昔、防虫で蚊取り線香が主流の時代に「キンチョーの夏、日本の夏」と言うテレビ・コマーシャルが有った。
そのコマーシャルを視たら「ああ夏なんだな」と、季節を感じさせるコマーシャル、所謂、夏の風物詩だったのである。
その「キンチョーの夏、日本の夏」と言うコマーシャルで使われたキャッチフレーズを今年の日本に当て嵌めてみると、どうやら「節電の夏、日本の夏」になりそうである。
原発再稼働問題では政府のエネルギー政策や原発の安全策が曖昧な事もあり、再稼働の是非を巡って泥沼化し混迷を極め、計画停電等の節電対策が現実味を帯びて来た様だ。
5月5日午後11時3分、北海道電力の狛原発3号機が定期検査の為に発電停止し、日本国内の商業用原発50基が1970年以来42年振りに全停止となり「原発ゼロ」状態に突入した。
42年振りに全停止と言っても、日本原子力発電(日本原電)の東海原発が日本初の商業用原発として営業運転を始めたのが1966年、その4年後の70年に定期検査等で原発が全停止した際は、国内に商業用原発は2基しか無かったので、原子力が日本のエネルギー政策の主力となった今とは経済や家庭に与える影響力は大きく異なる。
日本の原発は、戦後の高度経済成長期に頼っていた中東の石油が、1973年の中東戦争に端を発したオイルショック(石油危機)によって危うい状態となり、石油依存からの脱却として原子力エネルギーへ舵を切り、以後は次々に原発が建設されて現在に至っている。
自民党政権時代に国策として推し進めた原子力エネルギー政策で、日本の経済や家庭に与えた恩恵は限り無く大きかった訳だが、2011年3月11日に起きた東京電力・福島第一原発(福一)の事故によって、日本の原発は事故が起こらないとされて来た原発の「安全神話」が崩壊してしまった。
福一の原発事故が起きる前から、地震や津波等に対する原発の安全性に付いて指摘する声は有ったのだが、日本の原発建設と発電や運転技術、そして原発運営は世界最高水準の域にあるとして、安全性を指摘する声は荒唐無稽だと封印されて来たのである。
例えどんなに優れた技術だとしても、それを操るのは人間、それらを纏め運営して行くのも人間である。
福一原発事故の当事者である東京電力は利益率を上げる為、コストカッターの清水前社長の下に原発の安全性を軽視し、コスト削減に取り組んで来た事や、自然災害を過小評価しての対策ミス、原発の安全神話と言う妄想、そして原発事故への対応の不味さ等が重なって福一の原発事故が起こった「人災」と言っても過言では無いだろう。
人災が大きな要因だったと言える福一原発事故の原因究明と責任所在の追及が何一つとして済んでいない。
あれだけの事故が起こったのに、未だに誰一人として責任を取っていない今日の現状は異常な事である。
その様な異常な状況で原発再稼働を推し進める動きが有る事も甚だ疑問だ。
私は「反原発派」の言う様な「即刻原発廃止」等の非現実的で矯激な主張では無く、徐々に原発への依存を減らして行くと言う「脱原発依存派」なので、日本の経済や生活へのエネルギー供給を鑑みれば原発の再稼働は止むを得ないと思っている。が、である。
福一原発事故の原因究明や責任の所在が曖昧のまま、そして明確な安全基準や事故対策が示されぬままの原発再稼働には反対である。
福一原発事故に関する様々な問題点を炙り出すのは時間が掛かり過ぎるので、今夏の電力事情に対応する迄には間に合わないと言う指摘も有るが、それならば、せめて、福一原発事故の原因究明の目処が立って、ある程度の公式発表をして、且つ、それらへの対策を講じてから再稼働が筋ではないのか?。
原発事故に対する政府や関係機関、電力会社の無様な対応を目の当たりにして、疑心暗鬼を覚えた我々国民に安心感を与えてから再稼働するのが筋だろう。
国民の安心感と言う事を日本政府、つまり民主党政権がどう考えているのか不明であるのだが、原発再稼働は「普天間化する」と言っていた人が居る。
普天間化と言うのは沖縄の米軍基地に付いて、民主党のマニフェストで謳った「最低でも県外」と言う荒唐無稽な公約によって、米軍基地の移転が白紙撤回となった普天間基地問題の事である。
民主党政権の出鱈目な遣り方で国内問題に留まらず、米国との約束事を反故にして、日米の同盟関係にも大きな亀裂を入れた事は記憶に新しい。
原発再稼働問題も普天間基地問題と同様に、素人集団と揶揄され、小沢一郎曰く「政権担当能力は無い」と言われた民主党政権が、引っ掻き回すだけで何も解決出来ない訳だ。
そして、時間だけが無駄に過ぎて行き、グダグダな状態のまま「節電の夏、日本の夏」と言う事になりそうである。
さて、今夏の節電であるのだが、節電目標は電力需要のピーク時には供給が不足する恐れがある関西で15%、九州は10%、北海道と四国が各7%。
関西、九州への供給を支援するため中部、北陸、中国にも各5%の目標を課して節電分を融通する。
節電目標の対象期間は、北海道を除き7月2日から9月7日で、北海道は7月23日から9月14日迄になっている。
民主党政権が原発再稼働問題に一定の目処を付けて不安定な電力供給が回避されるのか?、原発再稼働ならぬまま「節電の夏、日本の夏」へ突入するのか?。
この問題を注意深く見守りたい。では。
【ネッタイムス・東坊京門・作】
そのコマーシャルを視たら「ああ夏なんだな」と、季節を感じさせるコマーシャル、所謂、夏の風物詩だったのである。
その「キンチョーの夏、日本の夏」と言うコマーシャルで使われたキャッチフレーズを今年の日本に当て嵌めてみると、どうやら「節電の夏、日本の夏」になりそうである。
原発再稼働問題では政府のエネルギー政策や原発の安全策が曖昧な事もあり、再稼働の是非を巡って泥沼化し混迷を極め、計画停電等の節電対策が現実味を帯びて来た様だ。
5月5日午後11時3分、北海道電力の狛原発3号機が定期検査の為に発電停止し、日本国内の商業用原発50基が1970年以来42年振りに全停止となり「原発ゼロ」状態に突入した。
42年振りに全停止と言っても、日本原子力発電(日本原電)の東海原発が日本初の商業用原発として営業運転を始めたのが1966年、その4年後の70年に定期検査等で原発が全停止した際は、国内に商業用原発は2基しか無かったので、原子力が日本のエネルギー政策の主力となった今とは経済や家庭に与える影響力は大きく異なる。
日本の原発は、戦後の高度経済成長期に頼っていた中東の石油が、1973年の中東戦争に端を発したオイルショック(石油危機)によって危うい状態となり、石油依存からの脱却として原子力エネルギーへ舵を切り、以後は次々に原発が建設されて現在に至っている。
自民党政権時代に国策として推し進めた原子力エネルギー政策で、日本の経済や家庭に与えた恩恵は限り無く大きかった訳だが、2011年3月11日に起きた東京電力・福島第一原発(福一)の事故によって、日本の原発は事故が起こらないとされて来た原発の「安全神話」が崩壊してしまった。
福一の原発事故が起きる前から、地震や津波等に対する原発の安全性に付いて指摘する声は有ったのだが、日本の原発建設と発電や運転技術、そして原発運営は世界最高水準の域にあるとして、安全性を指摘する声は荒唐無稽だと封印されて来たのである。
例えどんなに優れた技術だとしても、それを操るのは人間、それらを纏め運営して行くのも人間である。
福一原発事故の当事者である東京電力は利益率を上げる為、コストカッターの清水前社長の下に原発の安全性を軽視し、コスト削減に取り組んで来た事や、自然災害を過小評価しての対策ミス、原発の安全神話と言う妄想、そして原発事故への対応の不味さ等が重なって福一の原発事故が起こった「人災」と言っても過言では無いだろう。
人災が大きな要因だったと言える福一原発事故の原因究明と責任所在の追及が何一つとして済んでいない。
あれだけの事故が起こったのに、未だに誰一人として責任を取っていない今日の現状は異常な事である。
その様な異常な状況で原発再稼働を推し進める動きが有る事も甚だ疑問だ。
私は「反原発派」の言う様な「即刻原発廃止」等の非現実的で矯激な主張では無く、徐々に原発への依存を減らして行くと言う「脱原発依存派」なので、日本の経済や生活へのエネルギー供給を鑑みれば原発の再稼働は止むを得ないと思っている。が、である。
福一原発事故の原因究明や責任の所在が曖昧のまま、そして明確な安全基準や事故対策が示されぬままの原発再稼働には反対である。
福一原発事故に関する様々な問題点を炙り出すのは時間が掛かり過ぎるので、今夏の電力事情に対応する迄には間に合わないと言う指摘も有るが、それならば、せめて、福一原発事故の原因究明の目処が立って、ある程度の公式発表をして、且つ、それらへの対策を講じてから再稼働が筋ではないのか?。
原発事故に対する政府や関係機関、電力会社の無様な対応を目の当たりにして、疑心暗鬼を覚えた我々国民に安心感を与えてから再稼働するのが筋だろう。
国民の安心感と言う事を日本政府、つまり民主党政権がどう考えているのか不明であるのだが、原発再稼働は「普天間化する」と言っていた人が居る。
普天間化と言うのは沖縄の米軍基地に付いて、民主党のマニフェストで謳った「最低でも県外」と言う荒唐無稽な公約によって、米軍基地の移転が白紙撤回となった普天間基地問題の事である。
民主党政権の出鱈目な遣り方で国内問題に留まらず、米国との約束事を反故にして、日米の同盟関係にも大きな亀裂を入れた事は記憶に新しい。
原発再稼働問題も普天間基地問題と同様に、素人集団と揶揄され、小沢一郎曰く「政権担当能力は無い」と言われた民主党政権が、引っ掻き回すだけで何も解決出来ない訳だ。
そして、時間だけが無駄に過ぎて行き、グダグダな状態のまま「節電の夏、日本の夏」と言う事になりそうである。
さて、今夏の節電であるのだが、節電目標は電力需要のピーク時には供給が不足する恐れがある関西で15%、九州は10%、北海道と四国が各7%。
関西、九州への供給を支援するため中部、北陸、中国にも各5%の目標を課して節電分を融通する。
節電目標の対象期間は、北海道を除き7月2日から9月7日で、北海道は7月23日から9月14日迄になっている。
民主党政権が原発再稼働問題に一定の目処を付けて不安定な電力供給が回避されるのか?、原発再稼働ならぬまま「節電の夏、日本の夏」へ突入するのか?。
この問題を注意深く見守りたい。では。
【ネッタイムス・東坊京門・作】