新潟久紀ブログ版retrospective

土木部監理課14「現職での死去が相次ぐ(その2)」編

●現職での死去が相次ぐ(その2)

 土木部監理課2年目に、退職した前任に代わる新しい技監が出先機関の長から異動してきて着任した。土木の技術職であり、土木部長の政策や施策の判断を技術面で補佐する部長級の職員だ。私は今までご縁が無く、人となりは全く不知であった。ただ、土木職とはいえ土木部の本庁と出先の経験だけではなく、防災局の危機対策課長を務め、その仕事ぶりが県の事務職幹部を含めて内外から評価されている人物だということは漏れ聞いていた。
 事務的な連絡のため初めてお話すると、温厚な表情と口調ではあるものの眼光の鋭さも垣間見えて、僭越ながら、なるほどと思わせる。
 危機対策課長在任中の話も含め、色々な経験談や知見をご教示頂きたいなあと思い始めていた矢先、5月の連休明け頃になると、体調不良で休暇を取られることがしばしばとなってきた。技監が3月まで在職した出先機関で補佐役を務めていた幹部に聞くと、技監はがんの手術を受けて回復してきた経緯があるという。
 手術を前後して暫く休んだものの、その後の回復は順調で、このたびの土木部技術職ナンバー2となる技監への異動も大丈夫であろうと自他共に認識していたようだ。しかし、病魔というのは思うようにはならないもので、異動早々に症状が悪化に転じてしまったのだ。
 果たして5月の半ばに出勤された技監ご本人から呼び出しを受けた。暫く入院して療養ということになるので、休暇の管理や内外の事務対応などよろしくというものだった。入院先を聞くと、終末期医療を提供するいわゆるホスピスであり、実情がうかがい知れた。がんは末期であり、いかに余命を伸ばすかという状況になっているのだと淡々とおっしゃった。
 回復は望めないまでも、仕事に復帰できるくらいの安定は目指せるかもしれない。今年で定年退職であり、なんとか休暇も活用しながら年度を乗り切って欲しかった。殆ど入院だとしても、そこでご指導ご助言を頂いたりして長年の知見を活かして欲しいし、私自身も教えを請いたいと思うことがまだまだ多い。私は、伝書鳩のように病院を定期的に行き来して、職場とのつなぎ役になろうと思った。
 そんな決意で、入院されてから1週間ほどしてお見舞いがてら病室を伺ってみた。事前に予告したので奥様が待ち受けてくれていて「眠ったり起きたりを繰り返していて、今は眠っていますがそのうち起きるかもしれません」とおっしゃる。事務的な伝達事項を奥様に伝えて暫くベッドサイドで様子を見ることにした。すると、来客の存在に気づいたようで、目が開いたので私からお見舞いを申し上げた。

(「土木部監理課14「現職での死去が相次ぐ(その2)」編」終わり。「土木部監理課15「現職での死去が相次ぐ(その3)」編」に続きます。)
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