11月23日、東北大学の百周年記念会館(川内萩ホール)で、東儀秀樹と古澤巌のコンサートがあった。実は私は暫く前から東儀さんのファン。彼の仙台コンサートの殆どに行っている。チケットの一般発売開始は8月23日だったが、この日の朝一番に某デパートのプレイガイドでS席のチケットを買った。おかげで前列3列目の中央部という恵まれた席をゲットでき、コンサートを存分に楽しめた。当日は天気にも恵まれ、コンサート終了後の帰宅もスムーズで気分が良かった。
今回のコンサートで古澤巌というヴァイオリニストを初めて知ったが、何と今年55歳と東儀さんと同い年。実年齢より若く見える東儀さんとは対照的に老けて見える。今年、この2人にアコーディオニストのCobaを加えたユニット『TFC55』が結成され、全国コンサートを行っているが、どうしたものか仙台公演にはCobaは来なかった。尤も茶髪のアコーディオニストなど、私的にはいなくとも構わなかったが。ネットでは東儀秀樹×古澤巌×cobaアルバム『TFC55』リリース記者会見の動画も見られる。
公演は2部構成になっており、演奏曲順は以下のとおり。
第1部
・TFC(Treasure Finding Cruise)
・始まりの風景
・冬 第1楽章ヴァイオリン協奏曲《四季》より
・パリの散歩道
・Salamandra
・Lave Hat Trick
・ポル・ウナ・カサベ
第2部
・大河悠久
・アディオス・ノニーノ
・光り降る音
・パガニニアーナ
・好きにならずにいられない
・愛の賛歌
・ムーンリバー
・リベルタンゴ
東儀さんや古澤、Cobaのオリジナル曲の他、ロックやシャンソンの名曲に加えてタンゴも演奏されたのは驚きだった。ヴァイオリンならともかく、タンゴは篳篥(ひちりき)には合わないというイメージを覆して、演奏が様になっていたのは流石だ。それにしても、あの小さな篳篥がこれほど大きな音を出すのに、改めて驚かされる。
もちろん東儀さんは篳篥だけを吹いていたのではなく、エレキギターも弾き、はじめにステージに登場した際は笙(しょう)を奏しながらだった。何年か前のコンサートではピアノも弾いていたことがある。
第2部では東儀さんと古澤は狩衣姿でステージに上がり、観客は大いに沸く。意外に古澤は狩衣姿が似合っており、同行した友人に言わせれば、「神主さんみたい」だった。むしろ近所の神社の宮司よりも様になっている。東儀さんと古澤は色違いのスカーフを付けてもいたし、スカーフのデザインは東儀さんということ。会館限定発売のもので値段は8千円ということもあり、私は見るだけだった。
アンコール曲はフレンチポップスの「シェリーに口づけ」。ミッシェル・ポルナレフのライブ映像もネットで見られるし、今年70歳のフランスの国民的歌手もガンバっている。
東儀秀樹といえば、お堅い、気難しい、孤高の人、無口…というイメージがあるが今回はノリノリで、ロックスターのように片手を挙げるガッツポーズもあった。いかにも喋るのが億劫といった以前のコンサートに比べ、お喋りが多くなったようだ。
来場者の多くは中高年女性であり、若い女性や男性はあまり見かけない。やはりオバサン向けの音楽家ユニットなのだ。私くらいの年齢となればJ-POPなど喧しいだけであり、本格的な音楽家の演奏を聴きたいのだ。
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