トーキング・マイノリティ

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島国根性 その②

2016-09-29 22:10:04 | マスコミ、ネット

その①の続き
 飛鳥圭介氏が書く通り、オリンピック時となると確かにメディアは「日本チャチャチャ」一色となり、「メダルが期待されます」を連呼する。その報道姿勢にゲンナリ、今回のリオに限らず暫く前からオリンピック中継を私はあまり観戦しないようになっている。
 その一方で、日本人選手への応援を叱責する言論人も登場するのがオリンピック。北京大会時、谷口源太郎なるスポーツジャーナリストは、日本の応援を“偏狭なナショナリズム”と叱責したという。wikiには谷口が、「マスコミ九条の会」呼びかけ人を務めていることが載っており、この類がレイシズムの権化である中華ナショナリズムには全く言及しないのは当然だった。

 最近メディアによく登場する茂木健一郎なる脳科学者は、昨年の日本人ノーベル賞連続受賞時、日本人は騒ぎ過ぎと貶したことがある。私はワイドショーを殆ど見ないためか、未だにTV番組で茂木を見たことがないが、ネットでは何かと話題となる人物なのは知っていた。「嫌悪感」と題したブログ記事があり、管理人さんによる茂木への皮肉は痛快だった。
まっ脳科学者として受賞する可能性のない茂木氏がそういう発言をすればどんな反応が返って来るか簡単にわかりそうなものですが…茂木氏って本は出していても論文書いていらっしゃるのかしら…

「ひいき」と題した飛鳥氏のエッセイも、同じ流れにあるのは明らかだ。試に飛鳥圭介で検索したら、2012-5-21付の「エッセィスト:飛鳥圭介に物申す!」というブログ記事がヒットした。ブログ主は「最近の「おじさん図鑑」には幻滅を感じることが多くなった」と言う。そして大阪府が府立高校の卒業式で、教師の「君が代」斉唱を義務づけたことへの飛鳥氏の批判を紹介していた。
背筋が凍りついた。お上の命令に従わぬ者は断固処罰すると言うのは、民主主義を全否定する事になる…君が代の起立・斉唱を強制することは、人々を思うままに羊のごとく飼いならしたい独裁者の意思でしかない…この世には、”君が代”を歌いたい人、歌いたくない人、いろいろな人がいる。それがごく当たり前のわれらが日本ではないのか

 実は私も暫く前から最近の「おじさん図鑑」には違和感を覚えることが多くなり、以前のようには見なくなっていたのだ。「おじさん図鑑」は結構面白い話もあったのだが、上記の記事だけで飛鳥氏の正体が知れよう。
「ひいき」の末尾には「日本人力士が勝つと正直とてもうれしい。跳びはねて喜ぶ。島国根性なのか」と自嘲するかのような文章がある。しかし、その直前「公正無私で、一部の人々に仏の圭介と称されるおじさん」と鼻持ちならぬ自惚れがあり、これこそが氏の本性なのだ。
 自らを公正無私と公言する者くらい、実体は程遠いことが多い。仮に一部の人々には仏の圭介と称されていたとしても、あくまで一部に過ぎない。己の島国根性を恥ずかしいというポーズをとりつつ、日本人全体を叱責するテーマのエッセイなのだ。

 日本のメディア界には日本選手がメダルを取ったり、日本人がノーベル賞を受賞することを悔しがる輩が存在するのは想像に難くない。そこで自分たちの息のかかった言論人に代弁させる手段を取るのだ。メディアに出る言論人文化人など、広告主の飼い犬猿廻しの猿であり、だからこそメディアに頻繁に出られるのだ。
 河北新報の読者コーナー「声の交差点」にも、暫く前に今回のリオ・オリンピックについてメダルの数は重要ではない、スポーツの質が大切だ、のような戯言が載っており、この手の読者の投稿ばかりが目立つ。

 ダークネスDUAの9-21付記事名はズバリ、「日本以外の国の人間は、みんな「骨の髄から愛国者」である」。管理人は誇らしげに国旗を振りかざす米国やタイ、英国の人々の画像を載せ、こう結んでいる。
日本以外の国では、どこの国民もハードコアな愛国者だ。嘘だと思うなら調べてみればいい。日本はもっと国を愛することに自信を持った方がいい。それを「愛国ポルノ」という人間は「お前は売国ポルノだ」と言い返せばいい

 また記事には「自国をけなす人間は、その日のうちに殺されている」という一文もあるが、私が関心を持つインドやトルコはまさにそう。少なくとも身体生命の保証はない。女であっても頭から油をかけられ火をつけられるか、のどをかき切られるか。
 戦後の言論界には、やたら「島国根性」の言葉を使う知識人や文化人が多かったが、これまた「日本を褒めるのは許さない」という歪んだ反日感情の隠れ蓑だったようだ。「島国根性」の言葉を投げつけ、日本人を委縮させる悪意があったと見ている。

 日本の偏向ТV番組への抗議に対し、「嫌なら見るな」といった芸人たちがいた。全くの正論だ。嫌な言論人のコラムは見なければいいだけのこと。2011-8-01付の記事で、飛鳥氏の「おじさん図鑑」を取り上げたことがあり、氏の意見を再び引用して終りにしたい。
あなたね、自分は自分のやりたいようにやればいいんだよ。でもね、自分一人でやりなさいよ。何の権利があって他に自分の独善を強いるのだ。己の正義を誇らず、まず疑えよ

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 「21世紀の国防婦人会的現象
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