つれズレ愚抄

つれ：「風前の灯火となってる屋上遊園地がまた一つ消えて、残るは全国で４カ所コッキリなんだってさ」

ズレ：「昔はどこのデパートもビルの屋上には遊園地があって当たり前なくらいだったのに、いつの間にやらすっかり様変わりしちまったわな」

つれ：「もともと客寄せが目的で採算は度外視してたんだろうし、デパート本体の屋台骨も危うくなりゃ維持費が嵩む施設から廃止されるのは必然だろうねぇ」

ズレ：「家族でデパートに出掛けて屋上の遊園地と食堂のお子様ランチてな休日風景の定番は、既にお伽噺の中だけになったみたいだぜ」

つれ：「こちとらが幼少の砌にはそれくらいしか人工の娯楽がなかったけど、今のお子さんは屋内に居ても娯楽のタネは選取り見取りだからねぇ」

ズレ：「家に籠もった家族がそれぞれスマホゲームに宅配ピザなんてのが、当世スタンダードな休日風景かもなぁ」

つれ：「コロナと共に流行ったデリバリーも、人手不足で風前の灯火なんじゃないかぃ・・」

つれ：「プーチンさんの大統領就任式に合わせたように、ロシアさんが糸を引いたゼレンスキー大統領暗殺計画が露見したねぇ」

ズレ：「徹底抗戦の旗頭だけに、ウクライナ戦争勃発以来陰に陽に的に掛かってるみたいだぜ」

つれ：「ゼレンスキーさんの警護に当たる部署の大佐が抱き込まれたとなると、ますます身辺が不穏だねぇ」

ズレ：「暗殺に大佐と聞くと、ヒトラー暗殺未遂のシュタウフェンベルク大佐を連想しちまうわな」

つれ：「あれは連合軍が裏で手を回した訳じゃなく、負け戦の惨禍から一刻も早く祖国を救おうとしたんだから動機に大きな違いがあるだろうに」

ズレ：「ウクライナがいよいよ敗色濃厚となれば、同じように救国の情に駆られる動きが出ないとも限らないんじゃねぇか」

つれ：「よもやそんな状況を糊塗すべく、ロシアさんの差し金に見せかけたなんてこたぁあるまいけどさ・・」

つれ：「ガザ停戦の見通しが立たないなか、アメリカさんがイスラエルさんへの弾薬供給を止めるらしいよ」

ズレ：「これ以上ケツ持ちを続けてると後ろ指を指されるてぇ風向きを感じ取ったんじゃねぇか」

つれ：「早いとこ手打ちにならないかと世界中が望んでるのに、イスラエルさんはハマスであろうとなかろうとガザを根絶やしにする勢いだからねぇ」

ズレ：「在米ユダヤ勢力の手前それでも支持のポーズは崩せないけど、鉄砲玉は送らないってのをせめてもの免罪符にしたいんだろうよ」

つれ：「その分をウクライナに回すんでとか言い訳すりゃカドも立たないてぇ寸法かぃ」

ズレ：「実際ウクライナさんにならどれほど肩入れしてメイドインUSAの弾で犠牲が出ようと、アメリカさんが悪者にされる心配は無用だぜ」

つれ：「かなた使わせないほどこなた使わせるほど株が上がるとなると、弾一粒で二度オイシイってもんかねぇ・・」

ズレ：「アメリカじゃバーベンハイマーてな抱き合わせ上映だったのを本邦は原爆てぇテーマを慮って同時公開を見合わせた曰く付きの作品も、アカデミー賞に輝いたからには公開しない訳にはいかないってことかようやく日の目を見たのが何よりだわな。

　かねてドキュメンタリーで広く伝わるオッペンハイマー博士の業績行状のうち原爆開発に触れるのは当然ながらストーリーの中心は先端科学を借景にした政治的暗闘に置かれてる趣で、博士の心象風景に沿って時制が行き来する長尺の大作がモノクロの多用で一層重厚な雰囲気になってるんじゃねぇか。

　米国に原爆肯定論があるのは映画にも描かれてるけど否定論一色の本邦の視点とすりゃ原爆・情報漏洩・赤狩りと重苦しい題材ばかりだから、本来がその渋味を中和する甘味がバービーだとすりゃ日本でも抱き合わせ公開してればバービーの興行収入が伸びたかもしれねぇぜ」

つれ：「今度は唐十郎さんの訃報が続いて、陽気どおりに春から夏への季節変わりを感じさせるねぇ」

ズレ：「おそらく演劇が一番熱を帯びてた時代にご活躍で、高齢世代には往時の武勇伝が印象深く刻まれてるだろうよ」

つれ：「あの頃のアングラ芝居は今ならさしずめ地下アイドルてなとこかぃ」

ズレ：「ってぇか歴史的には社会運動の一部みたいに整理されるかもしれねぇぜ」

つれ：「演じる方だけでなく、観る方にも冒険を好んで変革を求めるようなエネルギーが渦巻いてたよねぇ」

ズレ：「当時はそれを表現する手立ても限られてたから、津波が狭い湾に押し寄せる如く世の関心も高まったんじゃねぇか」

つれ：「参加型の表現方法が多彩になってエネルギーが分散するにつれそれぞれにオタク化してきたとすると、歴史的には花園神社の紅テントがオタク発祥の地ってことになるのかもねぇ・・」

つれ：「遅すぎると言われつつも、円安にブレーキを掛けるべく政府日銀さんは躍起になって介入してるようだねぇ」

ズレ：「株の仕手戦どこじゃない大河のような為替相場の流れは、遅かろうと早かろうと変えられるもんじゃねぇやな」

つれ：「無尽蔵の資金が流入する市場に対しちゃ、元手に限りのある政府筋の負けは必至だからねぇ」

ズレ：「マクロ的には通貨水準がどうなろうと差し引き損得なしなんだから、そこまでムキになることもあるめぇよ」

つれ：「ミクロ的には損する側と得する側がはっきり分かれるから、おカミとすりゃ円安で損する側の手前何もしないって訳にはいかないんじゃないのかぃ」

ズレ：「日米金利差だけが原因ならまだしも、根底には国際情勢不安由来のドル需要があるとすりゃどのみち焼け石に水ほどにもなりゃしねぇぜ」

つれ：「日々戦乱のニュースが流れる中じゃ、公称軍隊がない￥よりは腐っても鯛の米軍を擁する＄を握っていたいのが人情ってもんだろうねぇ・・」

つれ：「卒寿を超えてなお聴衆を感動させたフジコ・ヘミングさんも、あやかりようのないお見事な生涯現役だよねぇ」

ズレ：「訃報に触れて、激動の人生を鍵盤に乗せたように心を揺さぶるカンパネラのフレーズが耳に浮かんだ方は数知れずだろうよ」

つれ：「ピアノだけで奏でられる旋律が、素人耳にも鳴り続く鐘の音として響きわたったもんねぇ」

ズレ：「おそらくは西洋の鐘の音色に馴染んだお生まれやお育ちもあって、ひときわ情感豊かな表現になったのかもしれねぇぜ」

つれ：「それはそれなりに染み渡るものの、日本の梵鐘じゃメロディにならないしねぇ」

ズレ：「打った音を聴く西洋に対して、撞いた後の余韻を長く味わうのが本邦の侘び寂びってもんでぃ」

つれ：「手拍子は前ノリの一丁噛みな日本人も、感興は一呼吸置いた後ノリってことかぃ・・」

つれ：「片仮名のウェディングそのものとも言える桂由美先生は、直前まで生涯現役の９４年に及ぶ大往生だったねぇ」

ズレ：「ウェディングストレスを日本に浸透させた立役者として、服飾史上も時代を画してるわな」

つれ：「白無垢や色打掛はまだ現役でも、さらに先立つ留袖の花嫁衣装が記憶にある方は少なくなったろうねぇ」

ズレ：「専用の式場も満足になかった頃の祝言風景は若い方には想像もつくめぇなぁ」

つれ：「出で立ちこそ異なれど、近頃の地味婚てなぁその頃に回帰してるんじゃないかぃ」

ズレ：「今のはバブルと共に華美を競った反動で、そもそもモノが無かった時代とは趣が異なるんじゃねぇか」

つれ：「昔は物が少なくとも人の縁に溢れてたけど、物が溢れる今は人間関係を少なくしたいのかもねぇ・・」

つれ：「タイガー・ジェット・シンさんに旭日双光章たぁ、おカミもイキなはからいをなさるねぇ」

ズレ：「年齢的にサーベルを咥えたヒールぶりが瞼に焼き付いてる方が、叙勲を決めるお偉方になったんじゃねぇか」

つれ：「リングを降りてからはカナダで慈善団体を運営してて、東日本大震災の折には義援金が送られてきたのが顕彰されたみたいだよ」

ズレ：「外人レスラーとしちゃデストロイヤーさんミル・マスカラスさんに続く３人目にして覆面がとれた按配だわな」

つれ：「素顔でもターバンを巻いてらっしゃるし、叙勲関係者は存外にコスプレがお好みなのかねぇ」

ズレ：「となれば次はスキンヘッドでもユニークなコスチュームだったアブドラ・ザ・ブッチャーさんのお名前も拝みたいもんでぃ」

つれ：「来日の折には老人ホームを慰問されてたそうだから、猪木選手と因縁深いシンさんとくれば馬場選手と因縁浅からぬブッチャーさんも叙勲しないと片手落ちってもんかぃ・・」

つれ：「衆院３補選全滅でヤケクソ解散でもあるかと思いきや、岸田さんはむしろ解散はしないと依怙地になってるみたいだよ」

ズレ：「そうは言っても政界の一寸先は闇だけに、そう見せかけて騙し討ち解散がないとも限らねぇぜ」

つれ：「東京長崎は候補すら立てられず唯一立った島根は討ち死にてな補選の状況からして、総選挙に打って出ても惨敗は必至だろうに」

ズレ：「座して死を待つ籠城策よりも、勝ち目は薄くとも三方ヶ原の野戦に臨んで意地を示す家康公のような選択肢もあらぁな」

つれ：「脱糞しつつも逃げ仰せたからこその江戸幕府で、血気に逸って信玄公に討ち取られてたらそれまでだったんだしさ」

ズレ：「或いは解散の時機を失しても今に権勢を継いでる麻生さんの顰みに倣うつもりかもなぁ」

つれ：「麻生さんの時ほど野党勢力に支持はなさそうだし、剛健で滅亡した武田勝頼路線より柔弱に見えて累代の地保を築いた今川氏真路線の方が得策っぽいよ・・」