blueglassの向こう側

厚木市議会議員「奈良なおし」の思うことをそのままに

豊洲の地下ピットと、豊洲のターレ問題(普通に曲がります)

2016-09-14 02:12:48 | 政治
私は現在の公共事業は市民の疑問に対して真摯に答える姿勢がなにより重要であると考えます。一方、批判をする側がいい加減な検証で何を言って良いとも思いません。その点からこの記事を書かせて頂きます。

築地市場の豊洲移転がなにやら騒ぎになっています。
もともと、豊洲に建設される市場が東京ガスのガス生成の工場跡地で、土壌汚染があったことに起因をしているようです。

まず、現状を考えますが、専門家会議では汚染土壌の上に4.5mの盛土をして汚染物質を封じ込めるという手法を提言したようですが、実際は地下に設置されるピットの深さを考慮しておらず、地下部分の土に接する部分が汚染土に面している(9/16加筆 実際は汚染土上には砕石層があり、直接面している部分はないそうです)ことからどうなんだ?ということ。

ただ建築的な観点で申しあげると以下の考えが浮かび上がります。
1)土は時間をかけて圧縮されるもの。盛土には地盤沈下のリスクがあります。
2)盛土の上に建築すると建物の重さで沈下が加速します。従って構造物の基礎は切土(掘った状態)した上に設置するのが一般です。
3)今回のケースでは圧密沈下量を想定し、当初の計画以上に余分に土を盛って(土の重みで)十分に沈下させてから削り取る方法がありますが、時間がかかり、完成時期がほぼほぼ決められた現場では不向きです。
4)また、豊洲のような埋め立て地の場合、長い杭を打ちこんで建物の傾きや沈下を止めるようにしているはずですが、それでも盛土上に建築する事は、建物構造体の直下にある土だけが沈む、つまり建物構造の下に空洞が発生し、設計上の耐力条件と異なる状態が生じるため好ましくありません。
※杭の周りの土が沈んで露出すると突出杭とする必要が生じ条件が厳しくなるほか、沈下で杭に負の摩擦力(沈下に伴い杭も深い方向へ引き込む力)が働きますので対策あるいは検討が必要となります。

5)こうした現状から汚染土に面しても切土面に接する計画としたかと思いますが、それが一律に悪い事とも思えません。むしろ、建築物の堅牢性を確保しつつ、安全性を優先するならば、盛り土よりも空洞のほうが安全性は大幅に向上するのではないでしょうか?
6)なぜなら、地下ピットには汚染物質を含んだ水が染み出る可能性はありえますが、水の回収と、指摘されているベンゼンのベーパーの回収が行える前提(ベンゼンのベーパーは2.7なので空気より重いので滞留するだけ)ならば、この空間は汚染物質を遮蔽する機能は期待できるからです。



7)もし、湧水とべーパー回収ができていないなら改善が必要ですし、回収機能が装着されているなら、1)~の考えで設計されているはずです。

9/16加筆 実際には汚染土の上には砕石層があり、建物と汚染土が直接接するところはないようです。
  ◇  ◇

次に、facebookのコメントで言われて調べたのですが、豊洲の問題は設計ミスが指摘されているようです。
私は一概にそうとは思っていない部分があります。
もちろん全ての指摘について検証したわけではありませんが、例えば「ターレ(市場内での荷運びの機械)が曲がらない」と言われる問題。




「建築エコノミスト」という肩書きの方が指摘をされていますが、そもそも軌跡図の書き方が間違ってます。
本来、回転軸となる後輪の延長線上に中心点を取って回転させなければならないのを、カタログデータの最小半径を車体の内側の数字と思ってしまってるところで誤解が生じています。
試しに関東機械のBN-1というターレで、建築エコノミストさんの言う数字、写真から推定した平面図に軌跡図を落としてみると



曲がります。これぐらい建築設計者なら当然配慮していることです。
もっとも「この箇所がボトルネックになって渋滞するのでは?」という氏の指摘は間違ってないとは思いますが。

いずれにしても正しい批判をすべきですし、正しい説明を行って欲しいと思うばかりです。