今日はノア グロバールタッグの決勝戦、
杉浦&田中組が連覇で
終わって
女性ファンの話、
超プロレスファンのお姉さま
プロレスで一番、
ガチガチやってるのはノアと断言する、
丸藤さんのお話
抜粋
今年は創業者・三沢光晴さんの七回忌もあり、
まさにメモリアル・イヤー。
しかし3月、新日本プロレスのリングで猛威を振るってきたヒールユニット「鈴木軍」が大挙、来襲。
ノアの副社長でGHCヘビー級王者の丸藤正道(まるふじ・なおみち)は鈴木にベルトを奪われ、
他3つの王座もすべて流出するという未曾有(みぞう)の事態に陥っている。
5月10日(日)の横浜文化体育館大会で鈴木とのリマッチに臨む丸藤が「プロレスブーム」について、そして他団体に負けないノアの神髄について語った!
***
―2009年に三沢さんが亡くなった後、丸藤さんは副社長に就任しました。この時、意識はどのように変わりましたか?
丸藤 ノアの旗揚げ当初は、僕は金魚のフンみたいに先輩たちについていくだけの一レスラーでした。プロレスだけに集中して練習と試合の繰り返しで、難しいことは上の人たちにやってもらうという形だったけど、それが一変しましたね。
―当時は29歳。いきなり副社長というのは重圧ですよね。
丸藤 僕はアルバイトすらしたこともなく18歳でこの世界に入ってプロレス一本でやってきたので、そもそも会社とはなんぞや?という部分もわかっていなかった。でも、そこにはいろんな人の気持ちや考えがあって僕がこのポジションに置かれたということを考えたら、それを受け止めてもうひとつの顔を持って生きていこうと決意しましたね。
三沢さんだけじゃなくて、その後もいろんな先輩たちがいろんな形で去っていく中で、自分たちの世代がノアを引っ張って、その中でも僕が先頭に立ってやっていかなきゃいけないって気持ちは今年になって、より強く感じています。
―「レジェンド」と呼ばれる世代のレスラーの知名度がまだまだ高いですよね。ノアにとっては三沢光晴、小橋建太の名前は壁になっていると感じます?
丸藤 そうですね。プロレスっていうのは強いだけでは(先輩を)超えられない、ベルトを持っているからといって超えられるものではない。その人たちは多くの経験を積んで乗り越えてきてその地位を築いてきたと思うので。僕が今ムリヤリそれ(知名度)を身につけようとしても嘘くさくなるので、今やれることをしっかりやってプロレスを盛り上げていきたいですね。で、気づいた時にあの人たちに追いついていればいいかなって。
―地上波テレビの存在も大きいですよね。
丸藤 昔ならどこに行っても「テレビで観たことある」って言われたものですが、今はそれがないので(日テレG+やサムライTVなどのCSで放送中)…でも、昔はなかったものもありますからね。インターネットなのかイベントなのか、いいツールを見つけて実行していくのがいいのかなって。
そしていつの日かまた地上派中継が…TV局の方から話がくるくらいに魅力のある団体にしていきたいですね。
―今、プロレスブームと言われていますが、「元気なのは新日本だけ」という声もよく聞きます。
丸藤 スケールという点では、やっぱり新日本は飛び抜けていますよね。だけど、決して僕らがそのプロレスブームに…なんていうのかな…同じプロレスというフィールドなので、乗っかり方次第で全然(結果は)変わっていくと思うし。試合の内容に関しては、僕たちは決して負けてるとは思ってないので。
―後は、世間に届く話題づくりとか?
丸藤 選手ひとりひとりがもっと魅力のある人間になれば、もっとよくなっていくと思います。
―「全ベルト流出」がyahoo!ニュースになってましたよね。不名誉なニュースではありますが…。
丸藤 そうですね(苦笑)。最悪の事態なので、後はこれからプラスにもっていくだけです。失望したファンの人たちもたくさんいると思うんですけど、まとめてベルトをとられた分、僕らはまとめて取り返すので。最高にわかりやすい形で失望をハッピーに変えてやりますよ。この振り幅は相当デカイと思うんで!
―鈴木みのるさんは「こんな舟(ノア)、ほっといても沈没する」とか憎まれ口を叩いております。
丸藤 発言が本当に最悪ですよね。ノアのファンは結構、静かなイメージがあったんですけど、今回のことではヒートアップしています。鈴木軍へのイライラではなく、僕らの本当のプロレスでヒートさせたいですね。
―プロレスブームに話を戻すと、それを支えているのは「プ女子」だと言われています。ノアの会場にも女性ファンは増えています?
丸藤 増えてますよ、ありがたいことに。ひとりだけで来る人もいるし、女性だけのグループもいるし。昔と違って女性が入りやすくなったのかなという部分はありますね。
―女性ファンが観ているポイントとか意識しますか?
丸藤 ポイント?
―すごく意外なところを観ている人もいるんですよ。
丸藤 中には細かい技術を見ている人もいるとは思うんですけど、やっぱり女性ファンはカッコよさだったり喋りの面白さだったり、男性ファンとは違った魅力を求めていると思うので、そういう部分を磨くことも今のレスラーには必要ですよね。入り口はいろいろあるので、昔のプロレスとは違う広げ方もあると思います。
―たとえば、ある女性ファンは「真壁刀義(とうぎ)さんがコーナーを登る時、ちょっと内股になってるのがカワイイ」らしいです。
丸藤 ハッハッハ! なるほど。パンツのたるみがカワイイとかそういう見方もあるかもしれないですよね。そういう視点はファンの方からもどんどん発信してもらったほうがレスラー自身も気づくと思います。
―何に萌えてるか、わからないですもんね。
丸藤 萌えどころはいろいろあると思うんで、プロレスラーには。
―丸藤さんの萌えポイントは?
丸藤 僕ですか!? 僕はそんなに萌えられてないんじゃないですかね…入場萌えじゃないですか(笑)。
―では、ノアの本質的な魅力といえば?
丸藤 三沢さん始め、偉大なレスラーたちが築いてきた、しっかりとしたプロレスで魅せることを僕たちは引き継ぎつつ試行錯誤しています。「心に残るプロレス」をキャッチフレーズにしているんですけど、僕たちの試合は自信を持って皆さんにお見せできるものだと思っているので。
―ノアの神髄といったら、やっぱり全日本プロレス時代から引き継がれる「受け身」では?
丸藤 僕らは練習生の時から毎日100本、200本連続で受け身をとってきましたから。投げられて、倒れてる間もなく引き起こされて、また投げられてというのを。それに耐えてデビューしているっていう部分ではどこの団体にも負けてないと思います。
―200本連続とは尋常じゃないですね。体はどういう状態になるんですか?
丸藤 もうフラッフラになりますよ、さすがに。でも「フラフラになってからがプロレス」というのもあるじゃないですか。どんな状況になっても身を守る。僕らは本当に練習生の頃からずっとそれをやってきているので、そこは絶対的な自信がありますね。
―練習では、いろんな角度の受け身をやるんですか?
丸藤 危ない角度でも、少しでもダメージを軽減できるようにとか。どんな高さから落とされてもなるべく衝撃を減らせるようにとか。
―丸藤さんは30cm四方あれば受け身をとれる、と聞いたことがあります。
丸藤 あ、僕、とれますよ。これは基本的に誰でもやることですが、片手で倒立みたいにして手をついた位置に落ちられるので。プロレスのリングって広いように見えて、実はそこまで広くはないんです。最小限のスペースでも受け身をとれるように自分の体をコントロールできないといけない。後、受け身をとるタイミングって、どんな高さから落ちても一緒なんですよ。
―というと?
丸藤 僕はどんな高さからでも必ずマットを見ています。自分の(受け身をとる)距離になったところで体を回転させるんです。だから、普通に投げられようがトップロープからだろうが、トップロープから場外に落とされようが全部一緒なんですよ。
逆に、高さがあったほうが衝撃は大きいですけど、自分の体をコントロールする「時間帯」があるので安全な受け身がとれますね。むしろ、一瞬で落とされる技のほうが危ない。
―なるほど。滞空時間が長いほうがタイミングが計れるわけですね。
丸藤 例えば、僕はショルダースルーをかけられた時、自分から飛んで距離感をつくるんです。
―ショルダースルーって、最近やる人少ないですよね。
丸藤 逆に言えば、ショルダスルーの受け身をとれる人が少なくなっているんですよ。実は受け身に失敗すると一番「内臓に響く」のがショルダースルー。背骨とかじゃなくて内臓。肺にくるのかな。失敗すると本当に呼吸できなくなりますよ、アレ。
―ショルダースルーは投げられた方がいかに高く美しい受け身をとるか…。
丸藤 そうですね、それもひとつのプロの技といえばプロの技ですし。
―垂直落下式ブレーンバスターとか危険なフィニッシュ技に目が行きがちですけど、ショルダースルーが出ると実際、会場がすごく沸きますよね。わかりやすくて、新規ファンや女性ファンの気持ちを捉える技なのかも。
丸藤 もしかしたら、初めてプロレスを観る人は垂直落下とか危ない技は、そんな怖いもの観たくないって人もいるかもしれないですよね。わかりやすく華やかで、かつ絶対にマネできないっていうものを僕らは見せる。一時期は僕らも試合で危険な技に走っていったこともありますけど、最近は何が受け入れられているかと考えたら、そういう(危険な)技はやってないとは言わないけど減りましたね。
―丸藤さんの必殺技「不知火(しらぬい)」もそれを象徴しているのでは?
丸藤 そうですね。よく、初めて観た人が驚いてくれますし。
―殴られたり蹴られたりする痛みは一般人でも経験できますけど、高いところから投げられるプロレス独特の痛みって、当たり前の話ですけどプロレスラーにならないと経験できない痛みですよね(笑)。
丸藤 それを場外のコンクリートでやられると、たまったもんじゃないですよ(笑)。だからプロレスラーは優しいんだと思います。普通の人以上に痛みがわかるから。それでもレスラーは鍛えてるから大丈夫っていうね。
―受け身の神髄は奥深いですね。それがノアの根幹を成すプライドでしょうか。
丸藤 そうですね。5月10日はベルトを取り戻して、僕らの本物のプロレスで盛り上げていきますよ!
■丸藤正道(まるふじ・なおみち)
1979年生まれ、埼玉県出身。98年、全日本プロレスでデビュー後、2000年、三沢光晴が設立したプロレスリング・ノアに移籍。GHCヘビー級ほかノアの公式タイトルをすべて制覇している“方舟の天才”
■『GREAT VOYAGE 2015 in YOKOHAMA』
5月10日(日)/神奈川・横浜文化体育館/17:00試合開始
・GHCヘビー級選手権試合
鈴木みのる(王者)vs丸藤正道(挑戦者)
・GHCジュニア・ヘビー級選手権試合
タイチ(王者)vs小峠篤司(挑戦者)
・GHCジュニア・ヘビー級タッグ選手権試合
TAKAみちのく&エル・デスペラード(王者)vs小川良成&ザック・セイバーJr.(挑戦者)ほか
詳しくはコチラ→https://www.noah.co.jp/
(取材・文/中込勇気 撮影/平工幸雄)
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