今月は、高橋信之・池田多津子・臼井虹玉・池田加代子・高橋正子の5人のチームでお世話をいたしました。
■6月句会全作品
http://www.suien.net/NetKukai/online/k0606z.htm
■投句選句箱
http://6802.teacup.com/suien/bbs
▼伝言などは、下の<コメント>にお書きください。
【金賞】
★青梅雨に今朝の欅の明るさよ/おおにしひろし
青梅雨にすっぽり包まれた欅の緑が、今朝はことさらに明るく思えた。青葉となり、梅雨を受けて、欅の葉には、真緑のあるべき色となった本来の明るさがある。(高橋正子)
【銀賞/2句】
★風青しすくと青年ブロンズ像/飯島治蝶
「風青し」は、青葉や繁茂した草木を揺るがして吹く少し強い風だが、その風に、すくと立つ青年のブロンズ像が、青年らしさを象徴している。「風青し」も青年像に相応しい言葉である。なによりも迷いの無い句である。(高橋正子)
★沖に今ヨットレースの帆が一線/池田加代子
下五の「帆が一線」は字余りで、そこに緊張感があり、上五の「今」には、臨場感がある。いい詩だ。言葉が重くないのもいい。平易なのだ。(高橋信之)
【銅賞/3句】
★音涼し山からの水池に落ち/宮地ゆうこ
雨が上がったあとなのだろう、山に降った水は、涼しい音を立てて池に落ちる。流れるのではなく、落ちる水なので、耳に聞こえるその音は、体までも涼しくしてくれそうだ。(高橋正子)
★ゆるやかに牛の反芻夕焼ける/志賀たいじ
牛を置いて「夕焼ける」大きな風景が鮮明だ。季語「夕焼ける」の働きがいい。季語は、一句の中に生かされ、初めて季語となる。(高橋信之)
★鉄骨の組まれ夏野は尚青き/小川美和
組まれている鉄骨の間を透かして、夏野が見える。鉄骨があることによって、茫漠とした夏野も、その青さが目に鮮明にまた、生き生きと映る。硬質な鉄骨と、柔らかな夏野の組み合わせも、それぞれをひきたてている。(高橋正子)
【守屋光雅特選7句】
★さみだれや近江は波の音とあり/大石和堂
柿本人麿の歌を想い起こした。作者は万葉の旅をしているのかも知れぬ。梅雨も旅に好いものだ。あふみの国に行ってみたくなった。(守屋光雅)
★ラムネ飲むきれいに響くところまで/かわなますみ
泡とガラス玉が生む音が一番「きれいに響くところ」を耳に探しながら飲む、清涼なひととき。「きれいに響くところ」は人それぞれで漠然としているようでも、作者の得ようとする「響き」に心が引き寄せられるのは、その繊細さへの共鳴でしょうか。(池田加代子)
★草丈の伸びて草笛響き初む/池田多津子
夏にむかうはつらつとした生命力のようなものを感じます。「草笛」が効果的です。(尾崎 弦)
★胡椒瓶幾度も振りて梅雨の入り/木村 修
★日の差して六月の街輝きぬ/石井秀子
★虞美人草風に揺らせて画布のなか/河野渓太
★飛び交ひて水を掠めし夏燕/小西宏
【堀佐夜子特選7句】
★沖に今ヨットレースの帆が一線/池田加代子
沖に見えるは海の蒼とよっとの白。帆が一線だからヨーイドン寸前の光景だと思われて此方まで緊張が走ります。夏の海そのものです。(堀佐夜子)
★さみだれや近江は波の音とあり/大石和堂
湖水の波音とそぼ降る雨音の調和が見事です。構図も雄大で好きな句です。(安丸てつじ)
静かに降る雨の音とおだやかな波の音、湖畔に立つ作者など情景が想像でき好きな句です。(黒谷光子)
★長男の二の腕太し更衣/木村 修
夏ごとにどんどん成長していく子。衣更えの時期に改めて、頼もしく驚きをもって見ている様子がさわやかです。(希往来)
★朝の業笹散る道を掃く宮司/平田弘
★お揃ひの赤いシャツ着て西日中/栗山豊明
★虞美人草風に揺らせて画布のなか/河野渓太
★開け放ち薔薇の香りを通しけり/大給圭泉
【渋谷洋介特選7句】
★放牧の牛の乳房や若葉風/河ひろこ
広々した山野で、青草をたっぷり食べた、牛の乳房の張りが瑞々しい。(渋谷洋介)
★麦秋の道まっすぐに蒼天へ/今村七栄
初夏の爽やかな田園の情景が目に浮かびます。(大山 凉)
★青梅雨に今朝の欅の明るさよ/おおにしひろし
★トルコ桔梗の白の清楚を抱き帰る/臼井虹玉
★故郷を離れてながき瓜の花/齊藤真人
★菜園に名札大きく茄子の花/堀佐夜子
★沖よりの風にあじさい藍増せり/池田加代子
特別選者
■オンライン句会特別選者は、過去に、以下の25氏にお願いしましたが、今回は、上記の3氏です。
野田ゆたか(2回)・安丸てつじ(2回)・藤田裕子(2回)・古田けいじ(2回)・碇英一(2回)・おおにしひろし(2回)・河ひろこ(2回)・藤田洋子・堀佐夜子・祝恵子・霧野萬地郎・岩本康子・多田有花・守屋光雅・平田弘・日野正人・志賀たいじ・篠木睦・臼井虹玉・池田多津子・黒谷光子・大山凉・宮地ゆうこ・大給圭泉・池田加代子
■互選高点句/池田多津子集計
15点 ゆうすげに月まだ淡くありにけり/高橋正子
12点 風青しすくと青年ブロンズ像/飯島治蝶
12点 沖に今ヨットレースの帆が一線/池田加代子
11点 ラムネ飲むきれいに響くところまで/かわなますみ
11点 ゆるやかに牛の反芻夕焼ける/志賀たいじ
10点 さみだれや近江は波の音とあり/大石和堂
10点 田水張る山も深空も近く入れ/甲斐ひさこ