blueglassの向こう側

厚木市議会議員「奈良なおし」の思うことをそのままに

選挙後の課題は「アベノミクスの実感」

2017-10-04 12:07:00 | 政治

「アベノミクスの実感が解らない」という言葉はよく聞きます。
私が言うのも僭越ですが、忙しいけど儲かってるのかなぁ?と思うことはよくあります。

2012年の総選挙で自民党が政権奪還して以降、経済の全体を示すマクロの指標では間違いなく過去最高を更新してはいるのですが、国民の多くがそれを感じられておらず、今後は実感できる政策が必要なんだと思います。

マクロの数字(2012年以前→直近の調査数値)で見てみますと
・名目GDP 493兆円→543兆円(50兆円増)
・企業収益 48.5兆円→75兆円(26.5兆円増)
・株価 8,664円→20,397円
・設備投資 71.8兆円→82.5兆円

・雇用者数 5,530万人→ 5,741万人
・正規雇用 3,345万人→3,367万人
・有効求人倍率 0.83倍→1.52倍
・正規雇用の有効求人倍率 0.5倍→1.01倍
・大学生の就職内定率 93.9%→97.6%
・失業率 4.3%→2.8%

・就業者数 6,271万人→6,456万人(185万人増)
・雇用者報酬 253.1兆円→268.6兆円
・家計の可処分所得 292兆円→295兆円(3兆円増)

この数字で着目すべきは、雇用者数、特に正規雇用においては、この5年間で団塊の世代がリタイヤをしている中で22万人増加していること。
次に、間違いなく経済全体は上向いているものの、可処分所得の数字が小さく、家計レベルでは景気回復を実感できるレベルまでになってないはずです。その理由はこの5年間の間に消費税が上がり、社会保険料も上がっており、”手取りが増えた実感”が足りていないところに起因していると思います。

世界中の傾向でもあるのですが、労働分配率(企業の利益を雇用者に還元する率)が降下傾向です。

こういう話になると企業の内部留保がクローズアップされます。
「希望の党が「内部留保に課税する」という政策を打ち出すのでは?」という観測もあるのですが、そもそも内部留保というものは会計上存在しないもので、簡単にいえば、企業の収益から税を支払い、株主に配当を支払い、事業投資のための資産を持つものであって、単にキャッシュを指すのではなく、不動産なども含まれてのもので、直近の数字で406兆円の内部留保があり、儲けた企業が隠し持つようなイメージはつきまとうのですが、実際はそうではありません。

私自身、内部留保に課税するより、企業がどれぐらいのキャッシュを持っているか?に着目し、現在の賃上げ目標の2%を3%台に改めめざすこと。次に、設備投資は生産増強投資から生産性や付加価値を向上する投資にシフトするとともに、その額を90兆円台にまで伸ばしていくことが大事なことなのだと思います。

最後にアベノミクスの一本目の矢である金融政策ですが、金融政策は実体経済に影響が出るまでしばらくの時間がかかります。幸いに現在は不動産価格が少々傾向にあるので、これが徐々に担保価値を増やして投資を呼び込むことになると思います。そうなる頃にはお金が回り出しますので、短絡的に政策を変更するよりは継続することが何より重要なのではないかと思います。