武の道へのこころざし

大道塾の横須賀・湘南支部の責任者が、日々の活動に関する出来事や想いを綴っていきます。

心に響くもの

2022年12月03日 | Weblog

私は大道塾の横須賀・湘南支部で指導者として日々稽古指導をしています。


ある年齢で職場を辞し、独立支部の運営を始めました。

若い頃から考えていた通り、自分の人生を見つめ直す時間を持とうと35歳で一旦職を辞し、その後半年間、自分の人生を見つめ直し、自分の進むべき道を考え直す時間を持つことができたのは、仕事の中でのタイミングや運もありますが、とてもいい期間を過ごせたと思う。

人生において心に響くことは、人生の中ではそれほど多くある事ではないかもしれませんが、私自身、人生の中で心に強く響く出来事が何度かありました。

私が道場運営をしていくにあたり、心に響いたいくつかの出来事。

その響きが、今の道場運営にとても大きく影響していると感じています。



試合に勝つための目先の利益のためではなく、コツや要領を身に付けるための知恵ではなく、人生の中でのひと時を過ごす中で、必ず行わなければならない行い(いわゆる義務教育期間の学校に通う事や、塾に通うなどの受験勉強など)ではないものながらも、とても満足のできる感覚を得られたのは、高校生の空手部の稽古の中。

試合に勝つためのコツを教えてくれるわけではなく、ただひたすらに基本稽古に打ち込み、懸命に汗を流し、必死な気持ちでエネルギーを注ぎ込むことで評価をされる、実に単純で単調で、懸命な気持ちだけが評価される、高校の空手部の稽古がとても新鮮で、楽しく感じていました。

もちろん、試合で負けるたびに、何かが違うような、何かが足りないような、このままでいいのかどうか、という疑問をなんども感じていたことも事実ですが、それでも、その頃の自分の心がピタリとはまり、無心でいて楽しく、爽快感を感じていたその稽古が大好きな空間であり、そしてとても大切なひとときであったことは間違いありません。


もしその顧問の先生が、試合のキャリアが豊富で、勝つためのコツを要領よく、効率的に教えて下さる先生であったなら、高校で多少の成績は残せたとしても、私は今現在、武道団体の指導者として道場に立っていなかったかもしれません。


またあるフルコンタクト空手の道場で、心が震えるほどの畏怖を覚え、心の底から尊敬し、無心に憧れた先生や先輩方に出会えたことは、私にとっての大きな財産となりました。

大きな憧れを持ち、尊敬し、人はこれほどまでに真摯に、そして懸命に稽古に打ち込み、その稽古に打ち込める環境を与えているその先生の真剣で情熱的な姿勢に心を打たれ、高校生の頃の、その時の我が身と心を恥じ、人としての心の姿勢を正された想いがあった。


またある時期、自分の人生において、日々の稽古指導の方向性にモヤモヤとした不安を感じ、思い悩んでいた時、ある伝統派の空手道場を見学した際に、その稽古の雰囲気やその内容、その規模を目の当たりにして、自分の目指すべき道場の姿を感じられたことは、大きな財産となり、今の道場の形に繋がっています。

その他、実際に体験はできていませんが、ある書物から、「こんな道場で学びたい」という私の理想形の道場の存在を知りえたことも、私にとっての、とても大きな財産となっています。

そのいずれもが、今現在、私が在籍している団体とはまったく異なる道場であることには不思議な感もありますが、自分の人生に影響を与えるほどの大きな心の響きは、今の世の中の、どこに転がっているものかわからないものだと感じています。


私の目指す道場の形は、大道塾という団体の中ではとても特異な形であり、激しい攻防を強いられるフルコンタクト団体の中でも特殊なものであり、多くの様々な武道団体の中でも、どことも比較できないような立ち位置の感じられるものだと感じています。

今現在、ある程度の基盤が整ってきてはいますが、理想とする道場の形には、まだまだ足りないものがたくさんあり、少しずつでも、理想とする形に近づけていきたいと考えています。


今現在は三分の一の、基礎段階。


次の段階では、ある程度の大会での成績と、稽古生の心の拠り所となる存在の確立を目指していき、その後には自己評価ではあっても、より満足のできる道場に仕上げていきたい。


最終的には、年齢や性別、健常や障害の度合い、素質や生まれ持った性質の相違を超えて、多くの多種多様な方々が、共に稽古に励める道場の在り方を模索していきたい。

自分の人生をかける価値があるものを見つけられた喜びは、何物にも代えがたく、これまでに係っていただいた方々に対する感謝の念は、安易なものではない。

体の弱かったものが強くなり、体力に自信のなかったものが自信を持て、意気地の無い心の弱い子たちがとても強く、逞しく、周りの方々にとって頼りがいのある存在になってもらいたい。

意欲がなく自信のなかったものが、自分に自信と誇りが持てるようになり、何事にも前向きに取り組めるような意欲的な心を持って、より良い人生を育んでもらいたい。

これがラストチャンスとばかりに初めて道場の門をくぐったものが、強く逞しく、頼もしくなり、確かな技術とある程度の体力をつけ、懸命に努力をしている若者たちを教え導き、自分を誇れる、人生の軸になるような心の柱を立ててもらいたい。


これまでかかわっていただいた方々、そしてこれからかかわっていただく方々の全てに対する感謝の念を持ちつつ、夢を実現すべく、残りの人生を掛けて取り組んでゆきたい。


多少、堅くて重い話で失礼しました。





コメント    この記事についてブログを書く
« 最近の稽古の様子(9月から... | トップ | 大会の結果:アジア大会及び... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事