goo blog サービス終了のお知らせ 

後で考えます

多分映画の話題。でも映画好きで、これから見たい方は読まないほうがいいです。

CINDERELLA

2010-04-19 06:52:07 | バレー
最近はバレーづいている。といってもここしばらく題名だけしか書いていないのが多いんだけれど。このバレーは私は始めて見る。といってもバレー歴の短いわたしには始めてのほうが多いのだ。オペラのほうは数回みているけれど、このバレーもなかなかいい。とにかく御伽噺にてっていしている。音楽はプロコフィエフでちょっと甘さ控えめで、鋭角的なところもある。それを振り付けと舞台装置で粉砂糖をふりかけたみたいになっている。とくに一幕の星空に天の川(こちらではミルキーウェイ)がかかっているのが美しい。二幕目の舞踏会の遠景が夕焼けからだんだん暗くなっていくのも美しい。三幕目になるとダンサーが手にもっている豆電球がきらきらしたりして、ちょっとここでやる年末のコメディ、パントマイム風になってしまっている。

今日のシンデレラは吉田さんで、これが彼女のROBでの最後の舞台になるときいた。そのおかげか会場には日本人の客が沢山。着物をきた女性もいる。私は吉田さんのナマは初めてだ。なるほど彼女の高名が理解できる。ものすごくきっちりした技巧で、素人のわたしでさえわかるうまさだ。ただ、あまりにもしっかりした踊りで、可哀そうな女の子という感じはない。舞踏会場に現れる時、階段を爪先立ちで下りてくるところなど、よくすっころげないものだ、と感心してしまった。

その他のダンサーでは意地悪な姉たちが光る。小柄なほうはウェイン スリープでコメディ役にはぴったりだ。オペラの姉たちよりはこのバレーの姉たちのほうが意地悪さはスケールが小さく、コメディ風がめだつ。翌日の新聞に彼は今年の初めにヒップレプレイスメントの手術を受けたばかりと書いてあった。たった三ヶ月であんなにも踊れるほど回復したのだ!

王子様は赤毛のダンサーで3月に3回も見たアコスタなんかに比べると目立たない。王子の4人の友人の一人も日本人で、彼はこの間のユダの木にも出ていたと記憶する。かっこうもいいし、うまいしいまにトップになることだろう。こうして四人同じ振り付けを踊ると、特にクルリと回る時のスピードが違う。彼のスピード感のある踊りが光っていた。四人の妖精の二人までも日本人。

秋からのシーズンにはバレーももっといってみることにしよう。

LA FILLE MAL GARDEE

2010-03-12 08:50:05 | バレー
Conductors: Barry Wordsworth
Performers: Marianela Nuñez,Carlos Acosta, Will Tuckett

私は主にはオペラにいくのだけれど、今回はバレー。これは始めて見る。もちろん目指すのはAcostaだ。もう過去数回彼のナマを見ているので、今回も期待していた。いつもは最後に死んでしまう悲劇ばかりだったが、今回はとても楽しい喜劇だった。最初から最後までダンサーみんな楽しそうに微笑みをうかべながら踊っていいた。いつもは天井桟敷の常連の私だけれど、今回はバレーということで、舞台脇のものすごく近い席が取れた。やはりバレーは近くで見るにこしたことはない。ここだとダンサーたちの表情まではっきり見える。

筋はたいしたことは無く、村の娘が親の反対をおして金持ちの息子ではなく、本当の恋人といっしょになる、というだけ。一幕目は村の場面で村の若者たちがリボンを使って美しい模様を描く。恋人たちもリボンを持って大きなあや取りをしてくれる。鶏も一羽の雄鶏を中心に面白おかしく踊る。娘の母親が木の靴を履いて踊る場面は有名なのだろう、これを見るのが始めての私でさえメロディとあの踊りは見たことがある。もちろん恋人たちもすばらしいが、この母親になる男性ダンサーがすごい。とくにこうして近くでみると、彼女の表情がよく見えてとても楽しい。

もちろんカルロスはすばらしい。今一番最高のダンサーなことは疑いも無い。相手役を持ち上げるのも軽々とやるのだけれど、その時の彼のお尻の筋肉がキリっと引き締まるのがよく見えた。そんなにたびたび見たわけではないので、彼の最高期が今なのか、下り坂にさしかかっているのかわからないけれど、まだまだ安定感はたっぷりなようだ。そこへいくとこの間のペライアさんは最高だけれど、なにかあぶなっかしささほの見える。しかしこうして世界最高のアーティストのナマをしばしば経験できるでロンドンに住んでいて幸いだと思うことのひとつだ。

RUSSEL MALIPHANT

2009-04-11 18:53:00 | バレー
RUSSELL MALIPHANT with special guest artists Adam Cooper, Thomas Edur, Daniel Proietto, Ivan Putrov, Dana Fouras and Agnes Oaks
珍しくモダンバレーを見てきた。悪いけど中心人物のマリファントの名前さえ知らなかった。少し前にSwan Lake を2回もみたけれど、バレー界にはとんと興味がわかないのだ。たまにはモダンバレーを見る機会もあるのだが、いつも美しいはずのバレーをどうしてこんなにもつまらないものにしなければならないのか疑問に思うほどだ。今回もその例から外れないものだった。けしてわるくはないのだけれど、つまり、美しいとか心地よいとかの観客への配慮をかたくなに拒否するのがモダンバレーなんだろうか。

今回は前半に短いものが3つ、後半は30分ぐらいのがひとつ。全部男女、あるいは男二人で踊り、音楽もミニマル ミュージックあるいはジャズに近いもの。それとかドラムだけ。二つ目は最初から最後までなにか意味が良く取れないささやきが小さくなったり、大きくなったり、時としては二重、三重に聞こえる。ダンスは最初のが印象が深い。男二人が踊るのだが、大部分の時間二人の腕、ひじから先がからみあってぶらぶら。ときには体も絡み合って、二人の体が上下したりする。見ているとなんだか居心地のわるいもので、二つ目のささやきは精神的居心地の悪さまで感じてしまう。どういうわけか去年見た少林寺拳法のショウを思い出した。ダンスというよりマーシャルアーツに近いものだ。

モダン音楽にも共通するかもしれないがバレー界の人々には実験的なもので、面白いのだろう。つまりこれらのバレーはバレーダンサーのために出来ているのであって、門外漢の私などのためにはないよ、ということか。

衣装も「美しい」という形容詞を排除したようなもの。黒か灰色で、男女の区別もなく、上はTシャツ、下はタイツというかズボンヒキみたいなもの。いくつかいままでに見たモダンバレーもみんなこんなものだった。ということはモダンといってもちっとも変わり映えのするものではなかった。

出演者は私でも名前を知っているような有名ダンサーなのだろうが、わるいけど、わたしにはネコに小判。ただしいくつかの音楽は悪くはなかった。席が後ろのほうで、オーケストラピッチがみえなかったが、どうもあれは録音だと思う。ナマだとしたら、どんな音符になっているのだろう。ひとつのメロディーがあると、これを55回、次は73回とか書いてあるんだろうか。かぞえまちがっても絶対だれもわかにはしない。振り付けも間違っても無視して、次にいけばいい。時には二人が同じしぐさをすることもある。バレーでデュエットというのは普段は男女でやるもので、これみたいに男同士で体を絡み合わしてクネクネされると、ちょっと普通でないものを感じる。

一生懸命やってたダンサーたちには悪いけど、もう一度は絶対避けたい。

SWAN LAKE ROYAL OPERA HOUSE

2009-03-31 22:22:12 | バレー
Odette/Odile: Tamara Rojo
Prince Siegfried: Carlos Acosta
今度はローヤルオペラのSwan Lake。聞くところによると今年はSwan Lakeばやりだそうだ。プリンスをやるのはAcostaでもちろん彼がでるから私もいくのである。それもまん前のど真ん中(というかど真ん中からひとつはずれた席)だった。これは切符を買おうか迷っていたとき、ウェブで偶然ひとつだけこれがあいているのを見て、思い切って買ったものだ。もちろん私がいつも行く天井桟敷の数倍はする。指揮者の頭が邪魔になるかと思ったら、彼はそんなに背の高い人ではなく、ちょうど舞台の床すれすれぐらいで指揮棒を振り上げても全く邪魔にはならなかった。

Acostaをみるのは数年ぶりで、たぶんもう40代の彼がいつまで踊っていられるのか考えると、今回はいい機会だった。一幕では彼の出番は少ない。彼はそんなに背が高いわけではないのだが、踊りだすとスケールが大きい。もちろんうまいんだけれど、それをどううまいのかと言葉で表現するのはとても難しい。とにかく彼が動くとそのあたりが明るく輝いている。こういうのをみると宗教画で神様とか聖者に後光がさしてるのが分かるような気がする。

一番すばらしかったのはやはり2幕で黒鳥と踊るところ。そして人違いだったことに気がついて嘆き悲しむところ。これはその前に見たアメリカンバレーでもよかったところだ。後ろに鏡があって、最後にそれが透けてホンモノのオデットの姿が見えるようになるところは、ここでも同じ演出になっている。これは去年みたENBでも同じだった。

コロシアムとの大きな違いはやはりオーケストラだろう。比べるとこのROHのほうがずっとキレがいい。衣装はこちらのほうがもう少し軽やか。白鳥はOdetteはやはり横にひろがる衣装だったけれど、その他の白鳥たちはもう少し長くふわふわした鳥の羽が垂れ下がってるような衣装だった。これだとOdetteがいっしょに踊ってもどれがOdetteだか一目で分かる。足音はやはり大勢で踊ると少しパタパタが聞こえるけれど、コロシアムほどではなかった。

後半は家族で来ている人たちが席を入れ替えたのか隣はまだ7,8歳の子供が二人になった。うるさいわけではないけれど、少し退屈しているのがわかった。高い席を子供のために買うとは金持ち階級なんだろう。全体にやはりこちらのほうが少し上かもしれないが(とくにPrince は)コロシアムのほうもけっして悪くはなかった。


SWAN LAKE

2009-03-28 17:09:42 | バレー
Odette-Odile: Irina Dvorovenka
Prince: Maxim Beloserkovsky
Queen: Maria Bystrova
Sourcerer: Roman Zhurbin/Cory Sterns

アメリカン バレー シアターの「白鳥の湖」に行ってきた。劇場はコロシアムで二階席ではあったけれどよく見える席だった。これは全くよく上演されるバレーで見るたびにその音楽の美しさと、踊りの美しさに満足させられる。今回はアメリカのバレー団なのでダンサーもアメリカ人かと思ったら、主役の名前をみるとやはりロシア系だ。バレーはいまだにロシア人が牛耳ってるのかな。これはいままで何回もみているが、振り付けはこういう古典的な演出の時はどのバレー団でもたいしてかわらない。バレーのことは良く知らないけれど、楽譜に振り付けの指図もかいてあるのだろうか。今回も目新しいことはないけれど、やはりとても美しく、十分楽しんだ。

やはり主役のOdette-OdileになったDvorovenkaがすばらしい。背も高すぎず、低すぎず、踊りの技術はもとより、やはり見た目が美しい。それに比べるとPrince役のBeloserkovskyは可もなく不可もない、といったところだろうか。魔法使いは二人でやるのだが、後半の城の中でのStearnsがなかなかよろしい。とても色気のあるひとで、女王にいいよるようなところも見せて、なかなかうまい。

その他の踊り手はどうも大柄な人が多い。少し足音のパタパタするのが気になったが、やはり柄が大きいと着地するときの音も大きいのだろう。

舞台装置も古典的で美しい。ただ衣装はちょっと懲りすぎではないだろうか。一幕の村人たちも、三幕の城の中での登場人物もちょっと衣装が重い感じがした。白鳥たちは古典的な横に円形に広がる衣装だが、胸のところにちょっと赤いところがある。なにかヴィクトリア&アルバート美術館の宝石の部屋でみた真珠のペリカンのブローチを思い出した。

これは巨大な天然真珠で体のところができていて、胸の真ん中がルビーで真っ赤になっている。これは母鳥が水のない時、自分の胸をついばんで血を流し、それを飲まして子供を乾きから助ける、という親の愛情を表しているのだそうだ。数センチもある真珠としては相当大きなもので、たぶん莫大な価値のあるものだろうが、ちょっと不気味なものだ。つまりこの白鳥の衣装も小さい赤い飾りのおかげでちょっと不気味なものになった。

偶然にも二日後に今度はオペラハウスでまた白鳥の湖を見ることになっている。比べてみるのも面白いかもしれない。

写真は真ん中のスポットライトが明るすぎてよく取れていないが背景などは雰囲気が分かるだろう。

SLEEPING BEAUTY

2008-12-10 17:52:21 | バレー
このバレーは始めて見る。だいたい筋としては数行ですむのにどうやってインターバル2回、計三時間も踊っているれるのか、興味深深だった。結果は最初と最後をものすごく水増しした、というもの。

全体にものすごく古典的で、美しい。まるで百年前に見てもこのとおりだったに違いないと思うほどだ。最初の赤ん坊へ贈り物をする妖精はたしか三人だったはずが、ここでは10人以上、そのほか村の若者たちだのいろいろが入れ替わり立ち代り踊る。

真ん中が本筋で王女が針にさされて眠りにつくところ。2回目のインターバルの後、すぐ王子が彼女を眠りからさまし、その後また長々しく、一部に登場した妖精だのが際限なく踊りまくる、ということで三時間かかるのだ。

衣装も舞台装置もとても美しく、ダンサーたちもとてもうまい。さすがオーロラ姫になるたぶんロシアのバレリーナはりっぱだ。片足を頭の上まで上げて、ゆっくり回るところがあるが、支えるパートナーが三人も変わるが微動もせず、優雅だし、こういうところが他のダンサーと一味違って主役を踊るのだろう。音楽もチャイコフスキーで特に中盤がすばらしい。それなのに全体としては退屈という印象がある。私だったら一部と三部から20分づつちょん切るな。

この日はどうもセレブの招待の日らしく、日ごろ(あまりテレビを見ない私でも)おなじみのテレビタレントが何十人も来ていて、とても華やかだ。今テレビで人気一番のダンスの番組のジャッジも来ていて、私の友人など握手もしてもらっていた。その他思い出してみると、ポール オグラディ、バネッサ フェルツ(やっぱりデブ)、私の前にはチャネル4のプロパティの司会者のオルソップ、その横は名前は忘れたけれどテレビでおなじみのコメディアン。雑誌でよく見るモデルもいる。私の2列前には保守党の党首、デビッド キャメロンが奥さんと並んで座っていた。終わってコロシアムを出る時彼らは私たちのすぐ後ろを歩いていたみたいで、カメラマンがどっさり。その間を私たちは急いで逃げてきたが、それでもカメラマンが押し寄せてくる。寒いのに撮影の一瞬のためにじっと何時間も待っていたのだろう。タイヘンな商売だ。

SWAN LAKE

2008-01-23 23:01:17 | バレー
コロシアムでEnglish National Ballet。

バレーは年に数回しか見ないが、これほど「古典」なものは珍しい。まるで19世紀、チャイコフスキーの時代に演じられたようだ。衣装舞台装置も古典的だが、けして古臭いものではない。これに比べると昔みたRoyal Balletの演出の方が最後の湖の場面など現代的だ。

主役二人(Dmitri Gruzdyev、Daria Klimentova)はとてもうまい。ジャンプして着地するところがぴったり決まっていて、それでいて切れすぎるところもないし優雅だ。主役のほかのダンサーもみなうまい。名前をみると本当にインターナナショナルで日本の名前とか中国系の名前まである。

音楽はさすがチャイコフスキーで、耳にのこるメロディーばかり。去年ボリショイで「海賊」を見たがあれは音楽は全く印象に残らなかったのに比べて、どうしてSLが今でもバレーの代表的作品なのか思い知らされた。オーケルトラはENBだが、最初少しふらついていたが、後は気にならなかった。

見た後いくつか新聞評を読んだが、みな褒めていた。これらによると主役のカップルは私が見た日のほかいくつかあるようだ。皆これぐらいうまいのならたいしたものだ、と思った。振り付けは目新しいところはないが、過去百年の振り付けのいいところを寄せ集めたというところかな。

もっとバレーも行かなくては。

GISELLE

2007-01-12 19:29:54 | バレー
バレーが芸能なのか疑問だが、芸術なんていうと高尚じみてて、イヤな気もする。私は単に楽しんでるだけだから、芸能でよろしい。ENGLISH NATIONAL BALLETだが、全部ダンサーが英国人なわけではない。主役は各国から来るみたいだ。これはMETROでは4つ星だった。この日の主役はMETROの記事と名前がちがっていたが、十分4つ星以上はあげられるとてもうまい人たちだった。

主役のGISELLEはSimone Clarkeでこの人は英国人らしい。彼女はBNPのメンバーらしく、劇場前にデモ隊が押し寄せていて、上演中にも叫び声があがったり、ちょっと不穏な雰囲気だった。舞台はそれを無視して止まることなく演じられた。彼女の政治的意見はどうでもいい。バレリーナとしてはとてもうまいひとだと思う。AlbrechtはDmitri Gruzdyevというからロシア人かな?とても背のたかいがっちりしたひとで、相手役を持ち上げるのも軽々とやる。一人で踊るときの跳躍もそうとうなもので、迫力たっぷりだった。

舞台はクラシックとしかいえないもので、19世紀に劇場でバレーをみたらこんなものだっただろう。衣装といい舞台装置といい、美しい。過去にここコロシアムで見たバレーはほとんど現代風アレンジがしてあったので、こう古風なものはかえって目新しい気がした。ここの劇場は内部も豪華で椅子も座りやすく、見やすいので好きだ。これに比べてROHの椅子のすわり心地の悪さはどうしようもない。

音楽と振り付けとかには記憶に残るような斬新さは全く無いが、なにか浮世離れのした美しい宵であった。

SWAN LAKE

2006-12-19 23:39:32 | バレー
先週はとうとう映画館に足を踏み入れなかった。どうしても見たいというものがなかったからだ。その代わり久しぶりにバレーを見てきた。Swan Lakeといっても古典的なものではなくモダンな振り付けで、筋も全く違う。白鳥は全部男性で、そのボスがある国の王子を誘惑するという話。これは前にDVDで見て、とてもよかったので、生でいつか見たいと思っていた。チャイコフスキーが見たら卒倒するかもしれないが、原作の筋を忘れて別のものと見れば、振り付けといい筋といい、とてもよく出来ている。最近のバレーとかオペラは時代を現代に変えて上演するのがはやっているが、時には失敗作もあるが、これは成功した一つである。去年みたオーストラリアのバレー団のSwan Lakeもやはりモダンなもので、これもかなりよかった。古典的な上演では数年前にみたキロフが忘れられない。人間ではあるが鳥でもあるという、異常なる状態を観客に感じさせるのはよほどの技巧だと思った。きれいというより、あそこまでいくと、気持ちの悪いものだった。

今回の王子役はボス白鳥に比べると小柄で、どこか子供っぽくも見える。もしかしたらそこが狙いなのかも知れないが、もう少し大人の雰囲気のあるほうが良かったかもしれない。ボス白鳥は白鳥の群れの首領らしく、一番おおきいし、骨っぽいが残念ながらウエストが太い。しまっていないわけではないが、そういう体系なのであろう。後半で女王のパーティーに来るところでは、黒い服を着て、これの方がしまって見えて、男の色気が感じられてよろしい。何か新ジェイムス ボンドのダニエル クレイグを思い出した。彼もとても鍛えた体をしているが、胴の部分が長四角、と言う感じ。この人も洋服を着せたときのほうがハンサムに見える。

ボス白鳥のほかの白鳥達ももちろん全部男性ダンサーで、みな上半身はだかだ。裸だと各自の体の特徴が良くわかって面白い。やけに細長いのとか、ものすごく鍛えすぎて、筋肉の標本みたいのもいる。最後のベッドルームのシーンはベッドの下からかれらが忍び出てきて、怪しげな雰囲気がよくでていた。みんなうまいのだろうが、片足でポーズを決めるところでヨロッとするのが続出で、これはいけない。そこに目をつぶれば、みんなうまい。面白いのが前半の劇場の場面。王子のはすっぱなガールフレンドになるバレリーナがうまい。ここでは観客席になる右側と、舞台になる左側を目で急いで行きかわなければならない。

席は一階の中ほどからちょっと後ろだったが、もう少し前でもよかったかもしれない。やはり踊りは近くで見るものである。十分に楽しんだ舞台だった。

だれにでもお勧めのはずが、一緒に働いているオバアサンにこれに行った事をはなしたら、「わたしゃー絶対にそんなものには行かない」といわれた。もちろんホモの世界を扱っているが、そんなに足蹴なく言われると、ちょっと哀しかった。知らない世界を垣間見る心の余裕を持ってもらいたいのだが、議論してもしかたがない。むしろなんでもござれの私は、この世の楽しみが彼女より多くて幸いである。