少女たちに魅せられて

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ヒーリングっとプリキュア考察〜花寺のどかの選択(43話時点)

2021-02-05 20:32:02 | ヒーリングっどプリキュア考察

「私はやっぱり、あなたを助ける気にはなれない」

花寺さんの体を利用して生きのびようとする
ダルイゼンに対して彼女はきっぱり言い放った
今回はそんな彼女の選択の意義について考えたい


彼女がダルイゼンを助けなかった理由としては
自分が苦しみたくないということ
そしてそもそも助ける義理がないこと
の二つが挙げられる


まず自分が苦しみたくないという点である
彼女は誰よりも生命を尊ぶ少女であった
彼女の口癖はめちょっくでもキラヤバでもなく
「生きてるって感じ」なのである
その背景に苦しかった闘病生活の経験が
あることは容易に想像できよう
生と死のはざまを乗り越えた彼女が
再びそこに戻ることを拒絶するのは
当然のことである


だがそれはダルイゼンにとっても同じ
彼の生命にとって花寺さんは
最後の希望だったのである
したがって彼女の拒絶は彼に
生の放棄を強いることでもある


では助ける義理がないことについてはどうか
冒頭にも書いたようにそもそも花寺さんは
ダルイゼンを助ける気にもならなかったのだ
彼女は次のように主張する

「あなたのせいで私がどれだけ苦しかったか
 あなたは全然わかってない
 わかってたら地球を、たくさんの命を
 むしばんで笑ったりしない
 都合のいい時だけ、私を利用しないで
 私はあなたの道具じゃない
 私の体も心も全部私のものなんだから」

つまりはダルイゼンの過去の行いや
現在の態度を考えても
自分を犠牲にしてまで助ける理由は
少しも見いだせないということである
花寺さんは闘病生活の頃から
ずっとダルイゼンに苦しめられており
それについて彼は反省の色も見せていない
のだからこれも当然である


とはいえダルイゼンが地球をむしばんだのは
自らが住みやすい世界を作るためであった
花寺さんたちにとって住みやすい世界は
ダルイゼンにとっては住みにくい世界なのだから
この対立はある意味不可避である
つまりダルイゼンののどかに対する行為は
彼がビョーゲンズとして生まれてしまったという
運命的なところが大きいことも忘れてはなるまい


平光さんは39話でビョーゲンズと共存する
未来を絵に描いていた
つまりビョーゲンズと共に生きる道は
初めから排除されていたわけではないのだ
それにダルイゼンのピンチは
キングビョーゲンによるものなのだから
彼とともにキングを倒すという選択も
あったはずである
にも関わらず花寺さんはダルイゼンを
救うことはしなかった
それどころか彼の立場から
その気持ちを想像することさえしなかった
これは人と病気とは決して共存できない
という彼女なりの答えなのかもしれない

「ダルイゼンを見捨てながら
 地球のみんなとすべてを守るというか
 ずいぶんな思い上がりだ」

キングビョーゲンの言葉に対し
花寺さんはこう答えた

「ダルイゼンを追い詰めたのは誰?
 あなたに言われたくない」

彼女はここで地球のみんなから
ダルイゼンを除外したことを否定しない
花寺さんの戦いは生きるため
さらには「生きてるって」感じる他の生命を
守るための戦いなのだ
もちろん敵と和解するに越したことはない
だがそれよりも命を尊ぶことこそが
彼女の最優先事項なのである
逆に言えば生きるということは
それほどまでに厳しいものなのだ


彼女はキングビョーゲンをも浄化するのか
それとも共存の道を探るのか
残りの回に期待である

 

補足
プリキュアとビョーゲンズの関係は
自然と人間の関係としても考えられる
つまりビョーゲンズにむしばまれた自然を
人類の産業発展によって侵された自然に
置き換えるのである
するとダルイゼンの姿は我々の姿と重なる
自然を傷つけた人間に対する自然の回答は
花寺さんと同じように厳しいものかもしれない
つまり自分たちの仲間から人類を排除するのだ
ダルイゼンのように人類が自然を顧みず
行動を起こすのであれば
自然の側からこのような答えが
下されることにもなりかねないのである