80年代と90年代を行き来した今週のラストは、間をとって80年代アイドルが90年代にリリースした傑作シングルを。
「夜と日時計 NIGHT AND SUNDIAL」名詞を二つ並列しただけなのに、何とも豊かなイメージが溢れるタイトルを持つこの曲は、二人のアーティストによって歌われている。2枚ともタイトル曲(いわゆる「A面」)ではない、という佇まいも含めて私の愛する名曲だ。
渡辺満里奈と小沢健二の関係については、以前の記事でも触れた。90年の「大好きなシャツ」で意気投合した二人は、フリッパーズ解散(91年)の後、92年に12cm singleをリリースした。
タイトル曲は「バースデイ ボーイ」(ジャケットは「HAPPY BIRTHDAY ep」)なのに、なんと一曲目が「夜と日時計」、という変則的な曲順。ややフリッパーズ色を残す「バースデイ ボーイ」に対して、その後の小沢ソロを予感させる「夜と日時計」の方が実は自信作、という気持ちの現われがこの並びにさせたのではないか。
①夜と日時計
小沢の弾く、アコギのイントロから名曲の予感十分。マリナさんの地声ヴォーカルが入っても奇跡は続いていく。バックは完全に小沢のギター一本。もう、言うことありません!凄い詞だよ、ホントに。
②BIRTHDAY BOY
こっちも傑作。ダンサブルなリズムに、明る切ないメロディーが乗る。「銀色に輝く衛星が届けたニュースとビートに耳をすます」の一節に、作詞家としての小沢の才気を感じる。フリッパーズと言うよりは、小沢のセカンドのテイストなのかも。
ゲストに、Fender Rhodes and clavinet: 木原龍太郎。残りは全部小沢。
③BIRTHDAY BOY KARAOKE カラオケ。
④BIRTHDAY BITS マリナのコーラスや掛け声、小沢のギターなどを断片的に取り出し、並べてみた作品。あまりにもナマっぽくて、聴いてて照れる。
③④を聴くと、プロデューサー=小沢が、マリナの声をいかにキュートに響かせるか、に心を砕いていることが痛いほどよく分かる。まあ、このシングル全体がそうなのだが、二人の間に何がしかのラブ的なものが無ければ、こんな作品は出来上がらなかったろうなと思う。これ以上の詮索は、趣味ではないのでこのへんで。
定価1200円、定価で購入。
右は翌93年の小沢本人によるカヴァー。
「天気読み」に続く2枚目のシングル、ファースト・アルバム「犬キャラ」からのカット。
①暗闇から手を伸ばせ 日本テレビ系「マジカル頭脳パワー!!」エンディングテーマ
このシングルが出る頃にはもう「犬キャラ」を聴き狂っていた。この曲も好きだが、アルバム・テイク。シングルを買ったのは②があったから。
②夜と日時計(swamp folk)
オリジナルのアコギは、くっきりした輪郭の音だったが、こちらはくぐもった、夢の中にいるような音像。「スワンプ・フォーク」とあるように、リズムの解釈もマリナ盤とはやや異なる。ギターが2本聴こえるけど、多分両方小沢だろう。小沢の、まだ硬いヴォーカルは、セカンド・アルバムでのハイトーンとは異質の緊張感を持っている。
マリナ用に女の子言葉で書かれた詞は一部書き換えられている。男視点からのカヴァー。こういうの洋楽でよくあるよなあ。ビートルズとかね。
もう、このヴァージョンも素晴らしすぎ!
尚、この曲はアルバム未収録曲で構成された編集盤「刹那」(2003年)に収められている。私は全曲持っていたので買ってません。
③①のカラオケ。
定価1000円、もちろん定価で。
2枚とも、全ての詞・曲・プロデュースは言うまでもなく小沢健二。
関連記事
フリッパーズ・ギター
「今夜はブギー・バック」
オリジナル&カヴァー第7回だったりも。
第6回
「夜と日時計 NIGHT AND SUNDIAL」名詞を二つ並列しただけなのに、何とも豊かなイメージが溢れるタイトルを持つこの曲は、二人のアーティストによって歌われている。2枚ともタイトル曲(いわゆる「A面」)ではない、という佇まいも含めて私の愛する名曲だ。
渡辺満里奈と小沢健二の関係については、以前の記事でも触れた。90年の「大好きなシャツ」で意気投合した二人は、フリッパーズ解散(91年)の後、92年に12cm singleをリリースした。
タイトル曲は「バースデイ ボーイ」(ジャケットは「HAPPY BIRTHDAY ep」)なのに、なんと一曲目が「夜と日時計」、という変則的な曲順。ややフリッパーズ色を残す「バースデイ ボーイ」に対して、その後の小沢ソロを予感させる「夜と日時計」の方が実は自信作、という気持ちの現われがこの並びにさせたのではないか。
①夜と日時計
小沢の弾く、アコギのイントロから名曲の予感十分。マリナさんの地声ヴォーカルが入っても奇跡は続いていく。バックは完全に小沢のギター一本。もう、言うことありません!凄い詞だよ、ホントに。
②BIRTHDAY BOY
こっちも傑作。ダンサブルなリズムに、明る切ないメロディーが乗る。「銀色に輝く衛星が届けたニュースとビートに耳をすます」の一節に、作詞家としての小沢の才気を感じる。フリッパーズと言うよりは、小沢のセカンドのテイストなのかも。
ゲストに、Fender Rhodes and clavinet: 木原龍太郎。残りは全部小沢。
③BIRTHDAY BOY KARAOKE カラオケ。
④BIRTHDAY BITS マリナのコーラスや掛け声、小沢のギターなどを断片的に取り出し、並べてみた作品。あまりにもナマっぽくて、聴いてて照れる。
③④を聴くと、プロデューサー=小沢が、マリナの声をいかにキュートに響かせるか、に心を砕いていることが痛いほどよく分かる。まあ、このシングル全体がそうなのだが、二人の間に何がしかのラブ的なものが無ければ、こんな作品は出来上がらなかったろうなと思う。これ以上の詮索は、趣味ではないのでこのへんで。
定価1200円、定価で購入。
右は翌93年の小沢本人によるカヴァー。
「天気読み」に続く2枚目のシングル、ファースト・アルバム「犬キャラ」からのカット。
①暗闇から手を伸ばせ 日本テレビ系「マジカル頭脳パワー!!」エンディングテーマ
このシングルが出る頃にはもう「犬キャラ」を聴き狂っていた。この曲も好きだが、アルバム・テイク。シングルを買ったのは②があったから。
②夜と日時計(swamp folk)
オリジナルのアコギは、くっきりした輪郭の音だったが、こちらはくぐもった、夢の中にいるような音像。「スワンプ・フォーク」とあるように、リズムの解釈もマリナ盤とはやや異なる。ギターが2本聴こえるけど、多分両方小沢だろう。小沢の、まだ硬いヴォーカルは、セカンド・アルバムでのハイトーンとは異質の緊張感を持っている。
マリナ用に女の子言葉で書かれた詞は一部書き換えられている。男視点からのカヴァー。こういうの洋楽でよくあるよなあ。ビートルズとかね。
もう、このヴァージョンも素晴らしすぎ!
尚、この曲はアルバム未収録曲で構成された編集盤「刹那」(2003年)に収められている。私は全曲持っていたので買ってません。
③①のカラオケ。
定価1000円、もちろん定価で。
2枚とも、全ての詞・曲・プロデュースは言うまでもなく小沢健二。
関連記事
フリッパーズ・ギター
「今夜はブギー・バック」
オリジナル&カヴァー第7回だったりも。
第6回
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます