失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「スウィート・ラヴ」ランディ・クロフォード 1986年、「スウィート・ラブ(日本語版) 」 山本実枝 1991年

2017-04-27 | 
"Almaz" Randy Crawford 1986

アメリカ人女性SSW、ランディ・クロフォードの全英4位のヒット曲。

①スウィート・ラヴ ALMAZ フジテレビ系ドラマ「もう誰も愛さない」挿入歌
(Randy Crawford)
リリースから5年後、吉田栄作主演のドラマに使用され、日本で知られるようになった。この8㎝は1991年5月10日リリース。原題「Almaz」は女性の名前。英語版Wikiによるとエリトリア難民のカップルについての歌らしい。ジャケのコピーは「うちふるえるような感動のエモーション、愛いっぱいに輝いたラヴ・バラードの傑作!」。曲は淡々としながらも苦いムード。愛についての歌ではあるが、どこか幸せへの疑念を感じさせる皮肉な調子が潜んでいる。日本タイトル「スウィート・ラヴ」や「愛いっぱいに輝いた」は明らかにミスリード。切々と歌い上げるランディの深みのある高音は、ソウルというよりシャンソン寄り。雰囲気は五輪真弓「恋人よ」(1980)にかなり近い。

②やわらかな雨 TENDER FALLS THE RAIN
(Randy Crawford)
アルバム『Now We May Begin』(1980)収録曲。シングルカットはされていないようだ。控えめな佇まいながら、70年代ソウルの香り漂う名曲。「ALMAZ」の緊張感とは対照的に、慈愛に満ちた歌声を聴かせてくれる。

定価900円、中古で108円。
アルバム『Abstract Emotions』ジャケを再構成したデザイン。


日本語カヴァーも同じドラマタイアップ。

山本実枝のデビューシングル。1991年5月21日発売。

①スウィート・ラブ(日本語版) フジテレビ系ドラマ「もう誰も愛さない」挿入歌
日本語詞:深野義和、編曲:若草恵
アレンジはオリジナルを踏襲。冒頭オリジナルが「She only smiles」と歌うところを「しあわせの」と乗せてみた。山本実枝の歌唱は、情感過多でくどい。のど自慢荒らしレベルだな、残念ながら。当時16歳。「愛欲と哀しみで 満たされたこの部屋」なんて歌わされてるし。高校生にしてはよくがんばったと言うべきか。淡々とした歌唱で愛の苦さを表現したランディとはレベルが違いすぎてお話にならない。

②ひとりぼっちのヒーローとさみしがりやのヒロイン
作詞:Heart Box、作曲:Keith Brown、編曲:大村憲司
オリジナルは伊藤さやか。アルバム『ヨロシク されたい!アクセル・オンSAYAKA』(1982)収録曲をカヴァーって渋いチョイスだな。ちなみにオリジナルのアレンジも大村憲司。Keith Brown=鈴木キサブローによる、中村あゆみあたりが歌ったらハマりそうなやさぐれロック歌謡。「汚れた皮ジャン」「ガラスのハイヒール」なんて小道具でストリートのキッズたちの孤独を描き出しているぜ。①よりは自然体で歌えている。

③④カラオケ

定価1000円、中古で100円。
好きな音楽はヘビメタ。だからこんな髪にされちゃったのか。

「山本実枝」としては4枚のシングルと3枚のアルバムを残し活動終了。
1995年から「Mink」と改名し、ショートカットで分かりやすくイメチェン。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿