失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「銀座カンカン娘」 高峰秀子 1949年

2012-04-27 | 女優よ
佐伯孝夫・服部良一コンビの1949年のヒット曲をカップリングした、1998年リリースの8cm。①②はモノラル。

①銀座カンカン娘 高峰秀子 1949年
作詞:佐伯孝夫、作曲・編曲:服部良一
昭和でいえば24年。戦後復興期のヒット曲。ビッグバンドのゆったりスウィンギーな演奏がなんとも豊かな響き。25歳の高峰秀子の線の細い声は、いかにも昭和初期。録音のせいなのか、この頃の日本人の発声法なのか、映画やニュース映像でもみんなこんな声のような気がする。「♪これーがーぎーんざーのーかーんかんむすめー」のサビは、秀子の独唱のあと、まったく同じフレーズを混声コーラスで重ねてくる。これがまた効果的で、War Is Overなユートピア感がたまらんなあ。
カンカン娘の「カンカン」は(深く考えたことは一度もなかったが)なんとなくフレンチカンカンからきてるのかと思ってた。じつは「カンカンに怒っている」という意味らしい。ふうん。でも冒頭「あの娘可愛いや カンカン娘」だもんな。怒ってるとは知らなんだ。3番の歌詞は「指をさされて カンカン娘 ちょいと啖呵も 切りたくなるわ」。なるほど、怒っている。

②三味線ブギウギ 市丸 1949年
作詞:佐伯孝夫、作曲・編曲:服部良一
芸者歌手として戦前から活躍していた市丸が、40代で放ったヒット曲。服部先生(ひとつ年下)に自ら依頼して書いてもらったらしい。ブギのリズムを三味線で刻むアレンジ、どこかで似たようなものを聴いた気がする…としばし考えたら答えがでた。「スリラー音頭~ビート・イット音頭」(1984)だ!(大瀧詠一プロデュース、歌は片岡鶴太郎)てことはこの曲、服部良一と大瀧詠一をつなぐジャパニーズポップスのメインストリーム?

③④カラオケ
編曲:西崎進
非オリジナルカラオケ。ステレオで新録。コーラスはなかなか昭和っぽさが出ているが、全体としては音像がクリアすぎて、オリジナルとはイメージはかなり異なる。

定価1121円、中古で100円。
ジャケは高峰秀子。もちろん裏は市丸さん。


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1 コメント

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これは映画になっていて (さすらい日乗)
2018-05-01 08:15:45
新東宝で映画になっていて、なんと古今亭志ん生が出ているのです。なぜなのか理由は分かりませんが、監督の青柳信雄が落語好きだったのからだと思います。
灰田勝彦も出ています。

ちなみに、青柳の息子の青柳哲郎は、黒澤プロの『トラ・トラ・トラ』の日本側の製作者になり、黒澤明解任の当事者となります。黒澤明と青柳信雄は、全く作風の異なる監督だったのですが、非常に仲が良かったのだそうです。
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