新潟久紀ブログ版retrospective

財政課13「査定チーム入りで交付税担当(その1)」編

●査定チーム入りで交付税担当(その1)

 平成13年に財政課への配属と聞いて、県庁内屈指の激務と噂が高く、一方でそれ故に"若手の登竜門"とも言われていた予算査定業務に当たるものとばかり思っていたのに、よもやの経理担当への配置で肩透かしを食って以来の2年間。幻に終わった「飲食を伴う会合推進事務集」や議会対応を大きく変えた「決算審査の早期化」など、少し珍しい特命仕事もしたし、極め付けに大衆の面前で怒号を浴びて土下座までした「行啓事件」という、入庁以来の私に降り続く"前代未聞シリーズ"の追加も体験させていただいた。もうおなかいっぱいだ。あと一二年は淡々と経理事務の定型業務をこなしながら私生活充実に力を入れたいと考えていた平成15年の3月半ば。4月1日着け定期異動の内示伝達の日に、意外にも私の名前が呼ばれた。
 私の年齢くらいだと、三四年は同じ職務が継続するパターンが多いので、僅か2年でのお声がけは全くのノーマークだった。せっかく仕事に慣れたところだしイレギュラーな特命も来年こそはなさそうだったので、余暇を遊び倒してやろうと手ぐすねを引いて新年度を楽しみにしていたのに…。頭の中でブツブツ思いながら、課長の前に立つと、「財政課内に留まるが、査定チームに移ってもらう」と事もなさそうに課長は話してきた。
 正直言って「勘弁してくれよ」という思いだった。ここまでずっと忙しい状態が続いていれば心身の慣れでやっていけるということになるが、この二年間のインターバルで私は既にワークライフバランスへとパラダイムシフト済みなのだ。思わず横に居た課長補佐にふと「いやあ…査定担当にするなら財政課に来て直ぐにしてくれればよろしいのに…」と口に出してしまう。課長補佐は「そらあ悪かったねえ。でも貴方は大丈夫だわ」とアッサリだ。
 繁忙への集中力から解かれたこの二年は長いインターバルだった。もう残業続きの仕事生活はまっぴらになっていたのに。査定チームで何をやらされるのか、例によって、財政課内における新年度の職員の事務分掌割り振りは遅遅として伝達されてこない。内示から一週間も悶々とした日々を過ごしたあたりでようやく新年度の自分の任務が伝えられた。「査定チームの"財政計画班"に加わり、地方交付税と使用料手数料等を担当してもらう」。総務班の机で自分の仕事の引き継ぎの段取りを整理していた私の所に、査定チームにおいて新年度から居成で係長格である財政調整員という職に着いて私の上司になるその人がやってきて、私の新たな仕事を教えてくれたのだ。
 「交付税担当…」。思わぬ異動内示に少し投げやりになっていた私はそのワードを聞いて少し目の前に光りを感じた。県職員になるための試験勉強をしていた頃、大まかな県の財政構造も調べていたのだが、首都圏など大きな人口や大企業を抱えて税収が豊かな自治体と異なり、新潟県は所得の低い農業のシェアが大きく、企業も中小零細が殆どで、必要な行政を進めるための自前の財源が不足しているという事実を知り、そうした地方の自治体間の財源の不均衡を調整する地方交付税という制度があることが興味深かった。自治体毎に最低限必要とされる経費を把握し、その財源として不足する部分を国が一旦集めた税収から配分するというその仕組みを、自治体運営のキモのように感じていたのだ。
 願わくば交付税制度について詳しく学んで見たいとの思いは、殆ど無縁な仕事に就き続ける職務履歴の中ですっかり忘れていたのだが、思いがけず昔の意識の灯火が再燃したかのようであった。部局からの歳出予算の要求をギリギリと査定して部局の担当とケンカ腰に及ぶ立場になるとばかり考えていた査定チーム配属において、歳入予算の構造を勉強できるとは。現金な私は一気に前向きな気持ちになってきた。新任務の伝達に来てくれた私の上司になる調整員は、かつての交付税担当でもあるので、教えを請いながら仕事を進めて行けそうだ。すこしのんびりした仕事で鈍っている私を課長補佐が気遣っての配置なのかもしれない。関心の高い仕事内容と具体のサポートが期待できる上司。これならやって行けそうだ。

(「財政課13「査定チーム入りで交付税担当(その1)」編」終わり。「財政課14「査定チーム入りで交付税担当(その2)」編」に続きます。)
☆ツイッターで平日ほぼ毎日の昼休みにつぶやき続けてます。
https://twitter.com/rinosahibea
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「回顧録」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事