険しい表情で、怒りをぶつける様に
『長年のご厚誼 誠に忝く存じ奉る!』
と決別を告げる永倉組長に続き、『御免』と言って部屋を出て行った原田組長。
去り行く二人の背に向かって『永倉さん 原田さん!』と呼び止めるも歩みを
止めることはなく、振り返り、事態を招いた局長に問うように声を掛けた山口組長。
じっと、前方の畳をみつめたまま無言を貫く局長。
しばしの沈黙を破るように指示を出したのは土方副長。
『――お前も行け 山口』
腕組みして目とつむっていた副長は顔を上げ、驚く山口組長に視線を向けると
クイっと顎を上げ、無言で "追え” と指示。
すぐに副長の意を解した山口組長は『―――は!』と返事をし、二人を追って行った。
遠のく三人の足音が聞こえなくなってから
『――お前も行っていいんだぞ トシ』と弱弱しくつぶやいた局長に、
『ああ そうだな』と応じた副長。座を立ち、開け放たれていた障子を閉めると
改めて局長の目の前にどかっと座り直し、
『さてと また隊士を募集しなきゃならねえな?』と笑顔を見せる副長であった。
斉藤さん、そういえば会津容保公の密偵的な役割を担っていたよね。
今でも会津藩に新選組のことを報告しているのだろうか・・・?
もう信頼を得たであろう新選組の密偵のお仕事はお役御免になったのかな?
会津公の密偵をしながら副長の密偵・・・ 大変だね。
吉原に集まった永倉組長らと平隊士たち(20数名ぐらいか?)。
先程の顛末を説明し、俺らと一緒に会津に行って誠の士道に準じるか局長の家来に
甘んじるか、隊士たちに身の判断を迫る永倉組長。
ずっと同志だと言っていた局長の心変わりが信じられず同席の山口組長に本当かと
訪ねる隊士も。彼らはどの道を進むのか・・・
野村も相馬も、銀之助ら子ども隊士も・・・ みんな無事だったんですね。
局長と副長
反恭順派の幕臣らに働きかけ、更に大きく強靭な新選組を作ろうと意気込む副長に
『もういい 無理をするな お前も新八達と行ってくれ』と局長。
『で あんたはどうするんだ?
別に俺はあんたの家来で構わねえし それで今までと何が変わるとは思えねえが?』
と尚も付いて来るという副長の言葉を聞き、ついに抑えてきたものがあふれ出した
局長。手を置いていた袴をぎゅっと握りしめた後、畳に手を付き、
『頼む! もう俺を見捨ててくれ
此度の戦 隊を率いるどころか足手まといにしかならなかった
俺はもう 駄目なんだ・・・!』と涙をこぼす局長。
そのまま畳に突っ伏し、
『――― 右腕が 動かなかった・・・』とつぶやくと
身を起こし、袖をまくって己の右腕を見つめながら
『戦場に在って 剣を振りかざす事さえできなかったんだ!
こんな右腕で この先俺に何ができると言うんだ!
俺はもう 剣を執ることができないんだ トシ…!!』
局長の悲痛な咆哮。
局長の告白に瞠目し、動揺を隠せない副長だったが――
局長・・・ 回復してから一度も刀を握っていないの?
肩を負傷し、ある程度痛みが取れてきたら木刀を振りかざして具合を
確かめたいと思わないかね、刀使いなら。 と思ってしまったよ。
伏見の街道で狙撃した内海さん。あの場では局長の命はとれなかったが、
まあある意味、心の致命傷は負わせられたってことでしょうか。
さすがだよ、次郎さん。
浅草今戸・法眼の仮宅となっている神社境内。
沢山の火鉢に鉄瓶をかけて室温・湿度を整えた部屋で床に臥す沖田組長。
法眼の言いつけ通り手を握り、念じる主人公。
先生 沖田先生 聴こえますか?
私です 神谷です 聴こえたら目を覚まして!
そこへトキさんが、おにぎりふたつと滋養汁(砂糖入りホットミルク)を持って
部屋に入ってきた。
以前、沖田組長と同じ食事しか摂らない、と誓った願掛けを理由に食事を摂らない
主人公の身体を案じ、『私が旦那さまに叱られます』と強く食事を勧めるが
主人公は にこっと微笑むだけ。
ハッとしたトキさんは『なりませぬ!』と諫める、飲み物なら誓いを破る事には
ならないでしょうと、滋養汁を主人公に手渡すと、さすがに健康体の人間なら
空腹には勝てず、丼いっぱいの滋養汁があっという間に空っぽに。
『情けない なんっっって美味しいんだ』と落ち込む主人公に
『情けなくなどございません! さあその温まった両の手で
沖田先生のお顔を包んでさし上げてくださいませ!』と促すトキさん。
『沖田先生』と声を掛け、そっと沖田組長の頬に両手を当てるとひんやり・・・
ドキッとする主人公。
冷たい・・・!?
まるで死人の様に
『先生! 沖田先生!?』と必死に呼びかけ顔を近づける主人公。
よく診れば
『呼吸も止まっている!?』
法眼を呼びに行ったトキさん。
『嫌です!! 先生 目を開けてください!!』
『沖田先生っ!!』
次号へ
う~ん、今号の見どころは折れた?折れかけた局長に対する副長の対応だね。
上手いこと"右腕”をかけて・・・
沖田組長、今回も幽体離脱?ですか。あんまり特技使っちゃうと・・・
あ、ブログでは深刻な場面で終わらせていますが、本編はもうちょっと
続きが描いてあります。
そういえば、池田屋で倒れた時も幽体離脱してましたね。
危篤状態になると人間、秘めた能力を発揮するんでしょうか?
今回は副長の熱い想いにムネアツ。局長はいい女房に恵まれたね。
それとも、ここまで全てを捧げられる相手に巡り合えた副長が幸せなのか・・・