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虚言で国会議員を辞任した女 その④

2016-12-18 21:10:12 | 世相(外国)

その①その②その③の続き
 アヤーンのような女性は一般にはフェミニストと見なされるが、彼女の主張には欧米のフェミニズムを動揺・困惑させる要素も含まれているらしい。少なくとも政治的にはフェミニスト陣営に都合の悪い議論、または直接フェミニズム批判を行うことが多くなっているらしい。
 しかし欧米、特に米国ではフェミニズムの言説は最左派の第三世界主義者から、極右の欧米中心主義者までの広い範囲の立場によって取り入れられているそうだ。アヤーンこそ称賛すべき勇気あるフェミニストである、という議論が、多くは右派リベラリストから聞かれるという。

ファーガソン/アヤーン現象」とでも形容できる近年の欧米の一部に顕在化する知的潮流を、「新西洋中心主義」と呼んだ方がいいかもしれないと、池内氏は言う。
 これは西洋近代の先進性を再確認し普遍性と優越性をも再確認する動きであり、多文化主義への反動現象なのだ。「異文化との対話を進めよう」「多様性を確保しよう」等と言ってきたけれども、いくら歩み寄ったところで、異文化の方は独自の価値観を主張して止むことがない。ならば、西洋中心で何が悪いのか、むしろ西洋中心主義によってこそ自由と人権が守られるのだ、という開き直りなのだ。

 イスラムと西欧世界との関係を専門とする内藤正典氏も、2006年5月18日付のブログ記事でアヤーンを取り上げている。彼女がオランダで国会議員をしていた時に所属していたのが自由民主党(VVD)という政党だったが、これは反イスラムの急先鋒の党だったという。反イスラムの旗手として担ぎ上げられたかたちの彼女だったが、渡米後もそのスタンスは変わらないようだ。
 だからこそ米国で、偽装難民や虚偽の申請でオランダ国籍を得た過去は不問とされたのだろう。「議員辞職させられた、オランダ死ね」等と放言したら、米国にも居場所は得られない。欧米社会の一部に下世話な欲望を掻き立てるセレブとも言えよう、と池内氏はシニカルに表現、アヤーンの著書への批評も男ならではの見解は面白い。
研究者からは忌み嫌われ無視される一方で、白人男性優越主義を内に抱えながらリベラリズムの普遍性も信奉する欧米の多数の読者からは、倫理的優越の確信だけでなく、性的自尊心も共に与えてくれる類いまれなポルノグラフィとして消費される

 1世紀以上前に死去している小泉八雲の“二重国籍”よりも、アヤーンのケースの方がより現代に相応しい事例ではないか?彼女と同じVVD出身の移民担当相は、虚偽の申請により国籍を取得したことを非難、オランダ国籍を剥奪する決定を下した。虚言を行った外国女は追放も辞さない、という姿勢を表している。
 対照的に自らの二重国籍に関しては、発言がクルクル変わる蓮舫。所属する民進党は何ら咎めることもなく、メディアからも強力な支援を得ている。外国では二重国籍は当り前というメディア御用識者たちだが、オランダさえ虚言で国会議員を辞任した女がいたことは絶対触れないだろう。

 八雲が「日本人タルノ分限」を取得したのは、妻を英国籍にすると妻と子供は居留地に住むことになり、日本社会から孤立する恐れがあること、年上の八雲が亡くなった後に、妻が日本で不動産を所有できなくなることを考慮したためだった。つまり、妻子への愛情から二重国籍となったのだ。
 一方、11月20日付の痛いニュースには蓮舫の寒々とした夫婦関係が載っている。粋がって強い女を演じていることも考えられるが、「面倒臭いから結婚記念日もプロポーズも覚えてない。一緒に寝てない」、と出演した番組で公言していたのは同性から見ても不快極まる。

民進党党首選 蓮舫候補の二重国籍 アメリカが関心 分断統治」、というブログ記事も興味深い。管理人の次の一文は考えさせられた。
古代ローマ帝国の市民権付与を思い出した。アメリカは、できることなら日本の(自称)エリートたちに対してアメリカ国籍を持たせて、日本を分断統治したいと考えていると自分は推測する

 それにしても、米国のフェミニストの言説には最左派の第三世界主義者から、極右の欧米中心主義者までの広い範囲の立場があったことを池内氏の本で初めて知った。他国の代弁者か猿回しの猿ばかり目につくのが日本のフェミニストゆえに、いつしかフェミニストとはそのような連中、という印象が根付いてしまった。
 他国の提灯持ちを活動の手段とする日本のフェミニストは、遠からず女性の地位悪化を招くことになると私は危惧している。本来なら真摯な女性活動家が求められており、活動が弱者ビジネスの利権獲得と化しているのは、長い目で見ればマイナスとなろう。フェミニストにも多様性がある欧米社会は、やはりこの方面でも先進国だった。

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2 コメント

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Re:非常に興味深い記事です (mugi)
2016-12-22 21:22:44
>珈琲さん、コメントを有難うございました。

 私もまさか『イスラーム世界の論じ方』のような本で、欧米の最近の知的潮流の傾向やフェミニストの実態を教えられるとは予想もしていませんでした。わが国の「識者」の多くは、欧米の論壇から真摯に学ぶというよりも、特権のために我田引水している類いが目につきますね。殊にメディアに登場する「識者」は。

 ネットで蓮舫は散々批判されていますが、無能な政治家は叩かれて当然でしょう。民進党は先がなくとも、共闘している共産党は健在だし、勢力を伸ばしています。自民党も公明党と協力していますが、これまた問題です。
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非常に興味深い記事です (珈琲)
2016-12-22 08:48:41
非常に興味深い記事をありがとうございます。フェミニストに限らず、わが国の「識者」の多くは、意見やモノの一面だけをとりあげて騒ぐというのが、悪い傾向でもあり、レベルを高められない原因でもある、ということですね。メディアは、それを知ってか知らずか、さらに増長させている。
難民の問題も、最近興味深い本を読みました。ブログで挙げています。
蓮舫さんの問題は、私は当初さほど気にしませんでしたが、ちょうど「ベッキー問題」と同様に、あとからあとから「問題」を自ら拡大しているような愚かさを感じます。蓮舫さんについては、なによりも政治家としての能力の欠如、能力の低さが最大の問題で、この程度の人物をリーダーにする、あるいはせざるを得ない民進党は、先がないと思います。
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