ののほんじゆうちょう

管理人nonohonが不定期にラクガキします。

コゼット序盤感想

2007年02月12日 | マンガ・アニメ
そういえばずっとしてなかったので、コゼットのここまでの感想をば。

それまでの『名作劇場』とうって変わった絵柄に抵抗がある人が多いようですが、私はこの点は問題なし。今までの名劇シリーズだって、実際はいろんな絵柄ありましたしね。じゃあ今回の絵柄は好みかと言われるとそうでもないんですけど・・・(笑
作画も(6話までの段階では)安定しており、質も(現在の他のアニメ作品と比べて)高い部類に入ると思います。キャラの動かし方なのかカメラワークなのか、多少違和感は感じますが、あとはどういう物語をどう演出していくかというところでしょうか。


で、肝心の物語なんですが・・・辛い(笑
わかっちゃいましたが、見てて苦痛です。
元々セーラなど、理不尽な不幸に耐え忍ぶ系の作品は苦手なんですが、コゼットはそれに輪をかけて酷い境遇。これまでのどの作品も屋根裏部屋や馬車など、自分だけの逃げ込める空間がありましたが、コゼットにそんなものはなく、階段の下か馬小屋の隅って・・・猫ですか?!

人物描写が一番の問題点で、どの人もまともじゃない(ような描かれ方をしている)。
Indianaさんも指摘していましたが、まずキャラデザで善人悪人がハッキリ分かれすぎてて気持ちが悪い。テナルディエ家はどうやったらそういう形で家族が成立するのかわからないぐらいパッキリと性格が分かれて、しかもそれで数年が平気で経つし。唯一の理解者のガブローシュは良い子に見えるけど、当たり前のように自分の両親を愛してなく、引いて見るとエポニーヌらに負けず劣らず怖い。コゼットも養父母から一切の影響を受けずに気立てよく育つあたりが違和感バリバリだし、どうもこの物語は子ども像が変。
出てくる大人はマドレーヌ市長やお母さんでさえ自分のことしか考えてなく、すぐモノローグにふけっちゃいます。特にお母さんはお嬢様なのだからしかたないけど、人を見る目も人付き合いも悪すぎ。娘を預ける所に失敗し、工場でも友人を一人もつくらずに弱みがバレればすぐにクビ。もうちょっと何とかならなかったのかぃ?と誰もがツッコミたくなります。

この物語、全体の期間が長いので省かなければならないのはしょうがないのですが、省くには無理がある部分が多すぎるんでしょうね。コゼットがあずけられてから今までの数年間、いったいどれだけのことがあり、どれだけのことができたのか・・・。なのにアニメではコゼットとガブローシュのデザインが変わっただけで、人物や境遇に一切の変化がありません。なんじゃそりゃ~!?
『それから数年』で飛ばして済む境遇じゃなかったはずですが・・・。


とはいえ、コゼットやファンティーヌなど、一人に絞って感情移入するとものすごく辛くて、そういう意味では狙い通りなのかもしれません。今後の展開次第というところでしょうかねぇ・・・。


ちなみに、貧乏モノということでよくお金が話題になりますが、同じようにお金がよく出てきたペリーヌとついつい比べてしまいます。
テナルディエ夫妻はファンティーヌから養育費として月10フランせしめていますが(これは途中から値上がりした価格ですが、6話現在更に上がっているので、中間としてわかりやすく10フランとします)、パリカールを泣く泣く売った値段が30フランですから、年間でパリカール4頭分(これを数年に渡って)せしめているわけです。ペリーヌがパンダボアヌ工場でトロッコ押しをした時の給料が10スウ(0.5フラン)なので、10フランと言うとペリーヌのトロッコ押し20日分です。なんつーか、テナルディエ夫妻大悪人ですな。
さらにペリーヌの世界を参考にすると、どの職種でも宿代はほぼ給料の2/5~1/2となっています。マドレーヌ工場が相当待遇がいいと仮定しても1/3程度はするでしょう。トロッコ押しが1日0.5フラン、熟練工が3フランなので、大目に見てもファンティーヌは1フラン程度でしょう。ここから1/3をひくと0.6フラン。25日労働で15フラン。食費も何もかも抜いたとしても月に5フランしかたまりません。ここから更になんだかんだと要求されれば、コゼットと暮らすためのお金など貯まるはずもありません。ちなみに6話で薬代として40フラン請求されましたが、ファンティーヌさんの貯え1年分ですよ?!1年の労働が全て無駄にされているのです。こう考えるとテナルディエ夫妻にも、純粋に信じ続けているファンティーヌにも怒りがこみあげてくるってもんです。
ここまで巻き上げてるのに、テナルディエ夫妻はいつも『お金がない』とか言ってるけど、何に使ってんのか・・・。コゼットにひっきりなしに仕事が与えられるところを見ると、宿にお客は入ってるようだし・・・謎です。

なんか蛇足が長くなりすぎましたが、ツッコミどころ満載なのと、コゼット親子が本当に悲惨な境遇にいるのは確かなようです(笑