朝鮮について知りたい

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三年ぶりの祖国、戦略的忍耐への答え

2016年04月18日 | 現代朝鮮、朝鮮半島
「子供の楽園」

今回の祖国訪問で感銘をうけたことの一つが、子供たちの笑顔であった。

元山に新しくそびえたった少年団キャンプ場、平壌の学生少年宮殿、各地の愛育院、育児院、遊園地やスケート場、巨大プール、など子供たちの遊び場や文化教育施設が矢継ぎ早に建設されていることに驚いた。
元山少年団キャンプ場は、参観し体験するだけで四時間半もかかったのだからその規模の大きさが窺えると思う。ここでのわたしの感想、(ここでキャンプはできない!笑)。「宮殿」に入ると、エスカレーター、エレベーターがある。部屋には冷暖房設備、シャワー、トイレ完備、医務室、休憩室、美術室、工作室、図書室、料理室にゲームセンターまである。15人ほど入れる4D映画館ではイスが動き回り、まるで映画の中に自分がいるかのような錯覚におちいる。わたしは30分ほどで吐きそうなほど酔っていた。宿泊施設の外に出ると、アーチェリーやプチ遊園地、釣り堀、動物・剥製館、水族館に鳥小屋、人工芝のグランドに体育館まで全部ある。
その辺にいる子供たちに聞いてみる。「君たちはいつもどこで遊ぶの?」
答えが返ってくる。「二週間もいるのに、全部やりますよ!」

二週間!? そんなにいるのか…。(勉強しろよ)と思いつつ、その子たちはみなチェウドゥンセン(最優等生)だったので、あまり言わないことにした。

その他にも、愛育院・育児院に新鮮な魚を届けるためだけの水産事業所、衣服生産工場、靴工場など、すべての産業や軽工業、水産・畜産事業も「子供中心」で回っており、本当にここは、「子供の楽園」だな、と思ったのである。

2012年5月、金正恩第一書記が万景台遊園地で「激怒」したことがある。園内の至る所に雑草が生えている。「イルクンたちの目にはこれが見えないのか?」、と。子供たちは国の王様。その子供たちが走り回りながら遊ぶ遊園地という場所の管理を、あなたたちは「ただの仕事」と思っちゃいないか?これは、イルクンたるものどのように人民、子どもたちのために尽くすかという「人民観」の問題だ、あなたたちの人民観はゼロでもなくそれ以下だ、と。
この精神に則り、いま朝鮮はさらなる「子供たちの楽園」へと変貌しつつある。子供たちの澄んだ瞳、愛くるしい笑顔の源泉は、国の教育政策にあるものであり、素晴らしい教育理念にもう一度憧れたものである。そして、わが同胞たちもこのような教育施設(=ウリハッキョ)を持っている、という自負で胸がいっぱいになった。

「偉大な人民」

 3年ぶりの祖国でわたしが感じたことは、一言で「偉大な人民」に対する自負である。

 2000年10月、『労働新聞』政論「我らは忘れない」にこのような一文がある。「…苦難を避けることも、遠回りをすることもできたかも知れない。赤旗を降ろし、思想と原則を譲歩すれば、一晩で豊かさを手に入れることができたかもしれない…今ほど、勝利という言葉がこんなにも荘厳で重く、涙ながらに響くことはなかった」。
 これは、朝鮮が「苦難の行軍」をのりこえ、「強盛国家」という理想実現までのプロセスをやっと見つけたとき、掲載された。

自然災害・経済封鎖・軍事的圧迫というすべての天災と人災が重なり合った最悪の状況、「食べていけない」。そんなことは自分達が一番わかっていた。にもかかわらず、すべての艱難辛苦を甘受し、「自主的人民」として生きる選択をした朝鮮人民たち。少しの譲歩でよかった、しかし、その「少し」の重さを理解した人民たちだった。
日本で「いつもぬくぬくと暮らしている」と喧伝される平壌で当時の配給はトウモロコシ20粒。逃げ出した人たちもいた。耐えられなかった人だっていた。

わたしが金日成綜合大学に通うとき共に学んだ学友たちの中で家族や親友を亡くさなかったものは、誰一人、いなかった。例外なく、である。

そのとき、はじめて思ったことがある。(オレは祖国の何を知っていたのだろうか)と。植民地、そして戦争。必然的な家族の離散、引き裂かれた山河。銃を背負って祖国を守ったことすらなかったわたしはというと、「教育援助費と奨学金」という「愛の物語」でのみ祖国を語り、ありがたいと涙し、そして知ったふりをしていたのだ。

待てよ? 何で一世たちは祖国を「祖国」と呼び始めたのであろうか。強制連行、あるいは植民地による生活苦からの渡航。1945年8月15日、その日は突然訪れた。とにかく必死に喜んだ。そして「雇い主」へ。「貯金していたはずの給料を出せ」。答えは銃を構えた米軍だった。このとき彼らは悟った。まだ「解放」されていない、と。だからこそ、一世は組織をつくり、教育をはじめた。自らを真に解放せしめる学校であったからこそ、子供たちもこう言った、「日本の学校よりいいです」、と。
ハラボジ・ハルモニはそのとき何を見ていたのだろう。その瞳に祖国はどう映ったのだろうか。わたしの足りない想像力で出した答えはこうである。

おそらく、『解放の光』。「独立」のため、共に闘っている同志…


「愛の物語」ももちろん大事であろう。が、それだけではない。いま、まさに「私」の生存と幸せ、尊厳を破壊するものが現実にある。それを打ち砕くべく祖国は闘っていたのだ。 そのとき、「私」は何をしていたのだろうか。こう考えると、次の言葉しか出てこない。「偉大な人民」。
7000万同胞がともに背負わねばならなかった「独立」という「民族の課題」。これを2500万の朝鮮人民は自ら、すべてを請け負ったのである。その代償が、わたしの学友の愛する親兄弟、友との「別れ」だった。

「偉大な人民」の決して十分ではないが、豊かになりつつある未来を確信する笑顔に、わたしはこう思い、答えた。「オレもここにいよう」、と。


「戦略的忍耐」への答え

 昨今の情勢について、触れておきたい。

 周知のとおり、朝鮮は水素爆弾試験成功の轟音で2016年の幕をあけ、人工衛星「光明星―4」号を、極軌道に乗せることに成功した。(これ、結構すごい事態!)

 10か国にも満たない、いわゆる「国際社会」の反応は、相変わらずの「違法」扱い。本当に勉強しない人たちだ。日本では「人工衛星と称されたミサイル」「事実上のミサイル」と段階を踏みながら、「ミサイル」という結論を出したようだ。次の日の朝刊を見てみると、すべての新聞には「北朝鮮ミサイル発射」という見出しが並んだ(産経のみ「北」という表記だったが)。

要点をかいつまんで、出来るだけ簡略に説明しようと思う。
 
まず、日本の新聞にたいして。核という「悪魔の武器」に手を染めなければならなかった朝鮮の苦渋の選択を想像しろ、とまでは要求しない。しかし、朝鮮半島に対しての核先制攻撃発言や訓練に対しては口をつむぐ日本の「左派」勢力。今年、アメリカと南は史上最大規模で行う演習に、「B-56」や「F-22」を動員している。両方とも核兵器搭載可能。これが朝鮮上空を超低空飛行で飛び交いまくるのだから、脅威を実際に受けているのは一体どっちなのか。日本に一言しか言えないというのならば、「原爆をだれが投下したのか、あなたたちは忘れたのか」である。
 
今回の水素爆弾試験に関して。よく聞かれることがある。「何で今なの?」と。わたしは、「いや、今でしょ」と答える。これはオバマ政権の「戦略的忍耐」に対しての答え、である。アメリカは、朝鮮がいつか崩壊するという前提のもと徹底的に無視と軍事的威嚇を繰り返した。朝鮮は昨年1月、アメリカの軍事演習一時中断と、自国の核開発凍結の同時行動を提起し、8月には「停戦協定」から「平和協定」に変えるため努力しようと呼びかけた。そして10月には、「冷戦か、対話か」を選べ、と提起している。これに対し、アメリカはどう答えたのか。無視と軍事経済的、政治文化的圧迫であった。

この「戦略的忍耐」への答えが水素爆弾試験成功であった。朝鮮半島が核の惨禍に巻き込まれないため、やむを得ず核戦争を抑止するための力をつけ、その技術は世界最高峰にまで達してしまった。核軍縮でもってノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領はこれにどう応えるのか。これから見どころである。

 最後に、衛星発射成功について。これは、軍事的な問題ではない。今年、強盛国家建設の全盛期を迎えるための必要段階である。経済発展のために通らねばならない登竜門が人工衛星であるのだ。この地球観測技術でもって農業、鉱業、漁業など人民生活すべての面で大改良が行われていくであろう。

ちなみに朝鮮と同じ日、ロシアは人工衛星を発射したし、近日種子島からもあがっている。他国の人工衛星は認めるが朝鮮の人工衛星は認めない、ということは、朝鮮は発展してはならない、ということと同意であろう。だから朝鮮が怒るのは至極当然である。
日本はヒト・モノ・カネの往来に対してさらに「厳しい姿勢」をとるという「制裁」によって日朝国交正常化実現のためのストックホルム合意を一方的に転覆させた。しかし朝鮮に対する米日の「制裁」はもはや意味を持たない。現に中国の「制裁」発動を口酸っぱく強調しているのもそのためだ。中国の発言は一貫している。「対話をしなさい」である。

しかし、これによって在日同胞に対しての監視や干渉、暴力は強まる可能性はある。よってわれわれの情勢は厳しい、と言えるだろう。

「点の視点」は一時的な厳しさだけを際立たせる。しかし、歴史的流れのなかで物事をとらえる「線の視点」として捉えると、こう見えてくる。

朝鮮は、米・日・南の「世界最強の制裁」の中でも最先端衛星技術に基づき、経済を飛躍的に発展させ、今年5月、党7回大会を盛大に迎えるだろう。「制裁」の中、政治安定・経済発展・文化繁栄の3点セットを、そして軍事的優勢まで手にすることができれば、米・日・南はお手上げになる。いま、情勢の手綱を握っているのは、まぎれもなく朝鮮である。











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