新潟久紀ブログ版retrospective

活かすぜ羽越本線100年12「新発田駅以北編・加治駅」

■JR羽越本線100年を機に新発田地域の振興を考えます。
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◆新発田駅以北編・加治駅

 羽越本線の利活用増による地域振興を考える沿線”行脚”の旅は、新発田駅「以北」の「加治駅」から私が管轄する新発田地域振興局の管内の北端にある「平木田駅」までの見回りへと新たな歩を進め始めた。
 予め航空写真データで俯瞰していたとおり、ほぼ稲作田園地帯を貫通している新発田市の「以南」とは大きく異なり、「以北」は東北日本海側の車道の大動脈である国道7号と並走していて、その折々に点在する住宅集積地や市街地を橋渡しして、この地域の拠点的な都市部である人口10万人弱の新発田市と、北側にある人口6万人弱の村上市を結節して人を行き交わせる機能を持っているようだ。
 新発田駅から北4kmほど先の「加治駅」に着くと、これまで見て来た「以南」の無人駅との違いに驚く。駅舎そのものはプレハブのように簡素で小さなものなのだが、その前にずらりと並ぶ乗用車たち。この駅が通勤のパークアンドライドに使われていることが分かる。
 新発田市と合併する前の加治川村において、この駅は中心拠点であったのだろう。駅前とそこから南にかけて離れていく国道7号沿線との間の半径500m程と、更に国道7号沿いに加治川に面するまでの500mほど四方に、そこそこの住宅が集積していて、中学校が立地し商業施設も幾つかある。
 この付近の加治川沿いで国道7号から分岐する国道290号は、日本一低い山脈と銘打つ櫛形山脈を挟んで内陸へと通じ、国設スキー場を軸とした胎内リゾートが近い。家庭を持ったり子育てなどを想定して通勤や余暇など諸々を考えると、加治駅周辺は利便性の高い田舎暮らしが楽しめるエリアなのかもしれない。駅前のパークアンドライドと思しき乗用車の車種からも比較的若い世代が利用していそうなことが推察できる。
 先に触れた令和5年11月にJR東日本が公表した「利用の少ない線区の経営情報」の中では「対象外」となっていたように、そこそこの利用に支えられている羽越本線区間であることが現場を見て感じ取れたものだ。
 しかしながら、この地においても少子高齢化と人口減少は続いているので、自然体のままでは加治駅の利用は減るだろう。
 豊かな自然を生かした多様なレジャーなど、この地域の魅力をアピールして移住者を呼び込むというのが基本だろうが、雪寒厳しい冬季があり、そこで車も運転しなければならず、列車も通勤時以外は一時間に1本という”世界”に、進学等で都会暮らしを味わってしまった若者が目を向けてくれるとはなかなか思えない。
 新発田駅の「以南」では、広大で他になにもないように広がる稲作田園地帯ゆえに、遠くから学生を往来させて農業に関わらせるなど「騒ぎ」を起こしてもかまわないだろうという自由度のようなものがあったが、「以北」は、駅ごとに住宅が集積して良くも悪くも落ち着いた風情となっているようで、大ナタを振るうようなアイデアを展開するのは中々難しそうだ。
 「加治駅」を後にして、国道7号に戻り、次の駅「金塚駅」に向かう途中の丁度中間にある「道の駅加治川」に立ち寄り昼食にする。二つの駅間となる5kmほどを国道7号は見事に近接して並走していて、そこを走る車両の多さと、車社会のために綺麗に整備された道の駅という施設などが、鉄路の利用をじわじわと減らしてきたのだろうなあと考えると複雑だ。
 伝統の味を復活させたという「加治川ラーメン」をすすると、春にこの地で見事に咲き誇る”桜の塩漬け”がアクセントにのっていて、”しょっぱい”気持ちをなお染みさせた。

(「活かすぜ羽越本線100年12「新発田駅以北編・加治駅」」終わります。「活かすぜ羽越本線100年13「新発田駅以北編・金塚駅」」に続きます。)
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