上海蟹は前に歩く [ブログ]

上海在住2年。未だ中国語話せず。「ニイハオ」と「シェイシェイ」のみで人は生きられるのか?

恩を仇で返す

2006年01月17日 23時24分12秒 | 上海生活


 中国の長距離列車には、ものすごい量の荷物を抱えた乗客が大勢乗っています。
多くは地方からの乗客なのでしょうが、それにしても「どうやってそんなに持っていくの?」と思うくらい大きな荷物です。

 私の座席の斜向かいに、20歳くらいの青年が座っていました。
その彼は、傍に立っていたオジサンが大きな荷物を持っているのに気がつくと、網棚から自分の荷物を下ろし始めました。
「おじさん、荷物を載せなよ」
青年は自分の荷物を抱えて通路に立つと、そのオジサンに声をかけたのです。
オジサンは、ラッキーとばかりにパンパンに膨らんだカバンを網棚に押し込みます。

 正直、驚きました。
座席を譲る光景すら、滅多に見かけないこの街で、老人でもなんでもない他人に対して、親切に接する若者に出会えるなんて。中国も捨てたもんじゃないな、なんて、ちょっと偉そうなことを思った私は、次の瞬間、衝撃の光景を目の当たりにすることになります。

 カバンを網棚にのせたオジサン、なんと、何事もなかったかのように、その青年の席に座ったのです。
えーーーっ!? いやいやいやいやいや、ありえんでしょ。
 彼はそのすぐ横に、荷物を抱えて立っているのです。
明らかに、網棚に荷物をのせるのには邪魔だろうからと立っただけ。恩を仇で返すとはまさにこのことです。
 さすがに周りの人たちも「ありえない、どきなさい」と、オジサンに文句を言います。しかし運悪く、その青年の切符も無座(座席指定なし)でした。

 「この席は、彼の席(指定席)というわけじゃない。彼が席を立ったから、俺は座っただけだ」
偉そうに、さももっともらしい口調で言っていますが、ムチャムチャな理屈です。
抗議の声はどんどん飛び火して、終いには同じ車両乗客の半分くらいがオジサンに向かって罵声を浴びせているかのような騒ぎになってきました。右からも左からも罵声が容赦なく飛んできます。
 でも、逆にこうなってしまうと、オジサンももう引くに引けないのです。意地というか、これも中国では面子と言うのでしょうか、「関係ない!」と一言怒鳴ると、腕組みをしたまま目を閉じて座り続けたのでした。

 中国でも他の地方はよく分かりませんが、少なくとも上海では、少々ずるくても、汚くても、最後にお金や(実質的な)得を手にしている人が勝ち、という考え方が根強いと感じます。オジサンはこうして席に座って身体を休めることができました。でも、勝ったのかな?
 私にはよくわかりません。


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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2006-01-19 02:29:03
『衣食住足りて礼節を知る』





先人の偉大な指摘が脈々と

何千年の後の子孫にまで残ってる



哀しいかな哀しいかな



ってか、そのおっさんムカつく!!!

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Unknown (negimyu。)
2006-01-26 17:23:13
ムカつくっていうか、意地を張ってしまって、なんだか哀れでしたね。人間、いらん所で意地張っても碌なコトないなぁ、ってしみじみ思いました。
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