無教会全国集会2015

2015年度 無教会全国集会ブログ

韓国における無教会の歴史と現状

2016-01-24 20:27:44 |  6韓国における無教・・

助言者 吉 廣 雄 通訳 森山 浩二 司会者 坂内宗男 書記 八尾 徹

 第6分科会は、初日(10/17)の吉廣雄 (キル グァンウン) 氏の特別講演「韓国における無教会の歴史と現状」を受けて、そのことの理解を深めるために設定された。
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参加者は、吉廣雄、佐藤明、白井徳満、菅沼勝子、助川光子、高橋トミ子、田原努、
田村光三、永田千種、坂内宗男、藤澤信也、増田高子、武藤陽一、森山浩二、八尾徹、
計15名  中尾猛兄は「受付」業務のため不参加 
――要確認、集合写真と合わせて編集する。
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初日の吉廣雄氏の特別講演「韓国における無教会の歴史と現状」の要旨
(詳細は当日配布資料参照)
Ⅰ. 韓国のキリスト教:18世紀後半(1785年頃)伝来。迫害・弾圧・殉教の歴史。
解放(1945)後 信者増加 約30%  2005年統計--旧教 約500万人, 新教 約800万人
Ⅱ. 韓国無教会の歴史:内村鑑三の聖書研究会に参加した金教臣以下6名の学生から始まり。
第1期    1927—1945年 金教臣『聖書朝鮮』誌 創刊から金教臣召天まで
 聖書・福音を中心に
第2期    1946—1999年 宋斗用「『霊断』→『聖書人生』→『聖書信愛』」、盧平久『聖書研究』創刊 → 終刊(500号)まで
 この時期、藤澤武義、鈴木弼美、政池 仁、堤 道雄 等の謝罪旅行あり
第3期    2000年から現在まで
Ⅲ. 日韓無教会交流
  切っても切れない緊密な関係の歴史。今後も信仰にある和解と赦しによって一つに!
Ⅳ. 無教会信仰の将来
  教会との関係が徐々に良くなってきている。無教会信仰の純粋性を評価し友好的な人が増えてきている。これからますます相互理解と協力が必要。
  高齢化は日本と同じ。後継者養成が課題。
Ⅴ. 金教臣先生記念事業会の発足と「カナン」教徒のこと
  金教臣先生記念事業会の発足は、最近の最も大きな動きである。2014年11月に創立され、2015年4月に記念学術大会と記念講演会が開かれた。
  韓国には今、キリスト教徒と答えながら教会に行かないで何らかの方法で礼拝をしている(「カナン」教徒と呼ばれる)人達が、約10%、100万人いると推定されている。 
  無教会的? この人たちとどう向き合うかが大きな課題として取り上げられた。
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第6分科会
 まず、参加者の自己紹介のあと、吉廣雄氏から前日の講演の補足説明があった。
  韓国では、当初1785年以降カトリックが増え続けたが1895年頃から減り始めた。
 1910年から1945年までの日本の支配下を経て、解放後は増加し2005年統計では
 カソリック信者数は、約500万人となっている。
  一方、プロテスタントは1884年以降米国宣教師(ホーリネス、ルタ-派教会、聖公会ほか)
が多数来朝し伝道したため増加し1920年当時2000万人中プロテスタントは約10万人に
 なっていた。その後日本の植民地支配下でプロテスタントは迫害を受けた。
 1945年解放後、プロテスタントは急速に増え、2005年には約800万人に達した。
  ただ、最近は受験戦争で子供が10才頃から教会に行く時間がなく、親も同調し、クリスチャン全体として信者は減り気味である。
 日韓交流について
  1970年代の無教会の先生方(藤沢武義、鈴木弼美、桝本忠雄 他)の訪韓は貴重であった。韓国からも盧平久、宋斗用ほかが訪日している。
  日韓交流が今後も続くことを希望している。ただ日本語・韓国語を話せる人がお互いに
少なくなり、言葉が通じなくなってきたことが大きな課題である。
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 以下質疑応答・意見など
  白井兄:最近訪韓し、交流ができた。これからも同じ信仰の人達と交流し、両国・アジア・世界の平和を求めて行きたい。
  武藤兄: 劉熙世先生が、日本的展開であれば韓国無教会は日本無教会とは関係ないと言われたのであるが、日本的キリスト教に対比する韓国的キリスト教という言葉は使っているか?
      最近の金教臣先生回帰の動きでは、教会牧師も加わり、韓国的キリスト教と
      言っている。無教会とは言っていないようだ。
  吉  氏:金先生は無教会という看板を掲げても、無教会信仰は幅広く、「純粋な信仰」を基に「世界の福音」のためにあるということをお仰っていた。
            1970年代に、一部の学者が韓国無教会を民族的キリスト教と言われたことが
      あるが、私たちは言っていない。
  永田姉:10年ほど前に、プサンからソウルへドライブしたことがあるが、大きな墓地がなく各戸に土葬され、身近にいる先祖を大切にする風習に感銘を受けた。
  助川姉:亡くなられた佐藤司郎先生が韓国人の精神を教えて下さり、韓国との懸け橋に努力されたことを思い出す。
      独立学園とプルム学園との交流を進められた。生徒を連れて韓国を訪問した。
      日韓青年友和の会は20年ほど続いている。毎春の愛真高校、2年ごとの独立学園生訪韓がうまく続くことを願っている。
  藤澤兄:プルム学園の近況は?
  吉 氏:今回の訪日メンバーにプルム学園卒業生が2名いる。プルム学園(定員20数名)は、最近入学が難しくなってきている。優秀な生徒の受験が増えてきている。
この学園は1956年設立当初から、信仰を持った平民を育てるべく自由な教育を目指して、学校制度には入らず経営は多くは募金に頼ってきたが、最近政府の支援が認められるようになってきた。人格形成の教育方針が注目されているのが主な理由である。
  高橋姉:韓国のキリスト教指導者 (牧師) は、「黒崎聖書注解(新訳)」を多く利用していると聞く。Webが充実。また内村鑑三を尊敬しよく勉強している牧師も多いようだ。
      今回の「金教臣記念事業会」の中核には大学教授が多く、学生に大きな影響を
      与えるだろう。
  佐藤姉:無教会・金教臣先生のどこに関心が高いのか? 金教臣の教育方針にか、プルム学園の教育方針か。神学部・人文系学部で注目を集めていると聞くが・・・。
      また、無教会への関心でなく金教臣への関心、とならないか。親日派といわれるゆえんの問題も依然としてあるのではないか。
吉 氏:神学大学の博士論文に金教臣研究が多くなっている。全集や復刻版が資料として多く残っていることも一因か。
坂内兄:金教臣の「無教会」主張は、必ずしも日本の無教会と一致しているとは言えないのでは・・・。
内村の信仰はいいという牧師が多いと聞くが、黒崎の注解が無教会者の手に成るということは知らないで使っていると聞く。金教臣先生記念事業会もそういうことにならないか。
八尾兄:昨日の講演で、韓国教会の一部が無教会を見直しているとの動きが紹介されたが、このような大きな融和の方向は望ましいことと思う。
菅沼姉:今回の韓国無教会の方々の訪日交流、大いに感謝しています。

尚、森山浩二兄には、最初から最後まで通訳を務めて頂き、ありがとうございました。
                                                    (文責:八尾)