失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「ワンダフル・ライフ」 ブラック 1986年

2017-09-21 | 
"Wonderful Life" BLACK 1986

英国のSSW、ブラックの3曲入りコンパクトベスト。3曲ともデビューアルバム『Wonderful Life』収録曲。

①ワンダフル・ライフ Wonderful Life
(Vearncombe)
ブラック最大のヒット曲。サビメロが予告編的に鳴らされたあと、シンプルで抑制的なシンセリフが延々と続く。始まりも終わりもない時間に放り込まれたような寄る辺なさ。ブラックのぼんやり歌唱が漂うように現れる。Aメロはとくにぼんやり度が高く、流れる雲をぼーっと眺めている気分になる。サビは「No need to run and hide It's a wonderful, wonderful life」と歌うが、言葉どおりのワンダフル感はまったくなく、逆説的な諦念を強く感じる。英国人お得意の、アイロニカルに人生を眺める内容。しかし、これがひたすら美しいのだ。モノクロPVの美しさも印象に残る80年代後半のマスターピース。1986年にアルバムの先行シングルとしてリリースされ全英42位の小ヒット。翌1987年に再リリースされ、ヨーロッパ各国で大ヒット(全英最高位は8位)。ブラックと言えばこの曲、世間的には一発屋として認識されている。

②スウィーテスト・スマイル Sweetest Smile
(Vearncombe)
おそらく2番目に成功したシングル。サックスがむせび泣くイントロから欧州的哀愁が炸裂。この陰鬱なナンバーが全英8位のヒットを記録。続いて「Wonderful Life」を再リリースし、大ヒットにつながったという順序。

③パラダイス Paradise
(Dickie, Vearncombe)
アルバムからなんと5枚目のシングル!いかにアルバム『Wonderful Life』が大ヒットしたかの証だろう。珍しく開放感のあるサビは締めくくりにふさわしい。アルバムではA面最後に収録。キーボーディストDave "Dix" Dickieとの共作曲。シングルとしては1988年リリースで、日本は短冊時代に入った。この3曲入り8㎝のタイトルソングはこの曲。

定価不明(おそらく1200円。品番が「S12Y3001」だから)。中古で50円。
スポットを浴び、歌うシュッとした英国人。ちょっと大きめジャケットが80'sテイスト。

BlackことColin Vearncombeは昨年交通事故で亡くなっていた。享年53歳。合掌。


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