沼隈文化財研究所

「温故知新」
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猪ノ子古墳発掘調査現地説明会(要旨概要)

2015年05月04日 | 古墳
 広島県史跡指定されている「猪ノ子古墳」の発掘調査現地説明会
が開催され、参加して来ました。

 日時:平成27(2015)年3月21日(土)13:30~15:30
 場所:福山市加茂町(江木妙見宮境内・荒神社境内)
 主催者:福山市教育委員会文化課
 参加者:約80名

[発掘調査概要]
 現在地の立地状況は、加茂川と百谷川の合流地点のやや小高い
丘陵上の先端に築かれて、平野部を南に一望出来る位置に存在しま
す。
 古墳の内部主体は、切石の花崗岩を使用し、南に開口する横口
式石槨で、石槨部の長さ2.8m、幅1.1m、高さ0.9mで、羨道部は、長さ3.8m、幅1.7m、現高さ1.25mの状況です。

 内部の石材の接合部には、組合わせのための加工が施され、
全国的に見ても数少ない古墳時代終末期の特異な古墳として注目さ
れています。

 この神社境内一円や後背地の山を含め、「猪ノ子遺跡」とされ、弥生時代の石斧や弥生土器などが出土していますが、具体的な内容は不明です。

[猪ノ子遺跡について]
 今回の調査によって、弥生時代の遺構は検出されませんでした。
 調査中の遺物の出土状況・周辺調査から、荒神社背後の尾根部に
関連遺構の存在が予想されます。

[猪ノ子第2号古墳について] 
 周辺調査により、奥壁と考えられる石材から6~8mの尾根部に
凹地を確認し、直径12~16mの円墳の可能性が考えられます。

[猪ノ子第1号古墳について]
 幅約5m・深さ0.3~1mの周溝がおおよそ古墳の中心から約9.5m~14mの地点を取り巻くように、掘削されているのを確認。

 古墳は、山から延びる丘陵先端部を大きく削平し造成した平坦面
に、周溝・内部主体部(羨道・石槨)・墳丘を設けている。

 周溝の東から北側に幅2m前後の平坦面も残るようです。

 今回の調査から墳丘の直径は、19mを測り備後地方の終末期古墳の中では、最大級の古墳と判明した。

 また、「横口式石槨墳」は、飛鳥地方に多く存在し、それ以外の地として、備後地方の存在が知られている。


【猪ノ子古墳 案内板】


【現地説明会風景】


【猪ノ子古墳墳丘の状況(東より)】


【猪ノ子古墳 石室上部発掘状況 西より】


【猪ノ子古墳 石室上部発掘状況】


【猪ノ子古墳 石室上部 左側部分】


【猪ノ子古墳 石室上部 右側部分】


【墳端・周溝部分発掘状況】



【墳端・周溝部分発掘状況】

 
 墳丘の盛り土については、今回の調査で古墳構築時の盛り土では無く、かなり近い時代に盛り土をした形跡を確認されている。

 また、『広島県文化財解説図録(昭和54年)』によると、
「(前略)墳丘の形態・規模とも原形をとどめるものではない。(後略)」

 と記載されていて、早い時期から墳丘の形態は、
後の世に改変されていた事が、知られていた。

(概略報告 福之山鳳来記)
 尚、本文中の記載記事は、当日配布された「現地説明会資料」
を用いた。(図面も含む)

【猪ノ子古墳 位置図】


【発掘調査 関係図】




【石室図】

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