後で考えます

多分映画の話題。でも映画好きで、これから見たい方は読まないほうがいいです。

E BOOK

2011-09-30 09:49:37 | Weblog
ソニーのebookreaderを買ったのは7月のノーフォークにいく直前だった。前から欲しいと思っていたが、いろいろあるものの中でどれにしようか迷っていたのだ。amazonの評もいろいろ読んで結局買ったのはソニーのタッチスクリーンのものだった。ereaderの中では一番値段の高いもので、もうすこし出せばタブレットコンピューターが買えてしまう。しかし私が欲しかったのは軽くてバッグの中に入ってしまうものだった。使ってみての私の意見では、1 画面はereaderの中では大きいほうで、下にキーボードがないのでほとんど全面を使える、2 辞書が何種類も入っていて、知らない単語をたたくとすぐ下に辞書がでてくる、3 SDカードを使えるので本体の2gb以上使える。

画面は明るいとはいえないし、バックライトがないので明かりのないところでは読めない。しかし紙の本だって明かりなしには読めないではないか。重さは200gちょっとで文庫本の薄いもの、とまではいかないけれど、片手で持ってもくたびれるものではない。

辞書の機能はすばらしい。いままで英語の本を読んでいて、今だに知らない単語はぞろぞろでてくるが、たまには辞書をひいたり、想像でこんな意味だろうとすっとばしていたのがちょっとたたくだけで意味が下にでてくるのは驚きだ。もちろん英語の辞書だけれど、数行の表示で足りなければ、またたたくと画面いっぱいもっと詳しい辞書がでてくるのだ。

実際に読んでみると画面の暗さはあまり気にならない。日のあたっているところでも楽に読めるし、薄暗いところでは字を大きくすればいい。私はいつもはMのサイズで読んでいるが、少し薄暗いとLのサイズにしてみる。字が大きいとページをくるのが多くなるのだが、次のページに行く速度は速く、指でサっとなでるだけだ。ページが変わるとき一瞬白黒が反転するけれど、なれると気にならなくなった。

それでは実際の本は、というと、これを買うと100冊の本をくれる。ほとんどがクラシックでディケンズ、ワイルド、スコットなど。その他ロマンスとか新しいものもある。これらクラシックはグーテンベルグのサイトにいけばいくらでもダウンロードできるものだが、私はワイルドが大好きなのでダウンロードする手間がはぶけるのはよろしい。

作者が死んでから50年以上たつ有名な本はほとんどこのグーテンベルグにいけばタダなことは分っているけれど、それではまだ生きている作家のebookがタダでないかとグーグルでさがしたら、あるある、ゾロゾロみつかるではないか。私は昔からSFが好きなので、ハインラインのfree ebookとやったら見つかった。それもひとつのzipファイルで彼の生涯書いた全部の本が手に入ってしまった。これはオドロキだ。この手で他の作家もやってみるとタダのebookはもう星の数ほど数え切れないあることがわかった。面白くていろいろダウンロードしてみたものだ。

読むほうも手軽にどこにでも持っていけるので、前よりずっと読むようになった。ひとつ問題は日本語が読めない。日本語のebookを試してみたけれど、やはり全部文字化けして読めない。これは日本語のフォントがないためだろう。これはここイギリスで買ったので仕方がないことだろう。日本でereaderを買えばいいことなんだろうけれど、最近日本語の本をあまり読まなくなってしまったので、当分はereaderで読むものが全部英語でもいいことにしよう。

買ってから2ヶ月もたち、もう絶対紙の本など手にしたくないという気持ちだ。もちろんダウンロードした本もまだ10冊も読んでいないけれど、前からebayでebookのコレクションを売っているのを知っていた。あるもののなかには何万冊もの本をdvdで売っている。悪いことにはあまりに作者、本の数が多すぎて中身の説明が足りないことだ。しかしいくつか説明を読んでみて、なんの本が入っているかのリストを知ることのできるものを発見した。それも五千冊も。一応作家のリストを見てみると私でも知っている有名作家が沢山いる。そこでたった3.65ポンドだし試しに買ってみた。

買ってびっくり。確かにこの五千冊、数百、数千の作家の本の中には私の知らない作家のほうが多いのだけれど、ほとんどはまだ生存している作家が多く、ありとあらゆる本がつまっている。たとえばAだけでも127人もの作家がいる。Bは80人、そのひとつBernard Cornwellをあけてみると34冊も入っている。この調子で作家のリストを見ているだけで楽しくなってしまう。私のツレアイは最近歴史小説に凝っていて、今読んでいるのがCon Igguldenという人だが彼が今紙の本で読んでるものもあるしその他合計9冊入っている、ということはIgguldenが今まで書いた本全部が入っているのだ。そのほかあるある、リストをみていると恐ろしくなる。私のこれからの生涯のあらゆる時間をつぶしても読みきれない本がたった一枚のdvdに入っているのだ。

もうひとつ買ってみたのが、今度はSCIーFI30000冊、というもの。もちろん前の5000冊だって、普通の人が生涯に読める本の数倍は入っているのだけれど、SFの好きな私には少しものたりない。Besterなんか2冊、Bradburyは8冊もあるけれど、Silverburgは一冊も無い。この売り手の説明には作家のリストもないし、知らない作家のほうがずっと入っているとは思うけれど、なにしろ三万冊もあれば知っている作家のものもあるに違いないと思った。それにたった4.99ポンドだし。

結果はあたり!Besterは30冊、Sheckleyは35冊、Moorcockは49冊、と、もうこれらのdvd3枚で私のこれからの生涯に読みたい本のほとんど全部を手に入れたことになる。しかしながらこの二つ目のコレクションの悪いことはファイルの種類がpdfが多く、コンバートするとあるものにはページナンバーが入ってしまうことだ。つまり本文を読んでいるととつじょPage 9とかがでてくることだ。まだここからの本は覗いて見ただけで読んでいないのでどのくらいきに触るか分らない。まだepubにコンバートしてみたのは4冊だけで、そのうち2冊にはページナンバーが無いみたいだ。想像するに、どうも古いものにはページナンバーとか余計なものが入っていてるらしい。こういう書籍を電子化するのにも最近はやり方が進化しているのだろう。

ツレアイは先週iPadを買って、いい大人のオモチャになっているけれど、これで本を読むのがえらく気に入ったらしい。さっそくIgguldenを何冊かコピーしてあげた。これだと日本語も読めるのだけれど、まあいい。そのうち私用にもうひとつ買うか、日本語の読めるereaderを買おう。いまのところは英語のreaderで満足している。

使ってみて2ヶ月、ソニーのreaderの悪いところも分ってきた。MP3も使えて音楽もオーディオブックも聞けるのだけれど、あまり音が良くない。写真も入れられるけれど、やはり白黒じゃねー。メモもできるけれどどういうわけかキーボードにハイフンが無い(みつからないだけかな?)。本のリストが読みづらい。これはなにも何百冊もいれておくことはないのだ。今読んでいるのと、読みそうなものを数十冊入れておけばいいことだ。そのほかの本はpcにいれておけばいい。バッテリーが説明に書いてあるほどはもたない。

今私が読んでいるのはまだ一冊目で、J. D RobbのNaked in Death。ちょっとした近未来のミステリーでなかなか面白い。次は友人のお勧めのAlice Sebondの Lovely Bonesか、長い間読みそうでよんでいないAnne Franceの日記かな。

どうやら日本でereaderははまだあまり普及していないらしい。携帯電話で本を読むのかな。それに日本の電子書籍はまだ高いし、タダの青空文庫はいいけれど、やはり古いものばかりだ。そこへいくと英語ではタダの電子書籍はゴマンとあるし、私みたいに10ポンド以下で図書館一館分ぐらいの本が手に入ってしまう。買わなくても最近は図書館のサイトにいけば、ebookを借りることができる。最初に安くはないebook readerを買わなければならないけれど、これから持つ人が爆発的に多くなるのはわかる。私がMP3プレイヤーを持ったのは10年以上前で、その時にはあまり普及していなかったのだが、今では携帯でもできるし持っていない人のほうがすくないのではないかな。

最近買ったモノのなかでは最高に楽しんでいるおもちゃだ。

London Open House 1

2011-09-21 09:37:06 | Weblog
先週の週末はロンドンのオープンハウスがあった。これはロンドンの有名な建物が一般の人々に公開される、というものだ。この中には恒常的に開いているものもあるし、この時だけ一般公開しているものもある。まず行ったのはForeign Office、つまり外務省だ。どういうわけか各場所の開場を9時半と間違えて9時に友人と集合してしまった。Foreign Officeはこのオープンハウスの中でも人気一番で長い行列ときいていたので、実はあきらめていたのだが、時間が早かったので、行ってみたらまだそんなには列は長くなかったので並んでみた。9時15分ぐらいから並んで10時に開場のはずが10時すぎても開かない。係りの人が数人でてきていいわけしているが、どうも準備が間に合わなかったらしい。たぶん係員が寝坊したに違いない。10時も15分以上すぎてやっと開いた。私たちの前には2,30人いた。10時15分ごろにはもう長蛇の列でもう列の後ろがどこかも見えないほどだった。もちろん入場も人数制限をしているのだろう。私たちはもう一時間もまっていたので、真っ先に入った。どこもそうだったが荷物の検査は厳重でところによっては空港みたいにベルトコンベイヤーの検査器があるところもある。



外務省は入り口をはいるとまず目につくのが中庭。といっても天井はガラスで覆ってあり雨がはいってくるものではない。そうとう広い長四角の空間になっていてマーブルが床に敷き詰めてあり、あとで二階から覗いてみるとマーブルの模様がそろっていてとても美しい。中にはいると四方にある壁の飾りがみごとだ。中の部屋もそれぞれ美しいが、やはり圧巻は大広間とそれに続く階段だ。

  

階段のまわりには外務省らしくいろいろな国の風俗の絵がありひとつには着物を着た日本女性がたっている。これらの絵もそうだけれど、やはり建物がたってから100年以上になるので、これらの絵にでてくる人たちもなにかヴィクトリア朝めいていておかしい。彼女はギリシャローマの戦士とか19世紀のラファエル前派の絵画に出てくる女性みたいなのとかの横にボーと立っている。

  

さすが外国からの賓客などにまずは張ったりをきかせる役目の役所だけのことはある。30分時間を間違えたのが幸いだった。最後のアンケートにはすばらしかったけど、寝坊しないでください、と書いてきた。お土産に旅行の前の荷物のチェックリストが飛び出てくるというヘンなペンと鉛筆をもらってきた。ここは長時間まっても見る甲斐のあるところだった。

TINKER TAILOR SOLDIER SPY

2011-09-21 08:07:04 | 映画
Director: Tomas Alfredson
Starring: Gary Oldman, Colin Firth, Mark Strong, Tom Hardy, Benedict Cumberbatch, John Hurt, Ciaran Hinds, Kathy Burke

あまりに筋が複雑すぎて、本を読んだことがある人か、ずっと前にあったテレビを見ている人むけ。
たしかにイギリス俳優の演技はいいけど。

70点

A LONELEY PLACE TO DIE

2011-09-21 08:00:20 | 映画
Director: Julian Gilbey
Starling: Melissa George

めずらしくスコットランドの山の中を舞台にしたスリラー。5人の若者が山の中で声をきき、地下に埋められた箱の中にいた少女を救い出す。この子はどこか東欧の国から来たらしく、英語ははなせない。彼女を救うため5人は人里を目指す。どうも彼女は金持ちの親から大金をせしめるため誘拐されたらしい。そこで5人は誘拐犯と少女の父親のグループに追われて山のなか、街中をにげまどうことになる。

いまだにスコットランドにはいったことがない私は知らないことだらけ。スコットランドの山っていうのはこんなにも険しいものだったのか。どうも街中の文化のほうに興味のある私には、こういう険しく厳しい自然を求めてわざわざ苦しいおもいをしたがる人たちの気持ちがわからない。岩山などの描写はとても美しいものだが、いってみたいかというと私はゴメンだな。それにギャングにやられて5人は次々に殺されていくのだ。ここら辺がとてもリアルで恐ろしいものだ。それもみずしらずの少女の為に。

街についても二派に追われて、街の見ず知らずの人たちまで何人も巻き添えになって死んでしまう。実際こんなことが起きたらイギリス中の新聞の一面を何日も飾ることになるだろう。たぶん10人以上死んだにちがいない。なんにも知らずに巻き添えになって殺された人たちがかわいそう。

街ではなにか原始的とまで言える火祭りが開催されている最中で夜でも人ごみでいっぱい、という設定になっている。いやはやこんな祭りがイギリス(というかスコットランド)であるとは知らなかった。きっとキリスト教が伝播される前からこういう祭りはあったのだろう。数年前にウエールズにも近いシュロプシャーでグリーンマンというヘンな祭りを見たが、あれはそんなにおどろおどろしいものではなかったが、やはりなにか異教的なものがあった。

いろいろ私の知らないグレートブリテンを教えてくれたという意味では面白い映画だった。


グリーンマンとその花嫁?

75点。

JANE EYRE

2011-09-19 21:28:06 | 映画
Director: Cary Fukanaga
Starring: Mia Wasikowska, Jamie Bell, Michael Fassbender, Sally Hawkins, Judi Dench

もう何回もテレビや映画でやっているので、話は少し新鮮味にかけるかもしれない。最近、といってももう4,5年前にもBBCでやっていて、なかなか良かった記憶がある。今回はアメリカの監督、JaneになるMiaはオーストラリアの女優。彼女どこかでみたことがある、と思ったら、この間の不思議の国のアリスでアリスになったひとだ。とても若く、化粧っけゼロ、というかそういうふうに見せる化粧をしているのだろう。若いから素肌がピカピカしている感じがよくでている。全体に自然光とか家の中ではろうそくのかすかな光とかを使って、とても透明感のある画面にできている。

調度1943年版の映画を去年見たところだ。あのなかでは印象的だったのはロチェスターになるオーソン ウェルズとジェインの子供時代の友人になるエリザベス テイラーだった。ジェインになったフォンテインはあまり記憶にない。今回の新作ではこの友人役はあまりたいしたことがなく、ジェインになるMiaのほうがずっといい。この人はこれからどんな女優になっていくのだろう。いままで見た二つの映画では演技、というよりもっと自分自身を自然に出している感じがする。原作によるとJaneはあまり美人ではないということだが、ここではかなりかわいい。ロチェスターになるFessbenderは1943年のウェルズより線の弱い感じがする。あの1943年版はフォンテインの映画というよりはウェルズの映画だった。こん回のMichaelも悪くないんだけれど、少し前のテレビ版と同じような感じだ。最後にヒゲで現れたときはなにかとってつけたようでちょっと笑ってしまった。台詞は少し大げさなとはおもうけれど、原作からとったのだろう。19世紀前半の人々はあんなふうに話したのだろう。うまく編集していると思う。

最近こういう文芸モノは少ないので、歓迎したい。私みたにありとあらゆる映画を見まくる人はあまりなく、女性の中にはたとえば今年でいえばコレとKing's Speachぐらいしかみない、という人が沢山あることだろう。原作は昔日本語で読んだ覚えがあるけれど、あまり覚えていない。ちょうど本があるから、今度読み返してみよう。

衣装とか髪型がとても凝っていてよろしい。ロケはチャッツワースとかハドンホールとかいったことのある屋敷を使っている。荒地をさまよっている場面では寒そうでかわいそうになってしまった。監督はCary Fukunagaという新人。Caryというからには女性かと思ったら男性だった。ちょっと東洋系の顔をしているからたぶん半分日本系なんだろう。これから期待している。80点

  

FRIGHT NIGHT 3D

2011-09-16 10:07:44 | 映画
Director: Craig Gillespie
Starring: Anton Yelchin, Colin Farrell, Christopher Mintz-Plasse, David Tennant, Imogen Poots, Toni Collette

ここ数ヶ月で記憶に残る映画のひとつはHorrible Bossesだったが、このFright NightにもHBにもでているのがコリン。この人は見るたびにどんどんよくなってくる俳優だ。このFNでも主役というより助演だけれど、一番光っている。彼は悪役で四百年も生きてきた吸血鬼だ。彼の隣の若者が招待を見破って、退治しようというのだ。吸血鬼というのは怪物の中では弱みの多いもので、いつも簡単に退治されてしまうのだがさすが長年いきてきたコリンはタフだ。もう十字架なんかは免疫になってしまってなんの効果もない。若者アントンは高校の卒業近く、ということだが、それにしては年寄りくさく、あまり魅力がない。それに比べてコリンは大口を開けてガバっとのど元に食いつく怪物なんだけれど、魅力たっぷり。それでいてかなりおかしくて、ところどころ大笑いさせられた。

3Dとはいえそんなに大げさなものではなく、時々血がドバっと画面からとびでるぐらい。あまり怖くはない。コリンのほかにいいのがやはりトニ コレット。彼女けして美人ではないけれど、いつもとてもいい。

あと面白いのが惨劇の起きる場所だ。ここはラスヴェガスの近くなんだけれど、たぶんそこで働いている人たちなどが住んでいるところらしい。砂漠の一箇所に突如として民家の集落がある。一歩でると砂漠で、カーチェイスなんかもある。

くだらないけれど、大いに楽しんだ。85点。

  

APOLLO 18 

2011-09-13 14:15:53 | 映画
Director: Gonzalo Lopez-Gallego

私はめったに映画を見てガックリして、時間のムダとまで思ったことはあまり無いけれど、この映画だけは時間のムダと思った。これを見ると決めたのは単に調度いい時間にやっているから、というだけだった。こういうよこしまな考えで映画館にいってはいけない、というきつーい反省の元になる映画だった。

一番いけないのがカメラワーク。もちろん月の上でカメラが自動的に回ってそこになにが起こったかをしらせるだけ、とはきいていたけれど、とにかくおもしろくない。いろいろ危険なことが起こる。月面車がひっくりかえったりするんだけれど、たしか、というか絶対に月には空気は無いんじゃなかったかな。音というのは空気の振動ではなかったかな?ということはどんな大事故だろうが、大爆発音なんてあるはずがない。それなのにバタバタ音がするのはどうして?それとも私の思い違いかな?よくSFものの映画で宇宙での大爆発なんてあるけれど、あれはおかしいといつも思っていた。しかしこの映画みたいにつまらなくて、それに論理的にもおかしいと腹が立つ。

これではちょっとヘンだったけれど、去年のMoonという映画のほうがずっとマシだったなー。

俳優もつまらないし、3人ぐらいしかでてこないのはやはり金の節約のためだろう。

それでも一所懸命やってる俳優たちに免じて20点。

THE SKIN I LIVE IN

2011-09-10 16:41:20 | 映画
Director: Pedro Almodovar
Starring: Antonio Banderas, Elena Anaya, Blanca Suarez, Marisa Paredes

Almodovar監督の映画はいくつか見ているので、彼の映画がみなヘンテコリンなのは知っている。もちろんこん回の新作もヘンに決まっているけれど、実際見てみるとものすごくヘン。ほんとうにこれはナンジャコレー(!!!!)の世界だ。もっと驚くのはこれには原作になる小説があるということだ。これはすごいことだ。つまりAlmodovar以上にヘンなものを書く人間がこの世に存在するということだ。

物語はBanderasの整形外科医が人工皮膚の研究発表をしているところから始まる。ところが彼の邸宅には一人の人間が囚われていて、どうも彼の研究の実験台にされているらしい。ここから彼の回想と現在の状況が入り混じってどうしてこういうことになったのかを見せてくれる。彼には妻と娘があったのだがどうもどちらも不幸な死に方をしたらしい。母親の凄まじい死に方を見てしまった娘は心に傷を負ってその後もある事件で決定的に精神を病んでしまったらしい。ここら辺から話はものすごくヘンテコになりもうヘンも最高潮、こんなの見たこと無い、というところまでいってしまう。見ている観客はあっけにとられて、もう一種の催眠術をかけられたようなヘンな高揚感を感じることになる。彼の家政婦もなにか怪しげ。娘はあるパーティーで若い男に出会い、そのあと事件が起きる。でもこのとき私はあの若い男はやけに小柄だな、とは思ったものだ。若者の母親はブティックを持っていて、彼は密かにこの店の店員が好きなんだけれど、彼女はどうもレスビアンのようだ。こういう小さな複線はあるのだけれど、やはり整形外科医の実験の真相はショッキング。

彼の数年前の傑作のTlak to herというのがあって、登場人物の一人が女性闘牛士で、彼女が闘牛士の正装をするのをじっくり見せる場面が印象的だったのを思い出すが、この新作でも外科医が手術着を着るときまるで儀式の式服を着るように見せてくれる。

実は彼の前作Volverは見ていない。どうも主演のペネロペが好きではないので未だに見る気になれないのだ。彼女、顔はちょっとかわいいのは認めるのだが、彼女の英語があまりにひどい。もうハリウッドの映画に出始めてから十年以上にはなるだろうに、あのひどいスペインなまりを直そうとは思わないのだろうか。一番ひどかったのがキャプテン コレリのマンダリンの中だった。あの映画では彼女はジョン ハートの娘役だったが、あの純粋イギリス訛のハートの娘がこんなひどいなまりでしゃべるか?Banderasは英語の映画では訛はあるけれど、彼女のほどは気に障らない。彼の映画のなかでは私はTake the Leadというのが好きだ。彼はダンスの教師でニューヨークの不良どもにダンスを教えることになる。最初あまり乗り気にならなかった少年少女たちにある日ダンスのパートナーをつれてきて彼らの前でタンゴを踊って見せる場面がある。これがものすごくセクシーですばらしいく、彼らはその後心を入れ替えてダンスのレッスンを一所懸命することになるのだ。

この最新作では彼は最後は可哀そうなことになるのだが、悲劇のはずが途中やはりあまりにヘンテコなためふきだしてしまうところもいくつもある。しかしやはりこれは私みたいな変人にしかお勧めの映画ではないなー。私は好きだけれど。点数はどうしよう。85点。新聞評ではやはり賛否が分かれていてひとつ星のものまであった。ちょっと異様なものを見てしまったような奇妙な後ろめたさが残る、という本当にヘンな映画。

CONAN THE BARBARIAN

2011-09-03 08:26:54 | 映画
Director: Marcus Nispel
Starring: Jason Momoa, Rachel Nichols, Stephen Lang, Rose McGowan, Said Taghmaoui, Ron Perlman

コナンというと思い出すのが80年代にあったアーニーのConanだ。あれはテレビでずいぶん昔みたことがあるが、あまり覚えていない。最初のほうで敵方に捕まった少年コナンが奴隷にされて牛とか馬みたいに大きな棒につながれてグルグル回す労働を何年もさせられ、それが筋肉の鍛錬になりあのりっぱな体になった、というところだけやけに鮮明に覚えている。

新作のコナンのほうは戦場で瀕死の母親に父親が帝王切開して産まれたそうだ。その最初のところからもうのべつまくなしに戦いのアクションが二時間も続く。三分の一ぐらいで父親が殺され、その敵討ち、というのが主な筋だ。昔から伝わる魔法の仮面があって、それがバラバラに残っていて、それを全部集めて被ると無敵になるんだそうだ。もちろん最後の一片をコナンの父親が持っていたのだ。どういうわけか途中からそれだけではなく高貴な人の血も必要なんだそうだ。そこでどこだかの姫がからんでくる。

この映画も最近はやりの3Dなのだが、例によって私は2Dで見た。3Dをねらってかやたらとクローズアップが多くて、アクションもいったいどうなってるのかわからない場面が多い。それにどんなすごいアクションでもこれでもか、と長々とやられるとあきるものだ。数日前に今年の初めごろ見たIroncladをDVDで見直したのだが、このコナンに比べて静と動の間隔がほどよくできていて、こちらのほうがずっと上出来の映画だ。こういうのを見ると監督の頭の程度が分るというものだ。

さて俳優のほうではまずコナンのJason。この人は私は初めて見たが、テレビのスターらしい。顔はまあまあだけれど、体はすごい。この間のCaptain Americaのクリスよりすごい。ただ鍛えすぎの男によくあるように胸の筋肉までやりすぎでまるで女性のオチチみたいに見えてしまう。これはよくない。筋肉というと思い出すのが数年前のスナイダーの300だ。あのなかでは300人もの筋肉おとこが勢ぞろいでみごとだったが、あまりオチチとは思わなかった。主演のジェラルドがどこかであの筋肉を保つのは大変でいまはそんなに無いとか言っていた。あのシックスパックの勢ぞろいはたぶん体にメークでもしたんじゃないかな。胸に影をつけちゃったりして。アーニーは体も立派だけれど、あの人は顔に愛嬌のある人だ(若いころは)。にっこりするとかなりかわいかった。こん回のJasonはあまり可愛げの無い人で、次回はなにをやるのだろう。あまり演技がうまいとも思わないけれど。たぶんConan2とかに出るのだろう。

  

最初のがアーニー、次ジェラルド、最後がJason。こう比べてみるとジェラルドの筋肉が一番だ。

父親になるのがヘルボーイで有名になったパールマン。悪いけどヘルボーイ二作のほうがこのコナンよりずっと出来のいい映画だった。でもこの人は顔が個性的すぎて、ヘルボーイ以外では脇役が多い。女性では悪役になるRoseのほうが印象が強い。もうすこしコナンとの愛憎なんかがあっても良かったんじゃないかな。お姫様のRachelはちょっと普通の人すぎる。

昔(も今も)ヒロイックファンタジーの大ファンなので原作のハワードのコナン物は昔いくつか読んだ覚えがある。筋そのものはあまり覚えていないけれど、なにかオドロオドロしくて暗ーい小説だったことは覚えている。その雰囲気としてはまあまあよくできているのかもしれない。

これは3Dで見直す価値のある映画ではない。パールマンに免じてかろうじて60点。