【高橋信之特選7句】
★港湾の動きに満ちて春浅し/高橋正子
「港湾の動き」は、様々だ。船舶の動き、海水の動きは、もちろんのこと、桟橋での人の動きもある。「満ちて」に春であることを感じ、春浅き「港湾」の風景を詠んだ。(高橋信之)
★春雲を引き寄せ海の真青なる/臼井虹玉
海の平らかな青に、引き寄せられるように、海に近く浮かぶ春雲。大きく伸びやかな景色が明るい。(高橋正子)
★これよりは大阪春橋風光る/祝恵子
大胆に言い切ったところがいい。「これよりは大阪」である。「風光る」大阪である。(高橋信之)
★白梅の白くっきりと日を返し/渋谷洋介
「くっきりと日を返し」に、白梅がさんさんと日を浴びて、汚れなく咲いている姿が読み取れる。(高橋正子)
★梅ひらく白のはじめを青空に/藤田洋子
「白のはじめ」が、みずみずしい。それにより、青空は太初よりの深さを持つことになった。(高橋正子)
★春寒やアラビア文字の巨き船/中村光声
日本では、アラビア文字は馴染みがない。手書きでも活字でも右から左に横書きし、文字と文字を漢字の草書のように続け書きにする。「アラビア文字」と「春寒」との取り合わせの句で、季語「春寒」が効いた。(高橋信之)
★澄む水に春めく動き貝が噴く/志賀たいじ
貝が水を噴き、貝を入れている澄んだ水が動くと、その動きの春めいて感じられること。やわらかな水の動きに春がある。(高橋正子)
【高橋正子特選7句】
★雪解けの風吹き変わる奥信濃/池田加代子
地名の奥信濃が効いている句だと思いました。雪解風が色々吹き変ることもよく解る気がする地だす。説得力のある好きな句です。(志賀たいじ)
★梅ひらく白のはじめを青空に/藤田洋子
「白のはじめ」が、みずみずしい。それにより、青空は太初よりの深さを持つことになった。(高橋正子)
★菜の花や高階の窓灯りゆく/堀佐夜子
抒情のある句。菜の花が咲き、高階に住む人たちの窓々にも灯がともりだす。「灯りゆく」は、あの窓、この窓に灯が灯ってゆく時間の経過が詠まれた表現で、読み手の心にも、菜の花のような灯りをともしてくれている。(高橋正子)
★澄む水に春めく動き貝が噴く/志賀たいじ
貝が水を噴き、貝を入れている澄んだ水が動くと、その動きの春めいて感じられること。やわらかな水の動きに春がある。(高橋正子)
★水仙の白際立ちて雨となる/矢野文彦
水仙の花の白は、やがて雨となるとき、辺りのものの中でひときわ目立ち、印象に残る。水仙の一花一花をよく見た句。(高橋正子)
★桜まだ固き花芽で空ふさぐ/高橋信之
いつも桜の木の下を仰ぎ、まだ固そうと同じ思いです。空をふさぎ伸び、伸びはった枝は逞しく楽しみです。(大給圭泉)
★雪解やある朝速き川の音/木村 修
冬の間聞きなれた瀬音。今朝は少し違う。少し水かさが増え、流れも速くなっている。春が近づき、上流の雪が解けたせいだろう。春が近づく喜びを感じた朝の風景。 (古田けいじ)
【藤田裕子特選7句】
★晴れる日も曇る日も窓の桜草/藤田洋子
窓辺に置かれた桜草に、日々心癒される思いが致します。喜びも悲しみも桜草に話しかけたくなります。(藤田裕子)
★シリウスの青き瞬き春浅し/岩本康子
春浅き夜空にシリウスの煌めきが感動的です。「青き瞬き」が星の煌めきを一層引き立てていて、惹かれました。 (甲斐ひさこ)
★旅心さそう四温の航の跡/村井紀久子
船が出ていく航跡を見ていると、見るだけではなく旅に出てみたくなるという。読んで同じ思いになる共感の一句です。(小川美和)
★春の雨四角に洩らすビル灯り/大給圭泉
★飛機発てり早春光をひきながら/尾 弦
★下萌へ影際やかに列車行く/かわなますみ
★浮島の光ゆたかに春の鴨/湯澤まさえ
【安丸てつじ特選7句】
★春一番大仏さまを風よけに/村井紀久子
鎌倉の大仏様であろう。先日関東は大荒れの春一番とテレビが報じていた。リアル感のなかにも滑稽味があるこなれた佳句。 (安丸てつじ)
★青空を蹴上ぐ子馬の脚細し/志賀たいじ
まだ脚の細い子馬ながら、青空に向かって蹴上げる力が強いことが「蹴上ぐ」に表現されていると思います。春に生まれた命への愛を感じます。 (竹内よよぎ)
★返されて陽射し隅々春の土/大山 凉
冬の間眠っていた田畑の土も返されて陽射しを浴びいきいきとして、これから始まる農耕への思いを感じます。 (黒谷光子)
★花菜風海峡またぎ須磨の上/小河原銑二
★厨より父の牡蠣剥く音静か/かわなますみ
★干し素麺器用に捌き春浅し/堀佐夜子
★春寒やアラビア文字の巨き船/中村光声
【堀佐夜子特選7句】
★シリウスの青き瞬き春浅し/岩本康子
浅春のよく晴れた夜空にひと際青く煌く星は大犬座の首星、シリウスです。私は書物で知り得ただけですが、実際に眺められた作者の感動が伝わって来るようです。 (堀佐夜子)
★水仙の白際立ちて雨となる/矢野文彦
★菜の花の桟敷降り立ち瀬戸の海/小河原銑二
★弓を引く少年の背に春夕焼/宮島千生
★海光る浪花の春はもうそこに/高橋正道
★コルク抜く音のよき日や日脚伸ぶ/大山由起
★春寒やアラビア文字の巨き船/中村光声
★港湾の動きに満ちて春浅し/高橋正子
「港湾の動き」は、様々だ。船舶の動き、海水の動きは、もちろんのこと、桟橋での人の動きもある。「満ちて」に春であることを感じ、春浅き「港湾」の風景を詠んだ。(高橋信之)
★春雲を引き寄せ海の真青なる/臼井虹玉
海の平らかな青に、引き寄せられるように、海に近く浮かぶ春雲。大きく伸びやかな景色が明るい。(高橋正子)
★これよりは大阪春橋風光る/祝恵子
大胆に言い切ったところがいい。「これよりは大阪」である。「風光る」大阪である。(高橋信之)
★白梅の白くっきりと日を返し/渋谷洋介
「くっきりと日を返し」に、白梅がさんさんと日を浴びて、汚れなく咲いている姿が読み取れる。(高橋正子)
★梅ひらく白のはじめを青空に/藤田洋子
「白のはじめ」が、みずみずしい。それにより、青空は太初よりの深さを持つことになった。(高橋正子)
★春寒やアラビア文字の巨き船/中村光声
日本では、アラビア文字は馴染みがない。手書きでも活字でも右から左に横書きし、文字と文字を漢字の草書のように続け書きにする。「アラビア文字」と「春寒」との取り合わせの句で、季語「春寒」が効いた。(高橋信之)
★澄む水に春めく動き貝が噴く/志賀たいじ
貝が水を噴き、貝を入れている澄んだ水が動くと、その動きの春めいて感じられること。やわらかな水の動きに春がある。(高橋正子)
【高橋正子特選7句】
★雪解けの風吹き変わる奥信濃/池田加代子
地名の奥信濃が効いている句だと思いました。雪解風が色々吹き変ることもよく解る気がする地だす。説得力のある好きな句です。(志賀たいじ)
★梅ひらく白のはじめを青空に/藤田洋子
「白のはじめ」が、みずみずしい。それにより、青空は太初よりの深さを持つことになった。(高橋正子)
★菜の花や高階の窓灯りゆく/堀佐夜子
抒情のある句。菜の花が咲き、高階に住む人たちの窓々にも灯がともりだす。「灯りゆく」は、あの窓、この窓に灯が灯ってゆく時間の経過が詠まれた表現で、読み手の心にも、菜の花のような灯りをともしてくれている。(高橋正子)
★澄む水に春めく動き貝が噴く/志賀たいじ
貝が水を噴き、貝を入れている澄んだ水が動くと、その動きの春めいて感じられること。やわらかな水の動きに春がある。(高橋正子)
★水仙の白際立ちて雨となる/矢野文彦
水仙の花の白は、やがて雨となるとき、辺りのものの中でひときわ目立ち、印象に残る。水仙の一花一花をよく見た句。(高橋正子)
★桜まだ固き花芽で空ふさぐ/高橋信之
いつも桜の木の下を仰ぎ、まだ固そうと同じ思いです。空をふさぎ伸び、伸びはった枝は逞しく楽しみです。(大給圭泉)
★雪解やある朝速き川の音/木村 修
冬の間聞きなれた瀬音。今朝は少し違う。少し水かさが増え、流れも速くなっている。春が近づき、上流の雪が解けたせいだろう。春が近づく喜びを感じた朝の風景。 (古田けいじ)
【藤田裕子特選7句】
★晴れる日も曇る日も窓の桜草/藤田洋子
窓辺に置かれた桜草に、日々心癒される思いが致します。喜びも悲しみも桜草に話しかけたくなります。(藤田裕子)
★シリウスの青き瞬き春浅し/岩本康子
春浅き夜空にシリウスの煌めきが感動的です。「青き瞬き」が星の煌めきを一層引き立てていて、惹かれました。 (甲斐ひさこ)
★旅心さそう四温の航の跡/村井紀久子
船が出ていく航跡を見ていると、見るだけではなく旅に出てみたくなるという。読んで同じ思いになる共感の一句です。(小川美和)
★春の雨四角に洩らすビル灯り/大給圭泉
★飛機発てり早春光をひきながら/尾 弦
★下萌へ影際やかに列車行く/かわなますみ
★浮島の光ゆたかに春の鴨/湯澤まさえ
【安丸てつじ特選7句】
★春一番大仏さまを風よけに/村井紀久子
鎌倉の大仏様であろう。先日関東は大荒れの春一番とテレビが報じていた。リアル感のなかにも滑稽味があるこなれた佳句。 (安丸てつじ)
★青空を蹴上ぐ子馬の脚細し/志賀たいじ
まだ脚の細い子馬ながら、青空に向かって蹴上げる力が強いことが「蹴上ぐ」に表現されていると思います。春に生まれた命への愛を感じます。 (竹内よよぎ)
★返されて陽射し隅々春の土/大山 凉
冬の間眠っていた田畑の土も返されて陽射しを浴びいきいきとして、これから始まる農耕への思いを感じます。 (黒谷光子)
★花菜風海峡またぎ須磨の上/小河原銑二
★厨より父の牡蠣剥く音静か/かわなますみ
★干し素麺器用に捌き春浅し/堀佐夜子
★春寒やアラビア文字の巨き船/中村光声
【堀佐夜子特選7句】
★シリウスの青き瞬き春浅し/岩本康子
浅春のよく晴れた夜空にひと際青く煌く星は大犬座の首星、シリウスです。私は書物で知り得ただけですが、実際に眺められた作者の感動が伝わって来るようです。 (堀佐夜子)
★水仙の白際立ちて雨となる/矢野文彦
★菜の花の桟敷降り立ち瀬戸の海/小河原銑二
★弓を引く少年の背に春夕焼/宮島千生
★海光る浪花の春はもうそこに/高橋正道
★コルク抜く音のよき日や日脚伸ぶ/大山由起
★春寒やアラビア文字の巨き船/中村光声