blueglassの向こう側

厚木市議会議員「奈良なおし」の思うことをそのままに

子どもの貧困率について

2016-08-19 14:44:43 | 政治
18日、NHKで報じた”貧困女子高生”が実は貧困ではなく、むしろ裕福なのでは?とネット上で指摘され話題になっています。



NHKは神奈川県が、今年5月、経済的に困窮した高校生などを委員とした会議を設置。当事者の声を生かした対策作りを進める一環として18日に行われたイベントを報じ、その中の参加者の一人を取材したものです。

その中で、創作活動と作品を紹介したところ、その作品を探された方がいらっしゃったと思うのですが、それを元にTwitterなどのアカウントが判明。そのアカウントでは日常のお金使いを克明に記していることから、貧困状態ではなく、むしろ裕福層以上の生活っぷりが明らかとなってしまいました。



細かくはgoogle検索すればいくつかのサイトが検証されているのでここでは割愛をさせて頂きますが、そもそも「子どもの貧困」についてはちゃんと考えなくてはいけないことがあると思って、今日は触れさせて頂きます。

まず第一に厚生労働省が貧困状態にあると示す「6人に1人」という数字。
「子どもの貧困率」が2012年の数字で16%になり、OECD諸国の中でも上位ということで使われるようになり、今回もその数字が引用されているんだと思います。

ところが、この「子どもの貧困率」は「相対的貧困率(=生活水準が他と比べて低い層)」を指していて、絶対的貧困率(=人間が生きるのに必要な最低限の衣食住を満たす生活水準以下の層)とは異なっており、実際の貧困度とは異なるものであるということで以前から問題視されてきました。

相対的貧困率の算出方法は、手取りの世帯所得を世帯人数で調整。中央値(50%)以下を貧困と定義するだけです。

こういう定義の場合、平均所得が低いだけで貧困扱いになりますし、国際比較するにしても、国によりGDP、賃金カーブ、雇用慣行が異なりますから比較のしようがありません。また、仮に国全体で国民全員の生涯賃金が同一であっても貧困が発生しうる事になります。つまり指標としては不適当なのではないかと考えています。

事実、絶対的貧困に置き換えると、今言われている”日本の子どもの貧困層”は世界で最も裕福(な貧困層)という結果になってしまうのです。webサイト「社会実情データ収録」で集計された国際比較のうち、「貧しさのため生活必需品が買えなかった経験の国際比較」で見てみると、我が国は衣医食(=いいしょく)での充足度は極めて高いことが解ります。





普段の衣医食もままならない、そんな世帯にちゃんと手を伸ばす。そういう選択と集中の観点にたった貧困対策にすべきと思います。
議席は無くとも政治に関わっていれば、一日の食事が学校給食だけという子だって見てきましたし、手をさしのべる優先順位は絶対にあるはずと思ってます。

一方で「子どもの貧困」はその数字が騒がれたころから”政治目的化された数字のマジック”という側面があるということも理解をしなければならないと思います。
だからマスコミは本当に困ったところに取材せず、人情に頼ったり、ムリに作ってしまう部分があるのです。

この女子高生が何のきっかけ、本当は何をしたくて出演されたか迄は知りませんが、ある意味、大人達の都合の被害者とも言えるように感じて仕方ありません。