オンライン句会入賞発表

■水煙発行所主催■

●4月句会ご挨拶とお礼

2007-04-15 09:56:51 | 4月句会
■□4月句会ご挨拶/高橋正子(オンライン句会主宰)
今日の4月オンライン句会をお楽しみいただけましたでしょうか。例年になく早く、花も終りとなりました。北海道では、これからの楽しみとなることでしょうが。長い日本列島の各地からの俳句を楽しませて、いただきました。野辺に咲く花が、農事の暦がわりとなっていた時代もあったそうです。そのように、自然と、周囲と、共に生活する楽しさを句会でも味わわせていただきました。多くの方から、投句、互選をいただき、いい句会となりました。また、今月の特別選者として、多田有花さん、池田多津子さん、渋谷洋介さん、選とコメントをありがとうございました。お手伝いくださった皆さま、どうもありがとうございました。終りになりましたが、信之先生、いろいろとありがとうございました。これで、今月のオンライン句会を終わります。来月を楽しみに、ご健吟ください。

■□4月句会ご挨拶/池田多津子(管理・集計)
木々の芽吹きがそこここに見られ、愛媛は穏やかな一日となりました。年度始め、何かと慌ただしい日々をお過ごしの方もいらっしゃるかと思いますが、ほっと一息のひとときとなったことと存じます。生活の中の何気ない俳句に心和む思いでした。これからますますいい季節になってきますが、皆様お元気でお過ごしください。
4月句会は、高橋信之先生・正子先生のご指導のもと、多田有花、臼井虹玉、池田多津子の3人のチームでお世話しました。

●4月句会入賞発表①(金銀銅3賞)

2007-04-15 09:52:15 | 4月句会
【金賞】
★ゆっくりと栃の芽解け葉の色に/渋谷洋介
芽が解け、葉になるのは当たり前だが、大樹である栃は、「ゆっくりと」芽を解き、緑の「葉の色」になった。自然のなりゆき、造化の秘密をここに見るようだ。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★昨日今日欅芽吹きて薄みどり/大山 凉
欅の芽吹きは、繊細で美しい。昨日、今日と欅の薄みどりの芽吹きに出会い、清々しさを覚える。(高橋正子)

★花散れば海光花の中にあり/吉田晃
散る花の間から、海がきらきらと見える。散る花を透かして、海の輝きが見える。句の構成がいい。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★一握のげんげ机上に光満つ/吉川豊子
げんげを一握り摘んで来て、どこへ置こうかと思うが、机上に置いた。日ごろ使う机に置かれたげんげの明るい色が、少女のような気持にさせてくれる。(高橋正子)

★筏ともならず落花の流れけり/かわなますみ
落花は、つながり、筏を組むこともなく、ひとひら、ひとひら、水に流れている。水を流れるそれぞれの桜の花びらが繊細に詠まれている。(高橋正子)

★花屑を手にとり軽さ覚えおり/藤田裕子
花屑を手にした。実際の、あまりの軽さに花の儚ささえ思える。「覚えおり」に詩情が生まれている。(高橋正子)

※選者の句は、入選作品から割愛しました。

●4月句会入賞発表②(特選)

2007-04-15 09:51:27 | 4月句会
【高橋信之特選7句】
★花びらの来しは高々山桜/高橋正子
花びらの「高々」がいい。詩的だ。作者の眼目は、ここにある。(高橋信之)

★黄砂降る百万石の塗り瓦/宮島千生
大きな風景を取り上げているが、焦点が絞り込まれ、百万石の「塗り瓦」にある。骨太なところに惹かれた。(高橋信之)

★昨日今日欅芽吹きて薄みどり/大山 凉
欅の芽吹きは、繊細で美しい。昨日、今日と欅の薄みどりの芽吹きに出会い、清々しさを覚える。(高橋正子)

★花屑を手にとり軽さ覚えおり/藤田裕子
花屑を手にした。実際の、あまりの軽さに花の儚ささえ思える。「覚えおり」に詩情が生まれている。(高橋正子)

★ゆっくりと栃の芽解け葉の色に/渋谷洋介
芽が解け、葉になるのは当たり前だが、大樹である栃は、「ゆっくりと」芽を解き、緑の「葉の色」になった。自然のなりゆき、造化の秘密をここに見るようだ。(高橋正子)

★揺れるたび空へ広がり花ミモザ/藤田洋子
ミモザは小さな花が集まって大きな風景を作る花である。風に揺れる様を「空へ広がる」と表現したところに作者の確かな目がある。(古田けいじ)

★つくし摘む子の歓声や日の溢れ/吉川豊子
親子で春の野に土筆を摘みに出ている。親は無心に土筆を摘み、土筆を見つけた子どもは喜びの声を上げる。春の陽がそんな親子を包むようにさんさんと降り注ぐ。(古田けいじ)


【高橋正子特選7句】
★柿芽吹く朝に厨の窓開ける/藤田洋子
「柿芽吹く」日の朝がすがすがしい。「厨の窓開ける」に主婦の生活を見る。(高橋信之)

★水槽にフリージャーの束の浸けてあり/祝 恵子
作者の身近なところに「水槽」があって、「フリージャーの束」が生活に溶けこんでいる。(高橋信之)

★筏ともならず落花の流れけり/かわなますみ
落花は、つながり、筏を組むこともなく、ひとひら、ひとひら、水に流れている。水を流れるそれぞれの桜の花びらが繊細に詠まれている。(高橋正子)

★一握のげんげ机上に光満つ/吉川豊子
げんげを一握り摘んで来て、どこへ置こうかと思うが、机上に置いた。日ごろ使う机に置かれたげんげの明るい色が、少女のような気持にさせてくれる。(高橋正子)

★花散れば海光花の中にあり/吉田晃
散る花の間から、海がきらきらと見える。散る花を透かして、海の輝きが見える。句の構成がいい。(高橋正子)

★測量士吾に日がなの春の風/おおにしひろし
測量というやや硬質さと対照的なそよ吹く春の軟風がより優しく柔らかに感じます。季節の快さに身を置きながら心和み、仕事に励まれる作者の充実なひとときを垣間見るようです。(藤田洋子)

★つんつんと揺らぎは見せず松の芯/甲斐ひさこ
見るからに新鮮な「つんつんと」伸びる松の新芽が目に浮かびます。揺らぐことなく真っ直ぐなその姿に、新しい季節を迎え成長する松の勢いや強さを感じます。(藤田洋子)



▼特別選者

【多田有花特選7句】
★疾走の子を抱きとめる春野かな/大山由紀
たぶん、3、4歳のお子さんなのでしょう。走るのが楽しくて、きゃっきゃと声を上げながらかけてくる、それを抱きとめるお父さんか、お母さん、生き生きとその情景が目に浮かびます。弾むような躍動感が「春野」にぴったりです。(多田有花)

★鉄棒に春群青の空を蹴る/尾弦
小学生でしょう。校庭の鉄棒で逆上がりでもしているのでしょうか。蹴り上げた足が春の空に届くようで、明るい情景です。(多田有花)

★暮遅し打たせ湯に背を任せおり/小川美和
今日はのんびりと温泉に入って、くつろがれているのでしょう。春の夕刻のたゆたうようなゆったりした感じがよく出ています。(多田有花)

★黄砂降る百万石の塗り瓦/宮島千生
加賀百万石の城下町、金沢。町の伝統と町並みの様子を「塗り瓦」で表現され、どっしり落ち着いた雰囲気が漂っています。(多田有花)

★花散れば海光花の中にあり/吉田晃
散る花の間から、海がきらきらと見える。散る花を透かして、海の輝きが見える。句の構成がいい。(高橋正子)

★柿芽吹く朝に厨の窓開ける/藤田洋子
「柿芽吹く」日の朝がすがすがしい。「厨の窓開ける」に主婦の生活を見る。(高橋信之)
 
★桜蕊もろとも掬う神の水/松原恵美子
目の前にある神聖な水に降った桜蕊。その自然のままが作者の手に掬われるリアリティがあります。神聖なものに触れた時の作者の感動が伝わってきます。(臼井虹玉)


【池田多津子特選7句】
★柿芽吹く朝に厨の窓開ける/藤田洋子
うすみどり色の柿の芽が出て明るい朝。窓を開けて朝の空気がいっぱいの厨に今日の一日がさわやかに始まります。(池田多津子)

★遅れゆくわれに芽吹きのさまざまに/高橋正子
ほかの人たちから遅れて急ぎ足の作者に木々の芽吹きがやさしく感じられます。(池田多津子)

★花散れば海光花の中にあり/吉田晃
花が次々に散っていくその中に、美しい海のきらめきが見えます。いつまでも眺めていたい情景です。(池田多津子)

★春日和海の青さのほどけおり/大給圭泉
冬の厳しい海からゆったりとした春の海に変わってきました。冷たい青がほどけて温かみのある青になったような気がします。(池田多津子)

★筏ともならず落花の流れけり/かわなますみ
落花は、つながり、筏を組むこともなく、ひとひら、ひとひら、水に流れている。水を流れるそれぞれの桜の花びらが繊細に詠まれている。(高橋正子)

★鉄棒に春群青の空を蹴る/尾弦
うつくしい群青の空に向かって足を蹴り上げる清々しさ、元気の良さが、生命感溢れる春という季節に重なって、とても気持ちのよい御句と思います。(臼井虹玉)

★透きとおる赤子の頬に風眩し/丸山草子
春という、光に溢れた眩しく優しい季節のなかですくすくと育つ幼子を見るよろこびが伝わってきます。(臼井虹玉)


【渋谷洋介特選7句】
★燕来る子らの声満つ校庭に/池田多津子
新学期の明るい校庭の、弾けるような歓声が、聞こえます。(渋谷洋介)

★測量士吾に日がなの春の風/おおにしひろし
測量というやや硬質さと対照的なそよ吹く春の軟風がより優しく柔らかに感じます。季節の快さに身を置きながら心和み、仕事に励まれる作者の充実なひとときを垣間見るようです。(藤田洋子)

★野良人の鍬切る空へ揚げひばり/湯澤まさえ
空を切る野良人の鍬の動きと揚げひばりの動きが、春の野の風景に相応しく、長閑でおおらかです。(臼井虹玉)

★花盛り幸せ色に町を染め/篠木睦
町じゅうに満開の桜のある風景は、どこか幸せに満ちているという作者の実感がほのぼのと美しく詠まれていると思いました。(臼井虹玉)

★片栗の掴む日差しの柔らかさ/木村修
春のいっときを、山中や林野の傾斜地に咲く片栗の花が、ふりそそぐ春の柔らかな日差しを存分に受ける様がかわいらしく目に浮かんできました。(臼井虹玉)

★ジョギングの少年たんぽぽ軽く踏み/あみもとひろこ
ジョギングをする少年とたんぽぽの置かれた情景は、何か健康的で明るいものを感じます。「軽く踏み」に優しい感じを受けました。(臼井虹玉)

★久々に絵筆持つ手やチューリップ/安丸てつじ
春らしい花であり、形や色がくっきりと迫ってくるチューリップが、作者が久しぶりに描く対象として選ばれたのかもしれません。久々に絵筆を得て、まるで子供の頃のように嬉々として絵画に取り組む作者の楽しさが伝わってくるようです。(臼井虹玉)

▼伝言などは、下の<コメント>にお書きください。

●4月句会入賞発表③(入選)

2007-04-15 09:50:16 | 4月句会
【入選Ⅰ/10句】
★一村の墓静もりて花の下/黒谷光子
静かな墓とは対照的に、今年もあでやかに咲いた桜。
桜をみるたびにしみじみと故人の事を思い出している村人の姿が見えてきました。(木村 修)

★やまざくら花ぬぎすてて森に戻る/多田有花
山桜は花も嫩葉の同時で美しい。しかしいつの間にか天女が帰るようにいつもの森になっている。下五が山桜の美しさを引き立てていると思う。(清水清正)

★近江路の子供歌舞伎や春深し/前川鳰波
子供達の一生懸命に練習した歌舞伎の所作、うれしい待ちに待った曳山まつりですね。(祝 恵子)

★春愁のデジタル時計秒刻む/矢野文彦
ものみな命の息吹に満ち溢れる季節、それだからこそ逆になんともいえない物憂い思いにとらわれることがあります。時の流れの留まらぬことをデジタル時計が教えてくれるようです。(多田有花)

★渡り来て飛び交う燕夕茜/岩本康子
今年も燕がやってきました。長旅の疲れも見せぬ軽快な飛翔。さっそく巣づくりの準備に取り掛かっているのでしょう。(多田有花)

★春時雨電車揺れては軋みけり/小川美和
★空も地も夕日の色に蕗の薹/石田高志
★新緑は重なりあいてそれぞれに/笠間淳子
★松の芯こぞり大空ゆらぎけり/松原恵美子
★春空の明けゆく小鳥の声に満ち/あみもとひろこ

【入選Ⅱ/20句】
★万葉の風かたくりの花明かり/高橋正道
奈良のどこかでの景でしょうか。「万葉の風」から受けるおおらかな感じと地味だけれど明るいかたくりの花が何故だかぴったりだと思いました。その風に少しだけ揺れている片栗の花を想像します。(岩本康子)

★曖昧な色ひとつ無くチューリップ/臼井虹玉
そのものズバリ。断定した表現がチューリップに似合います。(矢野文彦)

★転職をバネとせよ子よ啄木忌/安丸てつじ
転職をするわが子を激励する親心。若さと転職など季語と共鳴し、より強い励ましの句となっています。(飯島治蝶)

★下萌えを踏めば靴底弾みくる/志賀たいじ
草野のやわらかい感触に春の訪れを感じる繊細な感覚が、素晴らしい。詠み手の喜びの声まで伝わってくるようです。(高橋正道)

★葉桜やすずめは嬉々と午後三時/碇英一
★風光る橋渡り来し美術館/野田ゆたか
★花曇児の背に光るランドセル/飯島治蝶
★花散って疎水の水もさくら色/篠木睦
★片栗の掴む日差しの柔らかさ/木村修
★虎杖の苦きを齧り山歩き/澤井渥
★春陽射すわれといくたり茶房窓/大給圭泉
★洗濯の白眺むれば春半ば/滑川けい子
★槍ケ岳(やり)の水山葵を辛く育てけり/清水清正
★フリージヤ居間の闇に香り満つ/堀佐夜子
★半島に白き雲浮き風光る/丸山草子
★池の面を浮きつ沈みつ散る桜/國武光雄
★わかみどり枝先に伸びる欅かな/河野渓太
★花びらの二三片あり象の背/中村光声
★たちまちに巨船呑み込む沖かすみ/大山由紀
★春蘭の丈へ屈んで写真撮る/古田けいじ

※作者不明の句は、入選作品から割愛しました。

▼伝言などは、下の<コメント>にお書きください。

●選者詠

2007-04-15 09:48:24 | 4月句会
■選者詠/高橋信之
★朝が始まる洗面の春水あふれ
朝の柔らかい明るさに輝く春の水。穏やかな春の一日の始まりの景が、ほの暖かく広がって来ました。 (野田ゆたか)
春の一日の始まりが、いきいきと捉えられていると思う。生きるという事が、豊かな春の水が溢れてくるような、喜びと感じられた。 (あみもとひろこ)

★春天の暁けゆき青の明るさに
早朝の春の空。秋空のように澄み切った紺青ではないが、霞立つパステルの青が好い。枕草子の一節「春はあけぼの」がふと思い浮かぶ。(安丸てつじ)
明け方の空の青さはうつくしく、すがすがしいです。一日のはじめの元気をもらったような気がします。(大山 凉)
夜明けが早くなり、朝雨戸を開ける時の青く澄んだ大きな空が眩しいです。(松原恵美子)

★新緑のその上の空が白い

■選者詠/高橋正子
★花びらの来しは高々山桜
花びらの「高々」がいい。詩的だ。作者の眼目は、ここにある。(高橋信之)

★遅れゆくわれに芽吹きのさまざまに
ほかの人たちから遅れて急ぎ足の作者に木々の芽吹きがやさしく感じられます。(池田多津子)

★くるくると鳴けるかわずに谷戸の水

●互選集計結果報告/4月句会

2007-04-15 09:46:38 | 4月句会
■互選高点句/池田多津子集計

13点 一村の墓静もりて花の下/黒谷光子
12点 鉄棒に春群青の空を蹴る/尾弦
12点 筏ともならず落花の流れけり/かわなますみ
11点 曖昧な色ひとつ無くチューリップ/臼井虹玉
10点 一握のげんげ机上に光満つ/吉川豊子
10点 朝が始まる洗面の春水あふれ/高橋信之
10点 花散れば海光花の中にあり/吉田晃
 8点 疾走の子を抱きとめる春野かな/大山由紀


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