オンライン句会入賞発表

■水煙発行所主催■

3月句会ご挨拶とお礼

2007-03-18 10:20:15 | 3月句会
■□3月句会ご挨拶/高橋正子(オンライン句会副主宰)
今日の横浜は朝からお彼岸らしい気持のよいお天気になりました。このところの冷え込みも幾分やわらいだように思えます。桜もまもなく咲き始めることでしょう。ご多用の中、オンライン3月句会にご参加くださいまして、投句、選、コメントにいたるまで、ありがとうございました。早春の明るい句に出会い気持がリフレッシュでき、あすからの元気をいただきました。

主宰の信之先生、また句会の作業等を担当くださいました、多津子さん、有花さん、虹玉さん、大変お世話になり、ありがとうございました。今月の特別選者として、野田ゆたかさん、おおにしひろしさん、祝恵子さん、志賀たいじさん、選句とコメントをありがとうございました。これでオンライン3月句会を終わります。また、来月をたのしみにご健吟ください。

■□3月句会ご挨拶/池田多津子(管理・集計)
今朝は冷え込みましたが、今日の愛媛も暖かな彼岸の入りとなりました。3月句会には、44名の方の投句、そして、そのほとんどの方に選をいただき、ありがとうございました。入賞の皆様、おめでとうございます。年度末を迎え何かとご多忙の方もいらっしゃることと思います。これから一日一日と暖かくなってくると思いますが、皆様お元気でお過ごしください。
 3月句会は、高橋信之先生、正子先生のご指導のもと、多田有花、臼井虹玉、池田多津子の3人のチームでお世話いたしました。

3月句会入賞発表①

2007-03-18 10:18:10 | 3月句会

■3月句会
□2007年3月18日

【金賞】
★男らの胸まで浸かり蓮を植う/宮島千生
蓮は、泥田や浅い溜池などに植えられる。乾かないことと、日当たりがよいことが条件なので、自然深い泥に植えられる。胸辺りまで泥に浸かって植える仕事は、やはり男の仕事といえる。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★丘一つ芽立ち始めし木のいろに/おおにしひろし
なだらかな丘であろう。丘全体が芽吹き染めた木のいろとなって、やわらかな早春の景色をなしている。「丘一つ」がいい。(高橋正子)

★波間よりざばと若布の抱かれ来る/池田多津子
若布を海から今採ったところ。一抱えの若布を波間から採って現れた。海は静かなようでも、春先の風に波立っている。たくましい海辺の生活が知れる。(高橋正子)

【銅賞/4句】
★その先に水のまぶしさ犬ふぐり/藤田洋子
犬ふぐりが咲いている先には、川が流れているのか、きらきらとした池があるのか。反射する水の光りがまばゆいほど。犬ふぐりの青と水の取り合わせが清潔。(高橋正子)

★菜の花を残して畝の新たなる/碇 英一
菜の花は今まっさかり。そこを残して、ほかは耕され、新しい畝が作られ、植えものの準備が調った。菜の花は種を採るためかもしれないが、そこに咲かせたままにする気持がやさしい。(高橋正子)

★新刊の図書を抱きて春風に/多田有花
新刊の図書には、本の匂いがして、これから読もうとする気持を高めてくれる。買い求めた新刊書をもって、春風のなかにいることは知的なよろこび。(高橋正子)

★退院の日は雑踏の春であり/中村光声
退院となった日に、雑踏を歩いてゆかねばならなかった。静かな入院生活から、一度に明るい雑踏に踏み出した戸惑いが、「雑踏の春」を眩しんで詠まれた。(高橋正子)


【高橋信之特選7句】
★燦々とミモザ溢るるガラス越し/池田加代子
「燦々と」に作者の実感がある。「ガラス越し」であれば、それは生活の実感で、嘘のない句。 (高橋信之)
部屋からガラス越しに見えるミモザは、外の直接の光りで見るのと少し違って、「燦々と」輝いて見える。それを捉えて感覚がいい。(高橋正子)

★地下茎を深く沈めて葦芽ぐむ/藤田洋子
★新刊の図書を抱きて春風に/多田有花
★丘一つ芽立ち始めし木のいろに/おおにしひろし
★波間よりざばと若布の抱かれ来る/池田多津子
★男らの胸まで浸かり蓮を植う/宮島千生
★菜の花を残して畝の新たなる/碇 英一

【高橋正子特選7句】
★ふらここの夜には夜のたたずまい/臼井虹玉
ふらここは、ブランコ。昼間は子どもたちに楽しげに揺られていたのに、夜は静かに垂れて動くこともない。ひとつのブランコが昼は昼の、夜は夜のたたずまいであることの発見がある。(高橋正子)

★その先に水のまぶしさ犬ふぐり/藤田洋子
★新刊の図書を抱きて春風に/多田有花
★丘一つ芽立ち始めし木のいろに/おおにしひろし
★波間よりざばと若布の抱かれ来る/池田多津子
★退院の日は雑踏の春であり/中村光声
★男らの胸まで浸かり蓮を植う/宮島千生


【野田ゆたか特選7句】
★電車の音遠くに聞いて朝寝かな/多田有花
寝心地のよい今の時期、遠音を聞きながらうつらうつらされている作者。暖かな穏やかな景が広がってきて好きな句です。(野田ゆたか)
 
★菜園の手許離れぬ紋白蝶/渋谷洋介
★辛夷咲く伊予路しずかに日が暮れて/おおにしひろし
★ものの芽の影育ちおり雑木山/大給圭泉 
★そこにだけ明るき光菫草/古田けいじ
★舟唄や霞の下を最上川/阿部昭
★願いつつ初蝶に遇いし嬉しさよ/大山 凉

【おおにしひろし特選7句】
★御空よりひかり零して初蝶来/中村光声
初蝶が陽光の中で飛んでいる。中句が蝶を見た喜びと共に、春の到来を感じ取った作者の実感を強めた。(おおにしひろし)

★自由という高さに舞えり春の鷹/古田けいじ
★波間よりざばと若布の抱かれ来る/池田多津子
★入学や節目ふしめに撮る写真/湯澤まさえ
★春泥に幼なき思い踏んでみる/志賀たいじ
★旅立つ子見送る駅舎なごり雪/大山由起
★角の無き男鹿ひっそり竹の秋/安丸てつじ

【祝 恵子特選7句】
★波間よりざばと若布の抱かれ来る/池田多津子
海の中よりざばざばと現れる、若布を抱き滴らせながら、力強さに惹かれます。(祝 恵子)

★供花挿してしばし鶯聞く山に/藤田洋子 
★春雷やくるりと廻る紙飛行機/篠木睦 
★ふくらみそむはなのつぼみのなかやすみ/堀佐夜子
★海猫連れて流氷群の戻り来る/大山由起
★天籟とあるいしぶみが花の下/清水清正
★末黒野の若草山に萌ゆるもの/安丸てつじ

【志賀たいじ特選7句】 
★その先に水のまぶしさ犬ふぐり/藤田洋子
身近にある犬ふぐりの向うにある水のひかりへの透明感ある詠みに惹かれました。(志賀たいじ)

★ふらここの夜には夜のたたずまい/臼井虹玉
★丘一つ芽立ち始めし木のいろに/おおにしひろし 
★波間よりざばと若布の抱かれ来る/池田多津子 
★囀りに風来て風と去りゆける/高橋信之
★角の無き男鹿ひっそり竹の秋/安丸てつじ
★菜の花を残して畝の新たなる/碇 英一

▼伝言などは、下の<コメント>にお書きください。

3月句会入賞発表②

2007-03-18 10:17:50 | 3月句会
■3月句会
□2007年3月18日

【入選Ⅰ/10句】
★初音聞くシーツ真白く干し終えて/黒谷光子
シーツを干し終えた時鶯の初音が何処からともなく聞こえた。春の光が満ち満ちて、幸せな朝。真白の措辞が効いている。(古賀一弘)

★啓蟄の土にきのうの雨の色/矢野文彦
きのうの雨で、大地は黒々としてやわらかい。啓蟄という日への思いの感じられる御句だと思います。(臼井虹玉)

★茶畑の高さを山の風光る/あみもとひろこ
山の斜面に作られた茶畑、丸く刈り取られた茶の木の並びに春の日差しがあたり、おおらかな明るさを感じさせてくれます。(多田有花)

★真っ先に明るさとなる花菜かな/木村 修
春の特徴はなんといってもその光のまばゆい明るさ。中でも花菜の眼の覚めるような黄色を見るとき、その思いを強くします。「真っ先に」という言葉に作者の喜びがあふれています。(多田有花)

★卒業式門出に降りし初の雪/飯島治蝶
暖冬異変の今年でしたが、ようやく春になっての初雪。まるで教え子たちの門出に間に合うように降ってくれた雪に、作者の万感の思いが重なっています。(多田有花)

★ものの芽の影育ちおり雑木山/大給圭泉
冬の終わりごろ、枯一色だった雑木山も春が進むにしたがい少しずつ、本当に少しずつ色の変化が現れています。(多田有花)

★パンジーを水に浮かせて玄関に/祝 恵子
レストランでテーブルにお花だけを入れたボウルが出されていることがあります。パンジーのカラフルな花びらの色が目に浮かびます。さらりと詠まれて素敵な句です。(多田有花)

★そこにだけ明るき光菫草/古田けいじ
菫はほんとうにこういう雰囲気を持っています。光を集めて山路に咲いている、そんな印象です。(多田有花)

★川瀬行くいたどり紅く土を割る/丸山草子
川沿いに歩いていて、いたどりが芽を出しているところを目にされたのでしょう。春を感じますね。細やかな観察が生きた句です。(多田有花)

★辛夷咲く空を木立をカンバスに/笠間淳子
白い辛夷の花が青空を背景に咲きそろいました。花の色、空の色が眼前に浮かぶような印象を受けます。(多田有花)

【入選Ⅱ/20句】
★野火走り半鐘乱打や草千里/古賀一弘
広々とした野の枯草を焼く。中七に燃え広がる勢いがある句です。これからが、本格的な春。作者の春らしい春を待つ気持ちが伝わってきます。(飯島治蝶)

★草餅やローカル線の親子連れ/阿部 昭
のんびりと走るローカル線の車内で草餅を食べる親子連れに家族の温かみを感じます。(高橋秀之)

★春の花舗色とりどりの野の様を/藤田裕子
★あたたかやゼンマイ時計正午指す/甲斐ひさこ
★きらめきて大き蛇行を春の川/松原恵美子
★堤防の花菜燃え立つ筑後川/國武光雄
★菜園の手許離れぬ紋白蝶/渋谷洋介
★花菜の黄絵の具流れて宵の酒/小河原銑二
★朝の間の雨は続かず暖かし/野田ゆたか
★地虫出でコンクリートへ濃ゆき影/尾 弦
★新聞の片隅飾る梅便り/高橋秀之
★雪柳風に吹かれて花こぼす/堀佐夜子
★野も丘も春光溢れコッツウオルズ/河野渓太
★子らの声土捏ね繰りて水温む/滑川けい子
★大三角の星座きらめき春の空/湯澤まさえ
★天籟とあるいしぶみが花の下/清水清正
★春寒や風にさからい地虫出づ/吉川豊子
★末黒野の若草山に萌ゆるもの/安丸てつじ
★春の夜に波の音のみ聞こえけり/友田 修
★黄の風の高きに揺れて竹の秋/大山 凉

▼伝言などは、下の<コメント>にお書きください。

選者詠

2007-03-18 10:17:25 | 3月句会
■選者詠/高橋信之
★春浅き声を残して子ら去りぬ
★寺苑ひろびろ空に桜の芽を散らし
★囀りに風来て風と去りゆける
生命の繁殖期を告げる小鳥の囀りが、一陣の風と共に去ってしまった。新しい場所を求めてか、作者の心象風景が重なる。(中村光声)

■選者詠/高橋正子
★大樹なる藪の椿の紅ほしき
★囀りのサムシサムシと高枝に
★諸葛菜摘み帰りては濃むらさき

互選集計結果報告/3月句会

2007-03-18 10:17:06 | 3月句会
■互選高点句/池田多津子集計

17点 波間よりざばと若布の抱かれ来る/池田多津子
12点 その先に水のまぶしさ犬ふぐり/藤田洋子
10点 男らの胸まで浸かり蓮を植う/宮島千生
 8点 丘一つ芽立ち始めし木のいろに/おおにしひろし
 8点 春泥に幼なき思い踏んでみる/志賀たいじ
 8点 児らが皆ガリバーとなる蝌蚪の池/宮島千生
 8点 菜の花を残して畝の新たなる/碇英一
 7点 新刊の図書を抱きて春風に/多田有花
 7点 自由という高さに舞えり春の鷹/古田けいじ
 7点 舟唄や霞の下を最上川/阿部昭


選句箱

■3月句会/3月18日(日)のご案内■

2007-03-13 09:32:44 | 3月句会
投句箱
※投句は終了しました。

▼ご投句、ご選句は、下記の要領で、お願いします。
★投句①:3月17日(土)、句会前日の午後6時までに投句箱へご投句ください。
★投句②:当季雑詠3句。3月句会は、春の句です。
★投句③:[投稿者欄]には、仮に英字(ABCなど)を一字か二字お書きください。作者の氏名はお書きにならないでください。 [題名欄]は、「投句」とお書きください。 [メール欄]には、水煙ネットに登録のアドレスをお書き込みください。アドレスのない投句は、削除されます。

★選句①:投句箱に書き込まれた句のなかから、あなたの好きな句を7句選んで、その番号だけを書き込んでください。
★選句②:3月18日(日)午前6時から正午までに選句7句を書き込んでください。コメントも(一句)お書きいただければ、幸いです。
★選句③:[投稿者欄]には、ご自身のお名前を、[題名欄]には、「選句」とお書きください。

★発表①:午後3時から入選句を発表しますので、入選句の作者名をお知らせください。
★発表②:午後4時の最終発表で、オンライン句会は終わります。金・銀・銅賞には、後日賞品が送られます。楽しみにして、お待ちください。

■主宰: 高橋信之
■選者: 高橋正子
■事務局:臼井虹玉
■ITスタッフ: 池田多津子・多田有花

NPO法人水煙ネット事務局

■□3月句会ご挨拶/高橋正子(オンライン句会主宰)

2006-03-11 22:05:02 | 3月句会
■しばらく続いたお天気も今日はしずかな雨でした。まもなく雨もあがりそうな気配です。オンライン句会はネット上の句会ですが、今月は特に、皆様に「句会にお集まりいただいた」というのが実感です。一月ぶりに句会にお顔を見せていただいたという嬉しさがあります。入賞の皆様おめでとうございます。今月は早春の、そして早くも花の句などがあって、確実に春になっていることが窺えました。ご多用の中、オンライン句会にご参加いただき、楽しいひと時を過ごさせていただきました。互選とコメントなど、いろいろありがとうございました。お礼を申し上げます。これで、オンライン3月句会を終わります。(2006年3月12日)

今月は、高橋信之・池田多津子・臼井虹玉・高橋正子の4人のチームでお世話をいたしました。


■3月句会全作品
http://www.suien.ne.jp/0001/online/k0603z.htm

■投句選句箱
http://6802.teacup.com/suien/bbs


▼伝言などは、下の<コメント>にお書きください。

3月句会入賞句/金・銀・銅賞

2006-03-11 22:03:30 | 3月句会
【金賞】
★残る鴨みずから生みし輪の芯に/かわなますみ
「残る鴨」なので、みずからが生んだ輪の中心にいるという事実が生きる。温んだ水が、しずかに輪を描き、その中心にいる鴨に、独りでいる意思が読み取れる。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★地虫出づ空青々と雲もなく/大山 凉
啓蟄のすがすがしさと、はれやかさが読まれている。真青な空に、一片の雲もない。広々とすがすがしいこの世界に出てきた地虫が、これからのびのびと生きていけると世界があると嬉しい。(高橋正子)

★全山に花揺れやまず匂いけり/尾弦
全山が花の山。その花が風を受けて、揺れ止まない。大きく揺れるときも、小さく揺れるときも、そこから花の匂いが漂ってくる。この季節の風の具合が全山の花をゆたかに動きのあるものにしている。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★先生と桃組さんは春の土手/甲斐ひさこ
幼稚園の子どもたちと、先生が春の土手で楽しんでいる光景。先生と子どもの原点のような風景で、「桃組さん」がとくにかわいい。(高橋正子)

★翳りつつ己がひかりを夕木蓮/宮地ゆうこ
この木蓮は白木蓮であろう。夕方、翳りながらも、おのずからの白い光りを失わない姿。地味なようだが、華やかな思いが胸に広がる句。(高橋正子)

★樹齢知らず万の芽抱く大公孫樹/渋谷洋介
樹齢は知らないがともかくも大公孫樹。その枝に万という数の芽が育ち、見事というほかない。圧倒される大公孫樹の芽吹きがたくましくも美しい。(高橋正子)


▼伝言などは、下の<コメント>にお書きください。

特選7句/3月句会

2006-03-11 22:02:20 | 3月句会
【高橋信之特選7句】
★桜ミモザ束ね山より下りてきし/高橋正子
日常の一齣を切り取った句だが、生活の拡がりがある。「桜ミモザ」は、山から来て、部屋を飾ってくれるであろう。日常の生活に詩がある。(高橋信之)

★先生と桃組さんは春の土手/甲斐ひさこ
先生と園児達が春の土手で、にぎやかに可愛らしいお花が咲いたようです。(石井秀子)

★残る鴨みずから生みし輪の芯に/かわなますみ
静かに池か濠に浮かぶ一羽の鴨を観察されている作者の姿が浮かびます。「みずから生みし輪の芯に」という表現はゆっくり広がっていく水輪とともに、幅広い想いを生んで深いものが感じられます。(岩本康子)
残り鴨の描く同心円の芯(中心)に自身が存在するという小さな宇宙観を感じます。(飯島治蝶)

★比良を背に菜の花明かりひろびろと/黒谷光子
近江平野に広がる菜の花畑が明るいですね。「朧月夜」の歌を思い浮かべます。(多田有花)
近江の美しい春がぱ~っと思い浮かび、好きな句です。(甲斐ひさこ)

★樹齢知らず万の芽抱く大公孫樹/渋谷洋介
★全山に花揺れやまず匂いけり/尾弦
★花の上に花咲き空の近くなる/池田加代子


【高橋正子特選7句】
★朝の日に影を伸ばして牡丹の芽/野田ゆたか
牡丹の芽が朝日を受けて影がすっと伸びている。芽を持つ牡丹の朝の影がしっとりとしている。(高橋正子)

★残雪の山間(あい)ぎっしり闇つまる/志賀たいじ
残雪の山と山の間は、ぴったりと隙間なく闇。残雪と闇との間に何もゆるさない自然が毅然としてある。(高橋正子)

★地虫出づ空青々と雲もなく/大山 凉
雲ひとつなく空青々と晴れた春の空だ、啓蟄の空である。作者は虫を見たであろうか、見なくともそうに感じただけでいい、「地虫出づ」の季語が活き活きしていて明るいこの句が好きです。(志賀たいじ)
地上に出た虫が見る大きく晴ればれとした世界、春となったよろこびがおおらかに詠まれていて、読むほどに味わいを深くします。(臼井虹玉)

★翳りつつ己がひかりを夕木蓮/宮地ゆうこ
夕暮れに咲く木蓮の静かな美しい趣の深さを感じます。(藤田洋子)

★いぬふぐり今年は今年の地図広げ/竹内よよぎ
花から少し離れて花の群れを見つめる作者。この花の状態を今年1年という大きな景に詠み上げられていて好きな句です。(野田ゆたか)
いぬふぐりの地面に広がっている様子を地図にたとえられたことが素敵です。(黒谷光子)

★残る鴨みずから生みし輪の芯に/かわなますみ
水輪のひろがりに残る鴨の姿が静かです。「みずから生み」「輪の芯に」は高潔な宇宙を感じます。(宮地ゆうこ)
自立して生きる強さ、人生観の深さに根ざす、作者の確かな目に感動し、感服いたしました。御句に接した後には、時々、輪の芯にいる茶色の、なぜか雄鴨が目に浮かんできます。感動をありがとうございました。(竹内よよぎ)

★全山に花揺れやまず匂いけり/尾弦


▼伝言などは、下の<コメント>にお書きください。

特別選者特選7句/3月句会

2006-03-11 22:01:11 | 3月句会
【おおにしひろし特選7句】
★翳りつつ己がひかりを夕木蓮/宮地ゆうこ
白木蓮の白さを夕照のなかで強調した情緒が素晴らしいと思います。(おおにし ひろし)

★荒地にも青き明るさいぬふぐり/竹内よよぎ
★雛舟の膨れし波にそっと乗せ/とくのあけみ
★木洩れ日を煌と点して名の椿/今村七栄 
★残る鴨みずから生みし輪の芯に/かわなますみ
★白木蓮一気に開く朝(あした)なり/岩本康子
★ロゼワインに少し酔いたる朧月/多田有花


【藤田裕子特選7句】
★生活の庭に桜を咲かせけり/高橋正子 
お花見もいいけれど、毎日の生活の場所に桜を咲かせるのもすてきです。地道な生き方をされて、平和をかみしめておられるように感じました。(藤田裕子)

★焼け熔けしロザリオ見れば春の雨/守屋光雅
歌「長崎の鐘」を思い出させる句ですが、もしかしたら旅先の句かも知れませんね。季語がしっかり付いていて、奥の深い句と鑑賞しました。(河ひろこ)

★翳りつつ己がひかりを夕木蓮/宮地ゆうこ
★残る鴨みずから生みし輪の芯に/かわなますみ
★朝の日に影を伸ばして牡丹の芽/野田ゆたか 
★囀りの天から降ってくる平和/高橋信之 
★比良を背に菜の花明かりひろびろと/黒谷光子


【大山 凉特選7句】
★翳りつつ己がひかりを夕木蓮/宮地ゆうこ
夕暮れの柔らかな光りの中の木蓮の白さがとても優雅ですね。(大山 凉)

★生活の庭に桜を咲かせけり/高橋正子
★一湾に波の綾なす春の潮/篠木 睦
★揺れるたび岸の芽柳日を返す/藤田洋子
★雛舟の膨れし波にそっと乗せ/とくのあけみ
★菜の花の鉄橋渡る一両電車/今村七栄
★残る鴨みずから生みし輪の芯に/かわなますみ


■オンライン句会特別選者は、過去に、以下の22氏にお願いしましたが、今回は、上記の3氏です。
藤田洋子・野田ゆたか(2回)・堀佐夜子・安丸てつじ(2回)・藤田裕子・古田けいじ(2回)・碇英一(2回)・おおにしひろし・祝恵子・霧野萬地郎・岩本康子・多田有花・守屋光雅・河ひろこ(2回)・平田弘・日野正人・志賀たいじ・篠木睦・臼井虹玉・池田多津子・黒谷光子


▼伝言などは、下の<コメント>にお書きください。

入選Ⅰ/3月句会

2006-03-11 21:59:05 | 3月句会
【入選Ⅰ/10句】
★せせらぎの落椿うけ流れ澄む/小川美和
この句はせせらぎの澄んだ川が落ち椿を受け止めたという感覚に惹かれました。(祝恵子)

★完走の後の大の字風光る/木村 修
長距離走を完走した。やり遂げた満足感。汗が乾いてゆく爽快感に光る風が眩しい。(ふるたけいじ)

★万華鏡を売る店たのし春の昼/臼井虹玉
★魚影濃き水は確かに温みけり/霧野萬地郎
★大の字に仰ぐ真青を鳥帰る/長岡芳樹
★目線にははくれんの花のふくらみ/祝恵子
★峠来て海の青さや藪椿/古賀一弘
★土手滑る子らの大声風光る/中村光声
★手いっぱいに土筆摘み取り肩車/河ひろこ
★菜の花の鉄橋渡る一両電車/今村七栄


▼伝言などは、下の<コメント>にお書きください。

入選Ⅱ/3月句会

2006-03-11 21:58:19 | 3月句会
【入選Ⅱ/20句】
★泥んこや牛舎の春が動き出す/志賀たいじ
牛の動きや牛を飼う人の動きまで生き生きと見えて来る句だと思います。(碇 英一)
凍てついていた牛舎の土が、春の訪れとともに泥濘だす状況を、「春が動き出す」と捉えたところが素晴らしい。(中村光声)

★囀りの枝から枝へ春を撒き/野本俊枝
下五の「春を撒き」の表現が御句を引き締めていて好きな句です。(篠木睦)
鳴き声の広がり春の訪れを撒くはいいですね。(大給圭泉)

★掌なお火照りありお水取り/中村光声
お水取りの興奮ときめき、「なお火照りあり」に惹かれました。(渋谷洋介)

★あっ!たんぽぽ!とサッカー少年二人過ぎ/古田けいじ
たんぽぽとサツカーボールの取り合わせ。二人過ぎに実感を得ました。異色の句です。(町田智司)

★曇天に囀り大きく突き上げる/藤田裕子
春になり囀りの声が高くひびきます。曇り空を押し上げ青い空を呼んでくるような勢いです。(池田多津子)

★明日もまた遊ぶ約束春日永/飯島治蝶
「また、あした」の言葉が春の夕に聞こえてきそうです。(大石和堂)

★短きはひそやかに揺れ梅の枝/碇英一
確かに枝は短ければ風に揺れにくい。それを「ひそやかに揺れ」と表現する作者の思いに共感を覚える。(尾 弦)

★黄水仙終の棲家は母のそば/長瀬正之
★新書ひらく傍らに咲くフリ-ジア/石井秀子
★名水に銘酒の郷や桃の花/安丸てつじ
★放たれし犬の駆け出す春の土手/大給圭泉
★花びらを栞にしたるイースター/矢崎すみ子
★三叉路を曲がれど春月ついてくる/高橋秀之
★弁当を見せ合う園児花の丘/堀佐夜子
★飛鳥路の古き宮跡春の空/河野啓一
★盲導犬街の春風渡りけり/おおにしひろし
★店先の幟裏文字さくらもち/矢野文彦
★パソコンを消して煌々春の月/希往来
★うららかに子らの呼ぶ声こだまする/池田多津子
★哲学の道こまやかな春の道/大石和堂


▼伝言などは、下の<コメント>にお書きください。

3月句会選者詠

2006-03-11 21:56:52 | 3月句会
■選者詠/高橋信之
★囀りの空丸くわれらが頭上に
★囀りの天から降ってくる平和
★彼岸近き陽がほかほか池へ注ぐ

■選者詠/高橋正子
★生活の庭に桜を咲かせけり
花見に行くもの楽しいけれど家の庭に桜の花を咲かせて毎日見られるとは何と贅沢な事でしょう。リビングから、厨窓から、座敷から、寝室から、玄関からと想像するだけでも楽しくなります。(堀佐夜子)
たとえ小さくても、ともに暮らしている桜であれば、お花見の喜びもひとしおでしょう。「生活の庭」だからこそ、自らが「咲かせけり」と言い切ることができるのですね。(かわなますみ)

★きつつきの叩く銀杏芽木の音
きつつきはどんな音をたてて叩くのでしょう。きっと「春ですよ」と言って叩くのだと思います。(小川美和)

★桜ミモザ束ね山より下りてきし


▼伝言などは、下の<コメント>にお書きください。

3月句会互選集計結果報告

2006-03-11 21:55:49 | 3月句会
■互選高点句/池田多津子集計

22点 残る鴨みずから生みし輪の芯に/かわなますみ
11点 泥んこや牛舎の春が動き出す/志賀たいじ
10点 地虫出づ空青々と雲もなく/大山凉
 8点 生活の庭に桜を咲かせけり/高橋正子
 8点 幾たびも羽ばたく音す春の川/甲斐ひさこ
 8点 翳りつつ己がひかりを夕木蓮/宮地ゆうこ
 8点 いぬふぐり今年は今年の地図広げ/竹内よよぎ