「冷たい月を抱く女～蒼い記憶のグノス」 佐伯日菜子 2000年

大槻ケンヂ x サティ x 佐伯日菜子。異色、としか言いようのない取り合わせ。

①冷たい月を抱く女～蒼い記憶のグノス 映画「蛇女」主題歌
作詞：大槻ケンヂ、作曲：エリック・サティ＆中川孝、編曲：中川孝
佐伯日菜子主演映画「蛇女」の主題歌を自ら歌う。Erik Satie作品中、多分ジムノぺディの次に有名なグノシエンヌ Gnossiennes（1890）に歌詞をつけた、という意欲作。打ち込みのビートにのせて楊興新による胡弓の深い音色が美しく響くイントロ。オリジナルメロディの一音符に一音を几帳面に乗せていく歌詞。歌唱力は予想どおり。しかし曲全体を覆う氷のような質感の構成要素としては、佐伯の無表情なヴォーカルが成功している。間奏では男声ラップも入っていたりする。どう見てもバラバラな要素を集めて、結果としてうまくまとめた力技に拍手。
クラシックをポップスにアダプトしていった先例としては、ザ・ビーナス「キッスは目にして」、戸川純「蛹化の女」や、平原綾香「ジュピター」なんかを思い出す。フランスではゲンズブールの得意技のひとつ。バーキンの「Jane B.」「Baby Alone in Babylone」、シャルロットとの「Lemon incest」と傑作揃い。
…あ、サティはクラシックというより現代音楽か。

②狼のドレス
作詞：佐伯日菜子、作曲・編曲：中川孝　
こっちはアンビエント系のバックトラックに、囁くような佐伯の語りが入る。詞は佐伯本人作。

③冷たい月を抱く女～蒼い記憶のグノス（Michelangelo Mix)
編曲：西村卓也
佐伯のヴォーカル以外は全く①と別もの。①よりかなり早いビートのダンスミックス。このトラックは必要なのか、微妙なところ。

④①のカラオケ。

定価1020円、中古で300円。
さすが女優、と唸る美麗ジャケット。

右のCDはややマニアックな品物。台湾盤アルバム、「抱擁冷月的女子」。
8cmを聴いて気に入ったので、関連作を検索してたら、オフィシャルでこのCDを発見。通販で購入（3150円）。中国語版「冷たい月を抱く女」を聴けるのはこのCDだけ。もちろん8cm収録の４トラックも収録され、他は映画のサントラと思われるインスト。どう考えても日本で作っているんだけど、文字がみんな漢字。台湾受けのする美人なんだな。日本ではややマニアックな女優さん、というイメージだが。なんか物凄い佐伯マニアみたいだな…

このCDのオマケとして8cmが付いてきたのにはウケた。２枚になってしまった。

佐伯日菜子と言えば、深夜のTVで見た「エコエコアザラク」の黒井ミサ役が印象に残っているが、世の中の人も大体そうだったらしく、出演作はホラーがほとんど。トリックにも出てたな。現在横浜Fマリノス・奥の奥さん。