後で考えます

多分映画の話題。でも映画好きで、これから見たい方は読まないほうがいいです。

2012

2009-11-14 04:55:05 | 映画
Director: Roland Emmerich
Starring: John Cusack, Danny Glover, Thandie Newton, Woody Harrelson, Chiwetel Ejoifor, Amanda Peet, Oliver Platt
13日の金曜日にこの大デザスターフィルムを見てきた。太陽から中性子が飛んできて地球の中がだんだん熱くなり、2012年にはそれが大爆発して地球は大災害に見舞われる、というもの。数年前からその結果が分っていたらあなたはなにをする?どうやって地球上の生命を災害後の世界が落ち着くまで生き延びさせるか、というのがこの映画の筋。

いままで見てきたデザスター映画の総集編というところ。筋的には豪華船がまっさかさまになるポセイドンと似ている。最後の方でヒーローが水の中で活躍するので、ポセイドンを思い出したのだ。元々の筋より最初から最後まで地球がどうして破壊されるかをCGで見せるのが主題だ。これは良くできている、というより描かれているといったほうがよさそうで、全部CGなのはみえみえだが、なかなかの迫力で飽きない。しかしこれではこの映画は人物だけホンモノの俳優でその他はつまりアニメーションということか。もう映画の世界では実写とアニメの境などなくなっているのだろう。

この監督はよくよくデザスターが好きらしく、私はIndependence Dayからみんなみているけれど、Godzilla、Day After Tomorrow、10000BCとみんな傾向が似ている。IDはましだったが、DATなどは見ていて腹が立ってきた。あれはまたぞろ地球的災害が起きているのにたった二人だけの物語になってしまって、規模がやけにちいさかった。今回はそれにこりて群像劇となっている。中心人物はキューサックの作家で、彼があらゆる危機を乗り越え、分かれた妻と子供たちを助けるというもの。彼の車だけ地割れ、崩壊するビルなんかをよけて逃げ回る。飛行場でも追いかけてくる地震を危機一髪で逃れ、上空からこれでもかと地球壊滅を見せてくれる。

もう一人の人物はイギリス俳優のEjoifor。彼が生命存続の中心となる科学者になる。私は彼がかなり好きなので、久しぶりに彼を見られてちょっと満足。その他ロシアの大金持ちだのチベットの僧、アメリカの大統領とその娘などが入り乱れて逃げ回る。もちろんほとんどの人たちは死んでしまう。

これが本当だったらきっと私もその他大勢のうちで死んでしまうのだろう。今年の冬は去年に比べてやけに暖かいので、もしかしたらこの話は本当なのかもしれない。しかしこの映画の中では地球の危機は人間のもたらしたものではなく、自然災害ということになっている。災害の描写はうまいことできているのに、人間の世界の話のほうはいままで見てきたデザスター映画とほとんど同じ。この映画のトレイラーですごいところは見てしまったのであまりおどろくことは無かったけれど、よくここまでやる、と感心するぐらい壊しまくっている。

ひとつ気になったのは、これは何月におきたことなのだろう、ということ、秋が冬だとすると、キューサックがあんなに長い間水につかっていたら凍えしんでしまうだろうに、と余計なことを考えてしまった。

まあ大スペクタクルを見るという点ではよく出来ている。75点。

A CHRISTMAS CAROL 3D

2009-11-14 04:54:10 | 映画
Director: Robert Zemeckis
Starring: Colin Firth, Jim Carrey, Gary Oldman, Robin Wright Penn

またまた3Dアニメーション。Zemeckisは最近は3Dしか作らないのだそうだ。3Dもアニメの最初の作品が彼のBeowulfだった。これは途中ちっとだけ顔(というか体)をだすアンジェリーナが印象的でなかなかのできだった。今回はディキンズのクリスマスキャロル。クリスマスにはちょっと早いんじゃないかな。あと一ヶ月ぐらいあとで公開したらよかったのに。期待したわりにはつまらなく途中で眠くなってしまった。幽霊の出るところなどあまりこわくない。それより最初の19世紀のロンドンの風景に力がはいっているみたいだ。ここで興味深かったのは場所が今のシティで、Bank of EnglandとかSt Paulとかよく知っているところが出てきた。スクルージのオフィスもたぶんギルドホールのあたりみたい。ちょっとヘンとおもったのが、彼のオフィスを出るとちょっと坂道になっていて道が凍ってスケートみたいに滑り降りるところだ。ところがシティというのはまっ平らでこんな坂道はない。

人物は声をやっている俳優に程よく似ているが、ジム キャリーのスクルージはホンモノよりとしを食っていて意地悪そう。あまりにリアルだとどうしてアニメにしなければならないのか疑問だ。全体にどす黒い灰色がかっていて、この間のUpの色鮮やかさと対照的だ。原作も前によんだことがあるが、台詞なんかは原作に忠実みたいだ。ただ原作が短編なのに必要もない画面を取り入れて長編映画にしてしまったので、間延びして私にはあまり面白くなかった。甥になるのがコリン ファースでよく似ているが、ちょっと若作りになっている。これもあまり幼い子供向けとはいえないアニメ。65点。

I PURITANI

2009-11-10 20:09:37 | オペラ
Conductor: Michele Mariotti
Gualtiero Valton: Ugo Guagliardo
Giorgio: Ildebrando D'Arcangelo
Arturo: Juan Diego Florez
Riccardo: Gabriele Viviani
Elvira: Nino Machaidze
この間のForzaがあまり良くなかったのにくらべて、今回のBolognaからのI Puritaniは大満足のオペラだった。これは今年の1月に演じられたもので、とたも新しい。歌手もみな良かったが、最初に気がつくことはカメラワークだ。最初の前奏の時からこの斬新なカメラワークがはじまる。はじまりは普通だと思ったら、すぐにカメラがオケの正面からぐっと上に上がって、なんとオケの真上まで来てしまう。そのほか上演中もカメラは縦横に行き来して、時には舞台の後ろから正面を見るアングルになる。いったいカメラはどこのあるのだろう。例のクレーンみたいなものにカメラがついているものだと観客が見るのに邪魔になるだろうに。気をつけてカメラの位置を見つけようとしても分らなかった。映像はとてもきれいでいつもだと大写しが多すぎていやみなのだけれど今回は大写しは控えめでよろしい。

このベリーニのオペラは私はアリアをひとつ知っているだけで全く初めてのものだ。筋は相変わらずひどい。イギリスの清教徒革命のころの政争に巻き込まれた二人の恋人たちの話。かれらの周りには叔父、恋敵、流浪の女王とかがいて、ずいぶん長々しオペラだ。とにかく全編アリアの連続、というようにそれぞれの人物が長々と歌い上げる。メロディはヴェルディのようにリズム感はなく、朗々と流れるようにメロディが切れ目無く続き、ちょっと催眠術風。なるほどヴィクトリア女王がベリーニが大好きだったのもわかる。きっと19世紀前半のTake Thatみたいなものではないかな。イタリアオペラにしては珍しくハッピーエンドで終わる。そういえば同じ作曲家の「夢遊病の女」もハッピーエンドだった。

歌手はみなすばらしい。主役のテノールは夢遊病でROHできいたフアンさん。もちろん絶好調で、この人のいいところはみかけもなかなかなことだろう。ずいぶん若々しく見えたがあのふさふさした髪の毛は鬘だろう。相手役のMachaidzeはずいぶん若々しいと思って後で調べて見たらまだ25か6。若い娘の役を本当に若い女性がやってくれるのはいいものだ。大写しでもしわひとつ無いかわいい顔をしている。そんなに美人というのではないし、ちょっと小柄だがふとっていないのがよろしい。ちょっとアンジェリーナ ジョリーもどき。歌も力のある声でなかなかのものだ。最後の幕での二重唱の後では拍手が10分ぐらいも鳴り止まなかったほとだ。ただしたまの大写しで気が付いたが、この人下あごの歯並びが悪い。今後大スターになるからにはいまのうちに歯の矯正をしていたほうがいいだろう。

その他めについたのはD'Arcangelo。この間カルメンでエスカミリオできいたが、これもなかなかよろしい。もう少したって歌いこめば深みもでて、ヨーロッパのトマス ハンプソンといったところかな。

とてもよかったのだけれど、前のほうに座ったせいもあって、音が大きすぎて耳がいたくなった。インターバルでずいぶんのひとが文句をいったせいか後半は少しましになった。もっとも数ヶ月前のフアンさんのリサイタルではナマでも彼は耳が痛くなるほどの大声だった。最近METの生中継をCineworldでやらなくなってしまい、ロンドンの中心地での上映はあまりにも高いので今期はまだ見ていない。しかし少し前のものでもこうして映画館でみせてくれるのはいいことだ。オペラでけではなくポップ、ロックのコンサートもやってくれるといいのだが。映画館でのコンサートはストーンズとU2しか行った覚えが無い。このあいだのMJも一種のコンサート映画だったけれど。


LA FORZA DEL DESTINO

2009-11-10 20:07:10 | オペラ
Conductor: Zubin Mehta
Leonora: Violeta Urmana
Alvaro: Marcello Giordani
Carlos: Carlo Guelfi

昨日I Puritaniを見たのだが、二週間前にみたForzaのことをかかなかったのを思い出した。すぐ書く気にならなかったのはあまり良くなかったせいでもあるが、一応覚えていることだけ書いておこう。このオペラは私は前にみたことがあるけれどいつも思うことは筋がひどいということ。ヴェルディのオペラ、というかどのオペラの筋もひどいものだが、これはことさら腹立たしいまでひどい。最初のところで偶然Leonaraの父親をAlvaroが殺してしまうのもひどいが、最後のほうで5年も洞窟で仙人生活をしていた女性がまだ若く美しいなんて信じられない。もっともこの映画でのLeonaraはUrmanaで最初からちっとも美のかけらもないんだけれど。相手役のGiordaniも中年のコロっとしたおっさん風。Urmanaはそれでも歌はすばらしかったんだけれど、Giordaniは調子が悪かったらしく、歌もひどい。彼は前数回きいたことがあるが、なかなか歌はよかったのに、今回はひどい。

もうひとつ言いたい事は、映画の編集がひどい。これは2007年の11月に撮影されたとのことでその時に見せたそのままを使ったのだろう。最初のほうでなにもなく、ただ観衆がざわざわしている、という画面が長々とつづく。これは途中にも数回あって、2年もあったのだからだれかがここら辺をちょん切るのは簡単だったろうに。

ということで、あまり満足できたオペラ映画ではなかった。

MICHAEL JACKSON'S THIS IS IT

2009-11-05 08:12:16 | 映画
Director: Kenny Ortega
Starring: Michael Jackson
私はマイケル ジャクソンのファンでは全く無い。それでも彼の数々の奇行のニュースは読んでるし、歌も聴いたことはある。もちろん彼の死のニュースも新聞ではずいぶん読んだ。彼がO2で50回ものコンサートをやるとのニュースをきいて、だいじょうぶかな?と不安に思ったことはたしかだ。それに10年以上も舞台から遠ざかっていて、りっぱな舞台が出来るはずはない、と思っていたことは確かだ。これはほとんどの人が思っていたことなのだろう。たぶん無事にコンサート開催にこぎつけても、私は行かなかったことだろう。それなのに、彼の死のニュースのあとこの映画を見に行ったのは、野次馬根性以外なにものでもなかった。しかしながら、この映画を見て、私の考えは大いに変わった。

たぶん映画作りのうまさにだまされたのだろうけれど、マイケル ジャクソンというエンタテイナーを見直したのは確かだ。この映画ではO2でのコンサートのためのリハーサルとか共演者とのインタビュー、ときにはジャクソン一家のむかしの映像とかを組み合わせて、もしO2コンサートが実現していたらどうんなものになったかを想像できるようにしている。舞台装置も設計、コンピューター上での再現を見せてくれる。私は近年はロックコンサートにはほとんどいっていない。この数年でもせいぜいローリングストーンズとかREMぐらいしかナマのコンサートに行っていない。もちろんこれらはロック界の大物で舞台も凝ったものだったのだが、たぶんマイケル ジャクソンの舞台もこれらに負けないものになっていたに違いない。

マイケルはもちろん練習ということで、本気で歌ったり踊ったりしている場面は多くはないけれど、それでも彼が彼の能力をいっぱいにだしたらどんなにすばらしい舞台になったかは容易に想像できる。そしていままでしらなかった彼の周囲に対する態度もよくでている。もちろん編集してそういう場面ばかりとったのだろうが、彼の周りの人たちへのいたわり、暖かみなどが本当に画面から伝わってくる様だ。共演者ももちろん一流をそろえたのだろうが、その中でもボーカルの女性歌手と女性ギタリストがすばらしい。彼女の名前がちょっと変わっていてOrianthi Panagaris というオーストラリア生まれのギリシャ系の人だ。

マイケル ジャクソンを見直したことはたしかだが、それより私の中のロックファンをまた目覚めさせたのも確かだ。なにか懐かしいとさえいえる映画。マイケルはこのなかで何回も「僕の声は本番のためにセーブしてあるんだ」といってささやき声でしか歌わないのがほとんどなことが大変残念だ。その本番が来なかったのが哀しい。ダンスもすばらしいのだが、どこかでダンスのシーンは映画の為の替え玉とかいうニュースを読んだ。確かに元気に踊っているのだが後姿だけ、とかいう場面もないではない。しかしここはもう少し素直になって彼の才能を惜しむことにしたほうがいい。思いがけず今年の記憶に残る映画のひとつになった。80点。


9

2009-11-05 08:11:17 | 映画
Director: Shane Acker
Starring: John C Reilly, Jennifer Connelly, Elijah Wood, Martin Landau, Christopher Plummer

なんとまたまたアニメーション。10月にホリデイから帰ってきてからみた映画の半分以上はアニメーションではないかな。前のMr Foxが全く子供向けだったのに比べ、この9はまったく大人向け。話は人間が死に絶えた後の世界に、人間が作り出したらしい人形たちが生命を持ち、暮らしていく、というもの。

筋はものすごく暗く、絵もものすごく暗い。暗澹たる風景とはこのことだ。CGは暗いなりには美しいものがある。しかしこの筋では子供も寄り付かないだろうし、大人でこのアニメーションに行くのは私みたいにどんな映画でも見る、というヘンな人たちだけだろう。そんな人は沢山いるとは思えない。CGだけに興味のある人もすくないだろうな。というわけでかわいそうだけれど、全くあたらなそうな映画だ。この映画にも有名俳優がずらりとでている。彼らの給料はいったいどれくらいなのだろう。こうアニメーションが多くなってきたからには、声優専門の人たちにももうすこしチャンスをあげてもいいのではないかな。前のFoxよりは私はすきだったけれど。65点。