失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「フレンズ・アゲイン」 フリッパーズ・ギター 1990年

2012-03-10 | KO系
FLIPPER'S GUITAR are; 小山田圭吾、小沢健二

デビューアルバム『three cheers for our side~海へ行くつもりじゃなかった』(1989)から5か月。アルバム未収録曲をタイトルソングとした、フリッパーズ・ギターのデビューシングル。

①フレンズ・アゲイン Friends Again 映画「オクトパス・アーミー シブヤで会いたい」サントラより
作詞・作曲・編曲:DOUBLE K.O. corporation
ジャケットに「featuring MAMIKO SASAKI」と書いてあるとおり、ピチカート・ファイヴの初代ヴォーカリスト、佐々木麻美子が参加(クレジットは「duet vocals」)。平ケ倉良枝(後にyosheとしてトラットリアからソロデビュー)がパーカッション、元SHI-SHONENの福原まりがキーボード、小林靖宏(coba)がアコーディオン、金子飛鳥がヴァイオリン、という布陣。あとシンセサイザー・オペレーションに吉田仁(サロン・ミュージック)。
英語詞という点ではアルバムの流れを汲んでいるとも言えるが、よく聴くとこの曲の微妙な立ち位置が見えてくる。ゆったりとしたイントロから鳴るcobaのアコーディオンが曲のイメージをおフレンチ系に寄せていく。ファーストアルバムをリリース後にオリジナルメンバー3人が脱退。ダブルKOのふたりユニットとなったフリッパーズがゲストを迎えて作り上げたサウンドは、明らかにファーストアルバムよりレベルアップしている。しかし今聴くとファーストにあった「まだ何者でもなかった時代の闇雲なガッツ」がすでに失われているのも確か。佐々木麻美子の声は控えめで、デュエットというよりは、小沢とふたりでコーラスつけてるくらいのバランス。完成度は高く、落ち着きもあるのだが、「これからどうすっかね?」というような進路不明な空気を感じてしまう。東幹久主演のシブヤ系映画のテーマ曲だったなんてことは、ほとんどプラスに働かなかったと思われ、このままマニアだけに愛されるバンドになっていくのか?と本人たちも周りも態度を決めかねていた時期だったのではないか。約3カ月あとに攻めのセカンドシングル「恋とマシンガン」で一気に知名度を上げることになるとは、まだ誰も知らなかった。

②ピクニックには早すぎる Happy Like a Honeybee LOTTE BLACK BLACK GUM & CANDY TV-CF MUSIC
作詞:小沢健二、作曲:小山田圭吾(シングルのクレジットは作詞・作曲として小山田・小沢が併記されているが、ここではアルバムのクレジットに従った)
荒川康伸のスネアからガツンと始まるイントロを聴いただけで幸せな気分。大学時代の思い出とともにある、特別すぎるアルバムの一曲だから、今さら語るべき言葉などないのさ。

定価937円、中古で100円。
ジャケの写真はオリジナルビデオ「The Lost Picutures ~それゆけフリッパーズ!!名画危機一髪~」から。このビデオも当時狂ったように見ていたなあ…もちろんVHSで。



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown ()
2012-03-21 13:48:23
>東幹久主演のシブヤ系映画のテーマ曲だったなんてことは、ほとんどプラスに働かなかったと思われ

アハハハハ!ビデオに録って、4回は見た記憶が(笑)昨日のNHK-FM渋谷系三昧ではやはり主役でしたね。今思えば全てが好きだった訳でもなく、ある一部分だったんだな、と改めて気付かされました。
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Unknown ()
2012-03-21 13:49:48
あ、フリッパーズ・ギターでなく、渋谷系の全てが好きだったわけではないという意味ね。ボーダーシャツはいっぱい持ってたけどね(爆)
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三昧! (nakamura8cm)
2012-03-22 01:05:15
FM、温泉につかってたらまるっと聞きのがしました!
渋谷系って完全に同世代のムーブメントだったので、いいも悪いも含めてなんとなく「責任とらなきゃ」って気持ちになります。
そんなわけで、来週小沢の現在を見に行きますよ。

あ、「オクトパスアーミー」見てるんだ~
私は「The Lost Picutures」についてた予告編しか見てないよ!
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