西村まさと 

日本共産党釧路市議会議員

一人一人を大切にし、多様な声を市政に🌈

釧路公立大学 3月議会 開催 エアコン設置が進む

2024-03-26 18:45:55 | 釧路公立大学事務組合議会

釧路公立大学事務組合議会2024年3月定例会が、本日(3月26日)開催されました。🏫

代表質問も行われましたが、質問したのは私1人だけでした。🙁

1回目の質問の内容は以下の通りです。

答弁と2回目の質問は、正式な議事録ができてからご紹介します。

大学でのエアコン設置についてただしたところ、保健室とキャリアセンター(就職相談室)に計画しているという答弁を得ました。🎐

 

※アトリウムでは入学式の準備が進められていました

 

質問内容

Q1 学生支援

 まず1つ目のテーマは、学生支援に関わる質問です。今の学費は高すぎる、これは大学生やその親の多くはそう思っているのではないでしょうか。この間、大学等の学費は過去最高を記録し続け、今や初年度納付金は国立大学でも年間81万7800円、私立大学は平均135万7000円にのぼります。釧路公立大学でも、初年度納付金は88万2460円と、国立大学よりも高くなっています。多くの学生がアルバイトや奨学金頼みで、家族の負担も限界です。負担軽減のカギは、高すぎる学費の値下げにふみだし、本格的な給付型奨学金を創設することだと思います。国の教育予算を経済力にふさわしく充実させ、学費の高い大学に行くのは自己責任としている政府の高学費路線を抜本的に切り替える時ではないかと考えます。そのような立場に立って、以下学生支援に関わる具体的な質問に入りたいと思います。

 

(1 入学金、授業料の減免)

 まず第1は、入学金、授業料の減免についてであります。現在釧路公立大学の入学金は30万2000円で、釧路管内出身者にはそこから6万円安く設定されています。そもそも入学金は、他の先進国にはない日本独特の制度で、高額です。確かに国の制度で、入学金を廃止してくれれば、問題はないのですが、今の政府にはそのような考えはありません。しかしこの事務組合では、釧路管内出身者の入学金の減免額については議論ができるはずです。例えば釧路管内出身者の入学金は、全額免除することくらいあっても何らおかしくはないと考えます。ちなみに、事前に担当課に伺ったところ、令和5年に釧路管内出身者で入学した人は45人なので、1089万円あれば管内出身者の授業料は免除できる訳です。管内出身者の人数は年によって大幅に増減することはないと思われます。この金額であれば、事務組合からの運営費交付金の3億6000万円の中で、十分賄えるのではないでしょうか。

そこで、釧路管内出身者に対する入学金は全額免除にすべきと考えますが、事務組合の考えをお示し下さい。

 

(2 給付型奨学金)

 2つ目に、給付型奨学金について質問します。世界では奨学金といえば、返済不要があたりまえです。我が国でも給付型奨学金制度はありますが、住民税非課税世帯が対象で、全学生の1割程度となっています。奨学金を受けていても、多くが貸与型になって、しかも半数が有利子になっています。学生の3人に1人が平均300万円の借金を背負って社会に出ているのが実態です。学生や保護者の負担能力を超えた高い学費のために、バイト漬けの学生生活が当たり前になっています。授業期間中にも日常的にアルバイトをする学生は、全国的には4分の3になっていると言われています。バイトに追われる学生生活の改善は、学生にとっても、大学にとっても、卒業生を受け入れる企業や社会にとっても、まったなしの課題といえます。

 そこで給付型奨学金の充実が必要です。残念ながら国の制度だけでは不十分です。釧路公立大学にも大学独自の給付型奨学金制度があるとHPで掲載しています。この大学独自の給付型奨学金制度の内容をお示しいただくとともに、令和5年度の利用実績を教えて下さい。またその利用実績について、どれほどの学生支援につながっているのか事務組合としての認識も答弁お願いします。

 

 

 

(3 100円朝食企画)

 3つ目に、100円朝食企画について、お尋ねします。これまで、保護者らで作る後援会が費用負担をし、大学生協で実施していました。令和5年度はわずか春と秋に計10日間で終了しました。北海道新聞の報道によりますと、「毎日違うメニューを安く食べられるので、飽きないしとても助かる」と学生の間では大変好評のようです。わずか10日間で終わってしまうのは、後援会の慈善事業になっているので、持続不可能になっているのだと思われます。

 確かに、大学生になると、小中学校の給食のように食育という授業の一環だから助成せよという理屈には無理があると思います。しかし大学生特に親元を離れて一人暮らしをしている学生に、安価な朝食を提供してほしいというのは、ぜいたくな要求といえるのでしょうか。学生は、生活が苦しくなると、食費を切り詰めます。朝食はなしか、あっても食パン1切れで我慢している学生が、私の学生時代にはいました。バブルの時代でもそうでしたので、今の物価高ではおそらく現状は変わっていないのだろうと思います。小中学校では、朝食を食べない子がいることを、教育委員会でもアンケート調査で把握して、指導をしているようですが、大学生になると誰も言ってくれる人がいなくなります。100円朝食は、物価高騰の今、学生支援策として求められていることではないでしょうか。

 そこで、①令和6年度は100円朝食企画は実施できるのか、できるとすれば期間とか内容をお示し下さい。

②今後は後援会の慈善事業とせず、100円朝食をもっと長い期間実施できるよう、事務組合が法人に事業費を支給していただきたいと考えますが、見解をお示し下さい。

 

 

 

(4 令和5年度の退学者)

 4つ目に、令和5年度の退学者についてお尋ねします。コロナ禍に続いて、物価高騰で、大学生の生活は大変な状況であることは管理者もご存じのことと思います。アルバイトの時間を増やさなければ生活がなりたたず、企業の方もそれをあてにして、アルバイトにも関わらず、シフトを組むなどの管理職のような仕事をさせている場合もあるようです。特に学習塾などのアルバイト講師の仕事では、授業のシフトが空いてしまうと、責任をとってシフト編成を担当するアルバイト大学生が穴埋めをして、授業に出られない状況になっているということも聞いております。学生が授業を休むほど仕事をしている環境は、改善をしなければなりません。特にアルバイトのために休学を余儀なくされることは、学生としては本末転倒であってはなりません。また同様に、授業料を払えなくて退学することもあってはならないことと考えます。

 そこで、①令和5年度、休学した学生と退学した学生の人数をお示し下さい。②更に退学した学生については、その理由をお示し下さい。③退学者のうち、授業料未納付のため除籍した学生がいれば人数をお示し下さい。

 

 

(5 教室にエアコン設置)

 5つ目は、教室のエアコン設置に関わる質問です。昨年の夏は涼しいはずの釧路でも猛暑の日々が続きました。その状況を受け、道立高校では普通教室にもエアコンの設置が予定されています。また釧路市内の小中学校と義務教育学校では、保健室にエアコンが、普通教室と職員室には大型扇風機が設置されることになっています。また釧路市内の小中学校では夏休みを30日に延長するなどが計画され、小中高では釧路でも一定の猛暑対策がとられつつあります。釧路公立大学では、どうなっているのか事前に担当課に伺ったところ、大教室と電算実習室にエアコンが設置してあるのみとのことでした。確かに、大学の休みは長いということはありますが、それでも釧路でも真夏日が続く以上は、大学の普通教室や先生方の研究室、職員の執務室、学長室、理事長室、それにこの会議室などにもエアコンの導入が必要ではないでしょうか。夏休みでも、学生は授業以外で大学施設を利用することはあるでしょうし、大学で働く教職員の方は、学生のような長い夏休みはとっていないはずです。

 事務組合の予算に、教育振興基金という施設整備のための基金があります。実際令和6年度予算では、施設整備等補助金として、法人に1億5000万円程度支出することになっています。大学にエアコンを設置して、学生並びに教職員が快適に学んだり、研究したりできるよう環境を整備することも事務組合の役割と考えますが、見解をお聞きします。

 

Q2 釧路市議会での議論

(1 理工農系学部増設の現実性)

 続いて大きなテーマ2の釧路市議会の議論から質問します。この質問は、町村選出の議員の方には、わかりにくいかもしれませんが、釧路市議会での質問を具体的に示しながらできるだけわかりやすく質問しますので、お聞きください。この間、釧路公立大学に関係する議論が、釧路市議会の一般質問でもだされました。そこでこのテーマの1つ目として、理工農系つまり、理学部、工学部、農学部といった学部の増設の現実性についてお聞きします。釧路市議会では昨年の12月議会で、釧路商工会議所の地域開発委員会が釧路公立大学に理工農系学部の増設を提案したことに関連して、ある議員から「文科省が今年度新たに基金を創設し、理工農系の学部を増やすための学部新設や転換に向けた費用などを支援する制度を活用しての釧路公立大学への理工農系学部の新設へ向けた提言がなされました。まずは提言に対する率直な感想をお聞かせください。」という質問がありました。これに対し釧路市長は、議事録を読み返したのですが、明確な回答はしませんでした。 釧路商工会議所第229回議員例会が開催されたのは、昨年11月10日のことですから、今日の議会はその直後の事務組合議会となります。そこでこの提言に対する何らかの意思表示が必要ではないかと思われます。 そこでお伺いしますが、①事務組合又は法人は釧路商工会議所に、この件で何らかの回答書を送ったのでしょうか。もしそうであれば、内容をお示し下さい。②もし何も回答をしていないのであれば、この理工農系学部増設に関する事務組合の見解をお示し下さい。

 

 

(2 釧路駅周辺へのサテライトキャンパスの可能性)

 2つ目は、釧路駅周辺へのサテライトキャンパスの可能性についておききします。同じく釧路商工会議所の第229回議員例会では、「大学を中心市街地に立地し、水産・漁業や涼しさなどの釧路の強みとIT・DXを掛け合わせた水産情報学部の増設により人流が生まれ、中心市街地の活性化につながる」とまちなか学園都市構想の提案もされたそうです。これについては釧路市長は答弁し、「都心部への大学サテライトなどの学生が集う機能を持つことは、市としてもいろいろと検討を進めております都心部のにぎわい創出につながってくることだと思っております。提案は大変力強いものだと考えているところでございます」と前向きともとれる姿勢に感じられました。 地元の市長さんがこのような姿勢を示されたのですから、事務組合も何らかの検討を始めようとしているのでしょうか。釧路駅周辺又は中心市街地へのサテライトキャンパスを創設することは、釧路公立大学にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。釧路商工会議所と同一の見解をお持ちなのでしょうか。改めて、釧路駅周辺・中心市街地へのサテライトキャンパスについて、事務組合の見解をお尋ねします。   (3 学生のまちなか居住) 最後の質問は学生のまちなか居住についてです。この議論は、先日終わったばかりの2月定例会の一般質問で出され、まだ正式な議事録ができていないので、具体的な質問・答弁の引用はできません。しかし質問の要旨は、学生にまちなかに住んでもらい、それによって中心部が活性化した山形市の事例を紹介し、まちなかに学生が住めるよう提案する質問だったはずです。昨年9月議会でも、釧路高等専門学校のサテライトキャンパスについて同じ議員から見解を問われ、釧路市長は「第一義的には学校を運営する独立行政法人国立高等専門学校機構の考え方によるところでもございまして、引き続き情報収集に努めてまいりたい」と答弁されました。 では、同じ要望が釧路公立大学に対して出されたら、管理者の立場としてはどうなるのでしょうか。現在釧路公立大学に通う学生さんは文苑近辺のアパートに住み、徒歩又は自転車で通っている人が多いと思われます。もしまちなかに学生街を作ることになれば、芦野まで通う交通手段の必要性、文苑・芦野の新たな空き部屋対策など、いろいろ検討することも出てくるのではないかと思います。そこで中心市街地に学生街を作って活性化を図るという構想について、事務組合はどのように考えているのか見解をお示し下さい。 1回目の質問は以上です。

 


釧路公立大学事務組合議会 2023(令和5)年3月定例会 議事録

2023-10-31 18:18:17 | 釧路公立大学事務組合議会

釧路公立大学事務組合議会2023年(令和5年)3月定例会の議事録ができました。今議会も一般質問をしたのは私のみでしたので、質問と答弁の部分のみご紹介します。🧑‍🎓

尚この議会は、2023年3月24日に開催されました。釧路公立大学事務組合議会は、ホームページで議事録を公開していません。私の責任で書き起こし、見出し等を入れました。🏫

 

1回目の質問

1、予算案

議案第1号令和5年度釧路公立大学事務組合会計予算に係る質問から入らせてもらいます。

⑴初年度納付金
 今、高すぎる学費で多くの学生が苦しんでいます。そもそも日本の大学の学費は高すぎます。学費が高くて進学をあきらめる高校生もいます。文科省の調査によりますと、日本の大学の学費は、入学金を合わせた初年度で、国立大学では81万7800円、私立大学では117万6800円となっています。この点、議案第5号に基づいて計算すると、釧路公立大学では管外者は83万7800円になりますが、それ以外の経費もあるはずですので改めて初年度納付金についてお尋ねします。あわせていまの我が国の高すぎる学費について管理者はどう感じているのか、認識について答弁を求めます。

 

⑵ 入学金の目的と使途は
 2項目目の質問に移ります。令和5年度予算案歳入第2款使用料及び手数料の中に、入学料531万円が計上されています。私はこの入学金制度を疑問に感じています。我が国では、自分の経験からも、いわゆるすべり止めの大学にも合格発表日や入学手続きの前後の関係で、入学金を支払う必要があることがほとんどです。併願校の入学金は、絶対に浪人できないという場合、無駄になると分かっていても仕方なく支払うもので大きな経済的負担になっています。文科省の調査では入学金令和3年度は国立大学で28万2000円、私立大学では24万6000円と発表されています。この点も議案第5号で、釧路公立大学での入学金は管内24万2000円、管外30万2000円と記されています。この入学金の目的と、その使途は何なのかお示し下さい。

 

⑶ 食料支援ボランティア団体への支援
 3項目目の質問に移ります。コロナでアルバイトが減った学生のために全国で食料支援が行われています。釧路公立大学でも様々なボランティア団体が行っています。このボランティア団体も、企業や個人の善意の寄付だけでは限界があり、これ以上の継続は難しくなっているようです。本来なら行政がボランティア団体に助成金という形で支援をすべきです。この点釧路市議会12月定例会の一般質問で、釧路市が援助できないかただしたところ、総合政策部長は「市としてできる支援策の検討を進めてまいりたい」と答弁しました。否定はされなかったので、何らかの進展があるかと注視していましたが、3か月経過してもボランティア団体に対する支援策は実現していないのが現状です。このままでは埒があかないので、同じ質問をこの議会でさせてもらいます。食料支援をしているボランティア団体に、事務組合ないしは公立大学法人が補助する仕組みを創設していただきたいのですが、答弁を求めます。

 

⑷ 理事長の報酬・執務時間
 次に4項目目の質問に移ります。全国の公立大学法人では、副市長経験者が理事長になるケースが多くみられます。国立大学法人でも文科省の官僚が、大学の経営協議会に委員として再就職している事例がみられます。国民からみれば、法人化によって天下りポストを創っているのではと疑念がもたれています。副市長は市長の最側近の方でもあります。釧路公立大学でも副市長経験者の厚遇ポストにならないか、チェックが必要と考えます。そこで、お尋ねします。4月から新たに理事長というポストができるわけですが、役員報酬と月何日出勤で、1日何時間執務するのか、執務時間をお示し下さい。

 

2、学生支援

⑴令和4年度の退学者
 続いて2つ目のテーマ、学生支援の質問に移ります。今学生はコロナに加え、物価高騰で大変な生活を送っています。経済的理由による休学や、お金が底をついてまともに食事ができず体調を壊し、学生生活に支障が出かねない状況に追い込まれていますが、これは大学教育の低下につながるのではないでしょうか。私はこれまで釧路市議会で、釧路市が公立大学の学生を経済的に救う施策を求めてきました。当時の岡本総合政策部長は「釧路公立大学におきましては、今後も新型コロナウイルス感染拡大による学生への影響の把握に努めながら、学生への支援に適切に対応されるものと考えております」と答弁し、大学が学生支援を行うはずだという認識を示しているのです。経済的理由で学びをあきらめさせることはあってはならないと思います。そこでおうかがいします。令和4年度退学した学生は何人で、そのうち経済的理由によるものは何人だったのか、また授業料未納で除籍になった学生もいれば人数も含めお示し下さい。

 

⑵新たな学生支援策
 続いて2つ目の項目に移ります。頂いた3月定例会報告の11頁には、令和4年度に行った学生支援策が掲載されています。最近はコロナは落ち着てきたものの、物価高騰に学生は苦しめられています。釧路市も、「公立大学が学生支援に適切に対応されるもの」と議会答弁しているのです。そこでおうかがいしますが、令和5年度に経済的に困窮する学生に対する新たな支援策はどのようなものを考えているのかお示し下さい。

 

⑶ 100円学食を通年でできないか
 次に3つ目の項目に移ります。先ほども申し上げた3月定例会報告の11頁には、学生応援事業として、100円学食について記載されています。令和4年度は10月から12月の13日間、提供したとあります。予算が少ない中、同窓会の協力も得て、このような事業を行ったことは、大変評価します。しかし大学予算が18万程度では少なすぎます。この事業をわずか13日間で終わりにせず、もう少し長い期間、可能であれば通年で行っていただきたいと思います。大学予算を増やす必要があると思いますが、答弁をお願いします。

 

⑷ 給付型奨学金
 4つ目の項目に移ります。学費を捻出するために多くの学生が借金をし、ローンを抱えている実態があります。国は令和2年4月から就学支援制度を創設しました。給付型奨学金の支給対象になれば、入学料・授業料とも免除になりますが、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生が対象という厳しい条件のため、令和3年度の授業料全額免除の学生は、全学生の1割にも満たない状況とのことです。そこでお尋ねします。釧路公立大学の学生で、日本学生支援機構の給付型奨学金を受けている人は何人で、率にして何%でしょうか。答弁をお願いします。

 

⑸ 被災地出身学生への減免措置
 5つ目の項目に移ります。釧路市総合政策部都市経営課に令和5年度当初予算事業概要を資料請求しましたら、「被災地出身学生就学援助」という事業があることが分かりました。この事業は、東日本大震災により経済的に就学困難な状況に陥ることのないよう、公立大学が学生に対して行う授業料・入学料減免に関わる経費について、釧路市を通して国から交付税措置されるものです。しかし、釧路市都市経営課からは、令和4年度までは交付税措置が決定しているが、令和5年度以降の対応は未定と聞きました。令和5年度も被災学生に対して、授業料・入学金の減免は確実に行っていただけるのでしょうか。またその場合財源をどのように確保する予定なのかお示し下さい。

 

3、釧路市職員の処遇

⑴ 釧路市役所への復帰
 3つ目のテーマは釧路市職員の処遇に関するものです。現在公立大学事務局には釧路市職員が勤務しています。今後は法人に出向し、いずれは釧路市職員はいなくなるものと推察されます。そこでお尋ねします。現在釧路市の職員として働いている人は何人で、どのような形で市に戻っていくのでしょうか。完全に釧路市職員がいなくなってしまうのはいつなのかも含め、お示し下さい。

  

⑵ 会計年度任用職員の処遇
 最後の項目に移ります。会計年度任用職員制度が始まって3年が経ちました。いわゆる3年目公募問題が全国で起きています。つまり今働いている会計年度任用職員の方が今月でいったん雇い止めになり、継続を希望する人は再度の公募に応じなければならないため、大量の雇い止めが行われる見込みです。必要とされる職種に就いて、継続的に問題なく働いている人を一律に公募にかけることは大きな問題があると思っています。そこでお尋ねします。現在会計年度任用職員の人は何人いて、雇い止めになる人は何人いるのか、また今後継続して働く人はどのような身分として働くことになるのか、お示し下さい。

 1回目の質問は以上です。全部で小さい項目でいうと11項目あります。答弁よろしくお願いします。

 

○管理者蝦名大也君  西村員のご質問に ご答弁いたします。 私からは学費についてご答弁さ せていただきます。
 日本の大学の学費が高すぎるというご指摘であり ますが、どういった比較対象での中で高いというご 認識なのか、例えば国内において私立と国公立を比 較する、あるいはイギリスやアメリカなど海外にお いて比較することは当然必要であろうとは思います が、比較の基準を明確にしていただけるとありがた いと考えてございます。
 しかしながら、授業料や学費が支払えなくて大学 に行けないということは良くないと考えており、国 においても様々な制度 奨学金の仕組みや授業料の減免等の検討をしているということであります。

その上で、金額については、令和5年度の初年度 学生納付金は入学金、授業料、諸経費を合わせて総 額882,460円、 釧路管内からの入学生は総額 822,460円になっております。

 

○事務局長太田泰晶君  西村議員のご質問にお答 えいたします。 入学金の目的と使途でございます。

 入学金は学生が大学に入学し得る地位を取得する ための対価としての性質を有するものであり、大学 が合格した者を学生として受け入れるための事務手 続等に要する費用にも充てられるものであり、 他大 学とも同様の取り扱いとしております。

 続きまして、 食糧支援を行っているボランティア 団体に財政的支援はできないかというご質問でござ います。

 今年度、 本学学生に対し各種団体より11件の食 糧支援等を頂いており大変感謝をしているところで す。 食糧支援は各種団体のご厚意で実施されている と認識しており、 各種団体がご協力いただける可能 な範囲で実施して頂きたいと考えております。

 続きまして、 公立大学法人の役員報酬等につきま しては、 地方独立行政法人法第48条第2項の規定 により、 大学法人がその基準を定め、 設立団体に届 け出るとともに、公表しなければならないこととな っております。そのため、令和5年4月1日に大学法人が設立さ れ、 理事会において正式に決定された後、 届け出さ れるものと承知をしております。 また、 理事長は常 勤として勤務し、 大学法人の役員であるため勤務時 間の定めは無く、市町村の特別職と同様に、 24時 間 365日を通じてその職責を担って頂くことに なります。

 続きまして、令和4年度退学した学生数とそのう 経済的理由によるものは何人か、 また授業料未納 で除籍になった学生は何人だったかというご質問で ございます。令和4年度2月末現在で退学した学生は12人で、 経済的に厳しいとして申請があったものが1人とな っております。 また、 授業料未納で除籍になった学 生は1人となっております。

令和5年度経済的に困窮する新たな学生支援策は 何かあるのかというご質問でございます。これまで学生に対しては給付型奨学金制度を含めて、 制度の周知・相談などを行っております。 全般 的な学生支援策は法人において検討がなされると考 えております。

 100円学食の通年化でございます。令和4年度は、 後援会主体の100円学食を実施 したほか、コロナ禍における「食に対する支援」 と して、 日本学生支援機構の新型コロナウイルス感染 症対策助成金を活用し、例年より1回多く、2回の 100円学食を実施しております。 令和5年度にお きましても、法人化後、 後援会が主体となり、 5月 に100円学食を実施する予定と聞いております。

 日本学生支援機構の給付型受給学生の人数と率に ついてでございます。令和4年度末で給付型奨学金を受けている学生は 231人で、 学生に対する率では 17.3%となっ ております。

続きまして、 東日本大震災の被災地出身学生への 授業料 入学料減免措置は継続していくのかという ご質問でございます。令和5年度も、文部科学省より特別交付税措置の 継続の情報提供があったことから、 授業料 入学料 減免措置は、継続されるものと考えております。 大 学の地震対策連絡会議において、 国による震災減免 にかかる特別交付税措置が継続されるうちは、 実施 する方針が決定されております。

 続きまして、 釧路市職員の処遇というご質問でご ざいます。現在、釧路市から事務組合に派遣されている職員 定数は26名となっております。 令和5年度、 法人 化後に釧路市から事務組合及び大学法人への派遣人 数は、計26名と変更ありません。 そのうち、 事務 組合へは2名、 大学法人へは事務局長1名を含む職 員24名が派遣となる予定です。 なお、 事務組合へ その派遣については、継続して予定されております。 また、法人への派遣については、 法人職員採用が進 んだ後も、一定人数継続されるものと考えておりま すが、最終的には釧路市と大学法人との協議により 決定されるものと認識しております。

 現在の会計年度任用職員の処遇でございます。令和4年度現在、 常勤の会計年度任用職員は、保 健室、キャリアセンター、図書館などで計11名が 在職しております。 法人において決定することでは ありますが、 大学の機能確保の観点から、希望する 職員は雇用が継続されるものと考えております。

 

2回目の質問

 1-⑵ 入学金

 それでは1-⑵入学金、2-⑴退学者について、再質問します。

 議案第5号にもあるように入学金として24万2000ないしは30万2000円徴収しています。公立大学も含め我が国の大学で徴収される入学金は、合格者が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価として支払われるとされています。しかしこのような受益者負担の考え方は世界では通用しません。世界で入学金制度があるのは日本くらいです。この制度を速やかに廃止すべきでしょう。この度提案された中期目標には「地域と国際性を重視する建学の理念を尊重した教育を充実させる」とあります。国際性を重視する大学になるのであれば、学ぶ環境も国際的にしてほしいものです。例えばフランスの学費は年3万4000円、ドイツは7万8000円、スウェーデンは無料の上生活費は別途支給されています。高い学費を解消するためにも、まずは入学金は速やかに廃止をして、世界基準に近づけるべきと考えます。管理者は政治家でもありますので、わが国の入学金制度についてどのような認識でいられるのか答弁を求めます。

 

2-⑴退学者

 経済的理由で退学した学生がいたことを非常に残念に思います。中期目標の中には「学生一人ひとりの学力や学修段階に応じた支援体制を構築し、小規模大学のメリットを生かした、きめ細やかな学修支援を行う」とあります。日常的にきめ細やかな支援をしていれば、学費も払えないほど追い詰められていることは把握できるはずです。経済的理由による退学者がいたことは、はいそうですか、とはいかない問題です。釧路市教育委員会だって、誰一人取り残さないをキーワードにしています。授業料を払えなくて退学においこまれるのも自己責任というのでしょうか。水道料金がどうしても払えない人に給水停止はやってはならないのと同じで、授業料滞納による除籍処分はあってはならないですし、自主退学だって慎重な対応が必要です。学生を切り捨てることになりますし、出世払いにしてあげて学生を信じて快く社会に送ってあげることも公的な大学の役割と考えます。経済的な理由で退学者がでることは仕方がないというお考えなのか、管理者の認識をお尋ねします。

最後にこの場をお借りして、議案第2号公立大学法人釧路公立大学の設立に伴う条例の整備等に関する条例については反対しますので、態度表明をさせてもらいます。尚これは質問ではありませんので、答弁は不要です。

 議案第2号態度表明。本案は、先の釧路市議会で可決された「個人情報の保護に関する法律施行条例」を本事務組合の条例として準用するものである。釧路市のこの条例は、個人情報を本人から直接収集する規定はなく、また本人の同意なく利用提供できることから、現行の個人情報保護条例よりも後退する危険がある。個人情報を保護から活用する中身の条例である以上、準用は相応しくない。よって反対する。 

 尚、この後仮に議案第7号「釧路市条例を釧路公立大学事務組合条例として準用する条例の一部を改正する条例」が供されるのであれば、同じ趣旨の態度表明で反対とさせてもらうことを申し添えます。

以上で2回目の質問を終わります。2点について、ご答弁下さい。

 

〇管理者蝦名大也君  西村議員のご質問でござい ます。

学費についてご答弁させていただきます。
大学はどのような目的で行くのか、 例えば研究の レベルが高いから選ぶ、もしくは就職も踏まえてな ど、どこの大学に日本の子どもたちが行っているの かが大きなポイントと考えています。 学費が安いか らという話ではなく目的に合わせて選択していると 考えています。併せて、物価もヨーロッパは日本よ り高い訳でありまして、そうしたことも踏まえて、 日本の学費 特に国公立の学費が高いという比較は いかがなものかという答弁をさせていただいている ところでございます。

その上で、 学費の問題で大学進学をあきらめると いうことがないようにしなくてはいけないと思って いるところであります。 奨学金や授業料の減免等に より、 学生をしっかりと支えていくことが重要と考 えておりますし、国においてもさらに充実していく 動きはニュースで把握しており、しっかりと注目し てまいりたいと思っております。 私どもも学生課を 始めとして、 キャリアセンター、 教員も含め学生の 様々な状況を可能なかぎり支援、 制度に結び付けて いくことが重要と考えています。


○事務局長太田泰晶君  西村議員のご質問にお答 えいたします。

我が国の入学金についてどのような認識かという ご質問でございます。 国際的な入学金の状況として イギリス、アメリカでは制度はなく、 大韓民国では 制度を有していると認識してございます。

繰り返しの答弁となりますが、日本の入学金は、 学生が大学に入学し得る地位を取得するための対価 としての性質を有するものであり、 大学が合格した 者を学生として受け入れるための事務手続等に要す る費用としていただいているものであります。

入学金制度を含む高等教育全般の方向性について は、国においてしっかりと協議がされていくものと 考えております。

以上


釧路公立大学事務組合議会 2022年第3回11月定例会 会議録

2023-04-08 21:08:50 | 釧路公立大学事務組合議会

釧路公立大学事務組合議会会議録シリーズ第4回は、2022(令和4)年11月定例会のものを公表します。

11月4日に開催され、2023年度から2028年度までの6年間の公立大学法人としての中期目標がこの議会で示されました。

質問したのはこの会も私1人だけでした。

 尚この次の議会は2023年3月定例会ですが、議事録ができるのは半年くらい先になると思いますので、このシリーズは一旦終了します。🔚

法人化で経営優先にならないか

1回目の質問

(中期目標骨子案における財務内容の改善)

 議案第5号の令和3年度決算には法人化事業費としておよそ1800万円支出されています。書類審査の時に具体的な使い道をお聞きしましたら、有限責任監査法人トーマツに委託料としておよそ1600万円支払ったとのことでした。人件費も含めると法人化準備に関わる経費は前年に比べ6000万円も増加しているという説明を聞いて驚きました。また議案7、8、9、10号は今後の法人設立申請に向けての手続きを定める条例であり、今議会の議決を契機に法人化が一層加速されるものと思われます。報告事項にもあったように法人化されると中期目標が求められ、実現できたのかが評価の対象となります。今回はこの中期目標のうち、4番目に挙げられた財務内容の改善について質問をさせてもらいます。この財務内容の改善については、「自主財源の確保」と「経費の効率的な執行」の2つの項目からなっています。

 そこでまず初めに「自主財源の確保」についてお尋ねします。資料の中に「授業料等の自主財源を安定的に確保するとともに、新たな自主財源の獲得に努める」という記載があります。そもそも大学に新たな自主財源を獲得させることは酷な話です。国からの運営費交付金が大学にとっての命綱となるはずです。国立大学では2004年度から法人化がはじまり、運営費交付金も減らされ、その結果論文の数が減ったしまったという状況が起きています。大学の研究力が落ちてしまっていると言えるのです。この点については、今年3月28日の参議院決算委員会で、岸田総理も論文数などの研究水準について「深刻な事態であると認識している」と答弁しているものであります。

 釧路公立大学においても、先生方には研究に専念してもらい、新たな自主財源の獲得という競争に追いやるべきではないと考えます。そもそも地方の文系の単科大学に自主財源を求めることは無理があるのではないでしょうか。また授業料を安定的に確保するとありますが、授業料は本来なら国が負担すべきもので、管理者として国に対して大学授業料を無料化してほしいと積極的に要望すべきと考えます。

 運営費交付金の増額を国に求めることをしないで、授業料を安定的に確保せよとか、新たな自主財源を探せということは、大学の財政基盤を危うくすることにもなりかねません。このような国の政治の流れを変えなければ、研究力の向上とか、学生から選ばれる魅力ある大学にはなりえないと考えますが、管理者はどのような認識でいられるのかお尋ねします。

 1回目の質問は以上です。

 

〇管理者 蝦名大也

 まず自主財源の確保についてでございます。授業料等とかのご質問等々ございますが、つまりは高等教育全般の方向性、こういったこよにつきましては、これは国においてですね、しっかりと協議がされていくものと、このように認識をしているところでございます。

 その中で、自主財源の確保ということであります。これは新たな法人、ここが魅力ある大学運営、そういったものをしっかりと行っていくということで、引き続き、例えば一定の倍率を確保する、受験料ですよね、こういったものでございますとか、入学料、授業料、こういったものをしっかり安定的に確保に努めていくということは当然のことと思ってますし、併せて、いろんな民間企業との連携、現在も様々な研究で民間企業と連携しながら行っているものでございますけれども、こういったことを、視野に入れていきながら、自主財源の確保に努めていくという、こういったことでございますので、この点をご理解いただきたいと思う次第でございます。

 

2回目の質問

 次に中期目標における財務内容の改善の2つ目の柱「経費の効率的な執行」について質問します。報告事項の資料では、管理運営費の効率的な執行に努めるという記載がされており、それ以外の経費は削減しないのかどうかまでは不透明です。今決算でも総務費の中で最も大きいのは職員給与費の6億円で、管理運営費は2番目で1.7億円です。そのため水道光熱費などが中身である管理運営費は例示的に挙げたに過ぎないのではないかと疑念をもっております。職員給与費については何ら言及されていないから削減される恐れはないとは思えないのです。国立大学法人では、法人化された2004年以降任期付きの常勤教員が増え続けています。例えば国立大学の常勤教員のうち、任期付き教員は2001年で1666人だったものが、2021年では24,501人にまで増えています。国立大学法人でも雇用の流動化がおきているのです。事前にお伺いしたこところ、釧路公立大学では42人の教員のうち、任期付き教員は過去も含めて0とのことで、これは良い点だと評価しています。法人化後も任期付き教員は採用しないことをお約束して頂きたいと思います。

 更に給料についても、令和4年度予算書から推計すると社会保険料の雇用主負担など一切を入れた場合、平均年収は教員は1000万円、事務局770万円位になっているようです。これは予算なので多めに組んでいるにせよ、とりわけ今後新規に採用される人たちにはこの水準が維持されるのかも危惧されるところであります。

 国立大学法人の事例を見ると、人件費が特に減らされています。今回の釧路公立大学の決算では、歳出に占める人件費の割合は50%近くになっています。人件費の総額が多いからと言って今後それを削ると、教職員のやる気を削ぐだけではなく、大学の研究力の低下にもつながる事態になりかねません。

 今年5月17日の参議院内閣委員会では、国立大学や国立研究機関であわせて最大4500人の非正規雇用の研究者が雇止めになる恐れがあると問題になりました。釧路公立大学における非正規雇用の研究者は今はいなくても、今後はどのようになるのでしょうか。仮に非正規雇用の研究者を採用することになった場合は、労働契約法の通り、有期雇用が10年を超えたら無期雇用に転換する考えはあるのか管理者の認識をお尋ねします。 

 尚、この場をお借りしまして、議案第6号と11号については、法人化とは無関係ですので、賛成できますが、それ以外の議案は全て法人化を進める内容でありますので、賛成・認定はできないとの態度表明もさせてもらいまして、私の質問を終わります。

 

〇管理者 蝦名大也

 「経費の効率的な執行」というのは、これは当然の表現だと思うわけでございまして、常に効率ということをですね、考えながら進めていくということは必要なことだと思ってます。その時に、そもそもこの地方独立行政法人化がどういった目的であるのか、まさにこの中期目標骨子の中にもございます、教育研究の質の向上でございますとか、こういった中でしっかりとまた、学生に選んでいただける、つまりそういった価値を高めていく、このことをベースに置いた中で、効率的な執行を行っていくという考え方でございますので、全国の事例、確かに他と比較しながらということも必要なことだと思いますが、ご質問にありましたとおりに、私しどもの釧路公立大学では非正規雇用の常勤教員はいないということもご承知の中でのお話だと思いますので、具体的にどういった形の中で進めていくのかといったことがですね、重要なことだと思っております。

 その上で、そういったしっかりとした目標を掲げた中で、この法人化後におきます、大学経営また教職員の雇用等、これにつきましては、法人の理事長及び学長が中心となってですね、しっかりと適切に判断していくものと、この様に認識しているものでございます。


釧路公立大学事務組合議会 2022年7月 臨時会 議事録

2023-04-06 18:48:18 | 釧路公立大学事務組合議会

釧路公立大学事務組合議会議事録シリーズの第3回目は、2022年7月臨時会のものを公開します。

公立大学法人化するにあたり、2022(令和4)年7月8日に、臨時議会が開かれました。

この議会を契機に公立大学法人化への道が開かれることとなりました。

この時も私のみ質問しました。

 

 

公立大学法人化に反対

1回目の質問

(理事長と学長の選任)

1、まず議案第3号公立大学法人釧路公立大学定款制定の件について、質問します。この定款の最大の問題点は、第10条にある「理事長の任命は、管理者が行う」としている点、第11条で「学長は、選考会議が行う選考に基づき、理事長が任命する」とし更にその学長選考会議はたったの6人しかいない点だと思います。これでは、管理者好みの人物、つまり釧路市役所幹部OBなど釧路市長の側近の人物が理事長になってしまうのではないかと危惧です。理事長というポストを新設するのであれば、大学経営に最もたけている人を学内から投票で選出すればいいだけの話です。経営学の専門家がいるこの学内に人材がいないとは考えにくいです。蝦名管理者を含め我々政治家が大学内の人事に介入する仕組みは導入すべきではありません。

 また、学長については、6人の学長選考会議があります。さすがに理事長と副理事長つまり学長はそのメンバーに入れないことは定款上規定されてはいますが、それでもやはり選考過程が不透明になってしまうという危惧があります。選考会議の中で決定するよりも、教員の投票によって決定するのがより民主的な選考ではないかと思います。

 前議会で定款素案が出され、蝦名管理者からは「魅力ある大学づくりを進める経営と、教育研究の役割を分担し、負担を軽減するために、理事長と学長を別置したい」と答弁がありました。今回の定款は本当の魅力ある大学づくりにつながるのでしょうか。定款というのは株式会社でもそうですが、機構とか役員とか資本金とかガバナンス的なことを規定するものであって、魅力ある大学を作るかどうかは定款ではありません。定款を読んでも、独立行政法人に組織を変わるのはわかりますが、魅力ある大学作りについて方策を規定している条文はないように思われます。

 そこで、お尋ねしますが、理事長と学長を別置するとどうして魅力ある大学になるのか、改めてご説明を頂きたいと思います。

 

(中期目標と中期計画の弊害)

2、次に、議案第4号釧路公立大学事務組合公立大学法人評価委員会条例についての質問に移ります。法人化する国立大学の場合、他の独立行政法人法とは別の枠組みがつくられています。ところが公立大学の場合は、他の独立行政法人と同じ枠組みに入れられ、評価も他の独立行政法人と同様になされます。例えば地方独立行政法人法では、25条で中期目標を、26条で中期計画を設定することが求められています。この規定は公営企業等を独法化する場合を念頭においているもので、平たく言えば公営企業等に対して目標を定めてもっと利益を出せと発破をかけるものです。ですから大学にまで、中期目標、中期計画を求めることは、なじまないと思います。なぜならすぐには成果につながらない長期的研究がやりにくくなる危惧があるからです。中期目標、中期計画を定める、更にそれを管理者が委嘱した評価委員に評価させるというやり方は、独立採算制の公営企業に成果主義、ノルマ主義を導入するものであって、大学で採用すべきことではないはずです。お金につながらない研究や、成果を出すのに時間がかかる長期的研究が今後どうなってしまうのか心配になります。大学が中期目標にしばられると、長期的な視野にたった教育・研究が軽視されることはないのでしょうか。どのような目標・計画をたてるかは、大学の自主性にゆだねるべきだと思います。管理者の認識について答弁を求め、1回目の質問を終わります。

 

〇管理者 蝦名大也

 まず、理事長と学長の別置についてと、魅力ある大学についてでございます。

 理事長と学長の別置、これにつきましては、経営部門の責任者としての理事長、そして教育部門の責任者としての学長を別置することで、経営力の強化と学生や社会のニーズを踏まえた教育研究を提供する体制が整うものと考えているものでございます。

 そこで経営と教育の役割分担の明確化と負担軽減を図り、各々が役割を果たし、十分に連携していくことが、大学の価値を上げ、そして学生から選ばれる魅力ある大学づくりにつながるものと考えているところでございます。

 続きまして、中期目標についての質問であります。この中期目標は、独立行政法人法におきまして、「設立団体の長が中期目標を定めるときは、あらかじめ公立大学法人の意見を聴き、その意見に配慮しなければならない。」と、このように規定されてございます。

 設立団体として公立大学法人に示す中期目標の作成過程においても、教員のご意見も伺い作成するまのでございまして、教員の研究については、引き続き尊重されるものと、このように考えている次第でございます。私からは以上であります。

 

2回目の質問

(魅力ある大学にするための政治の役割)
1、議案第3号に対する再質問をします。独立行政法人化により、理事長と学長の別置をし、それが魅力ある大学につながるという趣旨のことを強調されて、答弁いただきました。理事長、学長を別置するにしても、選考方法が民主的でなければいけません。政治家でもある管理者が理事長を任命することは、やはり大学に政治が関与することにつながります。大学は行政機関ではないので、市長が教育長を任命するのとは全く違う性質の話です。

 この定款では、本当に魅力ある大学がつくれるのかがはっきり見えてきません。魅力ある大学というのは何なのか、法人化と切り離してよく考える必要があると思います。政治や議会が、魅力ある大学を作るのに必要なことは、学生がお金の心配なく学べる環境をつくることではないでしょうか。釧路管内の市町村が運営する大学なのですから、管内出身者には入学金や授業料は無料にするとか、返済不要の奨学金を支給するとか、家賃を助成するとか、そういうことではないかと思います。学生から選ばれる大学になるという目標も持たれています。学費が高くて大学進学をあきらめている方が大勢いらっしゃいます。この定款が認可されれば、本当に学生に選ばれる魅力ある大学になるのでしょうか。魅力ある大学にするためには、政治や議会は何をすべきなのか、蝦名管理者の認識をお尋ねします。  

 

(政治からの独立)
2、続いて、議案4号に対する再質問に移ります。今の質問に対する答弁で、要するに管理者が言いたいことは中期的研究がやりにくくなるという弊害はないということを言いたかったんだと思います。

 しかし、政治家である管理者が中期目標を定め、同じく管理者が委嘱した評価委員に達成できたかを評価させる、これは大学の自治に対する介入にあたるのではないでしょうか。議案3号では、管理者が理事長を任命するという点で、政治の介入にあたる危険を指摘しました。この議案4号では、管理者が策定した中期目標を実現できたかを、管理者から委嘱された評価委員が点検する、その点で議案第3号と同じ性質の危険があると思われます。世界で形成されてきた「大学改革の原則」は、「支援すれども統制せず(サポート・バット・ノットコントロール)であります。釧路管内の市町村がお金を出して、なお且つ人事や中期目標などに干渉しないのが、世界の大学の在り方ですし、学問の自由を保障した日本国憲法の立場です。この議案にある評価委員会を通じて、大学の教育研究が、管理者である蝦名釧路市長の意向に左右されるようになり、大学の自主性が損なわれることにならないのかが、最も心配されます。改めて、管理者の認識について答弁を求めます。併せて、次の答弁を聞いても、これまで申し上げたいくつもの危惧が解消されない場合は、議案3号、4号とも賛成できかねるという態度表明もさせていただいて、質問を終わります。

 

〇管理者 蝦名大也

 魅力ある大学の実現に向けては、大学の価値を上げて、学生から選ばれるということをベースに考えているということは、先ほどもご答弁させていただいたところであります。

 その魅力ある大学の実現に向けては、法人化後の大学運営に理事長と学長が協議・連携し、大学施設の整備やカリキュラム改定などを大学自身で考えて、進めていただくということになるわけでございまして、事務組合といたしましては、法人化後の自立した大学経営と学生や社会のニーズに対応した教育研究環境の提供に対して、しっかりと支援する、こういったことを進めていく、これがまさに先ほどお話した大学の価値を上げて学生から選ばれる、こういった大学の実現に向けて進んでいくことであり、これが重要なことだと、このように考えている次第でございます。

 また、政治からの中立、独立ということですが、中期目標の策定でございますとか、評価委員会の設置やその役割につきましては、地方独立行政法人法に定められた規定に基づき実施されることでございまして、これらの制度を通じまして、設置団体である事務組合として公立大学法人をしっかりと支えていくと、これがまさに重要なことだと考えているところであります。

 ですから繰り返しでありますが、その上で、新たに任命される理事長と学長が十分に協議・連携いたしまして、公立大学法人自身が判断をしながら、運営されていくものと、このように認識しているところでありまして、ご指摘のような懸念にはあたらないものと、このように考えてございます。

 

過去の議事録はこちらから
釧路公立大学事務組合議会 会議録 2021年10月 - 西村まさと
釧路公立大学事務組合議会 2022年3月 定例会 議事録 - 西村まさと 


釧路公立大学事務組合議会 2022年3月 定例会 議事録

2023-04-05 18:54:00 | 釧路公立大学事務組合議会

釧路公立大学事務組合議会議事録シリーズ第2回目は、2022(令和4)年3月定例会のものを公開します。

2022年3月25日に開催されましたが、この時も質問は私1人でした。

 

 

1回目の質問

令和4年度予算案について

Q1 まず、議案第1号令和4年度釧路公立大学事務組合会計予算について質問致します。予算説明書11ページ、2款教育費の中の1番下に公立大学法人化事業費として、7840万円計上されています。これは前年よりも約5800万円も多く、事前に具体的な内容をお聞きした所、公立大学法人になるためのシステム導入費と移行支援に関わる業務委託費とのことでした。いよいよ、法人化に向けて具体的に動き出したことが予算の上からも見て取れます。また事前に頂いた「法人化移行までの業務スケジュール」によりますと、法人設立が令和5年4月とはっきりと明記されています。前回の議会で、管理者は教職員に対して十分な説明を行ったと答弁されました。担当課に伺ったところ説明会は今年度4回開催し、昨年度と併せると6回開いているそうです。前回の議会で私は丁寧な説明会の開催とともに、法人化について教員にアンケートとか投票をやって意思確認が必要ではないかと申し上げました。説明会の回数を増やしていることは最もなことですが、しかし投票まではやっていないとのことでした。

 国立大学法人法は、2019年に法人の長と学長の分離を可能にし、複数の外部理事を義務付けるように改定されました。文科大臣が任命する法人の長が経営の最終決定を行い、学長は外部理事と同等の発言権しか持たないなど、大学の意思決定が経営優先で行われる危険があります。法改正されてからまだ3年しかたっていません。今は国立大学での法人化がもたらした現状と問題点を検証しなければならない期間です。釧路公立大学の法人化は国立大学法人の成り行きをみてからでも遅くはありません。今年6月にまた臨時の議会を開いてまで急ぐ必要性がないと思われます。市民にも周知されてはいません。今後1年の間に、評価委員会設置条例、職員引継条例、それに授業料上限設定など多くの手続きがあります。しかも市民や有識者そして何よりも教員の意見を聞きながら慎重に行う必要があります。よって、予算案にある公立大学法人化事業費はいったん凍結し、調査研究するための予算として昨年と同規模で執行すべきと考えますが、管理者のお考えをお聞きします。

 

〇管理者 蝦名大也

私の方から法人化についてご答弁させていただきます。

 今、ご質問の中で大学の意思決定が経営目線で行われる危険性というお話だったと思いますが、今までもお話しさせていただいておりますけれど、「経営」という言葉のところが、私どもが考えている「経営」と、議員の言っている「経営」に大きな違いがあると感じてございます。

 私どもは、経営力を高めるというのは、この大学の価値を高めていくと考えております。

 先ほど小路学長からも「様々な可能性が考えられる」とあったように、これが経営力の強化になるものと認識しております。

 本学の公立大学法人移行の目的は、「釧路公立大学の価値と魅力をさらに高め、将来にわたり道内外の学生に選ばれ、地域社会からも必要とされる大学を目指すことにある」と謳っているところでございます。

 公立大学法人制度を活用いたしまして、これまでの「大学運営」から「大学経営」という理念を掲げて、経営力の強化及び教育環境の充実を図ることで、本学の継続した発展に結びつくよう、法人化への移行を予定どおり進めて参りたいと考えている次第でございます。

 

2回目の質問

 予算案のうちの法人化に関わる点について、再質問させてもらいます。法人化すると、理事長というポストができ、その理事長は管理者が任命することになっています。学長は副理事長として理事長を補佐することになります。もし管理者が学外の人を理事長として任命するとしたら、大学はどうなのか心配です。企業経営とは異なる側面が多い大学経営です。学長が大学経営に責任をもち、リーダーシップを発揮することは、実行力ある大学運営に必要です。しかし、学長よりも上の理事長が独断専行の大学運営を行えば教職員の意欲をそぎ、大学の活力は低下します。公立大学法人制度には、それを防ぐ機能が欠けています。教員からの選挙で選ばれた学長が大学経営に全責任を持ち、教授会が学長の職務内容をチェックするというのが、民主的で、大学の自治の原則にも叶うものです。ある私立大学では膨大な権限をもった理事長が理事を側近で固め誰も物が言えなくなって不祥事につながり逮捕されるという事例も起きています。政治家でもある蝦名管理者が理事長を任命し、その理事長が学長よりも上のポストとなり、各理事は理事長が任命するという仕組みになると、自由な研究、真理の探求といいますが、それがやりにくくなることはないのでしょうか。本来なら教授会の権限が強いほど大学の自治の原則がいかせるはずですが、定款案には教授会は位置付けられていません。そこでお伺いしますが、私立のように理事長という学長よりも権限がある役職を設置することは、公立大学にはなじまず、大学の自治権を後退させる恐れもあり、民営化に近づきつつあるのではないかと思われますが、管理者の答弁を求めます。併せて、議案第1号、2号とも賛成はできかねるという意見を申し上げ、質問を終わります。

 

〇管理者 蝦名大也

 まさにどのような制度、仕組みの中で物事を進めていくかでございますが、私どもは1つの制度がすべて万能だとは考えておりません。さまざまなプラスもあればマイナスもあると思っています。

 議員の考えは、制度がすべてを決めるというお話しでのご質問になっていた訳でございますけれど、最終的にはやはり人というか、そういった中でいろいろなことをしっかり議論していくことが重要だと考えているところでございます。

 その中で、私どもはこの理事長と学長については、公立大学法人制度の導入によりまして経営力の強化と価値を高めていくためや学生や社会のニーズを踏まえた教育研究を提供する観点から、経営の部門は理事長が行い、学長は教育部門の責任者として行うことで、経営と教育の役割分担の明確化と負担軽減を図って、それぞれに専念できる体制をつくるということであります。

 その上で、法人内に理事長、副理事長となる学長及び学部有識者を含む理事で構成される理事会を設置することとしており、法人の運営に関する重要事項について適切な協議、運営がなされるものと考えておりますので、ご質問のご指摘には当たらないものと考えております。

 

2021(令和3)年10月29日の議会はこちらから
釧路公立大学事務組合議会 会議録 2021年10月 - 西村まさと