Net & TV News Impression 2

ネットやテレビのニュースネタでストレス解消 └("O")┘

政治不信の根幹がここに? 地方議員の「本当の給料」と市民の不満

2016年04月09日 20時55分33秒 | 日記
いま、2016春闘が盛んだが、安倍首相が賃上げ、ボーナスアップを経済界に直談判した割には渋い回答が並ぶ。

“中小の賃上げが大手を初めて上回った”とニュースは伝えるが、ベースアップの額をみると、1100円から1200円といったところ。これが日本経済の現状である

ところが、別世界のようなところがある。名古屋市議会がこの3月、自らの議員報酬を年額800万円から一気に1455万円へ650万円も値上げする「条例」を可決した(82%アップ)。

■名古屋だけ異常に安いという理由で
一般の勤労者にどう映るだろうか。しかも、委員会審議もせず、いきなり本会議で強行に採決するという強引な決定である。

河村たかし市長は拒否権を発動し「再議」に付すとしているが、自民、公明、民主の「値上げ賛成派」が3分の2の多数を占める議席配分からして再可決の可能性が大だ。議席数で議員報酬が決まる、これでよいのか。

5年前まで1633万円であったものを、河村たかし名古屋市長がリードし、市民の直接請求により市議会解散にまで発展した、あの「名古屋の乱」。

それを経て報酬半減を決めた経緯からして、今回の奇襲とも思われる条例改正が“民意”なのか。少なくも昨年4月の市議選の際「報酬増額」を公約し当選した者はいない。地方民主主義は崩壊していないか。

「議員の議員による議員のための値上げ」という批判に賛成議員はどう答えるのだろう。

増額派は「元に戻したまで」と公言するが、それなら5年前、議会解散後の新議会で全会一致により「報酬半減条例」で決めた議会の機関意思はどこに行ったのか聞きたい。

言い分として20政令市の中で、名古屋市が異常に安いので平均値に戻しただけとの声が聞こえるが、そもそもこの平均値は誰がどのようにして決めたのか。

しかもそれに並ぼうとする横並びの発想に根拠はあるのか。

■ニューヨーク市議の報酬の決め方がいい
選挙で選ばれた議員の報酬は、本来選んだ市民が決めるべき事項だ。客観性を担保する意味で専門家による特別職報酬審議会の答申を受ける仕組みだが、今回その手続きも踏んでいない。

議員らの議会改革推進協議会なるインナーサークルで議論してきた。「生活が苦しい」「他都市に比べ低すぎる」との結論を受けての強行突破。

もともと日本の地方議員の報酬は高止まりの感を否めないが、例えば、諸外国はどうか。

名古屋市と人口数が似ているアメリカのシカゴ市では850万円、ヒューストン市で442万円、フィラデルフィア市で800万円、フランスのパリ市は600万円である。これに対し、名古屋市議は2倍以上の報酬額であるという訳だ。

世の中はどうか。勤労者一般は、厚労省の世帯所得調査(2014年)によると、1600万円以上は2.3%、800万円以上でも20.0%に過ぎないとわれる。名古屋市議の報酬は、民間で働く一般の感覚でいうと「2%の金持ち集団」に入ることを意味する。

そうあっていいのか、これは市民に聞くべきではないか。ここは高い安いの水掛け論争を繰り返すのではなく、ひとつの理論的根拠をつくったらどうか。

例えばニューヨーク市では、市議の報酬は政治リーダーの職務と地位に敬意を表す視点から勤労者の平均所得の上位20%のランクを望ましい報酬額としている。

日本円に換算すると1000万円ぐらい。この考え方が一つのメルクマールになるのではないか。

いま日本には47都道府県、790市、928町村(745町、183村)、23特別区の1788自治体があり、そこで働く地方議会の議員数は3万3438名だ。内訳は都道府県2613名、市区1万9576名、町村に1万1249名の議員(2015年)。

■東京都議はボーナスふくめて年1600万円
この人達に支払われる議員報酬は、全国790市の平均で月額41.8万円、人口50万人以上の市は平均70.74万円、5万人未満は平均32.78万円となっている。

ただ同じ5万人未満でも地域差が大きく44.2万円から18.0万円、50万人以上でも50.0万円から政令市など100万都市で95.3万円に達する(2014年末)。

町村議の場合、平均人口は1万3千人で月額約21万円だ。ちなみに町村長の平均給料は68万5千円だから、議員は町村長の3分の1の支給額(同)。都道府県議の場合、全国平均で月額80万円。

なぜか、県議80万、市議40万、町村議20万円と2分の1、2分の1の法則が見えるが、これは偶然ではなかろう。それとも働きぶりにこれだけの差があるのか。

議員の場合、非常勤特別職とはいえ、ボーナスも出る。例えば、東京都議の例だと、議員数は127名、その待遇は月102万円の報酬と年2回のボーナスで年俸約1600万円。

これに政務活動費が年間720万円加わり、国会議員並みの待遇にある。ただ、その働きぶりとなると、都民の多くは知らないのではないか。

■政令市議は、1日働いて17万円!?
ともかく、地方議員の待遇は、一般住民からすると常勤議員と変わりない待遇に見えよう。議会関連の実働日数は都道府県議で年間85日、市区議会議員で80日、町村議員で41日程度(2013年現在)。報酬とボーナスを加えた年俸を単純に議会活動の日数で割ると、県議で日額15万円、政令市議で17万円、一般市議で8万円、町村議で7万円ともなる。

こうした報酬が適正かどうか、一般の人たちはどうみるだろうか。もちろん、議員の言い分は他の政治活動も多く、大変多忙で収入は少ないと嘆く議員も少なくない。

このミスマッチ、住民からの目と議員の言い分をどこで調整し、大方が納得のいく数値を生み出せばよいだろうか。その点、名古屋の一件は多角的に検討してみてよい。

いずれにせよ、少なくとも先にリコールの洗礼を受けた名古屋市議の報酬は、議会対市長の戦いではなく、議会の可決した改正案を住民投票にかけてオーソライズしたらどうか。そうするなら、名古屋の乱は日本の地方議員の報酬の決め方に一石を投じたことになる。

■アメリカは10万都市で7~8名
地方議員の報酬が高い、数が多いという不満は全国に充満している。しかし、高いか安いか、多いか少ないかの議論の根拠がはっきりしない。

議員定数の根拠は明治半ばの県会,市会、町会、村会が発足した時のもの。当時、プロシア(ドイツ)の定数例を参考に決めており、戦後それを法律で追認してきた経緯しかない。これも現在、法定制が廃止されているので、もはや何も根拠はない。

そもそも「ウチの地域に何名の議員が必要か」を全く議論しないまま、あっという間に70年が過ぎたのが日本。10万都市で100名程度の議員を置くイギリスと7~8名程度でやっているアメリカとどちらが望ましいか。

これ自体、国情の違いから二者択一など意味がないかもしれないが、報酬問題と定数問題は連動している。イギリスの場合、議員数は多いが、議員報酬はなく、交通費等の実費弁償が一般的で土日夜間議会が多い。生活費は普通に会社などに勤めて得ている。

地方議員は非常勤特別職公務員という身分だ。議員の報酬は「給与」とは違う。一般職公務員のように、フルタイムで働き生活給の保障の色彩が強い「職員給与」と違い、その役務(サービス)の対価として支払われるもの。

その性格は身分報酬ではなく、労働報酬だ。本来、報酬は勤務日数に応じて支払われる「日当」の性格をもつ。

ただ、戦後報酬の支払い方について法規定がなかったこともあり、各自治体は条例で支給方法を決めた。月極めで支払い、そのうち、常勤の国会議員と同じようにボーナスまで出るようになったのは、前述の通り。

町村議で平均3.5ヵ月、政令市、県議で約5ヵ月の支給額。これによって、ますます生活給ではないこととの整合性がとれなくなっている。

もともと生活給の考え方を取っていないのに、報酬額は勤務日数と関わりなく、月額で支払われる。地方議員に期末手当(ボーナス)も出る。最近は国会の立法事務費に準じた政務活動費も出るようになった。

だが、待遇に対し多くの市民は納得していない。政治不信の根幹がここにあろう。加えて、号泣議員、セクハラ議員、暴力議員など地方議員の不祥事も目立つ。

地方政治に無関心、議員のなり手がないなど、日本の地方民主主義は深刻な危機に立つ。この解決の道を探らずして何が地方創生か。どうすれば再生できるか。

いずれ選挙に行く、投票所に行くことがまず先決。その気迫を有権者すべてが持つなら、報酬等に関する議員のワンマンショーも広く監視の目にさらされる。

高く払うならもっとよい働きぶりを! 数が多いなら思い切って議員数の大幅削減で質を上げよう。

住民は不満だけを言っていても何も変わらない。選ばれる政治リーダーのレベルは有権者のレベルで決まる、この法則を私達は忘れず、行動すべきである。

佐々木信夫(ささき のぶお)
中央大学教授、法学博士。大阪副首都推進本部特別顧問。1948年岩手県出身。早稲田大学卒業、早稲田大学大学院政治学研究科修了、慶應義塾大学法学博士取得。東京都庁勤務を経て、94年から中央大学教授、現在に至る。2000年~01年カリフォルニア大学(UCLA)客員研究員。慶應義塾大学、明治大学、日本大学各講師。現在、政府の地方制度調査会委員、日本学術会議会員、大阪府・市特別顧問など兼任。専門は、行政学、地方自治論。著書に『人口減少時代の地方創生論』(PHP)、『新たな日本のかたち』(角川ssc新書)、『東京都政』(岩波新書)、『日本行政学』『現代地方自治』(学陽書房)、『都知事―権力と都政』(中公新書)、『道州制』(ちくま新書)など多数。テレビ、新聞、雑誌などのコメント、地方各地での講演も多数。近著『地方議員の逆襲』(現代新書)では、地方創生のための地方議員、地方議会制度の大胆な改革案を提言して話題に。

こんなぼろ儲け報酬を得ているのは国会議員も同じ!
それでも満足せず、政治資金を適当な領収書でちょろまかして私的流用は当たり前!
そして舛添都知事のように豪遊海外旅行!
一般人のバブルは1990年代に終焉しているが政治家のバブルはいまだに続いている!
自分の給料を自分で決められる会社などあっという間につぶれてしまうのに、国債のような無限ループの借金を悪用すればそれもない。
日本ほどの役人天国の国は他には賄賂バンバン中国共産党ぐらいのもんだろう。