トーキング・マイノリティ

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お金よりも健康 その一

2021-06-23 22:10:11 | 世相(日本)

 河北新報くらし面には、女性限定投稿の「ティータイム」というコーナーがある。「女の文箱」の別名どおり、500字程度の投稿が毎日ふたつ掲載されている。6月3日付のティータイムは妙に印象的だったため保存したが、2編ともに紹介したい。まず仙台市宮城野区の主婦・新田知江子さん(73歳)の「試練」。

健康が当たり前とのんきに生きてきた私に、突然とんでもない試練が訪れた。年明けに急に瘦せ始め、腕、背中、ウエストが細くなり、体重が減少。長時間立っていられない。腕の筋力がなく、服を着たり脱いだりに時間がかかる。洗濯物を干せない、髪が結べないなど,昨日までできていたことがどんどんできなくなっていく。一体、私の体はどうなっているのだろうという不安と恐怖で押しつぶされそうだった。
 診察の結果、免疫力低下によって筋肉と筋力が失われる難病と分かり、東北大病院を紹介された。ベッドが開くまでの1カ月間、体が悲鳴を上げる中、力を振り絞り、「もう限界を超えているよ」と泣きながら何とか家事をこなした。亡き母がよく言っていた。「お金よりも健康だよ」。今、そのことが痛いほど分かる。

 やっと病院のベッドに横たわった5月7日、涙があふれた。でも、泣いている場合ではない。「必ず治療法があるよ」「きっと治るから、焦らず頑張ろう」と励ましてくれる家族のため、そして何よりも自分のために、笑顔で退院することを目標に、与えられた試練と闘っている。

 年明けに太り始め、腕、背中、ウエストが太くなり、体重が増加する人は少なくないが、これはむしろ健康の証と思うべきかもしれない。健康だったのに突然難病に罹り、それまで当たり前にこなしていた家事ができなくなるのは恐ろしい。加齢とともに免疫力が低下するのは仕方ないが、筋肉と筋力が失われる難病があったことは初めて知った。

 もうひとつもまた、健康体だったのに病で障害者となった女性からの投稿。宮城県村田町の主婦・山家裕美さん(62歳)の「優しい社会」。
一作年から足に痛みを覚え、受診したところ「変形性股関節症」と診断され、手術することになりました。学生時代はバドミントン、フェンシングに取り組み、結婚後は通信教育の添削の仕事をしながら家事をこなし、子どもや孫の幼稚園の送迎も自転車でしていました。体力には自信があっただけにショックでした。
 先日、母の実家でいとこから自分が幼少期に脱臼していたことを初めて聞きました。股関節症は先天性が多いそうです。新型コロナウイルス禍で手術は遅れましたが、無事終わりました。障害者になったことで社会に対する私の目は変わりました。あまりに健康だっただけに弱者への心配りが欠けていたのではないか。

 スーパーでは頼まずとも籠を台に移していただくとうれしくなります。どちらかというと亭主関白だった主人が家業の喫茶店を切り盛りしながら、初めて洗濯機を回したり、重いものを運んでくれたり、ごみ出しをしてくれたりしたのには頭が下がります。いろいろなことに感謝するようになりました。弱者となって気付くことが多く、優しい社会になってほしいというのが今の気持ちです。

「優しい社会」というタイトルは、中共に忖度して台湾の国旗を2度も“白旗”で載せたアカ新聞らしく、毎度の弱者利用を感じた。弱者への配慮を訴えながら、自腹を切って彼らを支援することは絶対せず、ひたすら国の支援を口にするのが日本の自称リベラル。
 ただ、学生時代にはスポーツウーマンで、仕事や家事、子育てをこなしてきた女性が変形性股関節症により障害者になったという話はショックを受けた。先の新田さんと同じく、それまで健康に恵まれてきた人でも、いつ何時病になるか分からないということだ。

 山家さんの言うように健康に恵まれた人は、総じて弱者への心配りが足りない傾向がある。こればかりは実際に自分または家族が障害者にならない限り、なかなか難しいだろう。
 気を配ってくれる周囲の人々に山家さんが感謝しているのは感心させられた。彼女のように健康体だった方が、事故や病気で突然障害者になると見方が変わるケースが多いのだろうが、全てではないにせよ、生まれながらの障害者にはそのような気が希薄に思える。先天性の障害者は周囲が手助けして当たり前という環境で育っており、モンスター障害者と化す者までいる。

 今年の春、JRで車いすは乗車拒否されたと主張し話題となった伊是名夏子なる女障害者がいた。私もネットでの“炎上”で初めて伊是名の名を知ったが、この者は単なるコラムニストではなく政治活動家・社民党常任幹事でもあった。
 社会通念もなく、少しの異論にも差別と金切声をあげる障害者では理解を得られず、障害者全般への印象を悪くするだけなのに、例によって擁護派は「障害者に冷たい日本社会」を非難していた。
 河北新報でも伊是名の出来事は触れていたが、名前や肩書は全く載せず、障害者がネットでバッシングされているという記事を小さく揚げる程度。名前や肩書を出さないだけで、いかに野党に肩入れしているか伺える。
その二に続く

◆関連記事:「五体不満足
モンスター障害者

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
河北新報つながりで (madi)
2021-06-25 05:22:07
河北新報つながりで文芸春秋の7月号に河北新報のあととりと期待される一力さんの記事があります。

出自にしばられて囲碁に専念しにくい環境です。

https://bungeishunju.com/n/n3568cdd0ca83?gs=539da5c6f208
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Re:河北新報つながりで (mugi)
2021-06-25 22:05:24
>madi さん、

 囲碁には全く関心がなかったので、河北新報の創業家から囲碁棋士が出ていたことは初めて知りました。まだ23歳の青年ですが、既に新聞記者をしているのは出自ゆえでしょう。

 しかも一人息子。やがて後継者になるのは確かでしょうけど、新聞ビジネスも苦境に立たされています。もし一力氏が跡取りになったとしても、その時にはたぶん新聞は購読してないでしょう。
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駅員の経験から (牛蒡剣)
2021-07-02 23:16:05
大学時代アルバイトで駅員をやっており東京のある
私鉄で働いてました。で当時は障碍者エレベーター
の設置工事をしている時期で、車いすの階段の移動は
人力でした。格別体重が重くない人でも車いすを含めれば結構な重量で、3から4人で運んだものです。勿論当時も事前連絡が普通で、降りるお客さんも乗った駅の駅員からの「〇×▲◇号車の10両目後部」とか伝達があってじゃやないととても対応できるもんじゃありません。大体みんな何かしら仕事かかえてるんだから。のちの報道だと、例の駅では数カ月後に自民党議員の尽力で県と市の折半でエレベーター設置が決まっていたようですね。そこで事件を起こして「社民党の問題提起があったからだ!」いう
印象操作を狙ったものでは?と言われてますね。
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Re:駅員の経験から (mugi)
2021-07-03 21:23:36
>牛蒡剣さん、

 学生時代にアルバイト駅員をされた方の体験談は貴重です。車いすの型も色々ありますが、電動式でなくとも結構な重量になるでしょう。これでは大の男が3から4人で運ばないと階段の移動は不可能です。
 事前連絡なしでイタリアン・レストランに行った「五体不満足」障がい者がいましたが、彼の場合は特殊な電動式車いすだったため、これだけで百キロちかい重量があったそうです。この時の騒ぎで障がい者への見方が変わった人は少なくなかったかも。

 今回の社民党常任幹事の女も、問題提起することに意義があるといった主張をしていましたね。ブログでは不正受給をにおわせる書込みをしていたようで、このような障がい者にはいたわりの情もなくなります。
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