窓から見る山の景色も青々としてきて、季節が春から初夏へと移りゆくのがわかります。
ギャラリーで多くの作家さんが大型の作品を展示する出窓部分ですが、ここの背景は当然ながら季節によって変わります。
作家さんの要望によっては、開口を塞いで全面に展示できるようにしようかという話もありましたが、いまのところ皆さんうまいこと外が見えるままで展示してくれています。
今月の2Fギャラリーの展示は佐藤美絵さんによる切絵の展示です。
佐藤さんは切絵という技法を使いながら「花鳥」「縁起」「物語」といった日本の絵画に踏襲されてきたイメージを多く取り上げていらっしゃいます。
NARAYAの立地する箱根では日常的に「花鳥」は見られます。
まさにギャラリーの出窓から外の木々を覗くと、ひよどりなんかが「ぴょい」っと飛んできて木の実をついばんでいたりします。
そんな一瞬の風景に季節を感じる日本の美意識を、絵と窓の外を見比べながら楽しんでいただけたらと思います。
今回の「花鳥」の代表と思われるこの作品、僕のお気に入りです。
花の向こうに凛々しい顔のミミズクと出会ったら、なんかいいことありそうですよね。
それから「縁起」といえばNARAYA CAFEのロゴマークの瓢箪も縁起物ですね。
とくに今年は辰年なので、空を舞う辰(ドラゴン)は日本だけにとらわれず、中華圏などでも縁起物として意識されていると思います。
そして、そういった動物やこどもというキャラクターが動き出すと「物語」が生まれます。
昔話である「きんたろう」や「一寸法師」をモチーフにした絵はふるくからありますが、佐藤さんはそんな昔話のキャラクターを登場させつつも、新たな「物語」を創作されています
「どういう意味なんだろう?」と考えながら、絵の中の世界観を楽しんでみてください。
「金の夏」「食欲」といったタイトルがヒントになります。
おもえば展覧会のタイトルにもある「山滴る」は初夏の季語です。
そこに「笑い」を加えたのはどうしてだろう?、、、、と謎解き感覚で楽しめる展示となっています。
作品のほかにポストカード、クリアファイルなども販売しています
余談ですが、もう10年以上前、NARAYA CAFEが「孤独のグルメ」に登場したとき、ストーリーの中で
主人公の井之頭五郎がギャラリーの打ち合わせをしにカフェに来て、過去に切絵の展示はあったかどうかを店主に確認する
というシーンがありました。
そこで店主が不在になった間にひょうたん最中「ならやん」に目がいって、店主が帰ってきて「切絵の展示は初めて」ということを確認するのですが、今回そのストーリーが実現しました、、、、笑
ちなみにこれは先日来た「孤独のグルメ」マニアの方が「切絵」に反応していたことから思い出しました。
5月31日までの開催です。