「メイク・ハー・マイン」 ヒップスター・イメージ 1965年

"Make Her Mine" Hipster Image 1965

1965年にシングル一枚のみを残して消えたバンド、ヒップスター・イメージ。ネット上には「一発屋」との記述もちらほら見かけるが、当時は一発屋といえるほど売れたのか？いや、もし中ヒットでもしたのなら、シングル一枚で終わりってことはないだろうから、どう考えてもウルトラマイナーバンドでしょ。活動当時にシングル一枚しかリリースしてないのに、1999年に8cmがなんと2種類も！

小柄でキュートな巨乳さん、ジェニファー・ラヴ・ヒューイットが出演したリーヴァイスのCMに使用され、一躍メジャーになった。でもこれは…ジーンズのCMには向かないんじゃ？と思うほど揺れる胸に気を取られてしまう。たぶん米国で制作されたこのCM、そのまんま日本のTVでも流れていた。

左の赤盤が、4月リリースのオリジナル音源シングル。

①メイク・ハー・マイン　Make Her Mine　Levi's Urban Denim TV-CFソング
(Copyright Control)
えっ「コピーライト・コントロール」ってソングライトクレジット？よく分らんが、タイトルの下にいかにも作者名風に書いてあるのでそのまんま転記。
やる気なさげなホーンのイントロ、クールなビートに乗せ、「道歩いてる女の子に惚れた」っていうシンプルな歌詞がこれまただるそうに、淡々と歌われる2分20秒。一言でいって、スカした曲やね。リアルタイムではほぼ黙殺されたこの曲が発掘されたのは、DECCAが1998年にリリースしたモッズのコンピレーション『The Mod Scene』に収録されたのがきっかけ。おそらくこのコンピを聴いたCM製作者が、これはイケてるわ！と採用したのだろう。ジェニファーのキュートなルックスとの相乗効果もあり、34年目にしてまさかの大メジャー展開になった。ちょっとジャジーでダンサブルで、できれば誰も知らない埋もれた曲が求められていた世紀末のニーズにジャスト・フィット。さらに2004年の日本映画「スウィングガールズ」で、主演の上野樹里らが組んだブラスバンドがこの曲を演奏していたりする。

②キャント・レット・ハー・ゴー　Can't Let Her Go
(Leese)
オリジナルシングルでは、こっちがA面だったらしい。どう聴いてもB面ぽいゆったりした曲調なんだけど。当時はこっちのがキャッチーだと思ったのか？謎。

定価948円、中古で100円。
これが1999年4月21日発売。


右の緑盤が、同年9月1日リリース。

①メイク・ハー・マイン　Make Her Mine [THE READYMADE ALL THAT JAZZ]
小西康陽によるリミックス作品。男性の英語ナレーション（セックスについての話。これも当然レコードからのサンプリングだろう）から始まり、オリジナルの印象的なホーンのイントロが繰り返される。続いて登場するのがラロ・シフリンの「The Man From Thrush」のベースライン。そう、小西康陽のサンプリングワーク最高峰といえる奇跡の名作、ピチカート・ファイヴ「トゥイギー・トゥイギー」(1991)のネタを使っちゃてるんだな。そりゃまあカッコいいんだけど、この大ネタをもう一回出してくるってのは、小西さん一周しちゃった、あるいは引用に対する情熱の終わりを意味しているような気がする。そんなこんなでオリジナルの倍以上ある5分超のトラック。クラブ向けにアナログもリリースされてた。
おお、「トゥイギー・トゥイギー」のサンプリングソースをまとめて聴ける便利動画発見。こういうマメなことしてくれる人、好き。

②メイク・ハー・マイン　Make Her Mine
オリジナル。赤盤の①と同じ。

定価948円、中古で20円。
並べて楽しい、まったく同じイラストを使用した色違いの2枚。