南房総館山・なぎさの自然詩

ウミガメとコチドリのヒナ


前夜の雨が止み、空は青く晴れていました。
雨のお陰で空気が澄み、館山湾から臨む富士山が綺麗です。


大潮で干潮の海岸は川から流れ着いた木の葉などで埋め尽くされていました。


そんな砂浜を歩いていると、何かの卵塊が打ち上げられています。
丸い透明なゼリー状のカップの中に黄色く見える襞がたくさんあります。
何かの貝類の卵のようだったので、このままだと乾燥して卵が駄目になってしまうと思い、潮溜まりに戻しました。
家へ帰ってからネットで調べてみたところ、レイシガイの卵のようでした。


波打ち際近くには他にも漂着物があり、極小アオイガイもありました。
中でもミスガイを全部で5個見つけたのですが、その内の3個は中身が入っていました。


息を吹き返してくれることを願って、潮溜まりに置いてきました。


更にウミガメのストランディングにも遭遇しました。
どうやらアカウミガメのようです。


甲羅にはウミガメにだけ付着するカメフジツボがあり、その上にも小さなフジツボが付着しているのが興味深いです。
甲羅にはカメフジツボを剥がした様な跡も見られ、コレクションする人も居るのだと思いました。


この浜にはコチドリ家族が暮らしています。
5月に産卵を確認してから、何度か様子を観察していたのですが、6/2にヒナが2羽居たのです。
コチドリの親鳥はヒナを全力で守ります。
この浜のメスは外敵がいると、ピーョッと何度も鳴いて近づいて来て、こんな風にうずくまり気を引く行動をします。
この日も私がコチドリを見つけるよりも早く、親鳥に見つかってしまいました。


辺りを探してみると、オスが小石の上に乗りヒナを見守る姿がありました。
ヒナは親鳥とほとんど同じ大きさに成長しています。
しかし2羽だったヒナは1羽しか見当たりません。
前回も1羽のヒナしか確認出来なかったので、もう1羽のヒナは居なくなってしまった様です。
4個あった卵から2羽のヒナが産まれ、1羽のヒナが成長しています。
この位の大きさまで育てば、あと僅かで飛べるようになると思います。
飛べるようになれば、命の危険に晒される事は減りそうで一安心です。

アカウミガメとコチドリがこの時期に南房総までやって来るのは繁殖の為です。
このアカウミガメはその目的を果たす事が出来ませんでした。
その原因は定置網に誤って入り込んでしまい、出ることが出来ず溺死したものだと想像しています。
コチドリのヒナは恐らくカラス等に捕食されたのかもしれません。
それぞれの命は様々な原因が重なった結果ですが、人的な要因で野生動物の命を閉じてしまうのは、本当に残念でなりません。
同じ浜で生き物の生命の始まりと終わりに触れる機会がありました。
ストランディングしていたアカウミガメがメスだとしたら、この先も産まれるはずだった沢山の命を失った事になると思うのです。
絶滅危惧種に指定しているアカウミガメに対して、何も対策していない行政の対応が本当にもどかしく感じています。
このまま何もせずにいると、アカウミガメが絶滅していくのをただ待っている事になりそうで本当に残念です。
定置網の蓋が無ければアカウミガメが助かったかもしれません。
この先ウミガメやイルカ、クジラ等の海の生き物達が被害を受けなくても済むような方法を取り入れていって欲しいと思っています。








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