上げられなかったりすることも多い。販促での携帯メール活用のポイントを、NTTドコモと電通などが出資する携帯向け広告代理店、ディーツーコミュニケーションズ(D2C、東京・港)の藤田明久社長の話を基にまとめてみた。
 「携帯電話の本質は生活者の二十四時間、三十センチ以内に存在する双方向なマスメディア。効果的なタイミングで生活者にコンタクトできる利点がある」――。藤田社長は携帯電話の特徴をこのように指摘し、三つのポイントを挙げる。
 一つ目はタイミング=配信する時間をターゲットとするユーザーに合わせること。常に身近にあるメディアであることを生かし、相手の生活行動や場面を想定してタイミング良く送ることが大切だ。メールが届けば四人に三人がその場で開き、ほとんどが一―二時間以内に内容を確認するという調査結果がある。
 コンビニエンスストアで売られる飲料の場合は昼休みの直前、ビールの新製品は夕方といった具合に「消費の直前」に送るのが効果的。ファストフード店のクーポン付きメールも利用時間に合わせるのが常道だ。
 だが、商品や業態によっては、消費する時間と配信時間を一定時間空けた方が良い場合もある。代表が百貨店やアパレル専門店が会社帰りのOLらへ送る誘客メール。「夕方ではなく、昼間の午前中に送った方が来店効果が大きい」。すでに予定が入っているだろうし、友人を誘ってもらうためには調整の時間があった方が都合が良いからだ。
 自動車ディーラーが週末の新車フェアに誘客するのも、「木曜日くらいに送って、お父さんが家族をいかにディーラーに連れて行くか作戦を立てられる時間を用意すべきだ」という。
 携帯メールは情報が一―二時間で伝達し、いつ見るか分からない折り込みチラシやダイレクトメール(DM)にない有利さがある。「当然、早朝や真夜中などに送るのはルール違反。クレームの原因になるのはもちろん、結果として企業イメージやブランドに傷が付くことになる」と藤田社長は注意を呼びかける。
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 二つ目はターゲット=地域や男女別などターゲットの絞り込み。マーケティングの鉄則だが、顧客情報の取得や管理は手間がかかり、個人情報保護法の施行以降、企業がメールアドレスを持つリスクは大きい。
 これを解決する手段の一つが携帯メール関連サービスの活用だ。代表的なのがNTTドコモの「メッセージフリー」。携帯電話加入時の情報をもとに性別や年齢、誕生日などの条件で、都道府県単位で狙った人にメールを配信できる。受信登録者は九百万人を超え、今夏には一千万人を超える見込みだ。
 美容室チェーンの田谷は今年、女性客の開拓を狙ってメッセージフリーを活用したメール配信を始めた。まず十―二十代の女性約十七万人に送ったメールでは、店で提示すると利用料金が半額になるクーポンのほか、店舗のサービス内容、人気が高いヘアスタイルの画像などを紹介。効果が確認できたことから、その後、年齢とエリアを絞った配信にも取り組んでいる。
 藤田社長は「若年層はメールに対する反応が高い。特に学生や生徒の場合は受験などのイベントが一斉にやってくるのでターゲットを絞りやすい」とみる。
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 ターゲットは絞った、タイミングも工夫した。しかし、最後はメールの中身が販促効果を左右する。三つ目のクリエーティブ=メールの表現方法と内容が最終的な販促効果を握る。
 商品などの画像を添付したほうがメールを開けた時にユーザーにインパクトを与えられる。画像自体もテレビCMや屋外広告などのマス媒体で使っている写真やロゴと統一するのが望ましい。「画像を添付することで消費者の理解も具体的になり、ビジュアル表現を統一することでメディア間の相乗効果を高められる」
 「あなただけに送っています」といった一対一のパーソナルコミュニケーションの感じを出す工夫も大切。顧客名を表記できない場合も、地名などを入れ、親近感を持ってもらったり、「限定」したメールであることを感じてもらったりすることがポイントだ。
 藤田社長は「モバイルは情緒に訴えるメディア。強力な接着力があり、生活の中に入り込む浸透力もある。携帯以外のメディアとの連動もしやすいだけに、『クロスメディア』の視点も今後重要性が増してくる」と指摘する。