毎週日曜日、新聞に繰り広げられるのが結婚相手紹介欄。欄というよりも10ページ仕立てのサプルメント。ぎしりと募集広告が並ぶ。
年代別、宗教別、カースト別(高い方)、職業(収入が高い方)、ステータス(NRI=海外在住/外国籍インド人、米国グリーンカード保持者)、その他・・バツ1、寡夫(婦)などページはカテゴリー別に分けられている。あえてカーストは問わず、という一文が太字で記された広告もあるが「当方、良家、教育程度高い」とあれば、カーストは問わずとも・・というところだ。
自由恋愛は無くはないが恋愛結婚に対してクラスが上に行くほどコンサバ。親が決め結婚式まで当事者がほとんど顔を合わせない、という昔ほどではないけれど、自由恋愛から結婚に発展するケースはまだ少数派であるようだ。友人サークル、学校、職場で恋に落ちて、というのはある話だが大概ソーシャルクラス(カースト)は近く、全く異なるのは珍しい。どうなるか、というとたいていは「勘当」沙汰。映画のネタになる(ハッピーエンドではない)ほど否定的だ。
オフィスでの一場面。ランチ後、23歳~48歳までの女子たちが結婚談議している・・・
どうやらこの中の1人が最近「出会い」があり、自由恋愛と恋愛結婚について、そこからそれぞれの結婚観について語り合っていた。
「ね、あなたは結婚で一番重視すべきは何だと思う?」いきなり私に発言の順番が回ってきた。
「経済力でしょ。お金が一番重要だと(過去の失敗から)思うけど」
「賛成!!」と手を上げたのは23歳独身と48歳既婚者。そう?という顔をしているアラサーに「何を夢見ているのよ。経済力がないなんて不幸な結婚よ」と48歳。「欲しい物が買えないなんて嫌」と23歳。
インドも他の先進国と同様、女性の社会進出がめざましい。また教育程度が高い上流クラスに属する女性は、少ないながら(日本よりも割合は断然高い)トップマネージメントにも上りつめる。政治の世界でも女性議員は多数。結婚をして家庭に入るなどというのは昔話で出産を経て働く人は当たり前にいる。
ただ今現在独身女性(アラサー)の中で、会社で活躍し、評価を得て、経済力がつくうちに自己実現重視、旧型結婚観に疑問を持ち始め、婚期が遅れていくのではないかと思う。
あたりまえだがそんなトレンドは出生率にも影響する。2010年から一年がかりで行われていた国勢調査で出生率の低下が報告された。一人っ子政策の中国とは違うからインド人人口はどんどん膨れ上がっているのだが、調査開始の何十年前から初めて前期より減少したのだとか。一つの原因はこの女子の就業率が挙げられていた。
国勢調査と言えばもう一つ女子の人口にまつわる不幸な事実が・・・。歪んだ人口比率。つまり男児1000人に対して女児914人(全国平均)。地域によっては800人余りという。表向きには禁止されているが生み分けされている。
男児は労働力として頼れるということと結婚に女性側が多額の持参金「Dowry」を準備する習慣がインドには昔からあり、娘を複数持つ家庭は破産するほど。破産で終わらずに持参金が少ない、ことが理由で家庭内暴力や殺人まで、まだこの2011年でも起こっているのだ。
自由恋愛、恋愛結婚にコンサバ、というインド人の貞操観念はどうなのか?と聞くと前出の48歳マダム曰く「上と下はモラルがかなり乱れている」コンサバな結婚の後、婚外交渉は案外ワイルドなのだそう。特にピラミッドの上先端部及び底辺においては「思いのほか」奔放な活動らしい、よ。
ちなみに上記は少数からのヒアリングがベースになっており、インド全土に当てはまることではないので誤解なきよう。