今回は、ちょっとしんみりした嬉しい話です。
「君は、自分の足で立たなくてはいけないよ。
将来この国で仕事をみつけて働くべきだ。
そして幸せになるべき人だよ。
自分自身のことを、もっと考えなさい」
イラン人のクラスメイトが、突然こんな話をしてくれました。
私が学校で初めて喋ったクラスメイトで、クラスで一番年上で、穏やかで、彫が深くてらくだのように大きな目の、私の中で密かに癒し系なおじさまです。
数日前に「パートナーと喧嘩しちゃった♪」と冗談交じりに言った私の言葉を、彼は真剣に受け止めて、私のアメリカ生活についてアドバイスをしてくれたのです。
アメリカで結婚生活をしている彼の娘さんに私が似ていることもあり、親身に思ってくれたようです。
お互い英語がつたないのですが、普段穏やかな彼がほんの少し強い口調で、「自分の足で」というところはジェスチャーまで交えて話す姿には、涙が出そうになりました。
深い話をしたことは、今まで一度もありません。
それなのに、こんなに親身に思ってくれていたなんて気づきませんでした。
とてもありがたいことです。
パートナーとはとっくに仲直りをしていたから冗談交じりで話したのですが、彼の言葉で、喧嘩以外の曇っていた心も晴れ、新しい視界が開けたのも本当です。
芝居をしていてとても楽しい瞬間は、心が通じ合った瞬間です。
役者同士でも、スタッフさんとでも、お客様とでも。
本来日常生活のなかでも沢山起きていることですが、すっかり「生活」にまぎれて忘れてしまいがちな感覚です。
久しぶりにその気持ちに出会いました。
温かいクラスメイトの気持ちと、それに出会えた感動で、嬉しくて嬉しくて胸が締めつけられるような一日でした。