私の坦々(違う?)としたインドでの日々…出会いや見つけた記事やアクシデントやら出来事を気が向いた時にここに記して2年。このところ繰り返し起こるドタバタの中で気づき叫びたくなったことを今日は書いておく。
仕事上、日本とインドの狭間に立ってこちらとあちらの言い分を通訳して意思疎通の手助けをするだけではなく双方が納得できるポイントを見つけて次のステップに進める、ことを使命とする仕事が多い。(本当の使命はそこにはないのだけど…)
インドにいる自分としては、日本の非常に特殊なドメスティックな事情をインドに説明することよりも、非常に限られた日本国内の情報(しかも、それはほとんどが日本のメディアのフィルターにかかった日本語オンリーの情報)を元にインドを誤解、曲解した多くの日本人に正しい理解を持ってもらうことに汗をかく。
数日間のインド旅行で騙された、盗難にあった、見たくない悲惨な子供たち&汚いゴミの山を見て不愉快な思い出だけが残り嫌いになった人は残念ながらどうでもよい。私はインド政府観光局の人間でもないし、それもインドの現実だし。
人口減少、高齢化でもはや企業として活路が見いだせない日本市場、そして進出時期は早かったが日本経済低迷で本社の足腰が弱り、巧妙かつ最速スピードで追っかけてきた欧米・韓国企業にグングン抜かれ厳しい日本企業の中国市場のこれからを考えると「あとはインド市場のみか?」という切羽詰まった状況でのインド進出。インドを必要とするのは日本だ。
人口12億人24歳以下の若者が人口の半分を占める、中間階級層&消費パワー急増この二点が進出計画書の冒頭に太字で踊る。それは疑いもない事実。だが参入には相当の費用がかかる。外資規制ルール、広い国土ゆえの流通・宣伝・販促、「遅れてやってきた」日本企業が強い地場企業、中国でもコテンパンにやられた外資企業と肩を並べるためには相当の規模予算とそれを継続する体力が必要。
…とそこまでは何となく理解している企業は数少ないながらあるけれど…東南アジアのどこそこで成功の方程式をあてはめようとする、日本でのやりかたを踏襲、という一方的な思い込みで進めようとする。根拠を求めると「それで他地域は成功したから」話にならない。
食い下がり、それではダメだという根拠を説明するのは、そんな企業の大切な1ルピー、1ルピーを無駄にはさせたくないからという理由なのだが…「いいからこっちの言った通りにやってくれ」
そんな人たちは、言葉を「壁」と言う。でも本当の壁は心の中にある。島国の自分たちと何が違うかという比較にばかりこだわるから答えが出ない。単純に日本の市場規模x10倍するから帳尻あわない。ハリヤナ州とケララ州を埼玉県と岡山県みたいな例えにするから、日本の中間階級層とインドのそれとをなぞり合わせるから、結果なし。全部白紙にして自分の足で目で耳で手でインドを確かめて、そこで成功した人たちがどういう考えのもとにステップを歩んできたか耳を傾ける。真剣にインド学に入門すべきと思う。
ああ、それから日本人。もっと鏡の前で笑顔の練習をしましょうね。笑顔は愛想をふりまく、へつらう、のでなく「自信」という意味ですからね。への口してないで。