オンライン句会入賞発表

■水煙発行所主催■

特選7句

2007-02-18 11:37:08 | 1月句会
【高橋信之特選7句】
★港湾の動きに満ちて春浅し/高橋正子
「港湾の動き」は、様々だ。船舶の動き、海水の動きは、もちろんのこと、桟橋での人の動きもある。「満ちて」に春であることを感じ、春浅き「港湾」の風景を詠んだ。(高橋信之)

★春雲を引き寄せ海の真青なる/臼井虹玉
海の平らかな青に、引き寄せられるように、海に近く浮かぶ春雲。大きく伸びやかな景色が明るい。(高橋正子)

★これよりは大阪春橋風光る/祝恵子
大胆に言い切ったところがいい。「これよりは大阪」である。「風光る」大阪である。(高橋信之)

★白梅の白くっきりと日を返し/渋谷洋介
「くっきりと日を返し」に、白梅がさんさんと日を浴びて、汚れなく咲いている姿が読み取れる。(高橋正子)

★梅ひらく白のはじめを青空に/藤田洋子
「白のはじめ」が、みずみずしい。それにより、青空は太初よりの深さを持つことになった。(高橋正子)

★春寒やアラビア文字の巨き船/中村光声
日本では、アラビア文字は馴染みがない。手書きでも活字でも右から左に横書きし、文字と文字を漢字の草書のように続け書きにする。「アラビア文字」と「春寒」との取り合わせの句で、季語「春寒」が効いた。(高橋信之)

★澄む水に春めく動き貝が噴く/志賀たいじ
貝が水を噴き、貝を入れている澄んだ水が動くと、その動きの春めいて感じられること。やわらかな水の動きに春がある。(高橋正子)

【高橋正子特選7句】
★雪解けの風吹き変わる奥信濃/池田加代子
地名の奥信濃が効いている句だと思いました。雪解風が色々吹き変ることもよく解る気がする地だす。説得力のある好きな句です。(志賀たいじ)

★梅ひらく白のはじめを青空に/藤田洋子
「白のはじめ」が、みずみずしい。それにより、青空は太初よりの深さを持つことになった。(高橋正子)

★菜の花や高階の窓灯りゆく/堀佐夜子
抒情のある句。菜の花が咲き、高階に住む人たちの窓々にも灯がともりだす。「灯りゆく」は、あの窓、この窓に灯が灯ってゆく時間の経過が詠まれた表現で、読み手の心にも、菜の花のような灯りをともしてくれている。(高橋正子)

★澄む水に春めく動き貝が噴く/志賀たいじ
貝が水を噴き、貝を入れている澄んだ水が動くと、その動きの春めいて感じられること。やわらかな水の動きに春がある。(高橋正子)

★水仙の白際立ちて雨となる/矢野文彦
水仙の花の白は、やがて雨となるとき、辺りのものの中でひときわ目立ち、印象に残る。水仙の一花一花をよく見た句。(高橋正子)

★桜まだ固き花芽で空ふさぐ/高橋信之
いつも桜の木の下を仰ぎ、まだ固そうと同じ思いです。空をふさぎ伸び、伸びはった枝は逞しく楽しみです。(大給圭泉)

★雪解やある朝速き川の音/木村 修
冬の間聞きなれた瀬音。今朝は少し違う。少し水かさが増え、流れも速くなっている。春が近づき、上流の雪が解けたせいだろう。春が近づく喜びを感じた朝の風景。 (古田けいじ)

【藤田裕子特選7句】
★晴れる日も曇る日も窓の桜草/藤田洋子 
窓辺に置かれた桜草に、日々心癒される思いが致します。喜びも悲しみも桜草に話しかけたくなります。(藤田裕子)

★シリウスの青き瞬き春浅し/岩本康子
春浅き夜空にシリウスの煌めきが感動的です。「青き瞬き」が星の煌めきを一層引き立てていて、惹かれました。 (甲斐ひさこ)

★旅心さそう四温の航の跡/村井紀久子
船が出ていく航跡を見ていると、見るだけではなく旅に出てみたくなるという。読んで同じ思いになる共感の一句です。(小川美和)

★春の雨四角に洩らすビル灯り/大給圭泉 
★飛機発てり早春光をひきながら/尾 弦
★下萌へ影際やかに列車行く/かわなますみ 
★浮島の光ゆたかに春の鴨/湯澤まさえ

【安丸てつじ特選7句】
★春一番大仏さまを風よけに/村井紀久子
鎌倉の大仏様であろう。先日関東は大荒れの春一番とテレビが報じていた。リアル感のなかにも滑稽味があるこなれた佳句。 (安丸てつじ)

★青空を蹴上ぐ子馬の脚細し/志賀たいじ
まだ脚の細い子馬ながら、青空に向かって蹴上げる力が強いことが「蹴上ぐ」に表現されていると思います。春に生まれた命への愛を感じます。 (竹内よよぎ)

★返されて陽射し隅々春の土/大山 凉
冬の間眠っていた田畑の土も返されて陽射しを浴びいきいきとして、これから始まる農耕への思いを感じます。 (黒谷光子)

★花菜風海峡またぎ須磨の上/小河原銑二 
★厨より父の牡蠣剥く音静か/かわなますみ
★干し素麺器用に捌き春浅し/堀佐夜子
★春寒やアラビア文字の巨き船/中村光声

【堀佐夜子特選7句】
★シリウスの青き瞬き春浅し/岩本康子
浅春のよく晴れた夜空にひと際青く煌く星は大犬座の首星、シリウスです。私は書物で知り得ただけですが、実際に眺められた作者の感動が伝わって来るようです。 (堀佐夜子)

★水仙の白際立ちて雨となる/矢野文彦
★菜の花の桟敷降り立ち瀬戸の海/小河原銑二
★弓を引く少年の背に春夕焼/宮島千生
★海光る浪花の春はもうそこに/高橋正道
★コルク抜く音のよき日や日脚伸ぶ/大山由起
★春寒やアラビア文字の巨き船/中村光声

入選Ⅰ

2007-02-18 11:29:50 | 1月句会
【入選Ⅰ/10句】
★ゆったりと巨船を乗せて春の潮/岩本康子
春の海らしいおおらかさや温暖な気候まで感じられます。「巨船を乗せて」に感服いたしました。(碇 英一)

★さざんかの目白のあたりの枝の揺れ/碇 英一
さざんかの蜜を吸いにやって来た目白の営みと連動したさざんかの枝の動きがいきいきと感じられます。(臼井虹玉)

★日脚伸ぶ響き新や豆腐売り/松原恵美子
日が長くなったおだやかな一日に耳にする、豆腐売りの、(おそらくラッパの音の)長閑な感じが生活の中の春らしいひとこまを感じさせます。(臼井虹玉)

★御所の絵に連なる春の東山/安丸てつじ
御所の絵を目の前に鑑賞しながら外に目をやれば、まるでその絵の続きのように春の東山の風景が在った。情景に広がりを感じさせられる御句と思います。(臼井虹玉)

★春夕焼け雲に残して子ら帰る/あみもとひろこ
一日を元気に遊んだ子どもたちを見送るかのように真っ赤に染まった夕焼け雲がきれいです。名残を惜しむ春夕焼けです。(池田多津子)

★白梅の満ちて高きへ香をはなつ/小川美和
満開の白梅が匂っています。「満ちて」「高きへ」と白梅の香の深さと広がりを感じます。(池田多津子)

★青空は揚雲雀鳴くためにある/おおにしひろし
雲雀のために青空があると言い切っているのが印象的です。澄み切った青空に雲雀の声が心地よく聞こえます。(池田多津子)

★青麦の田のとびとびの長四角/黒谷光子
「とびとび」は、作者の発見。「長四角」があってのことで、「青麦の田」に相応しい表現だ。(高橋信之)

★青天に白さつくせり梅の花/竹内よよぎ
「梅の花」はか弱そうだが、凛としたところがある。「青天に白さつくせり」であれば、なおのことである。(高橋信之)

★大空へ冬芽立ちたる大樹かな/大山由起
木々の芽はみな空へ向いています。大きな樹の冬芽が大きな空へ向かって立つ、スケールの大きい句だと思います。(池田多津子)

入選Ⅱ

2007-02-18 11:28:07 | 1月句会
【入選Ⅱ/19句】
★黒板に卒業までの日数かな/阿部 昭
三学期に入れば友達同士纏まって休み時間など入試も然る事ながらサイン帳を回したり黒板に担任の先生の似顔絵を書いたりとしながらあと何日と生徒たちが学校生活を送っている感じがよく出ていると思います。(湯澤まさえ)

★雛僧の足袋裏ならぶ春の学堂/齋藤良一
雛僧の初々しさと、春という季節の、希望に満ちた感じがよく似合って、さわやかさのある御句と思います。(臼井虹玉)

★春の雨集まる川の音高く/池田多津子
★春の雨暗き中にも匂い来る/友田 修
★夕暮るる匂いとどめし白梅よ/藤田裕子
★今着きしばかりの駅に梅匂う/甲斐ひさこ
★傾ける崖に傾き梅咲けり/大給圭泉
★ひとつづつ咲き重なりて梅の空/尾 弦
★白木蓮蕾祭りのごと拡げ/古田けいじ
★つれづれに句作の旅や春立つ日/吉川豊子
★春一番湖城の跡の波しぶき/野田ゆたか
★寝ころびて夢を結ぶや春の芝/高橋正道
★落椿重なり合える古戦場/清水清正
★爛漫と天守囲める梅花かな/河野渓太
★のどけしやすやすや眠るおくるみに/丸山草子
★梅を撮る背過ぎりたる鳥の影/古賀一弘
★春めくや球音響く河川敷き/飯島治蝶
★やわらかく真綿丸めた春の雲/滑川けい子
★影惹いて小鳥飛立ち連翹咲く/湯澤まさえ

選者詠

2007-02-18 11:25:47 | 1月句会
■選者詠/高橋信之
★桜まだ固き花芽で空ふさぐ
いつも桜の木の下を仰ぎ、まだ固そうと同じ思いです。空をふさぎ伸び、伸びはった枝は逞しく楽しみです。(大給圭泉)

★どれもが天へ無数の冬芽の強き意志
★春浅き日の横浜の中華そば

■選者詠/高橋正子
★港湾の動きに満ちて春浅し
「港湾の動き」は、様々だ。船舶の動き、海水の動きは、もちろんのこと、桟橋での人の動きもある。「満ちて」に春であることを感じ、春浅き「港湾」の風景を詠んだ。(高橋信之)

★雪嶺の白を厳しく遠き富士
遠く眺める富士の「雪嶺」の白さを「厳しく」と表現された作者の気持ちが伝わる。凛とした自身の意志のようなものと富士の孤高の美しさがうまくマッチしているように思いました。(尾 弦)
遠くの富士を望める日は、特別。大気が冴え雪嶺の映える頃、その日は増えるが、ただ嬉しいばかりでなく、冷厳な山とともに在るという快い緊張感を覚える。 ―― 子どもの頃から感じつつ、言葉にできずおりました心境を、この「白を厳しく」が言い尽くして下さったようです。 (かわな ますみ)

★春の泉流れくだれる薔薇の園

■2007年2月句会/2月18日(日)のご案内■

2007-02-04 16:14:59 | 1月句会
選句箱
※互選をお願いします。

投句箱
※終了しました。

▼ご投句、ご選句は、下記の要領で、お願いします。
★投句①:2月17日(土)、句会前日の午後6時までに投句箱へご投句ください。
★投句②:当季雑詠3句。2月句会は、春の句ですが、冬の句も許されます。
★投句③:[投稿者欄]には、仮に英字(ABCなど)を一字か二字お書きください。作者の氏名はお書きにならないでください。 [題名欄]は、「投句」とお書きください。 [メール欄]には、水煙ネットに登録のアドレスをお書き込みください。アドレスのない投句は、削除されます。

★選句①:投句箱に書き込まれた句のなかから、あなたの好きな句を7句選んで、その番号だけを書き込んでください。
★選句②:2月18日(日)午前6時から正午までに選句7句を書き込んでください。コメントも(一句)お書きいただければ、幸いです。
★選句③:[投稿者欄]には、ご自身のお名前を、[題名欄]には、「選句」とお書きください。

★発表①:午後3時から入選句を発表しますので、入選句の作者名をお知らせください。
★発表②:午後4時の最終発表で、オンライン句会は終わります。金・銀・銅賞には、後日賞品が送られます。楽しみにして、お待ちください。

■主宰: 高橋信之
■選者: 高橋正子
■事務局:臼井虹玉
■ITスタッフ: 池田多津子・多田有花

NPO法人水煙ネット事務局

正月句会入賞句/金・銀・銅賞

2006-01-10 17:24:51 | 1月句会
【金賞】
★切り口の太き水仙自生の香/河ひろこ
自生の水仙がリアルに描かれている。茎の逞しさ、強い香り、冷たさ。本来の姿があってよい。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★さくさくと霜をならして初仕事/篠木睦
初仕事に出かける気持ちが霜を踏む「さくさくと」という音に感じられます。今年一年、いい仕事ができる、そんな朝です。(池田多津子)

★抱き来る小籠に揃う七草菜/池田多津子
野や畑を歩き、七草の若菜を摘まれたのでしょう。「抱き来る」に、青々と香る七草菜が揃ったうれしさを感じます。(臼井虹玉)

【銅賞/3句】
★雪道を揺れつつバスは折り返す/長岡芳樹
「折り返す」は、写生だが、雪国の「雪道」を表現して充分である。(高橋信之)

★一月の光を曳いて鷺の翔つ/藤田洋子
「一月の光」に抒情があって、作者の思いを詠んだ。三が日が終わってのもろもろの思いであろう。(高橋信之)

★雪山のそこまで迫りて風静か/藤田裕子
外に出て見ると、目の前に真っ白な雪山が迫ります。風のない静かな雪の世界です。(池田多津子)


※選者作品は、金銀銅賞から割愛した。

特選7句/正月句会

2006-01-10 17:22:38 | 1月句会
【高橋信之特選7句】
★さくさくと霜をならして初仕事/篠木睦
初仕事に出かける気持ちが霜を踏む「さくさくと」という音に感じられます。今年一年、いい仕事ができる、そんな朝です。(池田多津子)

★若水の透けて光りてこぼれけり/吉田晃
元旦の朝、初めて使うお水、きらきらとして美しく感じます。手で受けてそれがこぼれてゆきます。今年もお水を大切にしようと優しい気持ちも伝わってきます。(藤田裕子)

★筆太に平和と書きし初硯/古賀一弘
毎日のように報道される事件や事故、書初めにぴったりの言葉と思います。(黒谷光子)
硯にたっぷりと墨をすり、平和を祈り一気に太く平和と書き初めをされたのですね。おぞましいニュースが新聞やテレビを占領しております。平和な日々を願わずには居れませんね。(堀佐夜子)

★海峡の潮の目荒く冬ざるる/篠木睦
「潮の目荒く」が冬の海の厳しさを上手く表現していて、すきな句です。(甲斐ひさこ)

★雪道を揺れつつバスは折り返す/長岡芳樹
「折り返す」は、写生だが、雪国の「雪道」を表現して充分である。(高橋信之)

★一月の光を曳いて鷺の翔つ/藤田洋子
「一月の光」に抒情があって、作者の思いを詠んだ。三が日が終わってのもろもろの思いであろう。(高橋信之)

★みずみずし芹も薺も鍋の中/藤田洋子

【高橋正子特選7句】
★切り口の太き水仙自生の香/河ひろこ
自生の水仙がリアルに描かれている。茎の逞しさ、強い香り、冷たさ。本来の姿があってよい。(高橋正子)

★蝋梅の蕾は黄色を持ち始め/祝恵子
蝋梅の咲き始めの様子が伝わってきます。やがて良い香りもするであろう期待が下五に込められております。 (河ひろこ)

★さくさくと霜をならして初仕事/篠木睦
初仕事に出かける気持ちが霜を踏む「さくさくと」という音に感じられます。今年一年、いい仕事ができる、そんな朝です。(池田多津子)

★抱き来る小籠に揃う七草菜/池田多津子
野や畑を歩き、七草の若菜を摘まれたのでしょう。「抱き来る」に、青々と香る七草菜が揃ったうれしさを感じます。(臼井虹玉)

★初電車窓に翔びゆく白雲よ/岩本康子
初電車の窓の外に流れ行く白雲を、清清しい新年の風景と心に留められた様子が伝わります。(臼井虹玉)

★冬萌に濃き影連れて歩みけり/古田けいじ
冬萌の野に自分の影を重ねながら歩くたのしさ。冬萌の青さに春の待たれる心も感じます。(臼井虹玉)

★雪山のそこまで迫りて風静か/藤田裕子

特別選者特選7句/正月句会

2006-01-10 17:20:44 | 1月句会
【碇英一特選7句】
★元朝の静けさに湯の沸きかえる/脇美代子
新年の朝の清新さと厳かな感じが伝わってまいります。(碇 英一)
元朝の穏やかさ、心の豊かさが伝わってまいります。清潔に浄められた厨とたっぷりとした湯気が見えるようです。(池田加代子)

★豆腐切る刃先の透けり寒の入り/志賀たいじ
なにげない日々の生活の中に、鋭い感性が光ります。(岩永美恵子)

★ひと群れの風となり来るゆりかもめ/甲斐ひさこ
冬空にゆりかもめの群れ飛ぶ姿を風になぞらえて、さわやかに描かれたと思います。(今村七栄)

★霧氷散る銀色の音のひとしきり/池田加代子
★豪雪や人の心を白くして/黒沼風鈴子
★冬芽数多空の光を分け合って/高橋信之
★夜半の覚め心耳たしかに雪の音/志賀たいじ

【祝恵子特選7句】
★庭下駄に山茶花こぼる雨上がり/大給圭泉
庭に樹や花を植える夢が叶わない今、庭下駄や山茶花と聞く句だけで満足です。好きな句です。(祝恵子)

★発つ子らの背にふるさとの松飾/池田多津子
★冬日背に積みては崩す積木かな/作者不明
★また一年弾んでいたし鞠始/木村 修
★初富士や雲なき裾はなお広し/友田 修
★投げられし畳の匂ひ初稽古/古賀一弘
★餅花や明けゆく光り柔らかき/野田ゆたか

【池田多津子特選7句】
★さくさくと霜をならして初仕事/篠木睦
初仕事に出かける気持ちが霜を踏む「さくさくと」という音に感じられます。今年一年、いい仕事ができる、そんな朝です。(池田多津子)

★七草を振りて水切る軽さかな/池田加代子
まだ育ちきらない七草のか細さと、春の気配を感じようとする心のときめきがうまく表現されていると思います。(小西 宏)
さっさっ、と水を切る音が聞こえてきそうです。明るい春の訪れを期待させる情景が目に浮かんできます。(友田 修)

★元朝の静けさに湯の沸きかえる/脇美代子
新年の朝の清新さと厳かな感じが伝わってまいります。(碇 英一)
元朝の穏やかさ、心の豊かさが伝わってまいります。清潔に浄められた厨とたっぷりとした湯気が見えるようです。(池田加代子)

★冬萌に濃き影連れて歩みけり/古田けいじ
★筆太に平和と書きし初硯/古賀一弘
★餅花や明けゆく光り柔らかき/野田ゆたか
★一月の光を曳いて鷺の翔つ/藤田洋子

※オンライン句会特別選者は、過去に、以下の18氏にお願いしましたが、今回は、上記の3氏です。
藤田洋子・野田ゆたか・堀佐夜子・安丸てつじ(2回)・藤田裕子・古田けいじ(2回)・碇英一・おおにしひろし・祝恵子・霧野萬地郎・岩本康子・多田有花・守屋光雅・河ひろこ・平田弘・日野正人・志賀たいじ・篠木睦・臼井虹玉

入選Ⅰ/正月句会

2006-01-10 17:17:02 | 1月句会
【入選Ⅰ/10句】

★どか雪の村をまるごと包みたる/碇英一
今年のいかんともしがたい豪雪の有様がはっきりと伝わってきます。ぶっきらぼうな感じの言い回しが効果的ですね。(木村 修)

★風花に進めばふわと纏わりぬ/脇美代子
風花の感じが描かれていて好きな句です。(石井秀子)

★初御空ランナ-ゆける土手高く/小川美和
元日のランナー。ランナーの力強さに、何かを前向きに感じ取る作者が見えて好きな句です。(野田ゆたか)

★寒禽の水を干す時天仰ぐ/碇英一
水を飲む寒禽の所在無さ。天空に未来を見ているのかも。(矢野文彦)

★虎落笛音乾きゆく尖りゆく/野田ゆたか
ひゅーひゅーと鳴る冬の風音。その刺すような凛冽感を真正面から捉えた。味わいのある句です。(安丸てつじ)
深夜に聞く虎落笛であろうか、寒さと寂しさの募る音である、「乾きゆく尖りゆく」の捉え方に惹かれました。(志賀たいじ)

★初漁のしぶき真白く魚跳ねる/池田多津子
大漁の様子、まことにおめでたい。ことしはいい年になりそうだ、という気分にさせてくれる。すがすがしい句である。(齊藤真人)

★ふきのたう光いだきて雪の中/岩永美恵子
雪どけの頃萌えでるふきのとうが今はまだひっそり、それでも確実に光をいだいて春を待っています。(小川美和)

★ひかり満ち軒先濡らす霜雫/尾 弦
★蓮根を晒して澄める寒の水/臼井虹玉
★金色に昏き湖染め冬日落つ/尾 弦

入選Ⅱ/正月句会

2006-01-10 17:14:25 | 1月句会
【入選Ⅱ/17句】

★すやすやと幼子着膨れ腕の中/高橋秀之
幼子がすやすや眠れる、平和な年でありますよう。(渋谷洋介)
安住の場所、腕の中ですやすや眠る子、寒くないように気を配られた着膨れ、恵まれた子供ですね。(河野一志)

★六脚の椅子の埋まって二日かな/渋谷洋介
お正月の久しぶりの家族の団欒。賑やかで幸せに過ごした喜びを感じます。(大山 凉)
さりげない描写の中に、新年を迎えた家族の幸せが詠まれています。(中村光声)
家族6人で揃って平和なお正月。現代では失われかけている平和な光景ですね。お正月を新しい感覚で詠まれた句だと思います。(岩本康子)

★空札の声ほのぼのと歌がるた/野田ゆたか
競技歌留多の世界とは異なり、家庭内での読み手交替ごとに、から札(私の場合:瓜売りの・・・でしたが、)が読まれ、いよいよ気合が入るところでしょうか?数十年前の我家の状景を思い出させて呉れた句でした。(佐藤 貴白草)

★風花のきらめき翳す手を逸れる/志賀たいじ
雪がちらつく中にも、暖かい日が差している風情を感じました。(高橋秀之)

★初雀日輪の中の空に翔び/大山涼
新年の清々しい空を雀が飛ぶ風景が上手く表現されていて好きな句です。(篠木睦)

★大雪や鉄路に点る赤信号/長岡芳樹
今年の雪を活写して、赤信号が強く印象的です。豪雪お見舞い申し上げます。(霧野萬地郎)

★餅花や老舗の奥に竿秤//作者不明
老舗がまた新たな年を迎えました。今は使われていないであろう竿秤も昔のままの老 舗に、餅花が飾られています。落ち着いた中にも、はなやいだ新年の景があります。(飯島治蝶)

★七草粥足らぬひとつを語りつつ/木村修
七草を全部揃えるのは大変という発想は、多いと思いますが「足らぬひとつを語りつつ」と捉えた感覚に感心しました。(古賀一弘)

★老若の御慶それぞれ承る/矢野文彦
少しかしこまってする年始の挨拶、年配の人はさりげなく、若い人はすこし気恥ずかしく、新年の挨拶の様子が伝わってきます。(黒沼風鈴子)

★雪止みてパン工場の香過ぎゆけり/河ひろこ
「パン工場の香」が新鮮にひびきました。「パン屋」ではないところに句のスケールを感じます。(尾 弦)

★重過ぎる雪の結晶日本海/佐藤貴白草
★初鏡三十路の紅を選びたり/かわなますみ
★葉牡丹の雫煌く朝かな/中村光声
★窓にみな吹雪貼り付き朝日受く/作者不明
★残照を透かすポプラの枯木道/霧野萬地郎
★追羽子の記憶に鳴れる硬き音/臼井虹玉
★蓋取れば土鍋青々薺粥/大山涼

正月句会選者詠

2006-01-10 17:07:28 | 1月句会
■選者詠/高橋信之

★冬芽数多空の光を分け合って
"分け合う"という姿に平和を感じます。(臼井虹玉)
寒い日が続いていても冬芽があちこちで力強く空に陽を求めているのを見かけます。(大給圭泉)

★野の枯れに朝日差し来て輝かす
枯れの色も霜や雫も朝日が差すといきいきとする。それぞれが命を輝かして、今日が始まるというところが好きな句です。(河野一志)

★四国にも雪きらきらときらきらと
温暖なここ四国にも降る雪の眩しさに、明るく清々しい年の始まりを感じさせていただきました。(藤田洋子)


■選者詠/高橋正子

★七草につめたきものの降っており
お庭、或いは鉢植えで育てていらっしゃる七草でしょうか。雨とも霙とも雪とも言わず、ただ「つめたきもの」が降っている光景から、七草の青さと、それを囲む冷たい季節が感じられます。同時に、もう春が近いことも。(かわなますみ)

★寒中のくらがり奥に溶接光
★日本に雪降ることを知るポプラ

正月句会互選集計結果報告

2006-01-10 17:04:21 | 1月句会
■互選高点句/池田多津子集計
1月 8日(日)20時10分58秒

オンライン新年句会の互選集計結果をお知らせします。遅くなり、申し訳ありません。
40名の方が互選に参加されました。

11点  冬芽数多空の光を分け合って/高橋信之
10点  七草を振りて水切る軽さかな/池田加代子
10点  元朝の静けさに湯の沸きかえる/脇美代子
10点  豆腐切る刃先の透けり寒の入り/志賀たいじ
 8点  ひと群れの風となり来るゆりかもめ/甲斐ひさこ