オンライン句会入賞発表

■水煙発行所主催■

新年句会ご挨拶とお礼 2007年1月21日

2007-01-21 18:08:51 | 0701
■オンライン新年句会をお楽しみいただけましたでしょうか。はじめてオンライン句会に参加されるかたもおられましたが、盛会のうちに終ることができました。50名を越える参加者の皆様、ご投句、選、句評をそれぞれにいただき、ありがとうございました。
今回は、特別選者を、古田けいじさん、碇英一さん、藤田洋子さんにお願いいたしました。貴重な選をいただき、ありがとうございました。みなさまの励みになることでしょう。また、信之先生、多津子さん、虹玉さん、オンライン句会のお世話をありがとうございました。来月もオンライン句会を2月18日(第3日曜)に予定しております。ご期待ください。(俳誌水煙主宰/高橋正子)

■ 新しい年を迎え、第75回オンライン新年句会を開催しましたが、52名の方にご参加いただき、盛会のうちに終えることができました。入賞の皆様おめでとうございます。新年の清々しさを感じる俳句、冬の厳しさや、その中にもほっとする温かさを感じる俳句など、多くの佳句に出会うことができました。選句にも43名の方が参加され、それぞれの見方やお立場からのコメントもいただき、ありがとうございました。まだまだ寒い日が続きますが、春も少しずつ近づいているようです。皆様ご自愛くださいまして、ご健吟くださいますよう、祈念いたします。ありがとうございました。

今月は、高橋信之・高橋正子・臼井虹玉・池田多津子の4人のチームでお世話をいたしました。(2007年1月21日 管理・集計/池田多津子)

新年句会入賞発表

2007-01-21 11:32:23 | 0701
■新年句会
□2007年1月21日


【金賞】
★青竹の筒に活けらる正月花/祝 恵子
青竹の花筒に正月の花を活ける。全体の姿から、新年のきっぱりとした新しさが覗える。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★畦道を破魔矢の鈴の音を残し/渋谷洋介
初詣の帰りは、枯れ草も青草も混じる畦道を通る。そこを破魔矢の鈴を鳴らしながら帰るのは、いかにも初春らしい景色である。(高橋正子)

★大寒や痩身骨に動かさる/木村 修
大寒の厳しさを生きる。わが身の骨が動いて、次に体が動く。大寒を生きる痩身の我をイロニックに捉えた。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★空色の空も映して冬の川/黒谷光子
素材が少ない句だが、冬川に映る空が、にごりもしないで、まったく空色であることが明るい。(高橋正子)

★残りたる一羽も行けり寒雀/碇 英一
遊んでいた寒雀。一羽を残して飛び立った。残る一羽は、我関せずで、遊んでいたのだが、ふと我にでもかえったのか、それも飛んでいってしまった。その空白感。(高橋正子)

★一月の青空踏切ぽんと開く/あみもとひろこ
一月のうららかな青空。踏み切りの棒が、軽くぽんと跳ねあがる。踏み切りが開くと、向こうになにか幸せがあるような気持になる。軽やかな心。(高橋正子)

特選7句/新年句会

2007-01-21 11:30:43 | 0701
【高橋信之特選7句】
★降りそめし雪のしじまを仰ぎたり/高橋正子
俳句に生活を詠むならば、その生活は、静かなのがよい。作者を取り囲む「雪降る」自然は静かだ。作者の内面の心境も静かだ。生活人の詩。(高橋信之)

★路地の道水仙匂う又匂う/おおにしひろし
「匂う又匂う」という繰り返しによって、水仙の生命を強く印象付けた。寒中であればこそ、であって、いい季感だ。(高橋信之)

★寒の水差して糠床色あらた/松原恵美子
生きている糠床に新しく寒の水を入れ床を慈しむ様子が見え好きな句です。(丸山草子)

★懸大根連なる向こう海の青/池田多津子
大根の干されている海辺の情景が見えてきます。潮風によく乾く事でしょう。(黒谷光子)

★青竹の筒に活けらる正月花/祝 恵子
★大寒や痩身骨に動かさる/木村 修
★一月の青空踏切ぽんと開く/あみもとひろこ

【高橋正子特選7句】
★冬の夜へ消え入る貨車の硬き音/尾 弦
平明な句だが、貨車の「硬き音」がいい。下五に置いて、訴えてくる力強さがいい。「冬の夜」の季感を詠んで充分だ。(高橋信之)

★冬欅触れるものなき枝の張り/藤田洋子
★空色の空も映して冬の川/黒谷光子
★昼の月水仙清らに咲きにけり/大山 凉
★初雪を受ける睫毛の少し濡れ/池田加代子
★残りたる一羽も行けり寒雀/碇 英一
★畦道を破魔矢の鈴の音を残し/渋谷洋介

【古田けいじ特選7句】
★竹刀振る眼まっすぐ寒稽古/池田多津子
冷え切った床に素足での寒稽古。少年の目はまっすぐ前を見つめ、竹刀を思い切って振り下ろす。「裂帛の気合」が聞こえてきそうな句である。(古田けいじ)

★音強く割れて艶やか寒卵/藤田洋子
殻を割るときは音強く、中から黄身がこんもりと艶やかに現れた寒卵は滋養もよく貴方はどの様にしてお食べになったのでしょう。(堀佐夜子)

★寒の水足して写経の墨を磨る/臼井虹玉
寒の清らかな冷たい水で磨った墨での写経、心が澄み渡るようです。(池田多津子)

★冬欅触れるものなき枝の張り/藤田洋子
★少年の眼に戻されて凧を揚げ/篠木 睦
★杜抜けて一際高し枯けやき/碇 英一
★懸大根連なる向こう海の青/池田多津子

【碇 英一特選7句】
★常食に七草加え無事掬う/平田 弘
病の身ではあるが無事に七草粥を食べることが出来た命への感謝の気持ちを感じます。(碇 英一)

★やわらかく瓦のままに雪溶ける/丸山草子
屋根にうっすら積もった雪が、冬晴れの下で早くも解けていく。「瓦のままに」という表現が巧いと思いました。(木村 修)

★冬景色湖あれば青残し/池田加代子
一面真白い雪景色の中、湖が青く広がる景が清澄に伝わってきます。(小川美和)

★冬薔薇一輪なれど真の色/藤田裕子
「真の色」には、冬薔薇の鮮やかで美しい色に触れた作者の、独自の発見、思いがあると感じます。(臼井虹玉)

★冬欅触れるものなき枝の張り/藤田洋子
★山始袴の下は藁の靴/木村 修
★読み上げる声より早し歌留多取/飯島治蝶

【藤田洋子特選7句】
★水枕吊るし干されて雪催い/高橋正子
どこか案じる作者の心を映すかのようなやや暗鬱な空模様、水枕と雪催いの空に寒さがひしひしと迫るような季感を覚えます。(藤田洋子)

★青竹の筒に活けらる正月花/祝 恵子
★灯台をひらりと越える冬の鳶/鈴木誠子
★寒の水差して糠床色あらた/松原恵美子
★冬薔薇一輪なれど真の色/藤田裕子
★一月の青空踏切ぽんと開く/あみもとひろこ
★懸大根連なる向こう海の青/池田多津子

入選Ⅰ/新年句会

2007-01-21 11:27:54 | 0701
【入選Ⅰ/10句】
★駅裏は風とぶつかる冬の暮/甲斐ひさこ
駅を出て、冬の既に暗い夕暮れに、風とぶつかるように歩く。風に負けない強い気持を思います。。また、風の冷たさ、激しさを、駅裏という言葉に感じました。(あみもとひろこ)

★柚子湯して今朝のタオルの芳しき/阿部 昭
朝のきりっととした寒さの中、柚子の残り香のするタオルで顔を拭い、元気な今日一日が始まる。(小河原銑二)

★校庭に寒風回し縄跳びす/大給圭泉
回っているのは寒風、生き生きとした生徒たち。ひらかれた未来へと繋がる情景にいとしさを感じます。(矢野文彦)

★食卓の植物図鑑七日粥/木村 修
★水仙や観音堂へ薄日射す/古田けいじ
★大寒の菜園蛇口を一杯に/宮島千生
★梅冬芽ほのかに色を持ちてあり/多田有花
★坂道を下り初春の中華街/中村光声
★初風の清く頻りに露天湯へ/小川美和
★枝々に霧氷の綺羅の静かなり/志賀たいじ

入選Ⅱ/新年句会

2007-01-21 11:27:09 | 0701
【入選Ⅱ/21句】
★風花や強さ秘めたる白き色/大石和堂
吹雪のような大雪でなくても、白き色に自然の力強さを感じます。(高橋秀之)

★寒蜆からからと鳴る椀の底/かわなますみ
寒蜆に託した作者の心情が、切なく伝わってくる。五感の健全さも溢れている。(中村光声)

★初釜や身の引き締まる路地の苔/滑川けい子
精神の修養と詫・寂の日本人の意識を路地の苔がされに生かし、現代生活の改善まで促しているのではなかろうか。(清水清正)

★気遣いの声背に受けて雪を掻く/大山由紀
感謝を込めた思い遣りの雪掻きを見送る光景がすばらしい。(平田 弘)

★震災の癒えし神戸の初明り/森山蒼樹
街並みもほぼ元に戻った神戸の初明かり。新年を寿ぐ素直で目出度い句と思います。(河野渓太)

★風あそぶ開きはじめの福寿草/鈴木誠子
春を呼ぶ福寿草が開きはじめ、風が優しく包んでくれているようです。穏やかな新年を感じます。(藤田裕子)

★父に似し羅漢の一つ冬ぬくし/村井紀久子
羅漢像を見ていると父に似ているものがある。人生の様々な苦難、悲しみ、喜びを超越し、修行して得た「悟り」がその顔立ちに刻み込まれている。父もそのようにして「悟り」を開いたのだろう。私はまだまだだ。(友田 修)

★風花の肩に舞いきて客おくる/吉川豊子
名残惜しくも客を見送る作者の心情が伝わって参りました。「風花」が静かな景に効果的です。(尾崎 弦)

★音もせぬ大寒に妻と二人かな/友田 修
★とんど火や書初め高く舞い上がる/かつらたろう
★彫像の眼差し深き冬館/岩本康子
★寒風を抜ける自転車子を乗せる/高橋秀之
★寒の内夕日しずめり鈴鹿峰/上島笑子
★長縄が日溜り切りて少女跳ぶ/竹内よよぎ
★大寒の光あまねく樹に草に/矢野文彦
★幸せは日溜まりの中福寿草/高橋正道
★大寒の日差し浴びつつ水仙花/堀佐夜子
★日向ぼこ何もなくても温みあり/小河原銑二
★枯れ葎出でて小鳥は朝餉かな/河野渓太
★御堂背に左義長焔高々と/清水清正
★楠の実のなお黒々と寒雀/安丸てつじ

選者詠/新年句会

2007-01-21 11:21:10 | 0701
■選者詠/高橋信之
★大寒の水あふれさす洗顔に
冷たく清らかな大寒の水で顔を洗えば身も心もぴんと引き締まります。特別でない暮らしの中に自然の力を取り入れられていて素敵です。(上島笑子)

★大寒の四角四角に天井も
★立ててある背表紙きりりと大寒に

■選者詠/高橋正子
★降りそめし雪のしじまを仰ぎたり
俳句に生活を詠むならば、その生活は、静かなのがよい。作者を取り囲む「雪降る」自然が静かだ。作者の内面の心境も静かだ。生活人の詩。(高橋信之)

★水枕吊るし干されて雪催い
雪催いの軒に干されている水枕。病む人は夫でしょうか、妻でしょうか、子どもでしょうか。看病する人と看病される人の暖かさと辛さが家の中にある。雪催いの中で干された水枕に家族を見ている作者も暖かい。(竹内よよぎ)
吊されるゴム製の水枕の重さに、灰色の空の重さが重なりますが、やがて降り初むであろう雪の羽毛のような軽さへと動いてゆく心には、さっぱりとしたかろやかさがうかがえます。(池田加代子)
どこか案じる作者の心を映すかのようなやや暗鬱な空模様、水枕と雪催いの空に寒さがひしひしと迫るような季感を覚えます。(藤田洋子)
雪の中、軒下に吊されている水枕、どなたか熱で苦しんでいたのだと、見上げ思っているのでしょうね。 (祝恵子)

★はたはたをこの目に見たり港町

互選集計結果報告/新年句会

2007-01-21 11:18:09 | 0701
■互選高点句/池田多津子集計

12点 冬欅触れるものなき枝の張り/藤田洋子
12点 寒の水足して写経の墨を磨る/臼井虹玉
10点 寒の水差して糠床色あらた/松原恵美子
10点 懸大根連なる向こう海の青/池田多津子
 9点 月の船浮かぶ一湾寒の凪/中村光声
 9点 残りたる一羽も行けり寒雀/碇英一
 9点 音強く割れて艶やか寒卵/藤田洋子
 8点 父に似し羅漢の一つ冬ぬくし/村井紀久子
 8点 駅裏は風とぶつかる冬の暮/甲斐ひさこ