シチリアといえば真っ先にマフィアを思い出される方も多いだろう。ビデオレンタル店に行けば、マフィアものの映画など数多く置いている。何故シチリアでマフィアが生れたのか、そして強大になったのかは様々な意見があるようだ。 イタリア在住の日本人作家がシチリア人貴族に、マフィアとは何かと訪ねた。しばらく沈黙した後、常に外国に支配されたシチリアの歴史や、具体的な背景を彼は語る。ガリバルディに
よるイタリア統 . . . 本文を読む
かつて南アフリカはアパルトヘイトで悪名高かった。その南アとの貿易額が世界で最高なのが日本、次いでドイツなので、この二つの第二次大戦の敗戦国、特に日本は槍玉に挙げられた。上得意様には揉み手をしたがるのは南アも同じで、日本人に対し“名誉白人”なる称号までたて奉る。しかし、この南アを影で軍事的、政治的に支えていたのが英米だったのを、知る方は意外に少ないかもしれない。 私が南アとイギリスとの関わりについ . . . 本文を読む
古代ギリシアでは男同士の同性愛は白眼視されるものではなかった。ただ、相手は成人男子でなく少年への愛が公認されていた。名は忘れたが、ある古代ギリ
シア研究者によると、成人に声を掛けられない少年は大変屈辱だったとか。現代ならたちまち未成年への性的虐待で犯罪行為となるが、性的モラルがあまりにも
異なるのは違和感を感じる。 ギリシア神話の最高神で女漁りの激しいゼウスでさえも、美少年ガニメディウスに目 . . . 本文を読む
古代ローマを覇権国家と非難する人でも、現代まで続く法治システムを創造したのがローマ人なのは認めざるを得ない。何もローマ人に限らず他の民族にも法
はあったが、例えばユダヤ人の法とは質を全く異にする。ユダヤ民族の憲法ともいえるモーゼの十戒は、ユダヤの支配階級が議論して作ったものではない。神が
人間に与えた法であり、時代に合わなくなったという理由で人間如きが変えることは絶対許されない。これはシャリ . . . 本文を読む
その①の続き 平和運動家たちは依然として軍縮が進まない理由を、覇権国家や拡張主義的政治家に責任を着せようとする。タカ派政治家はよく彼らの槍玉に挙げられるが、ことはそう単純ではない。戦前の軍縮が頓挫した背景をまた紹介したい。「軍備縮小はこのように様々な難問にぶつかったが、ありとあらゆる駆け引きが行われ、ことに高給をもって抱えられた兵器会社の手先がしきりに活躍した。
現代資本主義社会では兵器や破壊の . . . 本文を読む
平和運動家たちにとり、軍縮問題は最も関心のあるテーマだろう。だが、軍縮がいかに困難なものであるか、戦前の国際連盟での軍縮会議を描いた本の一部を抜粋したい。「1932
年初め、ついに世界軍縮会議は開催されたが、それはひと月またひと月、一年また一年と種々様々な提案を審議したり、また却下したり無数の報告書を読み上げ
たり、果てしのない議論を聴いたりして、いたずらに日を費やすばかりだった。その内に軍 . . . 本文を読む
カサノヴァといえば稀代の色事師として有名だ。その華麗なる女性遍歴は映画化までされ、同性の羨望となっている。だが、彼が晩年の8年間余り、祖国ヴェネツィアのスパイをしていたのは意外に知られていない。
ジャコモ・カサノヴァは、1725年両親とも俳優の子としてヴェネツィアに生まれた。5人兄弟で1人位は安定した職業に就いてもらいたかった両親の望みな
のか、ヴェネツィアのセミナリオに入るものの、そこで . . . 本文を読む
西欧史で悪名高いボルジア家を知ったのは、塩野七生 氏の本を読んだのがきっかけだった。ボルジア家についてはフランスの作家フランソワーズ・サガンも『ボルジア家の黄金の血』という歴史小説を書いている。コピーが「兄妹の背徳の愛と死」で、文字通りボルジア家の兄チェーザレと妹ルクレツィアの愛を中心に物語は進行する。 昔からボルジア一族の近親相姦説は有名だが、彼らがその種の関係にあったとの確証はない。ただ、ル . . . 本文を読む
作家・塩野七生 氏の処女作。本題のとおりルネサンス時代を代表する4人の女たちが取り上げられている。イザベッラ・デステ、ルクレツィア・ボルジア、カテリーナ・スフォルツァ、カテリーナ・コルネールらが女たちの名前だ。ルネサンス時代で第一線で活躍した女と、対照的に徹底して利用された女たちを描いている。前者がイザベッラ・デステとカテリーナ・スフォルツァだ。 読む人の好みもあるが、私はイザベッラ・デステの
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ローマを建国したのはロムルスであり、紀元前753年4月のこととされている。もちろんこれは伝説であり、ローマ人が信じていた“神話”に当たる。その背景を『ローマ人の物語Ⅰ』の著者・塩野七生 氏はこう記している。「い
ずれの民族も伝承なり伝説なりを持っている。自分たちのルーツをはっきりさせたいという要求は、人間にとってはごく自然な願望なのだろう。科学的に解明す
るのはほとんど不可能といってもよい難 . . . 本文を読む