新潟久紀ブログ版retrospective

財政課18「部局査定担当で伝統の大玉送りを喰らう(その2)」編

●部局査定担当で伝統の大玉送りを喰らう(その2)

 スポーツ施設も交通施設も、県としては今後数十年にわたる大きな"買い物"になるのだろうから、検討と上層部との協議調整は短くとも1年掛かりか、いやいや、財政課のスピード感だと半年くらいで知事まで対応案を伺えるくらいの迅速さが必要か…。私なりに日程感を想定して引き継がれた資料を見ると"仰天"した。「二つの案件は次年度の大型ハード予算の対応方針を決定する6月上旬までに決定する」と記されているのだ。
 なんと、半年どころか4月と5月の二ヶ月。知事に伺う事前に課長、部長のご判断を伺うことを考えると、大型連休も挟むわけだから、実務的な作業時間は一ヶ月程度しかないではないか。詳しくは書けないが、二つの案件は共に巨額の財政負担を伴うことはもとより、協議調整を要する県庁内外の利害関係者が多い。県として極めて大きな判断となる。それなのに新任で予算査定の勘どころも持たない私が一ヶ月程度で対応案を取りまとめなくてはならないというのだ。
 自分でも先行きを考えると血の気が引いていくのが分かった。新採用の職場でいきなり前代未聞の県営工業用水道の再編を担当したという大きな経験は持っていたが、その直接的な影響が工業用水のユーザーなど限定的な世界であった。今度の話しは、広く県民、内外の産業関係者などにも関連するとてつもない案件だ。とにかくビビった。
 それでも、かつての土木部予算の査定担当者が私の上司である係長格の調整員として財政課に異動転入してくる。4月早々から、連日の部局担当者からのヒアリングや連夜の対応案検討資料の作成に明け暮れ、例えば21時過ぎ頃まで調整員に担当案の資料説明をして、微に入り細に亘り指摘や補足が必要との指示などを受け、深夜の財政課に独り残ってその対処をしていると、午前2時や3時過ぎの退庁となるといった日々が続いた。
 明け方近く玄関を出て県庁舎を振り返ると庁舎に灯りは一つも点いていない。ついに噂に聞いた本来の財政課らしい苦行が始まったか。経理担当に2年間いてゆとりの生活に慣れていたことからのギアチェンジが頭ではそのつもりになっても身体がなかなか着いて来ないなあとぼそりと思う。それにしても新任の私に前例が無く極めて日程的にタイトな大型案件が投げ渡されるとは。ぼやく私に査定チームの誰かが明るく言っていた「土木担当伝統の大玉送りにはまったね」。どこに配属されても運の悪さがつきまとうと感じる私なのでした。トホホだ。
 どんなに時間が欲しくても上司による査定日程というのは到来してしまう。5月の下旬から始まった次年度大型ハード予算の対応方針を決める県幹部による査定に、私は二つの大玉を抱えて乗り込んだのだ。事前に調整員から指導助言を受けていたはいたものの、その上の偉い人の視点はまた違うものがあって、思いがけない指摘に「玉砕」して出直しすることも。指摘を受けて再説明というのが繰り返されていくと、もう反射に近い感覚で対応を重ねていく体になるのだが、それでも少しずつ対応案はこなれて行き、6月の知事説明で一応の、本当に一応の、決着に漕ぎ着けたのであった。査定に関してはマル秘なので書けるのはここまで。申し訳ないが悪しからずです。
 それにしても…。大きな山場を乗り越えたと一息ついたばかりで迎えたのは梅雨の季節。近づく夏季休暇のシーズンにはリフレッシュして、秋からの次年度予算編成作業に向けて充電したいなあなどと考えていたのだが、そんな慎ましい夢を打ち砕き、土木部予算担当の私を再び激務のルツボに引き込む大変な事態が、しかも連続して起こることになるとは…想像すらできないその頃の私でした。

(「財政課18「部局査定担当で伝統の大玉送りを喰らう(その2)」編」終わり。「財政課19「土木部予算担当で新潟福島豪雨災害に巡り合わせ」編」に続きます。)
☆ツイッターで平日ほぼ毎日の昼休みにつぶやき続けてます。
https://twitter.com/rinosahibea
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「回顧録」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事