オンライン句会入賞発表

■水煙発行所主催■

■□2月句会ご挨拶/高橋正子(オンライン句会主宰)

2006-02-10 23:17:41 | 2月句会
■オンライン2月句会にご参加いただき、ありがとうございました。北国からも春の兆しの見える句がとどき、明るい気持ちになりました。それぞれの生活が詠まれた句に、思わず共感してうなずいたり、楽しいひと時をありがとうございました。また、互選の選とコメントをありがとうございました。水煙以外の結社に属しておられる方、また全くお独りで作句なさっているかたも、毎月ご参加があり、うれしく思っております。
「俳句の選」につきましては、おひとりで勉強されている方には、特に、しっかりと俳句を勉強していただきたいと思いました。私たち「水煙」は、「細く長く」をモットーに、「現代語による明るくて深い俳句をめざしています。」この点にご理解いただき、いっそう精進していただけますよう、お願いいたします。
暦の上では、春とはいえ、まだまだ寒い日が続きます。ご自愛くださいまして、ご健吟ください。これで、オンライン2月句会を終わります。(2006年2月12日)

■2月句会全作品
http://www.suien.ne.jp/0001/online/k0602z.htm

■投句選句箱
http://6802.teacup.com/suien/bbs


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2月句会入賞句/金・銀・銅賞

2006-02-10 23:14:37 | 2月句会
【金賞】
★竹林の撓みゆたかに春の雪/黒谷光子
やわらかな春の雪を置いて、竹はしなやかに撓む。その撓み具合を「ゆたかに」と感じた。竹にを撓ませて積もる春の雪がしずかで美しい。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★香りごと水に解かれ菊菜束/藤田洋子
春菊と呼ばれもするが、菊菜とも呼ばれる。香り高い菊菜の束を、水に解き放つ。そのときにも、いい香りがする。香りが水に解かれるという感覚がいい。(高橋正子)

★全身を声にする鳥春近し/石井秀子
鳥たちは、小さな体の「全身」で鳴き、その「声」は、高く響きわたって、辺りを支配する。「春近し」なれば、なお盛んである。(高橋信之)

【銅賞/3句】
★春浅し手の振り大き通学子/日野正人
季語「春浅し」が新鮮で、いい働きをした。春浅き頃は、まだ寒さの厳しい日もあるが、子どもらは、元気だ。受験もあって、新学期の明日があって、元気だ。(高橋信之)

★桜餅包みとなりてなお香る/臼井虹玉
桜餅を包んでもらうが、その包みのうえからも、ほのかな桜餅の匂いがする。季節のものの、あたらしさ、ほのかな息づきに、われわれは喜びを感じる。(高橋正子)

★冬満月チェロの弛みし弦巻かむ/かわなますみ
冬満月のゆるぎない明かり。チェロに付随して感じ取られる重み、深さ、あたたかさ。そういったものが響きあって、作者の世界ができている。そうだ、緩んだチェロの弦を巻こうと思わせる、冬満月の夜。弦を巻けば、チェロは冬満月の光りに鳴り出すかもしれない。(高橋正子)


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特選7句/2月句会

2006-02-10 23:13:44 | 2月句会
【高橋信之特選7句】
★香りごと水に解かれ菊菜束/藤田洋子
句いの強い菊菜を香りごと洗うとはお上手ですね。手元の青さが見えます。(大給圭泉)

★春浅し手の振り大き通学子/日野正人
立春を過ぎたとはいえ、まだまだ寒い朝が続いています。それでも子どもたちは、寒さに負けず元気に友だちと一緒に学校に向かいます。「いってきます。」「気をつけてね。」と、大きく手を振って登校する様子が見え勇気づけられます。(畑育子)

★全身を声にする鳥春近し/石井秀子
鳥たちは、小さな体の「全身」で鳴き、その「声」は、高く響きわたって、辺りを支配する。「春近し」なれば、なお盛んである。(高橋信之)

★ふきのとう風の硬きを押しのけん/大石和堂
★早春の雑木のびいて雲呼びぬ/小川美和
★受験後の校舎生徒の声で揺れ/松本豊香
★竹とんぼ春陽きらきら舞い上がる/池田多津子


【高橋正子特選7句】
★竹林の撓みゆたかに春の雪/黒谷光子
やわらかな春の雪を置いて、竹はしなやかに撓む。その撓み具合を「ゆたかに」と感じた。竹にを撓ませて積もる春の雪がしずかで美しい。(高橋正子)

★香りごと水に解かれ菊菜束/藤田洋子
春菊と呼ばれもするが、菊菜とも呼ばれる。香り高い菊菜の束を、水に解き放つ。そのときにも、いい香りがする。香りが水に解かれるという感覚がいい。(高橋正子)

★抱っこして夢ごと降ろす春の昼/大給圭泉
赤ん坊なのでしょうか、それとももう少し大きな子どもなのでしょうか。抱っこの中で寝ている顔は、きっといい夢を見ている幸せな表情が見えるようです。(高橋秀之)
抱っこしていた子が漸くすやすやと寝入ってしまった。安らかな春の夢を覚まさないようにそっとそっと降ろしましょう。「夢ごと降ろす」がとても好きです。(今村七栄)
中七の表現がとてもすばらしいです。眠っている幼いお子様への深い愛情を感じます。(飯島治蝶)
昼寝の夢の中にいる幼子の夢を醒まさないように布団に移してやる親心でしょうか。(河野一志)

★春大根洗いし水のやわらかな/大山 凉
手にもう春がきたんだなあと実感の句。(伊藤華将)

★暁けの空ひろびろとして桜芽木/高橋信之
★桜餅包みとなりてなお香る/臼井虹玉
★冬満月チェロの弛みし弦巻かむ/かわなますみ


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特別選者特選7句/2月句会

2006-02-10 23:13:10 | 2月句会
【野田ゆたか特選7句】
★二ン月の空へ伸びきるクレーンかな/伊藤華将
春の始まりにフル稼働のクレーン。冬を恙なくやり過ごした喜びのようなものが明るく拡がってきました。(野田ゆたか)
まだ寒さの残る二月の明るい曇り空に向かってクレーンの腕が高々と伸びています。これから稼働しようとするクレーンの力強さと共に春となった喜びが感じられる句と思い、好きな句です。(長岡芳樹)

★幸せな愚痴聞いている春炬燵/堀佐夜子
結婚してまだ日の浅い娘さんが里帰りして、甘えも交えお母さんに愚痴をいつている様子。春炬燵のなんとなくのんびりした雰囲気とぴたりとしています。(齊藤真人)

★全身を声にする鳥春近し/石井秀子
★春大根洗いし水のやわらかな/大山 凉
★ぽつぽつと好日ありぬ梅の花/木村 修
★芽柳の岸へさざ波寄せている/藤田洋子
★美容室いでて明るき二月に逢う/小川美和


【河ひろこ特選7句】
★朝市の真白きのれん凍み大根/守屋光雅
二月とは言え、まだまだ真冬の北国の句と思います。凍み大根は保存野菜として重宝です。その大根が暖簾のように吊るされて売られていると言う写生句に、雪国の厳しさや逞しさが感じられ惹かれる句です。(河ひろこ)

★芽木の道まっすぐ玄界灘を見に/今村七栄
さながら春を探す小さな旅のようです。作者の、春を待つ思いを感じます。(臼井虹玉)
 
★春禽の打てる羽音をしかと聞き/高橋正子
★ぽつぽつと好日ありぬ梅の花/木村 修
★厩舎出し栗毛早春の陽に勇む/おおにしひろし
★冬満月チェロの弛みし弦巻かむ/かわなますみ
★流れ込む水路弾みし寒の明け/甲斐ひさこ


【黒谷光子特選7句】
★抱っこして夢ごと降ろす春の昼/大給圭泉
「夢ごと降ろす」が素敵です。赤ちゃんの寝顔が浮かびます。(黒谷光子)

★うっすらと花菜の息のセロハンに/臼井虹玉
菜の花が春浅いの冷気の中で呼吸をしてる様に、包んだセロハンがうっすらと曇ってる。清々しい早春の息吹きを感じさせる好きな句です。(志賀たいじ)

★暁けの空ひろびろとして桜芽木/高橋信之
静かに明け行く空は高く広々とした中の芽を抱いた桜の木の勢いを感じます。(大山 凉)
清々しい夜明けの空に桜芽木。春到来の希望にあふれ、心も広がります。(池田多津子)

★アルプスの水磨かれて花山葵/矢崎すみ子
湧き水で育てる山葵の花とアルプスの白が美しく、山葵田を流れる水はきらきらと日々の空の色に染まり輝く、そんな安曇野の風景が浮かんできます。(甲斐ひさこ
いい句だが、「花山葵」は、夏の季語なので、残念。(高橋信之)

★一茎の菜の花コップに咲く厨/甲斐ひさこ
ほんの少しの菜の花が、薄暗い厨で家事にいそしむ人の心にまで春の明るさを届けてくれいるようです。(木村修)

★香りごと水に解かれ菊菜束/藤田洋子
菊菜が水に入っても尚香り続ける。新鮮さとみずみずしさが感じられます。(松本豊香)

★スカーフの結びを変えて春立つ日/岩本康子


特別選者
■オンライン句会特別選者は、過去に、以下の21氏にお願いしましたが、今回は、上記の3氏です。
藤田洋子・野田ゆたか・堀佐夜子・安丸てつじ(2回)・藤田裕子・古田けいじ(2回)・碇英一(2回)・おおにしひろし・祝恵子・霧野萬地郎・岩本康子・多田有花・守屋光雅・河ひろこ・平田弘・日野正人・志賀たいじ・篠木睦・臼井虹玉・祝恵子・池田多津子


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入選Ⅰ/2月句会

2006-02-10 23:12:36 | 2月句会
【入選Ⅰ/10句】
★一湾に春の訪れ木の校舎/河ひろこ
二十四の瞳を思い出すような情景ですね。春がきたおおらかな、喜びがあふれています。(多田有花)

★青い鳥零して一樹冴え返る/今村七栄
★鈴鳴らしかけゆく子供春めきぬ/齊藤まこと
★立春や袋にのぞくフランスパン/伊藤華将
★立春の日脚ちりばむ山湖かな/井上明
★雛あられ赤黄とりどり夢あふれ/藤田裕子
★風吹きて雪舞い上がり陽の中に/丸山草子
★みちのくの轍や深し春の泥/作者不明
★コンテナの色連なりて寒明ける/長岡芳樹
★シャボン玉我より離れ軽くあり/池田加代子


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入選Ⅱ/2月句会

2006-02-10 23:11:12 | 2月句会
【入選Ⅱ/14句】
★渾身の初音の下をあるきけり/尾 弦
春の雪がちらつくこの季節にもう鶯の初鳴きが聞える。渾身の鳴声にいのちの躍動感がある。(安丸てつじ)
鶯の鳴き方をこんな風に聞こえる感性がすばらしい。しだいに鳴き方を整えようとする健気さは、人にも通じるからでしょうか? (霧野萬地郎)

★退院の一歩に踏みし春の泥/古賀一弘
病気快復の喜び、日常の生活に戻れる喜び、今まで気のつかなかった大地を踏むことの喜びを季語<春の泥>に集中させている。正に<生の歓喜>である。(守屋光雅)
退院の日を迎えて、まず最初に大地を踏みしめた時の喜びが伝わってきます。もう季節は春になっていて、その喜びもひとしおです。(藤田裕子)

★海苔乾く音のひびきや浦日和/篠木 睦
浜辺に沢山の海苔が乾かして在るのでしょうね。好天気に恵まれて艶の良い海苔が出来上がるに違いありません。まさに浦日和です。(堀佐夜子)
うららかな日、海苔を乾燥させているところなのでしょう。海苔の乾燥する音が聞いてみたいものです。(祝恵子)

★山の雪春風に乗り青空へ/河野一志
すっぽりと山を包んでいる雪が春風に乗ってとけていく様子が大らかに詠まれていると思います。・春風に乗り・が印象的です。(小川美和)

★梅蕾丸き空気を押し開く/池田多津子
丸い梅の蕾は、今、そこに抱える小さな「丸い空気」を開け放つべく、圧しているのですね。「押し開く」と終わる一言から、やがて「丸い空気」を広げ、花ひらく姿まで浮かびます。(かわなますみ)

★鉄棒にもうすぐ届く春の靴/渋谷洋介
一生懸命逆上がりの練習をしている子であろうか、靴がもう少しで鉄棒に届く、春ももうそこに来ている。微笑ましい景を鮮やかに捉えた。(古賀一弘)

★茎立ちや畑畝ことごと新しく/碇 英一
★朝の日に咲き継ぐ日々の犬ふぐり/野田ゆたか
★麗しき山川ありて建国の日/河野一志
★勢いの木蓮花芽天へ立つ/古田けいじ
★たきぎ爆ぜ音になごみし余寒かな/大石和堂
★夕焼けにためらひつつも春の雪/瀧口文夫
★軽やかに梢で鳥鳴く春の朝/飯島治蝶
★手のひらの白き卵に春立ちぬ/中村光声


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佳作/2月句会

2006-02-10 23:10:30 | 2月句会
【佳作/20句】
★八咫烏ドイツに舞えよ建国日/安丸てつじ
サッカーのワールドカップの日本の選手の活躍を願う気持ちがよく伝わります。(篠木睦)

★パンジーの笑ひ続ける小学校/霧野萬地郎
校門、校庭、花壇にパンジーを沢山を咲かせ続けている小学校。先生・生徒みんながお世話をし大切にしているのだと見え、春の温かく明るい感じにぴったりだと思いました。(碇 英一)

★春浅し海の青さのほどけ来る/大給圭泉
早春の海の変わり行く姿が「ほどけ来る」に旨く詠まれていると思います。(中村光声)
同じ青でも冷たい硬質の青と柔らかさを感じる青がありますが、春の到来とともに和らぐ海の色を「青さのほどけ来る」と表現されたところが素晴らしいと思いました。(岩本康子)

★梅の香や絵馬のひしめく札所寺/井上明
札所を訪れた光景、梅の香の中で、来るべき春への期待と望みを真新しい絵馬に発見された清々しい様子が伺われます。(おおにし ひろし)

★梅の花一輪のまま暮にけり/大給圭泉
春愁、「一輪暮にけり」が潔い表現で好きです。(渋谷洋介)

★少年のゆめ形なさず春の雪/岩本康子
少年の夢とは。希望の高校入試にでも失敗したのだろうか。地に落ちて淡く消える雪のように。少年の落胆を気遣う作者の優しい気持ちが伝わる句。(ふるたけいじ)

★ショールーム覗き女の春めけり/作者不明
柔らかになった春風、その中で佇む女性が見えてきそうです。(大石和堂)

★ぶつかり合う事もなく降る春の雪/古田けいじ
確かに雪はぶつかり合うことなく降る。降る雪を見つめる作者の心に去来する深いものを感じました。(尾 弦)

★寒明ける運転席の会釈かな/長岡芳樹
田舎の駅の電車の運転手さんを思い浮かべました。ほっとするような笑顔で会釈されたのでしょうね。(石井秀子)

★開く梅縁に風くる光くる/町田智司
★フリージア窓辺の席のカプチーノ/堀佐夜子
★豊穣の海いま流氷に覆わるる/志賀たいじ
★化粧水なぜかときめく春立つ日/祝恵子
★デイケアの窓に一輪梅の花/河野渓太
★浅春の南部曲がり屋閉ざされて/畑 育子
★早春に青菜ひとしき群と伸び/野本俊枝
★姫路城余寒の雲の下にあり/多田有花
★朝霞灯台岬の影浮かぶ/高橋秀之
★立春の遠き白峯輝けり/友田 修
★我放つ音立春の音となる/矢野文彦


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2月句会選者詠

2006-02-10 23:08:50 | 2月句会
■選者詠/高橋信之

★暁けの空ひろびろとして桜芽木
静かに明け行く空は高く広々とした中の芽を抱いた桜の木の勢いを感じます。(大山 凉)
清々しい夜明けの空に桜芽木。春到来の希望にあふれ、心も広がります。(池田多津子)

★鴨楽し空の光を池に置き
池も空も区別無く光の中にあり、鴨が自由に遊んでいる様は、平和そのものだと感じます。(日野正人)

★ポプラ芽木の窓全面を揺れ動く


■選者詠/高橋正子

★船を射て春の夕日の沈みたり
壮大な景が浮かびます。詠みかたも素直です。(瀧口文夫)
互いにひきたてる船の存在と夕日の存在。春の夕暮れの一瞬。(矢野文彦)

★春禽の打てる羽音をしかと聞き
春のさきがけとなる羽音がとても新鮮です。確かな春の訪れをしっかりと認識させてくれる強く明るい音です。(藤田洋子)

★風闇へ豆撒く北戸開け放ち


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2月句会互選集計結果報告

2006-02-10 17:28:39 | 2月句会
■互選高点句/池田多津子集計

18点  アルプスの水磨かれて花山葵/矢崎すみ子
16点  香りごと水に解かれ菊菜束/藤田洋子
10点  抱っこして夢ごと降ろす春の昼/大給圭泉
10点  一茎の菜の花コップに咲く厨/甲斐ひさこ
 9点  暁けの空ひろびろとして桜芽木/高橋信之
 9点  スカーフの結びを変えて春立つ日/岩本康子