徒然BOON

徒然なるままに気になることを綴ります

風光る 第243話

2019-01-26 19:11:05 | 「風」のひとり言

険しい表情で、怒りをぶつける様に

『長年のご厚誼 誠に忝く存じ奉る!』

と決別を告げる永倉組長に続き、『御免』と言って部屋を出て行った原田組長。

去り行く二人の背に向かって『永倉さん 原田さん!』と呼び止めるも歩みを

止めることはなく、振り返り、事態を招いた局長に問うように声を掛けた山口組長。

じっと、前方の畳をみつめたまま無言を貫く局長。

しばしの沈黙を破るように指示を出したのは土方副長。

『――お前も行け 山口』

腕組みして目とつむっていた副長は顔を上げ、驚く山口組長に視線を向けると

クイっと顎を上げ、無言で "追え” と指示。

すぐに副長の意を解した山口組長は『―――は!』と返事をし、二人を追って行った。

遠のく三人の足音が聞こえなくなってから

『――お前も行っていいんだぞ トシ』と弱弱しくつぶやいた局長に、

『ああ そうだな』と応じた副長。座を立ち、開け放たれていた障子を閉めると

改めて局長の目の前にどかっと座り直し、

『さてと また隊士を募集しなきゃならねえな?』と笑顔を見せる副長であった。

   斉藤さん、そういえば会津容保公の密偵的な役割を担っていたよね。

   今でも会津藩に新選組のことを報告しているのだろうか・・・?

   もう信頼を得たであろう新選組の密偵のお仕事はお役御免になったのかな?

   会津公の密偵をしながら副長の密偵・・・ 大変だね。

 

吉原に集まった永倉組長らと平隊士たち(20数名ぐらいか?)。

先程の顛末を説明し、俺らと一緒に会津に行って誠の士道に準じるか局長の家来に

甘んじるか、隊士たちに身の判断を迫る永倉組長。

ずっと同志だと言っていた局長の心変わりが信じられず同席の山口組長に本当かと

訪ねる隊士も。彼らはどの道を進むのか・・・

   野村も相馬も、銀之助ら子ども隊士も・・・ みんな無事だったんですね。

 

局長と副長

反恭順派の幕臣らに働きかけ、更に大きく強靭な新選組を作ろうと意気込む副長に

『もういい 無理をするな お前も新八達と行ってくれ』と局長。

『で あんたはどうするんだ?

 別に俺はあんたの家来で構わねえし それで今までと何が変わるとは思えねえが?』

と尚も付いて来るという副長の言葉を聞き、ついに抑えてきたものがあふれ出した

局長。手を置いていた袴をぎゅっと握りしめた後、畳に手を付き、

『頼む! もう俺を見捨ててくれ 

 此度の戦 隊を率いるどころか足手まといにしかならなかった

 俺はもう 駄目なんだ・・・!』と涙をこぼす局長。

そのまま畳に突っ伏し、

『――― 右腕が 動かなかった・・・』とつぶやくと

身を起こし、袖をまくって己の右腕を見つめながら

『戦場に在って 剣を振りかざす事さえできなかったんだ!

 こんな右腕で この先俺に何ができると言うんだ!

 俺はもう 剣を執ることができないんだ トシ…!!

局長の悲痛な咆哮。

局長の告白に瞠目し、動揺を隠せない副長だったが――

   局長・・・ 回復してから一度も刀を握っていないの?

   肩を負傷し、ある程度痛みが取れてきたら木刀を振りかざして具合を

   確かめたいと思わないかね、刀使いなら。 と思ってしまったよ。

   伏見の街道で狙撃した内海さん。あの場では局長の命はとれなかったが、

   まあある意味、心の致命傷は負わせられたってことでしょうか。

   さすがだよ、次郎さん。

 

浅草今戸・法眼の仮宅となっている神社境内。

沢山の火鉢に鉄瓶をかけて室温・湿度を整えた部屋で床に臥す沖田組長。

法眼の言いつけ通り手を握り、念じる主人公。

 先生 沖田先生 聴こえますか?

 私です 神谷です 聴こえたら目を覚まして!

そこへトキさんが、おにぎりふたつと滋養汁(砂糖入りホットミルク)を持って

部屋に入ってきた。

以前、沖田組長と同じ食事しか摂らない、と誓った願掛けを理由に食事を摂らない

主人公の身体を案じ、『私が旦那さまに叱られます』と強く食事を勧めるが

主人公は にこっと微笑むだけ。

ハッとしたトキさんは『なりませぬ!』と諫める、飲み物なら誓いを破る事には

ならないでしょうと、滋養汁を主人公に手渡すと、さすがに健康体の人間なら

空腹には勝てず、丼いっぱいの滋養汁があっという間に空っぽに。

『情けない  なんっっって美味しいんだ』と落ち込む主人公に

『情けなくなどございません! さあその温まった両の手で

 沖田先生のお顔を包んでさし上げてくださいませ!』と促すトキさん。

『沖田先生』と声を掛け、そっと沖田組長の頬に両手を当てるとひんやり・・・

ドキッとする主人公。

 冷たい・・・!?

 まるで死人の様に

『先生! 沖田先生!?』と必死に呼びかけ顔を近づける主人公。

よく診れば

『呼吸も止まっている!?』

法眼を呼びに行ったトキさん。

『嫌です!! 先生 目を開けてください!!』

『沖田先生っ!!』

 

次号へ

 

 

う~ん、今号の見どころは折れた?折れかけた局長に対する副長の対応だね。

上手いこと"右腕”をかけて・・・

沖田組長、今回も幽体離脱?ですか。あんまり特技使っちゃうと・・・

あ、ブログでは深刻な場面で終わらせていますが、本編はもうちょっと

続きが描いてあります。

そういえば、池田屋で倒れた時も幽体離脱してましたね。

危篤状態になると人間、秘めた能力を発揮するんでしょうか?

今回は副長の熱い想いにムネアツ。局長はいい女房に恵まれたね。

それとも、ここまで全てを捧げられる相手に巡り合えた副長が幸せなのか・・・

 


続・風光る 第242話

2019-01-02 10:53:25 | 「風」のひとり言

松本法眼達の避難先・浅草の今戸町のお寺(臨時医学所)へ着いた主人公一行。

弟子に呼び出され、表に出てきた法眼。

二人掛りで駕籠から出された意識のない沖田組長を一目見るなり顔色を変え、

『・・・!! 診療室へ運べ!』と指示する法眼のただならぬ様子を目にし、

今にも崩れそうな自分を奮い立てる主人公。

 泣くもんか

 まだ死んでない

 まだ生きてる

 

戸板に乗せられ、弟子たちの手で診療室に運ばれた沖田組長。

『どういうこった・・・? 息も細いし体温も低い 死にかけているとしか

思えねえのに不思議と安定している まるで熊の冬眠だ』と聴診器を当て診察する法眼。

患者から少し離れた場所で法眼に経緯を説明する主人公。

今朝方、刺客と斬り合ったことで体力を消耗し、そして私が不用意に発した事により

新選組の戦況を知られてしまい、気絶させるほどのショックを与えてしまったと。

あの体で斬り合ったのか!?、そして新選組が負けたのか!?と驚く法眼に、

『いえ わかりません わかりませんけど』と返答しつつ、

実は昨日の朝、援兵を願い出るために江戸へ行く、と副長が単身日野に戻ったこと、

そして今日、東征軍が江戸入りすると聞きき、新選組が劣勢なのではないか、と

推論を述べる主人公。

副長が援兵を願い出ることに疑問に思ったが、主人公から「何故か行軍が遅れた様で

敵方に甲府城を先んじられ、兵の数が違いすぎるからだ」とか、と理由を聞き、

思わず顔を背け、

 なんてこった…!! 要らぬ節介をしちまったか?

と冷や汗を浮かべ後悔する法眼。

が、すぐに気持ちを切り替え、

『――いや わからねえものを心配したって埒が明かねえ!

 新選組(あいつら)がそう簡単にくたばるタマかってんだ!!

 無論 お前もだ沖田! こんなところでくたばるんじゃねえぞ!』と

自分を含め皆を鼓舞すると、

トキさんもいる、すぐ近くの仮宅に沖田組長を運ぶよう指示し、

『絶えず傍にいて身体のどこかに触れていろ 手でも足でも頬でもいい そして

 念じ続けるんだ ❝目覚めろ❞と 今 沖田にできる手当てはそれだけだ』と

介護を命じる法眼の言葉を神妙に受け止めとその場を後にした主人公。

 生きてください 沖田先生

 私の命に代えられるなら

 いつでも何度でも 差し出しますから

 

勝沼からの撤退中か  独り、暗い山林を彷徨う近藤局長。

 ここは どこだ

 トシ  新八?  左之助・・・

 誰も居ないのか・・・?

不安顔で彷徨う中、行く先の尾根の辺りに数名の平隊士たちの姿が!

 「話が違う」 「侍になれるってえから俺は」

 「これじゃまるで」 「あの隊長じゃ…」

自分が居る場所とは逆の敵方がいる方向へ走って行く隊士達に 

『おい! 君たちどこへ行く!? 

 そっちは逆方向だぞ!?  待っ・・・!』

 

 

右手を空に突き出した態勢で、飛び起きた局長。

『――――!』

冷や汗を浮かべ、はあ はあ はあ と荒い呼吸を繰り返す局長の異変に気付いた

隣の布団で休んでいた山口組長。

『すまん… 山口君 起こしてしまったか』と小声で詫びる局長。

『陽が落ちたら一気に江戸まで戻る 君ももう暫く休んだ方がいいぞ』

と何事もなかったようにふるまい、背を向けて布団に横になった局長の背を

じっと眺めている山口組長。何かを感じ取った様子。

   勝沼から江戸へ戻る甲州道中のどこかの旅籠でしょうか? 

   宿に泊まっていた局長一行。

誰も居ない左側(壁側)に顔を向けて横になった局長の目頭には涙が溜まっている。

 夜陰に紛れて日野を抜けるのか

 ほんの数日前には晴れやかに見送られて旅立った古里を…

震えしまいそうな自分を抑え込むためか、左手を右肩に当て、己を抱きしめる

愁い顔の局長・・・

   局長―――!!! まだ… まだです!!  気持ちをしっかり!! 

   床の間に丸窓、立派なお部屋に泊まっていますね。旅籠じゃなくて

   各宿場にある本陣か脇本陣の座敷にでも泊めてもらっているのかな?

   日が暮れてから出発し、明け方までには江戸に戻れる距離・・・

   大月盆地よりは東の相模四宿辺りか小仏峠を超えた駒木野宿あたりか?

 

勝沼での敗戦後、持ち場毎、江戸の集合場所である臨時医学所に集まってきた

隊士らをねぎらう法眼。

『面目ない 法眼』をしょげる永倉組長等に

『てやんでえ 生きて帰らりゃあ勝負は互角よ! 怪我人はみんな俺が治してやる!』

と発破をかけるも、甲陽鎮撫隊の加勢(頭数を増やす)にと自分が世話した博徒達が

隊の足でまといになってしまったことを原田組長からの口から知り、頭を抱える法眼。

自室に場を移し、永倉・原田組長に『―――で 今後どうするつもりだ?』と問う法眼。

『江戸は既に厳戒態勢だ 

 大樹公は断固恭順を貫くご意向で抗戦を厳に禁じているが・・・』と法眼が現状を

伝えると永倉組長は険しい顔つきで内に秘めていた決意を述べた。

『会津へ 行こうと思っています』

 

 

その頃、とある武家屋敷の門を駕籠が入って行った。

『奥様!  奥様ーー!!』と家人に呼び出され、玄関に出向いたツネさんと

一人娘のタマが目にした人物は、ごく少数の隊士(護衛)を連れて突如帰宅した

近藤局長だった。

驚く二人に『心配をかけたな ツネ   タマ』と無理やり作ったような笑顔で

詫びる局長に

『お帰りなさいませ旦那様  ご無事で何より…  嬉しゅうございます』と

玄関に手を付き、出迎えた母娘。

護衛らに食事と風呂の用意をツネさんに頼み、自身もひとっ風呂浴びてやっと一息。

座敷に座った局長の背にぎゅうっとしがみ付いてきたタマちゃん。

『父上 またすぐにお出かけですか? 

 今度は幾日タマと一緒にいてくださいますか?』と父の背中から覗き込むように

甘えるタマちゃんを『タマや 父上を困らせてはなりません。もう7歳(つ)にも

なったのですからわかりますね?』と、そっと諭すツネさん。

   タマちゃん、かわいいお顔ですね。 目元はお母さんそっくり。

   ってことは、成人するとお母さん似に・・・

聞き分けの良い娘をひょいっと抱き上げ、『ははは 今日だけは構わぬことにしよう』

と言うと、笑顔を見せる娘の顔を見つめ、

『―――タマは良い娘(こ)に育ったなあ』としみじみ。

そして、傍にいるツネさんの顔を見つめながら

『亡き義父(ちち)の介抱も 

 老いた義母(はは)の世話にも誠の限りを尽くしてくれたと聞いている 

 お前を娶って 本当に良かった―――――― ツネ  心から感謝している』

とこれまでの謝意を伝える局長。

最初、呆然としていたが微かに震え出し、涙があふれてきたツネさん。

『旦那様…―――? ――――

 私こそ… 私のほうこそ―――  』

泣き出したツネさんを右手でそっと抱き寄せると瞼を閉じ、

『―――ありがとう』

『―――済まん…』

とつぶやいた局長だった。 その眼には光るものが・・・

   うるうる・・・ 最後の別れを覚悟しての事ですか、局長。

   いろんな意味を込めた『ありがとう』と『済まん』でしょうね・・・

   あ、ツネさん、近藤家の家紋の簪を差している。前から挿していた物でしょうか?

   きと特注品だろうから旦那さんからの贈り物かな?

 

神田町の元の医学所

怪我人以外はここに集合とのことで副長も合流。

局長が戦況を確認しないまま、私宅に戻ったことを山口組長から聞き、驚く副長。

登城するにあたり身なりを整えるためとは言え、生真面目な局長の事ゆえ少々奇異に

感じたが、酷く疲れている様子だったのでそのせいかと…と私見を述べる山口組長に

『そうか… 確かに無理もな 俺が役に立てなかったのも一因だ』と得心する副長。

   一因か?じゃなくて、一因だ、と断定する副長。さすが唯一無二の右腕(笑)

副長がこちらに向かって来たことに気づいた永倉・原田組長。

気落ちしている副長を励まし、同情する二人は何故かつやつやで、二人の周りの空気は

キラキラしている。

すぐに感づいた副長。 眉間にしわを寄せ、怒りを露わにする副長を

はーーっ はっ はっ はっ と笑い飛ばし、

『そりゃヤル気満々だからですよ!! 夕べ、今後について同志皆で話し合ってさ!』

『全員で会津に行って士道に殉ずる事に決めたんス』

と意気揚々な二人。

『ほう! そいつは面白そうだな!』とすぐに興味を持った副長に夕べの話の内容を

説明しているところに局長がやって来た。

『断る! 俺は左様な決議に加わるつもりはない!』と一蹴。

   原田組長ら皆、紋付の羽織袴に着替えて参集している。

   局長は一度私宅に帰ったから紋付に着替えられたと想像つくが、他の組長らは

   この短時間でそれぞれの家紋付きの羽織をどうやって揃えられたんだろう?

   皆、着の身着のままで勝沼から撤退しただろうに・・・

勝手に会津公の下に行く事にし、また永倉組長の同郷の馴染みで、その人物を買われ、

旗本の養子となった芳賀という豪傑にも協力を打診している、とトップである自分抜きで

話が進んでいることが癇に障ったのか・・・

旗本といえば、今の局長とほぼ同格に身分。 そのことを気に病んでの発言かと思い、

『いや、局長待ってくれ 別に芳賀を隊長にとかって話じゃなくて…』と弁解する

永倉組長に

『然れば 全員が俺の❝家臣❞になるなら 話の続きを聞かぬでもない』と提案した

局長。

その場にいる全員が驚愕。

『なっ・・・!? 家臣ってなんスか!』

『新選組は❝同志❞の集まりで主従の関係じゃなかったはずですよね!?』と

反論する永倉・原田組長。

   こんな時でも斉藤・・・じゃなかった山口組長は相変わらポーカーフェイス。

ふたりの横を通って上座に座り、

『主従が無くて軍隊が機能するとでも?

 全員が同志だなど 疾うに立前なのが実際だろう』としれっと言い放った局長。

じっと局長の意図が何なんか、動静を見守る副長。

そんな副長たちを観察する山口組長。

局長の信じがたい言葉を耳にし、

『近藤さん… あんたそんな風に思っていたのかよ…!?』とつぶやくと

ざっと立ち上がり、

『冗談じゃねえ!!

 こちとら同盟こそすれ あんたの家来になった覚えは

 一度たりともありゃしねえんだ!

 そんな話ならこっちから願い下げだぜ!!』

局長を見下ろしながら、決別の意を伝えた永倉組長と同意する原田組長。

 

次号へ

 

ふう、ますますシビアな展開になってきた。

とうとう永倉組長らと別の道を進むことになるのか?

それにしても局長はなぜ、あえて仲たがい?させるような事を言ったんだろう?

勝沼での敗戦、江戸まで逃げる戻る最中に見たのあの夢で、何か 悟ったか・・・

局長の言葉通り、軍隊として強固な機能を作り上げたいのか?

それとも… 己の運命に道連れさせないために、あえて離れやすくするように

仕向けた言葉だったのか・・・

永倉組長は屯所時代も 局長のはしゃぎっぷり(騎馬での登城とか)に建白書を

出したぐらいだからね・・・

『家来になれ』なんて言われた日にゃあ・・・ もう、ねぇ

昔、沖田先生が言っていたなあ、 

私と土方さんは近藤先生の兵だけど、あの人達は違う、と。

(これの正しいセリフはどうだったか、どんなシチュエーションで発せられた言葉か、

何巻に載っていたか確かめようと単行本数冊ぱらぱらめくってみたけど

見つけられなかった(笑))

どんどん新選組はばらけていくなあ・・・ 篩いにかけているのか・・・

次号はどんな展開となっていくのか?

冬眠中の沖田先生も心配です。