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後で考えます

多分映画の話題。でも映画好きで、これから見たい方は読まないほうがいいです。

Die Meistersinger von Nürnberg

2011-12-24 14:59:49 | オペラ
Conductor: Antonio Pappano, Hans Sachs: Wolfgang Koch,
Walter von Stolzing: Simon O'Neill, Eva: Emma Bell
Sixtus Beckmesser: Peter Coleman-Wright, Veit Pogner: John Tomlinson
David: Toby Spence, Magdalene: Heather Shipp

どういうわけか今年はオペラとかコンサートのことはちっとも書かなかったようだ。映画はまだ点数だけでも書いておくことにしているのに。最近ますますレイジーになってしまっている。

今年の最後のオペラぐらいはなにか書いておくべき。ということでマイスタシンガー。なんと二回のインターバルを含めて6時間近くくもかかった。筋はたいしたこともないのに、よくこう延々と書くものだ。こう意味も無い、というか薄いものを延々と書くにはそうとう努力と才能が必要だったことだろう。これは私には初めてのもので、友人からオソロシイことを聞いていたので、まずリハーサルで試してみようということ。もう一回目のインターバルから周囲の観客たちの数が減っていくのがはっきりわかる。終わってみんなグッタリ。帰る時も、長すぎる、とのモンクがあちこちから聞こえる。私だったら、少なくても半分はちょん切るな。悪いけど主役たちもそんなに傑出していたわけではない。しかしあの長丁場を歌詞も忘れず歌っただけでも褒めるべきか。歌手たちは入れ替わり立ち代り歌うのだから、少しは休みもあるのだけれど、オーケストラが大変。みんな終わってホッとしたことだろう。指揮のパパーノはじめオーケストラはりっぱ。

歌手はたいしたことなかったし、4時間ぐらい歌もあまり起伏もなく、私など時々、というか、ほとんど、気絶状態のほうがおおかったかもしれない。しかし二回目のインターバルの後、突如として、四重奏だか、五重奏の歌がはいって、これが天国的に美しい。もうこれを聞くためにその前の4,5時間のマラソンをやったのではないかと思われるほどだ。しかしこのたった五分か十分のためにもう一度6時間の拷問を耐えることができるだろうか。あと数年あるいは十年ぐらいはケッコウといいたい。私はまだ椅子に座っていたからいいけれど、これで本番で立ち見だったら、死ぬかも。

あと特筆すべきは衣装。数百年前のヨーロッパにはああいう服がはやった時期があったのは知っていたけれど、あんなにでかいものを前にぶら下げて普段の生活をしていたのだろうか。いいたいことは男性の服の前のほうベルトの下あたりにぶら下がっている代物。主人公のものはなにか巨大なポテトみたいだったけれど、ほかの男性たちはもっと大きなものもあり、時には上のほうにとんがっているので、まるでサツマイモをぶら下げているみたい。俳優とか歌手とか演出家の命令でああいうものを着せられるのだろうけれど、見ているほうがハズカシクなってしまう。

同じ6時間でもトリスタンなど最初から最後まで天国の思いをさせてくれるけれど、これは天国的に美しい一瞬以外は数日できれいさぱり忘れてしまうことだろう。まだ私はワグナー初心者だと痛感した。


SEMELE

2010-07-12 06:57:15 | オペラ
Les Talens Lyriques
Christophe Rousset
Danielle de Niese
Peter Rose
Vivica Genaux
Stephen Wallace
Richard Croft

Danielleがりっぱすぎて、他、とくにCounter TenorのWallaceをくってしまっている。JupiterのCroftはまあまあ。父親のRoseがうまい。

一幕のドラムのところがすばらしい。

LA TRAVIATA

2010-05-17 17:45:49 | オペラ
Director:Richard Eyre
Conductor:Yves Abel
Violetta Valéry:Ermonela Jaho
Alfredo Germont:Saimir Pirgu
Giorgio Germont:Dmitri Hvorostovsky
Baron Douphol:Eddie Wade
Doctor Grenvil:Robert Lloyd
Flora Bervoix:Kai Rüütel§
Marquis D'Obigny:Changhan Lim
Gastone de Letorières:Robert Anthony Gardiner
Annina:Sarah Pring

毎度おなじみ、としかいえないLa Traviata。あまりにも何度もこのプロダクションをみたので、もうなにが起きるかとか覚えてしまった。もちろん歌手が毎回変わるので、それだけの変化だ。今回は主役二人は東欧のひとで、父親だけがおなじみのDmitoriさん。そして、やはりDmitoriだけが光ってしまう。主役二人は第一幕はあまり声がでず、二幕になってようやくやはり主役をはるだけのことはある、と思わせる。ところがDmitriさんは最初から安定してヴォリュームもあるしうまい。美声だし、姿形もいい、とやはり大スターだけのことはある。ただし、父親役にはちょっと若いかな。二幕目は彼がさらってしまった。

Violettaはいろいろな人で聞いたけれど、この人はなかなかいい。スタイルもいいし、ウエストがとても細い。ときどきポチャッとしたViolettaも見るけれど、あまり健康そうだと最後に死ぬのに現実味が薄くなってしまう。大体オペラのヒロインは最後に病気などで死ぬことが多いのだけれど、ここでいつも思いだすのがJane Eaglen。彼女は歌はいいんだけれど、とにかく体系がすごい。彼女がミミとかヴィオレッタとかやったら絶対信じられない。

Saimir Pirguも初めて聞く人だが、声はまあまあだけれど、演技がうまくないのか、真実味に欠ける。なにかまごごろが入っていない感じがするのだ。このことは父親のDmitoriさんにもいえることで、彼にしてはこんなのいつもやってることだ、ということでさらっと流してしまったようだ。

最初の前奏曲でおもったことは、もう少し優美に哀れにやってくれないものか、ということ。全体になにかやっつけ仕事という感じをもったのは私だけだろうか。舞台は毎度同じだが、賭博場でのシーンではテーブルの上に巨大な電気のカサみたいなのがつる下がっているのだけれど、ここを舞台の近くの天井桟敷で見たらどうなるのだろう。このカサしかみえないのではないかな。幸い主役二人はカサの前あたりで歌うからいいようなものの。とにかく舞台監督とか演出家はいったい天井桟敷などで見たことがあるのだろうか。この間のトリスタンの舞台もひどかったけれど、このトラヴィアタもひどいところがある。一幕目で客は舞台の両脇をさがっていくのだけれど、あれは一階席では全然見えないことだろう。最後の幕で巨大な鏡が右のほうにあって、今回はじめて気がついたが、ここに幻のように人影が現れる。これももし舞台の右の席だったら、全然見えないだろう。

このオペラは6月にはもう一度見ることになっている。次の主役はAngelaなので、期待している。

AIDA

2010-04-29 06:53:07 | オペラ
Conductor: Nicola Luisotti
Director: David McVicar
Aida: Micaela Carosi
Radames: Marcelo Álvarez
Amneris: Marianne Cornetti
Amonasro: Marco Vratogna
King of Egypt: Robert Lloyd

舞台監督がMcVicarなので、予想はしていたけれど、予想以上のエログロで、途中で帰ってしまった観客までいた。彼の舞台を最初に見たのはもう7,8年前のリゴレットだった。あれも相当過激だったけれど、2回目に見たときはなれてしまったのか、それに少し過激さが軽減されていたので、ちょっとがっかりしたくらいだった。今回はそれに懲りて、つまり過激さも中途半端ではつまらない、という調子てやってくれました。舞台は最初から最後まで薄暗く、ちょっと遠いとなんだかわからないんじゃなかったかな。エジプトに行った時はその空の明るさ、さんさんと照る太陽をうらやましいと思ったものんんなんだけれど。その中で半裸、というか全裸にちかい奴隷たちがのた打ち回って、血まみれ。アムネリスなんかまるで歌舞伎の隈取みたいな化粧で、あれではラダメスに言い寄っても彼は逃げ出すのはあたりまえ。その他神官たちもおどろおどろしく、これではまるでWarhammerの世界だ。もしかしたらMcVicarは隠れたWarhammerのコレクターだったりして。エジプトの王様にまつわりつく半獣半人みたいのがいて、四足で動き回るんだけれど、まるでロードオブザリングスのゴーレムだね。そういえばGames WorkshopにはLord of the Ringsの世界もあったっけ。興味のある人はgames workshopでものぞいてみてください。
どんな感じかというと:
  

第一幕の真ん中に工事現場みたいなのが立ってるのはリゴレットと同じで、舞台装置にはアイデアがつきたのかな。後半も暗いのは同じで、最後の幕には全体に四角の壁みたいのがあって、ピラミッドの中のつもり。

歌手はみな立派で、とくにアムネリスになるMarianne Cornettiがすばらしい。マルチェロさんは最初のアリアはあまりにもしょっぱなで期待はしていなかったし、そのとおりあまり声もでていなかったけれど、やはり進むに連れて美声もきかせてくれたし、この人は背もあるのでかなり様になってみえる。お腹のヘンは鎧を着ているときはちょっとはすっきりみえる。彼とその部下みたいのが日本の鎧みたいのを着て、日本刀みたいな刀を振りかざしてダンスをするところがあるけど、頭がチョンマゲににたようなものなので、まるで横綱の土俵入りだ。

アイーダは声も美しいし、りっぱだけれど、体系もりっぱ。こちらはそんなにおどろおどろしい化粧をしているわけではない。このオペラを見るたびに思うんだけれど、最後にアイーダがこっそりピラミッドに入ってこられたんだから、同じ道を通って逃げられないものなのか。まあヴェルディのオペラだから死人がでないと納まらないのだろう。アイーダのお父さん役も立派で、すばらしい美声をきかせてくれた。ちょっと若々しいのが難だったけれど。

おしまいになってやっとカーテンコールになり照明もあかるくなったので、登場人物のオドロオドロシイ衣装、化粧をはっきりみることが出来た。歌手たちには観客もブラボーの大嵐だったけれど、この日が初日だったこともあり、舞台監督とか演出なんかが出てきたときにはものすごいブーの嵐だった。どうもこのオペラもあとになって話題になるのは歌手たちより舞台のほうが多いことだろう。けっして悪くはなかったけれど。皇太子のチャールズと奥さんのカミラも来ていて、ホールでは晩餐会をやるらしいかった。そこらじゅうに警察官が目についた日だった。


TAMERLANO

2010-03-11 22:56:16 | オペラ
Conductor:Ivor Bolton
Tamerlano: Christianne Stotijn
Andronico: Sara Mingardo
Bajazet: Kurt Streit
Asteria: Sarah Fox
Irene: Renata Pokupic
Leone: Vito Priante

ドミンゴが出るはずが急病でStreitに代わった。彼の歌は前のGamblerできいたときには悪くはないと思ったけれど、今回はそんなにいいとは思えなかった。私が行った回は終リハーサル。そのおかげかなにか皆まだ出来上がっていないような気がする。ヘンデルはとても好きな作曲家なので逃さずいくことにしている。今回もたしかに美しい旋律がつぎつぎとでてくるのだが、いくらなんでも二回のインターバルをはさんで4時間半は長すぎる。特に二幕目は筋らしきものはなく、私だった全部けずってしまう。それでも三幕目によく知っているアリアがでてきた。しかし歌手たちが一幕目より良くなったかといくと、たして代わりはない。

舞台装置は球形と円を使って、色も白黒がおもでシンプルでよろしい。この間のMETのSimonの演出家などこういうのを勉強してもらいたい、などと思ったほどだ。それでも長すぎるのは隠せない。

GAMBLER

2010-03-10 09:02:46 | オペラ
Composer Sergey Prokofiev
Director Richard Jones
Set Designer Antony McDonald
Costume designs Nicky Gillibrand
Conductor Antonio Pappano
Alexei Roberto Saccà
Polina Angela Denoke
General John Tomlinson
Blanche Jurgita Adamonyte
Marquis Kurt Streit
Mr Astley Mark Stone
Babulenka Susan Bickley
Prince Nilsky John Easterlin
プロコフィエフの作曲というからにはロミオとジュリエットを想像してきれいなメロディが出てくるのかと思ったら、まったく期待はずれ。歌手はそれぞれよかったにもかかわらず、もう一度見たいかといえば、これはノーサンキュですね。興味は次のオペラ Temerlanoにドミンゴの代わりにでてくるStreitだ。このオペラのなかではテナーは二人でてくるが、そのなかではStreitはましかな。はやりTomlinsonはなにをやらせてもりっぱ。感想はそれだけ。
ずいぶん歌手が沢山出るわりに切符はたったの5ポンド!

LUCHIA DI LAMMERMOOR ENO

2010-02-11 05:25:55 | オペラ
Lucia Anna Christy
Edgardo (Barry Banks)Jaewoo Kim
Enrico Brian Mulligan
Raimondo Clive Bayley
Alisa Sarah Prin
Arturo Dwayne Jones
Conductor Antony Walker
Director David Alden
Set Designer Charles Edward
実のところその前に見たドミンゴのオペラよりこれのほうがずっと良かった。時代がヴィクトリア朝で、Edgardoはどうしたことかキルトを着ている。この日はBanksが調子が悪くてKimというたぶん韓国人のテナーで、ちょっと弱めではあるが、歌はなかなかいい。どういうわけか無精ひげ、長髪でなにかきたならしい。もっともどこかでBanksの写真をみたが、これもみすぼらしくてどうもKimさんのせいではないようだ。

LuciaになるAnnaさんはまだ幼さの残る少女、という設定で、小柄でかわいらしいのでぴったりだ。歌はちょっとはかなげで弱いところもあるけれど、まあよろしい。一番印象強かったのがLuciaの兄のBrian Mulligan。彼は落ちぶれた家の復興のため妹を売るという設定で、それにもかかわらず妹に肉体的に惹かれている、という複雑な役をとてもうまくこなしている。最後の幕でEdgardoを自殺に追い込むのだけれど、あまりにも憎たらしく、私など、「Edogardo、自殺する前にEnricoを殺してしまえ!」と叫びたかったくらい。

舞台装置は落ちぶれた貴族の家、ということで、壁紙などが剝がれかかっている。いくつかの場面は壁に大きな窓があって、その後ろにコーラスの人たちがいるが、何人かの登場人物が窓をまたいで部屋に出たり入ったり。この意味がよくわからない。Edogardoの家も落ちぶれていて、嵐にあうと天井の電気が激しく揺れ動く。といってもENOのことだからあまり凝ってはいず、この間のMETに比べれば簡素なものだ。この間のROHのモーツアルトなど今回のLuciaよりもっとなにもなかった。あれでは舞台装置の経費はゼロに近かっただろう。私としてはゴチャゴチャしすぎていたMETよりこちらのほうがずっと好感がもてた。

このオペラは去年Netrebko、METで見た覚えがある。あれではAnnaがあまりに記憶に残る熱演で、Edgardoなど全く覚えていないくらいだった。今回最後のほうでEdgardoが歌う私の好きなアリアがあるが、METのバージョンでは全く覚えていない。もしかしたら割愛していたのかもしれない。こんどテレビで放映したら取って置くことにしよう。最近このMET LIVEが次々にテレビで放送されているのだ。今回のENOのLuciaはMETとはまるで違うオペラのようだ。両方ともすばらしい。


SHIMON BOCCANEGRA

2010-02-10 05:25:18 | オペラ
Conductor: James Levine
Amelia: Adrianne Pieczonka
Gabriele: Marcello Giordani
Simon: Placido Domingo
Jacopo: James Morris
Paolo: Nicola Alaimo
久しぶりでMET LIVEを見た。このBoccanegraはこの夏にDomingoでROHでやるのでその予習みたいなものだ。どうもAmeliaも同じ歌手のようだ。このオペラはROHとかで過去数回見ているのだが、いつも思うことはヴェルディの有名なオペラのわりにちっとも面白くない。もちろん主人公が死んでしまうのはいつものことだが、記憶に残るようなアリアも無い。ドミンゴは今回はバリトンの役をやっている。彼は歌手としてはバリトンで始めたので、元に戻ったということか。たしかにバリトンでもうまいのだけれど、彼の声はすこし金属がかっているので、やはりテナーのほうがいいのではないかな。歳としてはテナーは若い役が多いので、もう70近い彼は外見からはむりなのかもしれない。とくにこうして映画になってしまうと大写しが多く、歳をかくせない。それでも数年前にROHでワルキューレを見たときは若い役でも全く違和感は無かった。私はその時そうとう舞台に近い席だったのだが、映画での大写しとは違って細かいところまで見えたわけではない。

今回の役は最初は25年前ということで、少しひげに色など着けて若づくりででてきた。幕間のインタビューで後のほうでは自分の歳に近い役をやっている、などといっているが、そうすると25年前とは40ぐらいのことを言っているのかな。恋人の父親が重要な役で出てくるがこれがドミンゴとほとんど変わりなく見える。この人はたぶん二十歳くらいの時娘が産まれたんだろう。

アメリア役のPieczonkaはうまいのだけれど、見かけがあまりにフツーの人で魅力にかける。GirdaniはMETで見るたびに出てくるひとで、歌はたしかにうまいけれど、こちらも見かけの魅力はあまりない。

ということで本番のオペラそのものより、幕間の舞台装置を変えているところなんかのオマケのほうが面白かった。METの舞台は相当広く、そこで働いている大工さんたちが大勢でてくる。みんなでかなづちでトントンと床などを敷いているのだが、終わるとあの釘はぬくのだろうか、などと余計な心配をしてしまった。大勢いるわりにのんびりやっているので、あれで間に合うのだろうかとかも思ってしまう。幕が開くとちゃんとできているので安心したが、舞台が広いだけにあまりに凝りすぎて、ごちゃごちゃしている。ああして大勢雇っているからには使ってあげなければ、とがんばったのだろうか。もう少しすっきりした舞台にできないものだろうか。

というわけで立派な舞台の割には私の記憶と心に残るものではなかった。

COSI FAN TUTTE

2010-01-28 18:47:16 | オペラ
Conductor Julia Jones
Ferrando Charles Castronovo
Guglielmo Troy Cook
Don Alfonso William Shimell
Fiordiligi Sally Matthews
Dorabella Nino Surguladze
Despina Helene Schneiderman

今回ROHの会員になってからはじめてリハーサルにいった。朝の十時半始まり、ということで十時ごろいったら入り口は黒山(?)のひとだかり。本当は観客のほとんどは暇なジイサン、バアサンで白山のひとだかり、というほうがあっている。リハーサルというのはもうここ数年いっていなかったので、私にはものめずらしい。

売り出しのころホリデイにいっていたので、時期をのがし、席は右の天井桟敷。といっても私はいつも天井桟敷だから、なんのことはない。下を見るとオーケストラストールの前のほうはやはり関係者とかカメラマンとかが占めている。座席を見回してみると、席は満員ではなく、二階席などポツポツ開いている。目の前の左側の天井桟敷も少しあいている。ここら辺は4ポンドなので、下のいい席などいくらぐらいするのだろう。こんど試してみよう。

次の期のリハーサルの売り出しは二週間ほど前だったが、その時初めて気がついたことに、会員になってもひとつの期にリハーサルは一枚しか買えないのだ。私はうっかり前はひとつのリハーサルにつき一枚買えるのかと思っていた。もちろんあとになって余っていたら買う機会はあるのだけれど、ちょっとROHもケチじゃないかな。

舞台を見ると真ん中から左のほうにかけて三角形に張り出している。そこのテーブルと椅子がいくつか。左の舞台に一番近い席がいくつか取り払われていてそこにもテーブルと椅子がある。演出が一方に偏ったものはこの間のトリスタンでヘイコウしたので、今回もそうだったら、もしかしたら右に座ったのは運がよかったのかと思ったら、今回は平均的に左右真ん中どの座席でも不公平なくやってくれてよろしい。ただし左側にすわると例の奥まったテーブからオジサンがぴょいと飛び出てくるところはみえなかったろう。私たちの真下のあたりにはソファがあって、その上でも演技したとのことだが、私たちは見えなかった。椅子とかソファのほかは舞台は簡素で衣装は21世紀風。テレビの番組でマッチョのオジサンたちが車を作り直す番組がある(LA Chopper?)。彼らの衣装がいつも白のベストに黒の皮ジャンというもので、体中にあるイレズミを見せびらかしているのだが、このオペラの二人の若者の衣装がそれ。長髪にバンダナ。まあ話の筋はいつの世でもいいということでこう現代風になったのだろう。

歌手はみなうまいし、それよりカッコイイ。女性たちもすらっとして遠目には美人ぞろいだ。そのなかでもとびぬけているのがSally Matthews。彼女は最初から声量がすごい。うまいし、スタイルもよし、いうことなし。歌手たちにモンクはまったくないが、前半は楽しんでいたのだが、後半になってあきてきてしまった。どうも筋がたわいなさすぎる。もちろん含まれた意味があるとかかんぐればいいんだろうけれど、そこまで深く考えるのもいやになってしまう。もちろんメロディーはきれいだし、いいんだけれど、やはりわたしにはモーツアルトのコメディはいけない。私はオペラならもう少しどっしりしたひとがゴロゴロ死ぬヴェルディのほうがあっている。

というわけで、もう一度本番を見に行きたいというほどではなかった。

I PURITANI

2009-11-10 20:09:37 | オペラ
Conductor: Michele Mariotti
Gualtiero Valton: Ugo Guagliardo
Giorgio: Ildebrando D'Arcangelo
Arturo: Juan Diego Florez
Riccardo: Gabriele Viviani
Elvira: Nino Machaidze
この間のForzaがあまり良くなかったのにくらべて、今回のBolognaからのI Puritaniは大満足のオペラだった。これは今年の1月に演じられたもので、とたも新しい。歌手もみな良かったが、最初に気がつくことはカメラワークだ。最初の前奏の時からこの斬新なカメラワークがはじまる。はじまりは普通だと思ったら、すぐにカメラがオケの正面からぐっと上に上がって、なんとオケの真上まで来てしまう。そのほか上演中もカメラは縦横に行き来して、時には舞台の後ろから正面を見るアングルになる。いったいカメラはどこのあるのだろう。例のクレーンみたいなものにカメラがついているものだと観客が見るのに邪魔になるだろうに。気をつけてカメラの位置を見つけようとしても分らなかった。映像はとてもきれいでいつもだと大写しが多すぎていやみなのだけれど今回は大写しは控えめでよろしい。

このベリーニのオペラは私はアリアをひとつ知っているだけで全く初めてのものだ。筋は相変わらずひどい。イギリスの清教徒革命のころの政争に巻き込まれた二人の恋人たちの話。かれらの周りには叔父、恋敵、流浪の女王とかがいて、ずいぶん長々しオペラだ。とにかく全編アリアの連続、というようにそれぞれの人物が長々と歌い上げる。メロディはヴェルディのようにリズム感はなく、朗々と流れるようにメロディが切れ目無く続き、ちょっと催眠術風。なるほどヴィクトリア女王がベリーニが大好きだったのもわかる。きっと19世紀前半のTake Thatみたいなものではないかな。イタリアオペラにしては珍しくハッピーエンドで終わる。そういえば同じ作曲家の「夢遊病の女」もハッピーエンドだった。

歌手はみなすばらしい。主役のテノールは夢遊病でROHできいたフアンさん。もちろん絶好調で、この人のいいところはみかけもなかなかなことだろう。ずいぶん若々しく見えたがあのふさふさした髪の毛は鬘だろう。相手役のMachaidzeはずいぶん若々しいと思って後で調べて見たらまだ25か6。若い娘の役を本当に若い女性がやってくれるのはいいものだ。大写しでもしわひとつ無いかわいい顔をしている。そんなに美人というのではないし、ちょっと小柄だがふとっていないのがよろしい。ちょっとアンジェリーナ ジョリーもどき。歌も力のある声でなかなかのものだ。最後の幕での二重唱の後では拍手が10分ぐらいも鳴り止まなかったほとだ。ただしたまの大写しで気が付いたが、この人下あごの歯並びが悪い。今後大スターになるからにはいまのうちに歯の矯正をしていたほうがいいだろう。

その他めについたのはD'Arcangelo。この間カルメンでエスカミリオできいたが、これもなかなかよろしい。もう少したって歌いこめば深みもでて、ヨーロッパのトマス ハンプソンといったところかな。

とてもよかったのだけれど、前のほうに座ったせいもあって、音が大きすぎて耳がいたくなった。インターバルでずいぶんのひとが文句をいったせいか後半は少しましになった。もっとも数ヶ月前のフアンさんのリサイタルではナマでも彼は耳が痛くなるほどの大声だった。最近METの生中継をCineworldでやらなくなってしまい、ロンドンの中心地での上映はあまりにも高いので今期はまだ見ていない。しかし少し前のものでもこうして映画館でみせてくれるのはいいことだ。オペラでけではなくポップ、ロックのコンサートもやってくれるといいのだが。映画館でのコンサートはストーンズとU2しか行った覚えが無い。このあいだのMJも一種のコンサート映画だったけれど。


LA FORZA DEL DESTINO

2009-11-10 20:07:10 | オペラ
Conductor: Zubin Mehta
Leonora: Violeta Urmana
Alvaro: Marcello Giordani
Carlos: Carlo Guelfi

昨日I Puritaniを見たのだが、二週間前にみたForzaのことをかかなかったのを思い出した。すぐ書く気にならなかったのはあまり良くなかったせいでもあるが、一応覚えていることだけ書いておこう。このオペラは私は前にみたことがあるけれどいつも思うことは筋がひどいということ。ヴェルディのオペラ、というかどのオペラの筋もひどいものだが、これはことさら腹立たしいまでひどい。最初のところで偶然Leonaraの父親をAlvaroが殺してしまうのもひどいが、最後のほうで5年も洞窟で仙人生活をしていた女性がまだ若く美しいなんて信じられない。もっともこの映画でのLeonaraはUrmanaで最初からちっとも美のかけらもないんだけれど。相手役のGiordaniも中年のコロっとしたおっさん風。Urmanaはそれでも歌はすばらしかったんだけれど、Giordaniは調子が悪かったらしく、歌もひどい。彼は前数回きいたことがあるが、なかなか歌はよかったのに、今回はひどい。

もうひとつ言いたい事は、映画の編集がひどい。これは2007年の11月に撮影されたとのことでその時に見せたそのままを使ったのだろう。最初のほうでなにもなく、ただ観衆がざわざわしている、という画面が長々とつづく。これは途中にも数回あって、2年もあったのだからだれかがここら辺をちょん切るのは簡単だったろうに。

ということで、あまり満足できたオペラ映画ではなかった。

HANDEL SUSANNA

2009-10-26 08:29:54 | オペラ
Les Arts Florissants
William Christie conductor
Sophie Karthauser Susanna
Max Emmanuel Cencic Joacim
Paul Gay Chelsias
William Burden First Elder
Alan Ewing Second Elder
David DQ Lee Daniel

これはオペラというよりオラトリオなんだそうだ。ということはこの話は聖書に基づくものなのか。スザンナという若妻があまりにも美しいため、二人の年寄りが懸想し、彼女はこの二人と浮気したことになってしまう。夫は出張で遠くに行ってしまっていて、彼女は裁判で浮気のため死刑を言い渡されてしまう。ここら辺はキリスト教ではなく、イスラム教なら今日でもありそうなことだ。キリスト教とイスラム教は教義の差が激しく、信仰厚い人たちはそのため戦争にまで発展してしまっているのに、風俗習慣などはよくにかよっているのはどうしたものだろう。先月行った南キプロスはキリスト教の国なのに、みやげ物はエジプトと全く同じ、なんてこともある。キリスト教の総本山に行った時も、肩や膝をだしてはいけないと夏姿のひとには全身を覆う服を貸し出していた。エジプトのモスクとそっくり同じではないか。

宗教のことはさておき、音楽としてはこの二週間前にみた同じオケでのパーセルよりよほどききがいがあった。ヘンデルのオラトリオとオペラのなかでも一番知られていないものだそうだが、そこはさすがヘンデル、全体にすがらしく美しいアリアの連続。歌手もみなうまいが、その仲でも目立ったのは韓国人のカウンターテナーDQだ。美声だしうまい。それに自信たっぷりの舞台で感心した。しかしあまりに自信たっぷりなので少しハナにつくとはいえる。つまり周囲から浮き上がってしまっている。それではどうしたらいいか、わたしにはなんともいえない。DQの役はDanielという若者で、まるでソロモンみたいに知恵でスザンナを助ける役だ。あまりに立派な歌唱でとても少年とは言いがたい。しかしながら将来スターになる可能性は大だ。

TRISTAN UND ISOLDE

2009-10-17 17:09:53 | オペラ
Conductor : Antonio Pappano
Tristan : Ben Heppner,Lars Cleveman
King Marke : Matti Salminen
Isolde : Nina Stemme
Kurwenal : Michael Volle
Brangäne : Sophie Koch

驚きの連続のオペラだった。まずROHから電話があって、あなたの席からはほとんど見えませんがイヤならお金を返します、とのこと。歌だけきこえればいいや、それにのりだせば舞台の4分の3は見える席なのだから。と思っていったら、90%は見えなかった。舞台の左側に壁があって、ほとんどのアクションはその前で起こっているらしい。とにかく見えない。それにみんな左側でやる必然性が全くない。これは左側の席全部にいえることで、ストールで180ポンドも出しても同じことだったろう。それとも金持ちは鷹揚なもので、おこりもしないのだろうか。

次は主役のヘプナーが急に声が出なくなって代役を起用するとのこと。ヘプナーは過去何回もみているし、中年のデブなことは知っているので、むしろ代役は幸いと思っていた。そうしたら代役のClevemanというひとがあまりに急で、トリスタンはやったことはあっても音符を見ながら歌わなければならない。そこで演技は声の出ないヘプナーがやったのだ。それも私たちには死角になる左側でうたったので、よく聞こえない。なかなかよかったとは思うけれど、ここは左側の客へのサービスに右側で歌ってくれたらよかったのに。3幕だけトリスタンが死にかけるところで、デブがカーテンを押しのけて巨体をゴロゴロころがすところはよく見えた。カーテンコールには本を手にしたClevemanがでてきて、ハゲの男だったけれど、デブではなく、鬘でもつければいいトリスタンになったろうに。ジェームズ フランコとまでは要求しないから。そういえばフランコはEmpireマガジンのセクシーな50人の一人に選ばれていた。前はそんなにいいとも思わなかったけれど、Pinapple Expressで見直したものだ。

舞台は前後に分かれていて前にはなにもない。うしろにはいくつかテーブルと椅子があり、脇役たちはそこにすわったり、たったりしている。前後のあいだにはカーテンがある、これがほとんどは閉まっている。ときどき左右がちょっと開いて後ろがチラっと見えるというもの。服装は現代風で、男たちはほとんど黒い背広ネクタイすがた。王様だけ白い背広、とまるでマフィアみたいだ。最後のほうで皆血をながして死んでいくのでまるでギャング映画みたいだった。端役にはかなり見かけのいい男もいたので、この一人をヘプナーのかわりにトリスタンにしてもいいんじゃなかったかな。全体の演出は知ってるだろうから口パクでもかなり演技できるだろうに。

イゾルデのStemmeはとてもいい。ただし最初白いロングドレスで出てきて、一幕目に黒いジミなドレスになってしまうのだけれど、どうしてなのかな。彼女は最初から相当の声量もあり、とてもいいイゾルデになった。最後のアリアもとてもすばらしいんだけれど、あれで死んだんでしょうね。なにも見えなかったが、この時こそなにも舞台の左脇で歌うことはなかったろうに。最後ぐらい真ん中で歌ってみたかったろう。その他ブランゲーネもKurwenalもとてもよかった。歌手たちはヘプナーのほかはみんなすばらしかったのに、演出は最低とはいえる。これでこのプロダクションをまた再演するようなことがあったら、観客は争って右側だけ満席になることだろう。

  
左から3番目がヘプナー、右から4番目が代役のCleveman  右はジミなイゾルデ。この写真からもわかるように、かなり見える席だったのだ。これで見えないところだけで皆さん歌っていたのだからあきれる。


映画としてはつまらなかったけれど、みかけだけはよろしいトリスタン。いっそのことこの三人で演技をして歌はいい歌手に歌ってもらって映画をつくったらどうだろう。もっともマルケ王になったRufus Sewellのほうがフランコよりとてもよかったので、私がイゾルデだったらボンクラなトリスタンなんか捨てて王様とハッピーエンド、ということになったことだろう。

DON CARLO

2009-10-07 06:55:44 | オペラ
DON CARLO: JONAS KAUFMANN
ELIZABETH: MARINA POPLAVSKAYA
RODRIGO: SIMON KEENLYSIDE
PHILIP: FERRUCCIO FURLANETTO
GRAND INQUISITOR: JOHN TOMLINSON
EBOLI: MARIANNE CORNETTI
二週間前に見て次の日にホリデイに行ってしまったので、うろ覚え。カウフマンは数ヶ月前トスカを見たが、全くよろしくなかった。この日も最初のアリアが全くふにゃふにゃで、観客はあきれてポカンとしてしまったようで、拍手も一切なし。この後どうなるのかと思ったら、二幕めからは少しましになって、最後の方ではまあまあ、ぐらいの線にはいっていたか。しかしこれではこまる。このプロダクションは去年ヴィラゾンで二回も見ているが、見かけはカウフマン、歌はヴィラゾンかな。カウフマンというの声はちょっと暗めで、あまり特徴のあるものではない。だから私には目隠しで聞いてみたら、きっとだれかちょっといい声のテナーというにすぎない。今後に期待しよう。

あと記憶にのこるのはフィリップになったFurlanetto。この人は立派だ。声もいいし、うまい。Tomlinsonは相変わらずりっぱ。サイモンはいいんだけれど、FurlanettoとかTomlinsonの存在が大きすぎるのか、背が低いからだろうが、小粒にみえてしまう。EboliになったのはCornettiというひとで、ちょっと太めのオバサン風。これで自分の美貌を嘆くのだから、悲劇が喜劇になってしまう。

普段は両横の天井桟敷専門の私だが、どういうわけかこの日はアンフィシアターとはいえ前のほうで、お値段もずいぶんした。売り出しの日にうまくいかず、サイトに入れた時にはもう安めの席は全部売り切れだったのだ。しかしやはり少しは高いだけあって、舞台はよく見えた。