笑う 七色 福来たる

盲導犬の訓練を終え、どうも犬となって帰ってきた七色。そんな七色と隊長のぐ~たらで楽しい訓練生活。 

記憶の片隅

2011-07-13 | れれボン
れれボンが家に帰ってきた翌朝のことだった。

午前4時半ごろだったと思う。

突然、和室の扉を鼻で開けて、尻尾を振って、鼻息をビュシュピシュさせながら れれボンが入ってきた。 

 

パピーの頃と同じ、元気なれれボンがそこに居た。

ええ??、もしかしてれれボンは、この家に居たことを覚えてた!? それとも記憶が蘇った!? とこの時は、それでもまだ半信半疑だった。


でも、

決定的だったのは、

何気なく、娘の名前を呼んだ時のこと。

れれボンが、娘の方を見た。 




 こんなカンジで。


え?? 

もう1度呼んでみた。

れれボンは、娘を見て、尻尾を振った。 





 こんなカンジで。



「 じゃあ、ママはどの人!? 」 と聞いてみると、

れれボンは、私の方を見て尻尾を振った。その顔は、パピーの頃のあのれれボンだった。 



「 おら ちゃんと覚えているべさ 」 そう言ってれれボンはほほ笑んでいた。・・・・・ように見えた。 



でも、

9年ぶりに家に帰ってきた れれボンの姿は、

痩せこけ、後ろ脚がヨレヨレで、

いつもヨダレを垂らしていた。




れれ 「 勝手に口から出てくるべさ 」


いつもれれボンの周りはヨダレやら尿漏れやらでぬれていた。



パピーの頃と、毛の色も質も変わってしまっていたれれボン。

骨ばった体をそっとなでるようにブラッシングした。




 「 むだげが こんなにとれまちた! 」


1回分で、ごみ箱1杯分の毛が取れたが、

薄毛なのに、こんなに取って禿げたらどうしようかと心配になった。




散歩に行くと、急に途中で止まったかと思うと、突然ウンPをした。 



れれボン 「 ここで させてもらうべさ 」 


もはやれれボンに、ワンツー( ← ワンツーワンツーの言葉掛けで、おしっこやウンPをする ) という文字はなかった。




でも、パピーの頃から変わってないのは、

頭の上にできるシワ。



れれボン 「 おらのトレードマークは シワだべさ 」 



そして、れれボンは、玄関の場所も覚えていた。

パピーの頃は、外から帰ったら、玄関で脚を拭いていたので、

必ず玄関の方に行こうとした。




七色は、庭を通って、サンルームの足洗い場に行こうとする。

でもれれボンは、いつも玄関に入ろうとした。

玄関を入って廊下のつきあたりに台所があって、台所の隣のユーティリテーィーにドッグフードが置いてあることも覚えていたようだった。




玄関に入ると、



れれボン 「 ここがこの家の入口だべさ 」 


と妙に納得したような顔をした。




れれボンは、パピーの頃から

シットをすると、内股になった。




フローリングや滑る床で、「 シット! 」 と言うと、後ろ脚がどんどん開いていってしまうのだった。





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後ろ脚の筋力が弱くなってしまった今では、

もはやれれボンに、「 シット 」 という文字はなかった。



 「 れれボンの にがてきょうかは シットでしゅ 」  
                  れれ 「 3秒しか持たないべさ 」 



初めの頃は、お互いのケージに入ったりして、

探り合っていた2犬。 

特に七色は、どこまでれれボンが許してくれるのかを試しているかのようだった。

  



 「 おじいさん、もっとおくに つめてくだしゃい 」


何をしても仕返ししてこないし、走ったり、何かを持ってきて遊んだりもしない そんなれれボンを七色は不思議に思っていた。







れれボンが、この家で育ったことを覚えているかどうか、人はよくそれを気にするけれど、

私は期待はしていなかったし、それは大きな問題ではかった。

家に七色が居ること自体、あの頃と全く環境が変わっているわけだし、期待してはいけないと思っていた。




でも、れれボンは確かに、覚えていた。

たった1年一緒に居ただけなのに、覚えていてくれていた。


そして、自分が先住犬だったと主張することもなく、七色のことも受け入れてくれている。

 


              なな 「 おじいさんのろうごは ななタンに おまかせくだしゃい 」
れれ 「 ブッシュ。年寄りの鼻水だべさ 」 
    ↑ 「 年寄りの冷や水 」 のリズムで




娘が社会人になってから、朝の散歩が5時半頃になった。七色は、娘が 「 散歩に行くよ~! 」 と呼んでも、まるで低血圧の女子のように、かったるいオーラを出しまくりだった。ところが、れれボンが来てからそれが劇的に変わった。
れれボンは、娘が起きると、尻尾をブルンブルン振って鼻水をブシュビシュと出して「 朝だべさ~。ねえタン おはようだべさ~今日も元気で嬉しいべさ~! 」 と朝の喜びを体いっぱいで表現する。それに負けじと七色はスリッパをくわえて、ハイテンションでやってくるようになった。 ← 家ではこれを 「 朝れれ効果 」 と呼ぶ。

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